*A部門入選作発表*

当季雑詠*全43投句(入選33句)

【特選】

一席
●若葉萌え世に戻されし命かな=前鰤


◎雪、君○夏、入、水、喋、メ△葱、久、白、香、ス=21点
(雪:この心境の凄み。言葉がありません。 君:良かった!! 夏:実感の句は説得力が違いますね。 水:よかったです。 葱:人間復活! 染卵でも飾りましょう。笑  久:歳を重ねるにつれ感じます。 白:前鰤さんですよね。その実感を大切に、そしてお大事に。 香:若葉の美しさは格別でしょう。まだ50代、間違えて落とすわけにいきません。 ス:私たちは「生かされている」ってこと、心に刻みたいです。)


二席
●幾千の薔薇や男も泣きまする=砂太


◎ス○葱、水、喋、五△久=12点
(ス:そうですか〜?! 葱:大物じゃないとなかなかこんな風には直接的に言い切れません。 水:大きな薔薇園で男泣き、ってちょっと滑稽な感じもするけど、、。 五:滑稽な句だが、おじさんのペーソスがある。 久:どう解釈したらいいか迷いますね。)


二席
●大空は水槽のやう目高飛ぶ=スライトリ・マッド


◎砂○雪、メ、五△葱、水、資=12点
(雪:ダイナミックな発想!めだかが効いてます。 五:空想的句。このような手法も面白い。 葱:意味としてなら「水槽のやうな大空〜」なんでしょうが、そこが俳句の面白いところで、この逆転の手法が大きなインパクトを与えてくれます。宗匠の言うところの「言い切る」こと、に通じるかな。 水:大空が水槽なら目高は飛んでいるんですかね。)


二席
●土破り空破り行く今年竹=君不去


◎夏、百○入、香△資、ス=12点
(夏:ぐんぐん伸びていく竹の姿!「空破り」の措辞が良い。 百:今年それを初めて目にしてしまったので。 ス:竹の勢いと真っ直ぐな感じが出てていいですね。)


二席
●面接はカフェの片すみアマリリス=夏海


◎資、五○二、ス△入、君=12点
(五:ストーリーのある句。二回カタカナのキライな点はあるものの、それを消す良さがありました。 ス:今コーラスのタンゴ曲「小さな喫茶店」で、「街の片隅路地の裏〜♪」とやってます。 葱:つつましい佳句ですが、やや景が小さくまとまりすぎの感じ。)


二席
●老人になれる幸せ桐の花=水音


◎入、喋○夏、資△雪、メ=12点
(夏:しみじみ共感します。)


【入選】

●芍薬の一篭深呼吸一つ=夏海
◎葱、水、白△二、澄=11点
(葱:深呼吸は「芍薬の吐息」と読みました。 水:爽やかさ、すがすがしさを感じます。 白:この句の断層は大きい。「芍薬の一篭」と「深呼吸」の間にはかなりの逆断層がある。しかし両方とも同じ存立平面にあることがこの句の良さかも。 澄:深〜い句ですね。)

●秘密基地ありし梢の椎若葉=五六二三斎
◎久○砂△夏、入、白=8点
(久:この句は女性が詠んだものかな?男性だったら秘密基地は草むらだからね。木の幹が空洞になってた太宰府天満宮を思い出します。 白:「秘密基地ありし」はとても新鮮。しかし後半の「梢の椎若葉」がひどく平凡に思える。もっと時を感じたい。)

●木漏れ日を拾ひて君の手を拝す=久郎兎
◎メ○澄、君=7点
(葱:モチーフはめっちゃ好きなんだけど、もう少し句調が整えばなあ〜、残念。)

●紫陽花の浅葱の萼を足して青=久郎兎
○白△葱、喋、澄、メ=6点
(白:色彩は物の中にあるのではなく光の中にあるものだとバークリーは語っている。カントも知覚表象として捕らえているようだ。たとえば他の動物には紫陽花は何色に見えているのだろう。 葱:混色のセオリー。)

●早苗田に筑後の鉄路一直線=久郎兎
○砂、二△澄=5点
(澄:目に見えるようです。 葱:この風景は写真にしたほうがいいかも。)

●花の気の色たちのぼる薔薇アーチ=夏海
◎二△百、メ=5点
(百:「花の気の色」がいい。 葱:薔薇園の風景でしょうか? 噎せ返る五月の昼日中。)

●花は葉に子等それぞれの進む道=君不去
◎香△水、百=5点
(香:葉桜ということで、ぴったり、言い得てると思いましたが、季語となるのかがわかりません。 葱:「花は葉に」の季節は「葉桜」と同じく初夏の季語です。 水:いろんな道があるのでしょうね。 百:「花は葉に」で時間を表し,季語にもなって,にくいです。)

●鳶の目に晒されておりデッキチェア=入鈴
○葱、百=4点
(葱:得体のしれない「不安」がうまく表現されていると思いました。 百:ユニークな発想。)

●寝姿の伸びのびと嬰夏に入る=砂太
○君△水、百=4点
(水:気持ちよさそう。 百:こういう時「嬰」どう読むんですか? 葱:「ちご」だと思うけど、確信なし。ん〜「やや」?)

