*A部門入選作発表*

当季雑詠*全35投句(入選26句)

【特選】
一席●葉と花と その露さへも小萩かな=入鈴 
◎月、平、喋、久、一、木◯五、ス△前=23点
(月::早朝のお散歩、心洗われて小さな露の玉の中を覗いてみると・・。 平:リズムがいいし、着眼点も。 一:萩へ注ぐこまやかなまなざしがすばらしい。大体、秋の句は季節が良すぎるせいか平凡に流れるきらいのある中、この句はいいところを見ているように思います。 久:細かな葉と花の集合体に露が引き立て役で加わって、その露を小萩と呼んだところが良いですね。 五:萩の花は小さく目立たないが、葉と露も加えてこそ、萩というものなのか!素晴らしい観察力!)

二席●青き地球(ほし) さかしまに墜つ秋の空=月下村 
◎澄、ス◯一△入=9点

(一:中の句と下の句はすごくイメージをかきたてられる。無窮の星空を眺める心地がいいけど……。上の句が私のイメージといまひとつ合わないのが惜しい…… 入:衛星からの写真では、秋の地球の空は青が膨張するのかな?)

二席●秋冷を憶えつ二度の寝入りかな=五六二三斎 
◯久、資、入、前△月=9点
(久:やっと二度寝が出来る季節になったという安堵と、反対に夏を惜しむ気持ちも。資:さうです。いつの間にか朝の冷え込みに布団を掛け直す。心地よさに実感。 入:ありあり。 月:これが気持ちいいんだよね。)



【入選】
●夜汽車遠し 耳すまし待つ 秋月か=一木
◯喋、前、木△入=7点
(入:誰の句かすぐわかっても、天邪鬼でも空間が浮き出てくるから採ってしまう。)
●絽の扇子 邪魔といふ気にならず秋=入鈴
◎前◯一△平、久=7点
(平:まだ暑い昼の日差し。 一:中の句が『邪魔という気にならず』で、下の句が『秋』で止めるとしたら、とてもいいリズムを感じます。 久:この句はきっと、ちゅんさんの句だと思う。ならぬ秋、でないところがミソ?かな。何度も読んでいるうちに、選んじゃいました。)
●うらぶれて 木犀の香に 夜を彷徨う=一木
◯月、平、久=6点
(月:こんな時は誰にも会いたくない、ただ、酒は呑みたい。 平:私も木犀を思い出してました。 久:10月になると、家の周りの金木犀(キンモクセイ)の匂いに毎年はまるずっとにおっていたい、まるで中毒。)
●香り立つホットコーヒー秋の風=五六二三斎
◎入△澄、ス=5点
(入:言うことあらへん、ぴったし)
●風そよぎ たおやかに揺れる 萩優し=木笛
◎資◯澄=5点
( 資:萩の風の優しさを感じます。白もいいがやはり紫ですね。)
●十五夜の 綱引き流れ 雨の月=スライトリ・マッド
◯月△喋、入、前=5点
(月:綱引きって運動会なのかな?それとも、なんだかお祭りのような気もするんだけど。 入:台無しの雨、だけどただでは起きないぞ。)
●十三忌送りし野辺の曼珠沙華=資料官
◎五△平、ス=5点
(資:岳父の十三回忌の秋 五:十三回忌の法要を菩提寺でとり行い、その後にお墓参りをしたのであろう。野辺に咲く曼珠沙華。日本の秋を感じる。 平:絵になりすぎてるって感じもするけど・・ぴったり。)
●傍ニ居マス そう告げたくて賢治の忌=月下村
◎康△一、ス=5点
(月:黒板に白墨で書いて、昔の伝言板って最寄りの小さい駅なんかにもあったよなあ。 康:最近、私も何だか賢治に心ひかれるので 資:今月は岩手県が多いなぁ。)
●朝じたく 明けてゆく空 彼岸過ぎ=平百合
◯資△喋、久=4点
(資:子どもの弁当作りだろうか。一週間は長い。 久:この句は関東じゃなくて九州の人の作品かな?九州は40分、夜が明けるのが遅いからね。秋の彼岸で理解したけど。)
●首里の城汗ばみ登る秋彼岸=資料官
◯康△五、一=4点
(資:彼岸とはいえ沖縄はじりじりと日差しが強く,坂を上れば汗ばむほど。とはいえ常夏の島も秋の気配があちらこちらに 五:出張の多いご仁の句か?秋彼岸にもかかわらず、沖縄の首里の城の坂道は汗ばむ。 康:沖縄の秋が実感できました)
●秋風に吹かれながらの一人旅=澄響
◯五△喋=3点
(五:一人旅を続ける者に吹く優しくも何か物悲しい秋の風。いい感じに仕上がっている。) 
●台風の目のごときかな不動心=澄響
◯喋△五=3点
(五:今年はほんとに台風の当たり年!台風の目のような強い気持ちを持ちたいね。)
●台風の湧く雲着流す 岩手山=入鈴
△月、資、木=3点
(月:イーハトブにも暗雲が・・、岩手山の裾野の雄大さが雲を見せる。 資:盛岡は8月台風が去って一気に秋が来たらしい。岩手山(南部富士)の姿が目に浮かびます。)
●走り終えて 寝転ぶ空に今朝の月=月下村
◯入△平=3点
(入:薄白き明けの月の爽快さがわかりますよ。平:私も朝の月が印象に残ってるんで・・・。)
●彼岸花 約束の赤 棚田道=平百合
◯澄△前=3点
●犬吠ゆる 覚めやらぬ体に 朝寒し=一木
△資、康=2点
●刈り穫りの 落ち穂啄む 烏かな=前鰤
△五、久=2点
(五:烏にとっても、これから厳しい冬が来ることを物語る哀愁ある句。 久:刈り取りあとに降り立つカラス。田舎のカラスは健康で実直かも。)
●さえずりて 実りの秋を ことほがむ=木笛
◯ス=2点
●あかあかと 包まれ仰ぐ 秋の夕暮れ=平百合
△澄=1点
●篭飼いの 迷い小雀 親の声=久郎兎
△一=1点
(久:昔、部屋に迷い込んできた小雀を篭で飼おうとしたら、親雀が部屋の周りに来て小一時間うるさく鳴くので逃がしてやりました。親の愛情の深さに負けたのです。雀は人になつかないので飼えないそうです。)
●玉虫ぞ 艶きらっ!眩し 夢叶う=久郎兎
△資=1点
(資:金緑光ながら飛ぶ玉虫は幸運のしるし。祈願成就を確信。)
●月並みの 憑きも尽き果て 突き当たり=前鰤
△平=1点
(平:努力賞。)
●虫の音に 季節移ろひ神無月=喋九厘
△澄=1点
A部門入選作

創刊号 第二号