*A部門入選作発表*


当季雑詠=全90投句(入選68句)

【特選】

一席
●夜の秋を統べて終刊号を編む=葱男


◎秀、ぼ○智、裕、五△ま、雪、ラ、ス、資、香、紅=19点
(ぼ:まさに終刊号を飾る佳句。感無量、葱男さん有難う! 秀:葱男さんか、あるいは感謝を込め葱男さんの気持ちになった方の句。夜の秋がいいですね。 五:18年もの長き間の葱男部長の編集お疲れ様でした。有難うございました。葱男さんの呼びかけがなければ俳句の世界に足を踏み入れていませんでした。俳句の醍醐味を味わえたことに深謝です。 智:終刊号‥寂しいです‥ 雪:ほんとにお疲れ様でした。 ま:永い間お疲れさまでした。 ラ:「統べて」に万感の思いがこもっていますね。 資:200回お疲れ様でした! 裕:葱男さんお疲れ様です。 香:よろしくお願いします。 紅:最後までお疲れさまです、有難うございました。)


二席
●香水にノスタルジーと云ふ成分=智雪


◎秋、し、水△ま、紅、葱=12点
(秋:なんともおしゃれな句。匂いの記憶は曖昧なようでいて確かだと言います。 し:ノスタルジーと云ふ成分、絶対含まれていると思います。香りにはいろんな思い出が含まれていますね。 水:香りは記憶を呼び起こしますよね。 ま:確かにそうですね。よく気付かれたと。 紅:オシャレな表現ですね〜! 葱:女性ならではの俳句。)


二席
●番長の今は美容師月涼し=雪絵


◎ラ○遊、紅、茶△十、秋、水=12点
(ラ:あはは☆ 面白いです! 茶:浜の番長三浦のように、リーゼントだとまた可愛らしさが増しますね。紅:とても好きです。イケメンに違いない。((笑) 十:俳諧味あり。季語は微妙。 秋:人生は異なもの。時の巡りを感じさせて季語もいい。 水:月涼しが効いている。)


二席
●風鈴やさみしき時は耳聡く=秀子


◎智、入○資、紅△砂、秋=12点
(智:本当にそうです。 入:風鈴もつくづくと、聴いてしまっていることが。 紅:繊細な感覚ですね〜!資:耳聡くがうまい。さみしい時の風鈴は心に響く。 秋:一人で家にいると物音に敏感になる時がある。そんな時風鈴の音にほっこりすることも。わかります。この感じ。)


【入選】

●青茅の輪潜る小さき風連れて=秀子
◎資○砂、十△智、久、朱、ぼ=11点
(資:茅の輪をくぐったすがすがしい気分。小さき風が良い 十:後半に詩がある。 智:小さき風が爽やかです。 朱:詩的ですね。 ぼ:小さき風連れての措辞 が、何ともいいですね。 )

●青田道列なす白きヘルメット=雪絵
◎裕、修△メ、遊、入、茶、葱=11点
(裕:高校時代の通学を思い出しました。今はこんな光景あるのかな? 修:青田のなかの通学風景、青の中をうごく白、平穏な日常の良さ。 入:自転車通学の本人達にとっては、なんということない、あるいは辛い日々の登下校の景をうまく切り取ってらっしゃる。 茶:田舎の中学生たちですね。色のコントラストが目に浮かぶようです。 葱:このような光景はよく田舎で見かけますが、都会ではあまり見かけないような、、。)

●一生に幾度つつかれ蝸牛=ラスカル
◎ス、香○雪、五△智=11点
(香:自虐が利いてる! 雪:確かに子供の頃、かたつむりを見ればよくつついてました(笑)  五:面白い句。弱きものへの優しさに溢れる。一茶の俳句の趣きあり。 智:ちょっとつつきたくなりますね(笑))

●時満ちて丘を去る日や大夕焼=ぼくる
◎紅○秀、秋、し△ラ、葱=11点
(紅:「俳句は挨拶」だと言われますが、最後に素敵な挨拶句に出会えました。皆様、お世話になりました。 秀:200号で終える「丘ふみ」に対する挨拶句。ほんとに「時満ちて」ですね。ありがとうございました。 秋:最終号への挽歌。 し:丘を去るのは寂しいですが、大夕焼が美しく照らしてくれています。 ラ:丘ふみへの挨拶句。「大夕焼」という季語がいいですね。 葱:挨拶句、いただきます。)

