*A部門入選作発表*

当季雑詠*全38投句(入選28句)

【特選】
一席●赤き実を ひとつ残して 行く秋や=君不去 
◎月、澄、入○喋、一△資=14点
(君:家の周辺の景色のなかで 月:本源的な俳味を感じさせる句だと感心しました、まさしく俳句とはこれぞ! 入:寂寥を赤が救っているのか、はたまた強めているんでしょうかね? 一:わびのあるストレートな表現が気に入りました。 資:ナナカマドの実でしょうか。最後の一つ,肌寒さを感ずる。)

二席●一年を 朱玉に賭くる 柿たわわ=久郎兎 
◎喋◯月、平△木、前、ス、入=11点
(月:いい味出してるなあ。 平:柿の実に賭けたという発想、これはあの人しかいない 。 ス:朱玉に賭くるの意味がわかんないけど、なぜか惹かれ、えーい、これも賭だ。 入:特選は柿たわわに賭けるか、赤き実ひとつに賭けるかああ、、不謹慎?)

三席●花終り 摘む手に零る温き露=入鈴 
◎平◯喋、ス、資=9点
(平:霜の後、残った花を摘むのか、その惜しむ気持ちわかる。 ス:へえ、露って冷たくなくて温いのか。)

【入選】
●金木犀散りて甘色絨毯に=スライトリ・マッド
◎資◯月△五、一、久=8点
(資:風の翌朝,こんなところにも金木犀があったんだと見上げる。橙の絨毯,朝一番の 感動に同感。 月:胸一杯に甘酸っぱい優しさが溢れてくる感じ。 五:甘色という表現が素晴らしい!少し説明的ではあるが・・。 一:甘色の2文字が気に入りました。 久:踏みしめる頃には香りも消え果てているけど、優雅な気分にさせてくれるね。桜の花びらが散ったときも薄紅絨毯になる。)

●秋桜や電車の風とダンスする=スライトリ・マッド
◎前△月、澄、喋、君、久=8点
(前:何気ない風景が、楽しい。 月:揺れるほどにコスモスはコスモスらしいな。 久:電車の線路の敷石の端に咲くコスモスを思い出す。そこではジャズダンスくらいヘビーだったけど。 資:一面のコスモス畑よりは線路端のコスモスの群れが良い。ゆっくり走るローカル電車。甘木線あたりか。)

●ただ広き農家の座敷走り蕎麦=資料官
◎君◯入、一=7点
(君:薄暗くて静かだけど充実した空間を感じます 入:簡潔、空間と味覚の清清しいこと! 一:ただただ美味しそう。)

●秋雨の音ジャズともに摩天楼=五六二三斎
◎一◯澄△前=6点
(前:風流の世界に入らなければ味わえない感覚。 一:音と情景の重なり合いがうまいですね。あまり秋を感じさせない句だと思いますが、そこがまたいいね。)

●木漏れ日の ゆらいで語る 花野かな=木笛
◯五△澄、ス、入、資=6点
(五:花野は秋の季語。これが最後の花見のように感じられます。 ス:揺らぐを漢字にしなかったのは何故? 入:シャングリラとこういう日帰り旅できる日を、、、。 資:さわやな風と虫の声が聞こえてきそうな風情。時を忘れてただ一人)

●栗爆ぜる 蛇口の下で 凍える手=前鰤
◎ス◯一=5点
(前:急に寒くなって、顔を洗う水の冷たさを感じます。 ス:爆ぜる、凍えるの言葉がシャープで光る。 一:日常の中でおきた事故という非日常、そんな対比を冷静に見つめているような感じがします。)

●窓を開け金木犀に会釈かな=五六二三斎
◎木◯澄=5点

●逆光の夫(つま)を見送る 秋気かな=入鈴
◯前△月、資=4点
(前:映画の1シーンのような雰囲気を連想します。 月:夫を「つま」と呼ぶ感じがなんかジーンとしちゃって・・。)

