*A部門入選作発表*

当季雑詠*全33投句(入選32句)

【特選】
一席
03●一千の善き春終ひ恩師逝く=月下村

◎五、君、入、前○喋、資△ス、白=18点

(月:如月六日、原田千善先生逝去す。 五:作者がわかっている句、しかも、原田先生のご葬儀にて、私が朗詠した句!でも、この句は素晴らしい!終いが收いともとれる!原田先生への思いが伝わってきます。原田先生は今頃は天にて、葱部長の活躍に目をほそめられていることでしょう! 君:作者がわかっているので選びにくかったけれど・・ ス:合掌・・・ 入:挽歌と受け留め白梅の下、声に出して詠みました。 資:献句の大役ご苦労様。それだけでも採らせて欲しい。はやくも一月,四十九日は春爛漫か。)

二席
23●土の香や菜花の莟そっと噛む=入鈴

◎月、澄、喋○君△平=12点

(月:春は「えぐみ」を賞味する。 澄:なんか凄くリアルです。 平:そのほろ苦さが春。)

三席
05●鴬のさえずり夢に午後の縁=五六二三斎

○月、ス△久、君、喋、前=8点

(月:ターイム・スリップ! ス:いい夢だね。 久:鶯のさえずりは、ここ大阪では四月の中旬ごろが喧しいです。陽射しが強くなる梅の咲くころの情景と解釈しました。)

三席
18●制服の遊糸かなしき堕落論=月下村

◎二、白△君、入=8点

(月:陽炎=糸遊、遊糸、野馬、かぎろひ、とも。 入:鋏もてつべこべ言はずチョッキリな。)

三席
31●目醒むれば 霞彩碧空 また生きる=白髪鴨

○澄、入、前△月、平=8点

(澄:フムフム同感です。 入:こういう造語はセンスいいと思います。霞、主語で碧空を彩るそして私はというと、、、よくわかります。 月:ちょい山頭火が入ってるかも。 平:どう読むんでしょう。)


【入選】
04●凍蝶がひとひら舞いて息ひそむ=澄響
○ス、白、前△資=7点
(ス:冬の蝶っているんだね。モノクロのシーンのよう、静かできれいだ。 資:蝶の句が出れば,無条件に採ってしまう。いててふとは立羽蝶が羽を閉じてじっとしている地味な様と思っていた。ひらりと舞うと表の鮮やかさが目に付く,それが面白い。)

33●わけも無く根雪もゆるむ心地する=君不去
◎平○澄、資=7点
(平:そう、いくら寒くても冬至を過ぎればこっちのもの。 君:2月は不思議。寒さは厳しいけれど気持ちは春めいてきて。 澄:なんだかわかるその気持ちです。)

20●内裏雛ジャズの音くゆる昼下がり=スライトリ・マッド
○久、五△二、資=6点
(久:お雛様とジャズの取り合わせ、煙ではなく「音がくゆる」とした所は気だるい午後にピッタリ。 五:内裏雛とジャズのとりあわせ、さらに、くゆるという言葉がよい!)

28●春時雨出会いの橋の別れかな=五六二三斎
○月、ス△二、白=6点
(月:出会ったと思ったらもうお別れなの?そんな殺生な、もう少し付き合ってよぉう! ス:ヒトは出会った瞬間からいつか来る別れに向かっているんだよね。)

07●縁台の薄き日陰に下萌ゆる=五六二三斎
◎資△月=4点
(資:日差しは春,その暖かさがほんのりと伝わってきました。 月:ちさきものへの温かき視線。)

11●妓王忌や屈託もなく若き声=君不去
○白△二=3点
(君:その昔行った覚えのある妓王寺、昔の風情残ってるかな?)

12●ギュッキュッと 轍追い追い 雪明かり=久郎兎
○入△喋=3点
(入:雪の中を進むことが、生きることと重なってくるいいお句だなあと。)

21●立ち止まる芝生の中にクロッカス=平百合
◎久=3点
(久:何でもなさそうな句なのに、実体験があるからか、これを◎としました。「立ち止まる」のが我か、それともひょっとしたらクロッカスか。)

25●西へ向かふ特急さくらになごり雪=資料官
○平△二=3点
(平:特急さくら追悼。)

02●一輪の寒菊りんと語りくる=澄響
△久、五=2点
(久:一、寒、凛・・・厳しさを語りかけてくるようです。1月中頃まで路地のコスモスが寒そうに咲いているのを重ねて思い出しました。 五:輪とりんがいいし、語りくるが佳!)

06●梅散るも 桃見憶えず 年度末=久郎兎
○平=2点
(平:お察しします。)

08●かじかみて特急あさかぜ手振れなり=資料官
△君、平=2点
(君:きっとあのお二人! 平:あさかぜ追悼。)

09●滑走路如月の淡き霧の遮断=入鈴
△月、二=2点
(月:「滑走路」から続く字余りの八・六が混迷の現代を鋭く反映す。)

10●消え行きて名を残したり寒桜=喋九厘
△五、澄=2点
(五:名を残したりが佳! 澄:私は名も無く消え行きたいな〜。)

13●豪雪の名残りしろしや道の端=前鰤
○君=2点
(君:「しろし」は しろしか〜〜のしろし? 白しのしろし?私はしろしか〜〜派。)

15●佐保姫のつむじ曲ぐらむ化粧やめ=君不去
△ス、喋=2点
(君:季節の移ろいに一喜一憂。 ス:面白い句だなあと。)

24●苦味こそ旨さ倍増フキノトウ=喋九厘
△久、澄=2点
(久:フキノトウの味は知らないけれど、苦さの分かる年齢になったんだねえ。 澄:そう苦味こそ人生の隠し味ですね。)

29●春近したたずむ空に霞む星=平百合
△久、澄=2点
(久:暖かくなって空中の水蒸気が多くなってくる頃の句だろうか。それとも、花粉症 で涙が。 澄:私も空を見上げるの大好きです。)

30●ふらここのまだ揺れており空焼ける=月下村
△ス、入=2点
(ス:ぶらんこのまだ揺れてる余韻がいい。 入:えこひいき、ふらここという言葉に弱いのです。暮れるまでふらここしたものですよね。)

14●香を聴く 早春深更 無残かな=白髪鴨
△二=1点

16●徐行して眼凝らせどかたきつぼみたち=平百合
△二=1点

17●知らせなく 花その姿 落つ椿=久郎兎
△白=1点

19●そら豆の引力叛き空を見る=スライトリ・マッド
△前=1点

22●地下鉄の昔は春の城南線=入鈴
△資=1点
(資:鉄道句も採りがち。城南線がなくなって早くも30年。城東橋,薬院大通,南薬院,古小烏,練塀町,六本松,草香江,鳥飼,西新。城東橋の大牟田線との平面交差が懐かしい。大牟田線はすべて徐行して,ガッタガタガタガッタンを繰り返して通過してた。)

26●春霞漁船眠りし凪いだ海=スライトリ・マッド
△前=1点

27●春寒や特急さくら何処走る=資料官
△入=1点
(入:桜印の相変わらずと思っていたのが、有終へ向かふ時が来たんですね。)

32●柚子ジャムの香りに心も満たされて=澄響
△喋=1点




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