●遠雷や厨に電子音あまた=雪絵
◎十○ま、水△始、修=9点
(十:電子レンジ、調理用のストップオッチ、携帯の呼び出し音なども。遠雷も効いている。 ま:今の厨の姿を上手に捉えられているし、季語と響き合っています。 水:遠雷の不穏な感じと日常の電子音との対比。 修:厨も変貌不思議な世界にいる。)

●夏の星湯舟は海の色をして=紅椿
◎砂、五○葱△ま=9点
(五:満天の星の下の露天風呂か?「湯舟は海の色をして」という措辞が綺麗だ。 海辺の温泉の露天風呂を思い浮かべました。素敵な風景です。 ま:夜の海の色ですね。美しい景で魅かれました。)

●使ふ切手使はぬ切手星の恋=十志夫
◎雪○や△香、茶、葱=8点
(雪:この季語によっていろんな想像を掻き立てられます。 や:何が出てくる引き出しの奥。 香:恋文には、選び抜いた切手を貼りたい。 茶:収集マニアではないけれど、コレクションとして取り置いておく。年に一度の逢瀬のようにお目にかからずとも。 葱:「星の恋」に落としどころを見つけ出したのがいいと思いました。)

●手花火や互ひの夜を火照らせて=葱男
○し、香△や、十、資、遊=8点
(し:互ひの夜というのがいいですね。ロマンチックに感じました。 香:夜を火照らす、がロマンチック。 や:一つ輪つかに家族の顔あり。 十:楽し気な景が見えてきます。 資:手花火に秘められた夏の思い出)

●文庫本読める日焼けの修行僧=修一
◎遊○始、水△ス=8点
(水:宗教書ではなく、普通に恋愛小説だったり。その辺を想像させるのが面白いですね。)

●触手ふはと拡げて花となる水母=ラスカル
○砂、ま、ぼ△清=7点
(ま:なんとも美しく一読魅かれました。表現が巧みです。 ぼ:みごとな見立て、描写です。 清一:水母と母の文字を使った所が良い。)

●朝7時蝉は77デシベル=香久夜
○ス、水△入、葱=6点
( 水:蝉圧のすごさを毎朝体感しています。蝉時雨などではなく蝉の土砂降り、集中豪雨ですね。 入:7時と77デシベルの繰り返しが、蝉の合唱らしくて良いです。 葱:77デシベルがどんな音なのかわかりませんが、言い切るのが俳句です。)

●朝涼や商店街に飾り山=香久夜
◎茶○資△秀=6点
(茶:山は山車でしょうか。祭祀や伝統を大切にするコミュニティの清々しさが伝わりました。 資:二年続きの追い山中止は寂しいが、飾り山が見られるので少し安堵。 秀:景色ははっきり見えます。来年こそは、津々浦々で、お祭りがありますように)

●海へ向く母の生地や枇杷たわわ=水音
○始、入△や、葱=6点
(入:長崎とかの島の暖かい風景がすぐに想起されます。 や:今も瞼に母の面影。 葱:海の見える丘の斜面にたわわに実る枇杷の輝きが、母の顔を思い起こさせます。) ●海を来て友呼び戻す夕焼かな=葱男
◎朱○雪△五=6点
(朱:これは「海に」ではないかな…とか。友呼び戻すのフレーズに竜一くん(虹魚さん)を思い出して切なくなってしまいました。 雪:呼び戻したい友と言えば白髪鴨さん。一緒に卒業したかったです。 五:「海を来て」という措辞が良い。白髪鴨さんのことと思う。)

●音程の合わぬ草笛一列に=やんま
○清△雪、ス、し、入=6点
(清一:音程が合わないのが草笛の良さ。 雪:ほんとに草笛ってむずかしいです。 し:楽しそうなご一行ですね。 入:懐かしい幼い頃の遊び仲間が浮かび、一列にの結句で解決。)