●栗飯に ほのかな秋の 香り立つ=澄響
◯君△木、平=4点
(君:どうも食べ物系には無条件で惹かれてしまう! 平:食べものに弱い自分がつい一票入れてしまう。 資:田舎から送られてきた栗を剥いての栗ご飯だろうか。親の有難さを実感。)

●友ありて 語らひし宵 月夜なり=君不去
○資△平、前=4点
(君:とても楽しい話ができて 平:こういう友がいてほしい。 前:年相応の感じです。きっと酒付で、ほろ酔い気分。資:居酒屋から家路につく道すがら,ふと見上げると月夜。もうすぐ満月という頃かなあ。)

●なすべきを 胸にいつまで 枯れ葉道=平百合
◯ス、久=4点
(ス:うーん人生の哀愁が漂う。 久:自分自身のことを言われているようで、ドッキリもんです。体力がついてこなくて、勉強もままならない。人生って限りがあるんだよねえ。)

●名も知らぬ キノコ可愛いい 野辺地蔵=月下村
◯木△喋、一=4点
(一:何ともかわいい句なので選びました。作者がムサイおやじだったらどうしよう……。)

●六甲の 斜陽切り裂く 帰燕かな=一木
◎久△月=4点
(久:気になる句、登場。六甲連山に夕陽が紅くあたるとき、ふいにツバメが、というようなことでしょうか。5月のツバメの飛来の時はニュースになるけど、帰りは誰も知らんぷり。スキー場も一緒ですね。 月:六甲山系に、とても美しい映像が見えてきました。)

●秋や秋 金木犀の 香りたち=木笛
◯平△澄=3点
(平:やっぱり秋、秋だなあという感動。 資:金木犀の匂いに引かれて知らない町の居酒屋を徘徊しましたこの秋。)

●蜻蛉の 訪なう夜の 一人酒=一木
◎五=3点
(五:幻想的な感じですね。「おとなう」というのが「音なう」と書いて、訪れる古語のようです。)

●時雨しむ もみじ葉冴えて 燦々と=平百合
◯久△ス=3点
(久:11月に入ると、この風景が目にしみます。通り雨の後の太陽サンサン。ス:雨と紅葉のコントラストがきれい。)

●ススキ摘む 子に種子託す 猫じゃらし=久郎兎
○前△喋=3点
(前:昔を思い出すような・・・)

●秋寒し ススキ越しの 瀬の流れ=澄響
△木、久=2点
(久:滑らかに流れる渓谷の川のような風。まろやかであるのに実は冷たい。秋との別れを感じさせる句。)

●北国で初雪コンコン 二人旅=喋九厘
◯木=2点

●知らぬ床 月白敷きつ 古都濡らし(回文)=月下村
  ◯五=2点
(五:技巧的ですが、艶っぽく仕上がっていて、つい採りたくなります。)

●何やらむ 月明の夜に 地震う=君不去
◯入=2点
(君:気持ちの悪い揺れを感じて 入:こんなに直ぐに、天地のなせる業が句に放たれる!!)

●秋遠足 田舎のバスは 猛ラッシュ=前鰤
△入=1点
(前:本数の少ない田舎のバスは、遠足現地集合の高校生で満員でした。貸し切りバスといっしょじゃないか!! 入:いっなっかーのバッスはああおんぼろナントッカアって思わず歌が流れてくるようです。)

●川の音に 耳澄ましてや もずの声=木笛
△五=1点
(五:川ともずの組み合わせはどうかな?と思いましたが、そういう風景もありかなと思い、採りました。)

●サツマイモ じっくりホックリ落ち葉たき=喋九厘
△平=1点
(平:素直で、サツマイモがユーモラスな雰囲気)

●二夜晴れ とっくりと三日月歩む=入鈴
△五=1点
(五:この句はよく計算されています。まるで、天文学者の句という感じです。)

A部門入選作

創刊号 第二号 第三号