*A部門入選作発表*

当季雑詠*全36投句(入選30句)

【特選】
一席●嵐明け 約束の青 露草よ=入鈴 
◎久、ス◯月、木△湯、澄=12点
(月:着物の下絵に使う露草の青花も、水に流れてやがては消えるつかのまの約束。 久:丘メールでちらっと見かけた俳句も良かったです。「約束の」が、この気温この湿度で毎年必ず咲くある花を思い出させます。)

二席●紅一点みほとけわきの百日紅(サルスベリ)=資料官 
◎一、澄、前△五、ス=11点

(資:夏木立に囲まれた鎌倉の大仏は涼しげに座っている。その脇で一本の百日紅が彩りを添えている。今年はどこも百日紅の花が良く咲いた。 五:みほとけわきと言う表現が素晴らしい!お墓参りに行ったら、墓の紅一点が百日紅だったのか! 一:きちんと構図にはまった静かさを感じるとともに、百日紅の強い印象がいいですね。)

三席●米袋 帰省の子らを 心待ち=木笛 
◎入、湯◯前△資=9点
(入:こういう気持ちをいつまでも持ち続けていたい。)

三席●ほほづきに ことだま秘めて草通信=月下村 
◎資◯久、喋△一、前=9点
(月:「草の根通信」の松下竜一さんを偲ぶ会が大分の中津で催された。竜一さんの大きな顔写真とともに祭壇にはたくさんの酸漿が飾られた。 資:浅草のほおずき市まだ行ったことはない。ことだまは言霊なのか,神秘的。 久:僕はほほづきを鳴らせずじまいだけど、幾人かが鳴らしてあたかもコミュニケーションをとっている様子を思い浮かべました。)