●赤銅の火?型土器風死せり=朱河
◎や○秀△ぼ=6点
(や:時間空間ぴたりと止まる。 秀:火焔型土器の熱いエネルギーを感じます。 ぼ:日本文化の原点、縄文は凄い。風も黙らす。)

●白鷺の首の長さや雲の峰=遊歩
◎喋○子△修=6点
(修:たしかに異様に白く長く見える。)

●積読のボーボワールに紙魚走る=秋波
◎清、久=6点
(清一:一時代を風靡したボーボワールの第二の性一度は読んで欲しかった。)

●ホームレスの居て噴水の広場かな=入鈴
○ス、遊、修=6点
(修:噴水の見え方が変わる。様々な人生。)

●炎天やペンキの剥げし戦闘機=裕
○ぼ△秀、し、水=5点
(ぼ:何処かに展示されている実物であろう。八月炎天下あの大戦への想いは深い。 秀:戦闘機のペンキは剥げたままにしときましょう。 し:使い古した戦闘機が炎天下にとりのこされている光景でしょうか。機体の熱さも伝わります。 水:鹿屋を思い浮かべました。)

●頭蓋骨の笑う浴衣や歌舞伎町=裕
○清△朱、秋、葱=5点
(清一:こんな浴衣不気味だが面白い歌舞伎町。 朱:スカル柄の浴衣なんでしょうね、歌舞伎町との取合せで面白い視点。 秋:最近は浴衣の柄も色々。骸骨とは歌舞いてますねえ。 葱:若者たちはなぜ今、こんなに骸骨の模様に惹かれるのか?)

●八月やゼロに終りと始まりと=十志夫
◎ま○葱=5点
(ま:終わった日は始まった日でもあります。八月が深く胸に迫ります。 葱:原爆投下の敗戦に日本の終わりがあり、そこからまた日本は立ち上がった。2021年の八月はどうだろう? コロナとワクチンで日本は終わろうとしているのか、それとも、ここから新しい日本が始まるのか?)

●文庫本の滑り落ちたる三尺寝=裕
○朱△清、雪、メ=5点
(朱:よくある一瞬ですが如何にも三尺寝の一句。 清一:恐らく本箱に入り切れない文庫本の山だろうな。 雪:本が睡眠剤の代わりになることもしばしば。)

●空蝉や空欄目立つ予定表=水音
○朱△清、智=4点
(朱:夏の予定が入らないほんやりした寂しさ。 清一:空蝉と空欄のコラボが良い。 智:出て来たら蝉は大忙しなのに‥)

●ギムレット晩夏のジャズに炙らるる=朱河
○ラ、秋=4点
(ラ:「晩夏のジャズに炙らるる」というフレーズが魅力的。 秋:カクテル片手にジャズ。粋ですね。中七がいい。)

●百日紅寝ても覚めても丘ふみと=五六二三斎
○喋△ラ、ぼ=4点
(ラ:丘ふみへの挨拶句ですね。頂きます! ぼ:ほんと、ほんと。)

●何やらの墓かもしれぬ蝉しぐれ=紅椿
○修、入=4点
(修:この今を?しぐれは強く感じさせてくれる。 入:鳥の声、木の花々、蝉しぐれの他にも降り注いで もらいたいものです。)

●熱帯夜犬の寝息の子守唄=スライトリ・マッド
◎メ△入=4点
(入:あるある。熱帯夜にも人と動物の交感がありますね。)

●日盛りの逆さに押され受領印=紅椿
○智、久=4点
(智:逆さがなんともはや‥)

●百年後句友集ひて雲の峰=清一
○喋△朱、香=4点
(朱:百年後とは壮大な夢と希望。)

●熱帯夜犬の寝息の子守唄=スライトリ・マッド
◎メ△入=4点
(入:あるある。熱帯夜にも人と動物の交感がありますね。)

●炎天の塗り残したる指輪跡=智雪
○久△裕=3点

●オールドジャズ聴く暑き夜の摩天楼=しゃが 
○十△秀=3点
(十:贅沢な至極の時間ですね。 秀:摩天楼で聴くオールドジャズ!)

