*A部門入選作発表*

当季雑詠*全52投句(入選36句)

【特選】

一席
●石鹸玉受胎告知といふおまけ=水音


◎葱、ス、二○夏△砂=12点
(葱:シャボン玉と「受胎告知」という厳めしい言葉の対照がほのぼのとした幸福感を醸し出していますね。 ス:虹色のシャボン玉におめでたい知らせが合ってますね。夏:思いがけない取り合わせで面白い!)


二席
●揚げひばり宙の秘密を知りたくて=夏海


◎雪、香○メ、二△砂=11点
(雪:素敵な発想ですね〜。)


二席
●菜の花のつきるとこまでペタル踏む=小夜女


◎男、砂○五△水、メ、前=11点
(男:爽やかでしょうね。 五:筑後川を思い出します。うまい。やられました。簡単なフレーズでも詩となりうる。 水:高校生の頃行った筑後川の土手を思い出しました。 葱:風景がよく見えて好きな句です。 入:菜の花が好きで、香りまで運んでくれます。)


二席
●石像のかばの欠伸や末の春=雪絵


◎前○夏、男、久△葱、二=11点
(夏:ユーモラス。どこかの動物園ゲートかな? 男:春ののんびり感。 久:暑くなってきて眠たいのかな? 葱:これまたほのぼのとした時間と場所ですね。)


【入選】

●砂だんご並べしままに春夕べ=雪絵
○葱、二、香、前△メ、小=10点
(葱:可愛い!)

●春の虹目鼻つくまで秘密です=水音
◎久○葱△夏、五、ス、雪、入=10点
(久:意味がもうひとつわからないけど、虹が紅なら、新色の口紅というところでしょうか。 葱:なんの「目鼻がつく」のか分からないところがよい。いろいろ想像させてくれる楽しい句です。 夏:どんな秘密かな? 五:何の秘密なのか?気になるところ。恋の秘密と考えるのが、順当なところか? ス:何かいいことありそう! 雪:おもしろい!永遠の秘密・・・。 入:何か楽しい。恋句ですか?)

●蚕豆の花なつかしきひとに逢ふ=葱男
○砂、資、君△五、ス=8点
(五:田中裕明の句を彷彿させる。 君:実感です。 ス:そら豆の花って目ん玉みたいな斑点があるんですよね?! 入:猫句の33とう〜ん、迷ったのですが、そらまめの花に出あったことがなく。)

●こののちは窯神まかせ花馬酔木=夏海
◎水△五、雪、資、君=7点
(水:窯神の気まぐれと有毒の馬酔木が響きあっているようです。 五:ストーリーのある一句です。漢字とかなの使い分けもいい。 雪:旨い!のひと言です。 入:窯の神さんと花馬酔木がぴったり。)

●豆腐屋の朝まだ早き昭和の日=葱男
○男、五、雪△香=7点
(男:昭和の響きと豆腐屋さんの勤勉さが…。 五:昭和の日をどう詠むか?豆腐屋はなかなかぴったし。 雪:豆腐屋と昭和、ピッタリ! 入:絶版になってしまいましたが、大分の豆腐屋の四季という短歌集を 思い出します。)

●木喰(もくじき)の仏の寺や木の芽燃ゆ=前鰤
◎メ○入△小、香=7点
(入:円空仏より木喰のほうが、木の芽に適うなあと。)

●君子蘭汝しづかなnonを云ふ=葱男
◎喋○ス△香=6点
(ス:静かな拒否って案外効きそうですねえ?! 入:格調高い花にぴったり。)

●窓一枚の宇宙いちまいの花ふぶき=水音
◎夏○喋△ス=6点
(夏:花吹雪に破調の句が似合う!ローカル線の車窓風景かも・・・と。  ス:破調ですが、なんだかインパクトあって・・ついつい。 葱:「窓一枚宇宙いちまい花ふぶき」でもよさそう。視点が面白い。 入:子規の俳句のよう。)

●顕なる地層の崖や花菫=砂太
○水、君△久=5点
(水:石川県にある恐竜の化石の出る露出した地層を思い起こしました。花菫がいいですね。 久:「顕なる」でイメージが広がります。 葱:可憐なる菫との対比の妙。)

●おとなしき犬の早足養花天=入鈴
◎五△喋、水=5点
(五:春らしさが感じられる佳句です。犬から元気をもらってるようにも感じられる。季語の養花天は、丘ふみ初句と思います。いい季語です。 水:曇った日は何故かハッキリしない、落ちつかな気分になりますが、犬もそうなのかと。 葱:面白い感覚。)

●返信はオランダからのチューリップ=資料官
○砂、雪△夏=5点
(雪:読めば読むほど心に響くものがありました。 夏:綺麗なチューリップの写真が添付されてたのでしょうね。 葱:本場ものですね!)