【入選】
●青檸檬一個嵐に負けぬしなやかさ=スライトリ・マッド
◎喋◯一△久、入、木=8点
(一:情景は印象的で素敵ですが、最後の言葉が僕のイメージと少し違っていたので◎にできませんでした。 喋:瀬戸内のレモン島を思い出しました。自宅庭だろうか? 久:青檸檬で5文字だけど、一個をつけることで一瞬覚醒です。 入:情景がはっきり見えるようで。)
●うつむきてまた顔あげる晩夏かな=一木
◎月、五◯資=8点
(月:暑さ厳しき折り、中年の悲哀が滲む、ガンバレ! 五:暑い暑い東京の丸ノ内を歩くサラリーマンの心情がよく出ている!間違ってたらごめん!暑いので、ついついうつむき加減になる。仕事がうまくいかず心の葛藤もあるのだろう。でも、もう秋の気配だ。頑張っていかなきゃ。そんな句なのかな?この作者は句に内面がある。花鳥風月も大切だが、このような句も大切にしたい。)
●しゃべりくる友の頭に赤とんぼ=資料官
◯久、木、△月、ス=6点
(資:夏も盛りを過ぎるとトンボの季節。喋り止まぬ友人の頭にうるさくないのか赤トンボが止まる。 月:それにも気が付かずに喋りまくる友。 五:しゃべくり君を思う友の気持ちがよーく伝わってくる!とりたいところだが、いい句がいっぱいでごめん! 久:シャベクリさんを思い出してしまいました。物怖じしない赤とんぼに脱帽。 )
●はちどりも 透けて陰さす 瑠香草=平百合
◯月、ス△一、喋=6点
(月:瑠香草って知らないけど、薄衣みたいな白い花かな?)
●宝満の 熱き大岩 はるか三郡=久郎兎
◎木◯平△湯=6点
(久:4、5回宝満山に登ったことがあるけど、山頂に立って次は三郡山に登ろうと誓うのだが、いまだ果たせず。 五:宝満の山頂は花崗岩におおわれている!夏は焼けて熱いだろうね!句会を宝満山頂でやりたいね!みんなにとって思い出の山だしね。 平:体験がものをいう )
●山懐 ヒグラシ澄みて 時空こえる=木笛
◎平◯資△前=6点
(平:そう、いろんな蝉の声が聞きたくなります 山の上で聞くヒグラシ、ああ、クヤシイ! 資:厭世的に鳴くミンミン蝉の声はなぜか心にしみる。カナカナと鳴くヒグラシは涼しさそのもの。ツクツク鳴く法師蝉は夏休みの終わりの寂しさ,焦りを思い出す。)
●炎天に 動かぬ私 花菱揺れ=入鈴
◯一、湯△資=5点
(一:動けぬ私 ではなく 動かぬ私 と、揺れる花菱の動きの対比がきれいです。 資:炎天下の畑仕事で熱中症にかかったお年寄りの辞世の句?今年は本当に暑かった。)
●君知るや てんとう虫の片想い=喋九厘
◯入、澄△平=5点
(平:そんな歌があったよね 入:なんともこのイヂましさが、胸を打つ。)
●蟋蟀(こほろぎ)の寺 杜の木も耳澄ます=月下村
◯五△一、久、ス=5点
(五:五七五を七五五にするテクニック!勉強になります。表現も素晴らしい!杜の木を擬人化するのか! 久:「コウロギの」で切るのか、「てらもりのきも」で7文字だろうか)
●秋陰の梢さわがし星ひとつ=一木
◯平、ス△五=5点
(五:素晴らしい表現力!秋風が梢には漂っているが、まだ晩夏!星一つがそれを物語っている。 平:台風が来そうな風の強い夜空の感じがいい)
●川床で友と味わう京の夏=澄響
◯政△五=3点
(五:暑い京都!とにかく、体温以上は当たり前!前にタクシーの運転手さんが、「今日も体温以上ですわー!」と言われたことを思い出す。そんな、京都の夏を川床で過ごすのか!風流!川床という言葉が気に入った!) 
●砂浜の光はじけむ秋桜=一木
◯五、△澄=3点
(五:夏の砂浜にもう秋桜が咲き始めている。砂浜のきらきらにも負けない秋桜の美しさ、新鮮さ!素晴らしい!)
●滔滔と 波打つ穂先 稲の花=木笛
◯入、△前=3点
(入:美容院へ向かう近道の、両側に続く垂穂の波に、偶然圧倒されたばかり。こんな風に詠めたら。)
●何用か愚息と台風入れ替わり=資料官
△月、喋、木=3点
(資:今年は何やらかんやらで既に4回も福岡に帰省した。親も今年はよう来るなあと一言ポツリ。親孝行か親不孝か。 月:いやいや、台風と違って何度来られてもいいもんです、子供等の帰省。)
●青空にひまわり畑くっきりと=澄響
◯喋=2点
●百日紅(さるすべり)ルームミラーの一隅(いちぐう)も=五六二三斎
△平、資=2点
(平:昔うちの庭にもあった百日紅、なつかしい)
●夏去りぬ ちゃんと咲くかな彼岸花=喋九厘
△平、湯=2点
(平:私も好きな彼岸花)
●水よりの使者 朝霧のいのちかな=月下村
△入、澄=2点
(入:かっこいい。ミーハーでごめん、意味はなんとなくしかわからないのだけど、朝霧を水の使者に見立てるなんて!!!)
●名月や 花も嵐も乗り越えて=喋九厘
◯澄=2点
●夜中道 不眠不休の 盆帰省=前鰤
◯湯=2点
●ことしはね つくつくほうし 鳴けないね=湯姫
△月=1点
(月:こう暑いとね、いい加減にしてほしいんで残暑。)
●空の巣も 緊張はしる 帰省前=平百合
△木=1点
(月:「空の巣」が分かんなかった。台風の事?空き巣ねらいの盗人?)
●ドニゼッティ聴いてる 間に詠み忘れ=政談
△入
(入:何を聴いていらしたのでしょう?西洋音楽と俳句は相容れないのかも。ランメルモールのルチアってドニゼッテイ?)
●母危篤夏の夜汽車で見し仏=五六二三斎
△久=1点
(久:幸にもまだ経験がないけど、仏様が現れるならありがたや)
●夕立に心のあかも流されて=澄響
△五=1点
(五:夕立が心の濁りを流してくれたのか!自分は夕立にうたれなきゃダメかな?)
●湯の玉に 踊りを習う 白玉ちゃん=入鈴
△喋=1点

A部門入選作=創刊号