●片蔭やシャッターの道切れ目なく=五六二三斎
△朱、裕、水=3点
(朱:延々続くシャッター商店街の光景でしょうか。 水:炎天なのに静かに眠っているような寂れた通り。)

●校庭に流るるマーチ雲の峰=智雪
○や△裕=3点
(や:命滾らせ青春の日々。)

●JKは前髪いのち熱帯魚=茶輪子
◎葱=3点
(葱:いかにも若々しい、ほほえましい句ですね。女子高生が精一杯のオシャレに背伸びしている様子が眩しく映ります。)

●蝉時雨聞けわだつみの魂のこゑ=清一
◎始=3点

●寺の鐘村を響かせ夏祭り=水音
◎子=3点

●向日葵も顔をそむける陽射かな=白馬
○メ△十=3点
(十:太陽に向かって咲く向日葵さえも、という面白さ。)

●ふうりんや麻婆豆腐ヒイフウと=スライトリ・マッド
△五、喋、茶=3点
(五:「ふうりん」との取り合わせが面白い。アツアツの麻婆豆腐をフウフウ言って食べていたら、風鈴が鳴ったということか?面白い。 茶:涼しさと熱さの衝突。「ふ」の韻が効いてます。)

●わが息に形代ひらと飛ばされて=秀子
○香△資=3点
(香:形代、儚さが表され素敵な句です。 資:ひらと飛ばされてがその場の雰囲気をよく表している。)

●炎天の石橋くぐる船頭さん=香久夜
△喋、葱=2点
(葱:近江八幡の湖を船で経めぐった記憶がよみがえりました。)

●祇園会や子犬の眠る昼下がり=子白
△始、修=2点
(修:子犬も祭もよく見える感じ。)

●紫外線吸って万緑盛り上る=秋波
○メ=2点

●盛夏かな雲の彼方の幼き日=始祖鳥
△喋、葱=2点
(葱:夏の白い雲を見ていると、ふと、幼い日のことを思い出します。)

●長身の下り鮎舞ふ堰の水=修一
△子、遊=2点

●ねり歩く祇園祭や男酒=ぼくる
○裕=2点
(裕:祇園祭早く復活してほしいですね) 

●霊山に睨みを利かす雲の峰=五六二三斎
○子=2点

●林立のヨットの帆柱大夕焼=まさこ
△や、秋=2点
(や:血色に燃ゆるクライマックス。 秋:ヨットハーバーでしょうか。スケールの大きい景がよく見えます。)

●雨音に眠れぬ夜のハンモック=まさこ
△紅=1点
(紅:趣きの違うハンモックに惹かれました。)

●炎昼やまさしく辛きガパオ丼=茶輪子
△葱=1点
(葱:ホットホットの二乗ですね!)

●丘に立つ闘士つつめり晩夏光=ぼくる
△五=1点
(五:丘ふみ游俳倶楽部の終焉へのさようなら句。)

●蚊遣火や夭折画家の裸形の目=しゃが
△久=1点

●自家の畑盆供の胡瓜成り早し=久郎兎
△子=1点

●尺蠖の歩幅はその身一つ分=十志夫
△し=1点
(し:確かにそうですね。納得です。)

●素肌へといたるレースの風のあり=遊歩
△砂=1点

●つきかねる犯(ほし)の目星や明易し=やんま
△入=1点
(入:ホシとメボシ、易しの韻がミステリー小説を面白がっておいでてる様子とぴったり。)

●梅雨明やドアに鍵する音明(さや)か=入鈴
△メ=1点

●手のひらをこぼるるひかり夜光虫=まさこ
△砂=1点

●夏暁や山小屋の灯はとうに消え=秋波
△入=1点
( 入:夏山の明け方の様子がしみじみ思われます。)

●夏座敷クールな顔で盤向かふ=メゴチ
△始=1点

●野良猫の眸の窪み夏の果=清一
△朱=1点
(朱:野良猫も夏痩せしたのかな、と。)

●人住まぬ家にも盛ん百日紅=子白
△清=1点
(清一:百日紅だけが咲いている淋しげな風景。)

●風鈴の音色に合わせ下駄鳴らす=メゴチ
△子=1点

●指環切る消防署員梅雨明くる=スライトリ・マッド
△久=1点


A部門入選作〈back number〉

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