*A部門入選作発表*
当季雑詠*全46投句(入選37句)
【特選】
一席
●山茶花や黄の蕊午後を点しけり=入鈴
◎里、木、百○月、砂、君△前、ス、香、二=19点
(百:薄暗い冬の日のあかり。 月:冬の陽に照らされて小さなランプが点る午後。 砂:山茶花〈の〉に変えてくれたらの条件付きで○、切れ字が二つになるので。 ス:静かできれい!)
二席
●息白したちまちにして空也なり=月下村
◎砂○前、里、五、ス、喋△二=14点
(五:空也忌という冬の季語があります。季語が息白しであることは明らか。何か、平安時代にタイムスリップしたような感じがしてよい。 ス:なんだかいい感じ! 資:秀作多く採れませんでしたが,吐く息が真っ白で空也上人の像の南無阿弥陀仏の様に見えたのでしょうか。)
三席
●凍雲や大地の歌の聞こへ来る=五六二三斎
◎水、澄○メ、資△二=11点
(水:雪の大地の風の音、木が凍って割れる音など壮大な光景を想像しました。 メ:凍雲がどんな雲かわからないけど、凄く寒そう。 資:動かぬ雲のもとマーラーのシンフォニーが聞こえてくる。)
【入選】
●小夜時雨止みだんだらの神楽坂=資料官
○五、水、君、百△月=9点
(五:東京のサラリーマン!忘年会でまだ飲んでるのかい?早く帰りなさい!それはこっちが言われるせりふ?よい句です。 水:美味しいお酒の帰り道? 百:段だらの坂という音が面白い。 月:ちょっとぬかるんでるけど、なかなか乙な風情の神楽坂。)
●ねんねこに潜りて重く添えし手や=君不去
◎前、香○喋△里=9点
(月:母の記憶には温度がある。)
●つるのこゑとほくにありてふゆのつき=月下村
◎メ○ス△里、砂、喋=8点
(メ:全部ひらがながいいですね。 ス:出水のツルは、いっぱい過ぎて、こういうワビ、サビの世界じゃなかったなぁ・・。 里:好きなイメージです。)
●老庭師一瞬まろびて春支度=君不去
◎月○前、資△入=8点
(月:職人は現場です。現場で倒れればそれが本望。 資:私もこの暮れは換気扇掃除,棚の上の荷物卸,ごみだし等々でなんどまほろんだことか。なんとなく一体感を。 入:まろびて春という転回が折角面白いのに、一瞬でバレちゃってる。)
●掻いて雪掻いてまた雪天仰ぐ=水音
◎資○百△ス=6点
(資:降っても降ってもまだ降り止まぬ。 百:果てしない今年の降雪。 ス:北の国に住む人の嘆息が聞こえてきます。)
●木枯らしや押されて老いの散歩道=木笛
○水△メ、資、喋、百=6点
(水:オバサンではなくオジサンだとなぜか様になる句。 メ:暖かい格好でお願いします。 資:日課になっていますと,少々木枯らしが吹きましょうが散歩に出たくなるものです。アゲインストの木枯らしは辛いが,フォローの木枯らしは心地が良いかもしれません。 百:風に押された経験は誰もありますよね。 月:転ばぬように注意して下さい。)
●千年を一睡で翔るか冬蛹=五里
○月、澄△香=5点
(月:千と一の対比、数字を上手く使えると俳句の世界が一歩拡がる。)
●バスを待つ−4℃の日の出かな=前鰤
◎喋○砂=5点
(喋:勝手に想像しました。12月の遅い夜明け。高千穂高校に向かう通学生が待つ日之影バス停に代行バスがやって来ます。冷え込んだ朝は吐く息も真っ白です。)
●母の背の丸くなりけり冬座敷=資料官
◎五△月、水=5点
(五:母の背はあまり冬座敷では見ないように思いましたが、正月を想像しましょう!正月の接待に精を出す母親!背が昔に比べて丸くなっている!そんな光景ならば◎! 月:小さくなって新聞を読んでる母の背中に抱きついて甘えた幼き日。)
●みぞれ降る集団下校に犬一匹=喋九厘
○入、香△二=5点
(入:まいっちゃう、動物モノに弱い私です。)
●大鳥居立ちて二月(ふたつき)山眠る=五六二三斎
◎ス△二=4点
(ス:冬の山に真っ赤な鳥居のコントラストが目に浮かびました。)
●寒紅の残りしカップや香気立つ=君不去
○香△前、資=4点
(資:厚化粧の芸者のワンカップ大関とは考えすぎか?もう少し夢を持とう。)
●ストーブを点けてまどろむ あと5分=前鰤
○木△入、メ=4点
(入:くがねも何も、あと5分にしかめやも。 メ:貴重な5分です。)
●主去りし庭一片の雪もなし=水音
◎入△君=4点
(入:ひとひらの雪が舞い降りても寂しそう。 月:よく働く家人なのでしょうね、女主人だろうか?)
●足跡も無き帰り道雪明り=水音
○木△澄=3点
(月:寒月の明るさと冷たさ、人気の少ない道、凍える体。)
●語りくる鈍色の空冬の月=スライトリ・マッド
○澄△砂=3点
●星冴ゆる対岸の灯の温さかな=木笛
○入△水=3点
(入:景が広大で、温度差も好いと思いました。)
●夢の夜は 懐かしほほに 雪ひらり=香久夜
◎久=3点
(月:その冷たさが心地良い時があるんだなあ〜。)
●我ひとり梵鐘数え冬を見る=喋九厘
◎君=3点
●風泣きぬ 息子早出の 星の下=久郎兎
△メ、百=2点
(メ:暗いし、寒いし、でも頑張ってください。 百:そう、冬の早出は星がまだ出てるものです。)
●自己愛のかなしからずや姫椿=月下村
△里、五=2点
(月:「姫椿」とは山茶花の別称です。 五:椿は2月の春の季語!合わないのですが、出来が素晴らしいので採りました。)
●白き島夜空に凍る噴火かな=スライトリ・マッド
△水、資=2点
(資:88年ぶり大雪の12月22日の桜島の光景でしょうか。夜噴火すると赤く見えるそうですが,幻想的な感じがします。)
●しんしんと団欒の燈に しんと雪=喋九厘
○里=2点
●光澄むルミナリエの夜涙溢れ=前鰤
△入、香=2点
●冬暮れの古寺に遊ぶや影法師=五里
△前、二=2点
(月:情景の美、日本の美。)
●墓碑銘に老若の女(ひと)年の暮=五六二三斎
△ス、君=2点
(ス:暮れに若くして逝ってしまった知人のKさんに重なるところがあって。)
●マナヅルやひとりぼっちの僕がいる=スライトリ・マッド
△五、砂=2点
(五:マナズルも一羽、僕もひとりぼっち?ツルに恩返ししてもらいたいのかな?)
●もくもくと 寒空一本 天支え=久郎兎
△喋、君=2点
●柚子の香に心の芯から癒されて=澄響
○メ=2点
(メ:ほんとに暖まるよねえ。)
●寒風や薄青滲まず雲二つ=入鈴
△澄=1点
●句作さえ空回りする師走かな=ひら百合
△澄=1点
●ニコライの銀杏落葉の坂すべる=資料官
△五=1点
(五:東京ラプソディーは私の十八番!お茶の水の風景が思い浮かぶ。)
●まだら雪あらためて見るユトリロと=ひら百合
△月=1点
(月:太陽の昇らぬ都会に愛をくれ!)
●ゆず湯にて今年の無念湯気の中=メゴチ
△百=1点
(同感。)
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