●アカペラのジャズは弱起で春逝けり=スライトリ・マッド
◎君△雪=4点
(君:ライブで聞きたい! 葱:「弱起」は造語?)

●去年の巣を燕尾正して小繕い=久郎兎
◎入△男=4点
(入:まめまめしくて、涙がでそうです。俳句はエコに通じますでしょう?燕尾で季語も兼ねちゃってますし。 男:さあ、今年も…。)

●潮風とレトロとろとろ昭和の日=喋九厘
◎小△資=4点
(資:この連休でさぞかし賑わったことでしょう。)

●にぎりめし一味添えるれんげ草=男剣士
○喋、前=4点
(入:おにぎりの白と広いれんげ色の対比も見えて。)

●接骨木(にわとこ)の花や話の尽きぬこと=入鈴
○水△資、小=4点
(水:小さな花が集まっているところや、甘い香りから話しの内容までわかるよう。)

●温む夜何事もなく出づる庭=ひら百合
○男、小=4点
(男:何事もなくが良かった。)

●白モクレン新撰組のごとく散り=小夜女
○久△葱、夏=4点
(久:バラバラに落ちるところがチャンバラのイメージですね。 葱:思いきった表現ですね。枯れて落ち白木蓮は咲いている時の乳白色の瑞々しさとのギャップが激しい、それを「骸」と表現した俳人もいましたね。 夏:「新撰組」、不思議に納得。)

●花冷や悲しき阿修羅透き通る=五六二三斎
◎資△メ=4点

●桃咲いて無人駅さへ華やげり=資料官
○小△君、前=4点
(葱:なかなか楽しい句ですね、好きな句です。)

●鮮らけし春筍衣脱ぎ捨てて=砂太
○メ△久=3点
(久:筍料理、いいですね。「鮮らけし」が読めなかったけど。)

●藤棚は覚えているよハーモニカ=五六二三斎
○ス△葱=3点
(葱:これも藤棚の下でどんないきさつがあったのか、ただ「ハーモニカ」というキーワードだけ表現して、あとは何も説明していないところに余白が生まれました。 ス:校庭に咲く藤の花でしょうか?! 入:藤棚にハーモニカって詩的です。)

●幹もまた青葉に染まる善き桜=久郎兎
○入△君=3点
(入:桜の幹って平らで素直ですから、桜は花も葉も紅葉もいうことなし。)

●メンデルの眼鏡閃く躑躅かな=五六二三斎
○資△喋=3点
(葱:メンデルは躑躅の実験で遺伝の法則を発見したのかな?)

●勿忘草チュロス頬張る洋子さん=スライトリ・マッド
△喋、久、入=3点
(久:上中下の句の繋がりがよくわかりませんが、洋子さんって誰ですか?入:不思議。哀切と豊かな広がり「チュロスと洋子さん」もあって。 葱:これはこの前テレビで見ましたが「南田洋子」さんのことですね。前詞があっても良いかと。)

●葦牙の碧に水面弛(たゆ)まざる=入鈴
○香=2点
(葱:「葦牙」とは葦の芽のことなんですね、古事記にも由来がある由緒正しい新芽だそうで・・・。)

●桜餅半透明の未来かな=雪絵
△砂、二=2点
(葱:好きな句です。 入:桜餅の透明感って子供の頃からの?でしたもん。)

●囀りや色えんぴつの五百色=夏海
△二=1点

●芝桜人の流れも名所なり=メゴチ
△前=1点

●たたみきし水木の花や羽化はじむ=香久夜
△水=1点
(水:「たたみきし」にちょっと引っかかるけど、羽化が面白いです。)

●猫歩くゆさりゆさりとこでまり花=君不去
△入=1点
(入:おおでまりにぴったりなララちゃんを差置いて、どこのこ? 葱:こでまり花:コデマリカ、と読むのでしょうか?塀ぞいによく咲いてる感じがありますね。)

●蛍烏賊青き光の川のごと=メゴチ
△男=1点
(男:映像でないのを見てみたい。)


【無選】

●海底に祭りの笛や安徳忌
(入:下関への挨拶句だと思いました。水底?)

●再検査耳に若葉の息使い
(葱:もうひとつ意味が読み取れませんが、中七、下五の措辞には惹かれるものがあります。)

●桜の葉いろはにほへど(色は匂えど)夢醒むる
(葱:括弧内は説明せずともよいのでは。)

●春風や虚子の披講の声高し
(葱:闘志いだきて丘に立つ、かあ!)

●練り切りの都忘れや恋の味
(葱:京和菓子で恋の味とは、テレビドラマに出て来そう。)


A部門入選作

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