●見つからぬ星や卯の花匂ふ道=五六二三斎
○ス△砂、白=4点
(ス:星に希望を託しておられる感じがしました。 白:8・4・5の区切りで読んでいる。でないと見つからぬ星を特定できないからだ。)

●ゆるゆると和白干潟に行々子=喋九厘
○久△資、香=4点
(久:季語がよくわかりませんが、ゆるゆる、行々、っていうのが干潟の雰囲気をよく表していると思います。和白は海水浴にも行きましたが当時は硝子の破片が落ちていて怪我をする人が多数いました。 葱:「行々子=葭切(三夏):大葭切と小葭切とあるが、ふつう見かけるのは前者。夏、湖沼や河畔の芦の茂る間に群棲し、「行々子」の異名の通り、やかましく鳴きたてる。)

●明日といふさみしき胞子ふたごもり=葱男
○百△喋=3点
(百:なぜかひっかかる違和感と共感。)

●アルバムをひき散らし居り五月闇=君不去
△二、喋、香=3点
(葱:どうしちゃんたんですか?)

●風死して思惟も体も量子化す=白髪鴨
◎澄=3点
(澄:御見事! 葱:ははは、それはスコッチの飲み過ぎでしょう。)

●境内に砂山二つ子供の日=雪絵
○香△五=3点
(五:境内の幼稚園? 葱:銀月台を作る子供だったらすごい。)

●つぶやきに誘はれ真赤な薔薇の午後=資料官
○澄△夏=3点
(澄:ルンルン気分ですね。 夏:ツイッターかな?)

●手土産のとらや羊羹夏ごろも=スライトリ・マッド
○雪△夏=3点
(雪:どんな夏向きのパッケージでしょうか。)

●とあえもあ津軽言葉や花林檎=喋九厘
○久△二=3点
(久:あなたと私、嬉しい季節が来た感じが伝わります。 葱:「とわえもわ」なら「君と僕」だけど??? それにしても宗匠を前にして津軽弁と「花林檎」を詠んだ勇気は讃えたい。 白:これも「あいらぶゆ」と同じ作者か? しかし最後の花林檎がわからない。津軽言葉の妙味を冒頭のフランス語ともっとうまく絡ませるべきだったと思う。残念ながら選外。)

●内定の知らせ団地の鯉のぼり=五六二三斎
△砂、雪、ス=3点
(ス:よかったですね?! 葱:今どきは大学入試の合格発表なんかよりよっぽど嬉しいんだろうなあ〜。)

●楠若葉東京タワーはまだ高し=資料官
△君、五=2点
(五:世代交代を感じさせる。)

●ちんまりと茶請けの友の大繍毬=メゴチ
○資=2点 

●ポケットにS&W幟立つ=スライトリ・マッド
○白=2点
(白:状況はいまひとつ見えないもののおかしみがある。S&Wってスミス&ウエッソン〈拳銃〉ですよね? 先日、松田優作の「蘇る金狼」を久しぶりに見てやっぱり優作は上手いと感心しました。)

●豆熟れて隣のお婆良く笑ふ=砂太
△久、君=2点
(久:家庭菜園でよく育ったのでしょう。最初、見間違えてしまって「豆煮えて」かなと思いました。。葱:俳諧味のある一句。)

●あいらぶゆ五月咲いたか晴れ青葉=喋九厘
△二=1点
(喋:自分の誕生月に乾杯!いよいよ58歳となりました! 白:出だしの「あいらぶゆ」は新鮮だったが、以降は単に情景をたたみかけているだけで面白みが半減してしまったので選外。)

●卯波裂き鯱の牙研ぐ相模灘=白髪鴨
△五=1点
(五:やや役者が多すぎるきらいあり。今回は好きな句がなかった。 葱:相模湾の波がそんなにすごいとは知りませんでした。)

●薫風や商店街は坂の上=水音
△雪=1点
(葱:山の手???)

●セーラーに夢のあとかた更衣=雪絵
△砂=1点

●金魚釣りじじの背(せな)より覗き込む=香久夜
△入=1点
(葱:「じじ」って旦那のこと? それではあんまりですね。>_<  やはり、昔から金魚釣の好きな、よく知らない昭和ヒトケタのお爺さんだったのでしょう。)

【無選】

●風薫る完売御礼のマスコット
(葱:主婦的な凡庸な視点かもしれませんが、主婦は主婦でも「可愛らしい主婦」の感じがして好感を持ちました。)


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