*A部門入選作発表*

当季雑詠*全36投句(入選29句)

【特選】
一席
02●雨止みて水仙の息聞こえたり=五六二三斎


◎月、平、久、ス、資◯里△白、澄、君=20点
(月:水仙は彼岸花科で根に毒を持つらしいが、品の良い馥郁とした香気が立つ。水の仙人とはそんなお人かもしれませんえ。 平:水仙も好きな花、息というのはその香りとみた。 久:なぜかこの句に惹かれるのだが、読めば読むほど分からなくなる。息は雫の音なのか。野生の水仙を見ようと思う。 ス:目をつぶると、自然の息づかいや花の香りまで伝わりそう。 資:白と黄色の組み合わせは何か口をあけて息をしているようにも見えます。でも,この場面は夜、静かな庭でのひと時でしょうか。 里:情景を想像し、期待を感じます。 白:水仙のどのような息が聞こえたのか気になります。ため息、吐息、でなければいいのですが……。 澄:水仙の息づかい私も聞きたいです。)

二席
15●白梅や 絵馬の願いのたわわなり=資料官


◯五、前、白、君、ス、二△入=13点
(五:絵馬の願いにこめられた人々の願望をたわわと表現したところが佳。白川先生みたいな句評になってきたね。 白:あたりまえの句だと思うのですが、なぜか印象に残ってしまいました。最後の「たわわなり」が効いているのでしょうか……。 君:たわわの願いが叶いますように・・。 ス:神様もたくさん頼まれ大変そう!実はうちも頼んだ口で・・。 入:梅の花盛りと相俟って、願い事が叶いそう。)

三席
13●山茶花に小雪ちらつく初デート=澄響


◎前◯君、喋、二=9点
(前:その昔を思い出しました。 君:ん?思い出?目にして?それとも見栄張ってる?)


【入選】
28●もの言わず暖簾くぐりし 寒さかな=資料官
◎五、君△入、ス=8点
(五:うつむきてまた顔あげる晩夏かな(一木)と同じ作者と思います。男は黙ってサッ ポロビールというコマーシャルがありましたね。寡黙な男には、ロマンと哀愁が漂っている。作者の誤りがある場合には、お許しを!まさか、丘女の句やったら、どないしょう! 君:もの言わず が効いてる。 入:こういう暖簾のくぐりかたって、おばさんにはできそうにない。 ス:男の世界だあ。)

21●初暦掛けし一日清々し=君不去
◯澄、里△白、二、資=7点
(君:新年を迎え真新しいカレンダーに掛け替えて。 澄:新しい年を迎えるって気持ちいいですよね。 里:新年の始めに思う気持ちはハレの日ならでしょう。 白:これも目立った句だとは思わなかったのですが、しっとりとした印象が良かったのだと思います。)

34●宵ちかく をんな/を纏う雪になる=月下村
◯五、喋、資△二=7点
(五:いい!雪女を連想しているのでしょう!しかし、それだけではないように思います。この路線は、部長の句かな? 資:/の意味が分からなかったが・・・・。女に纏わり付く雪?)

09●寒風に 夕陽の色 雲に飛び=五里
○久、白△君、喋=6点
(久:天空は寒いけれど、雲に写った夕陽は、暖かそう。 白:どこかで聞いたような句?、ああ、作者も分かってしまった。でも、雲に飛ぶ光の情景は鮮烈でいいですね。)

27●丸々と肥ゆるは童か紅梅か=白髪鴨
◎入、喋=6点
(入:咲き綻びようとしている白梅もそうなんです。)

05●オディロンの その青のごと淑気立つ=月下村
○平、二△ス=5点
(月:オディロン・ルドン=1840年ボルドー生まれ。 平:恥ずかしながらその語彙理解できず、調べました結果、納得。イリリンの句か? ス:オディロンって?優美な青ね。見たいわあ!)

36●猟奇なる 現世清めよ 天の雪=五里
◎澄◯前=5点
(澄:ホントに真っ白に清めて欲しいよね。 前:洗い流すのは雨、清めるのは雪?)

04●枝桜 堅く眠るも 芽出し張り=久郎兎
◯資△平、喋=4点
(資:桜の木の最後の一葉は新芽に押出されるように落ちていく。日の光を浴びて膨らんでいくのがよく分かります。あと二ヶ月ですね。 平:同感、最近実感。)

07●合掌して木管と化す冬の虫=月下村
○久△前、白=4点
(久:虫が頭とお尻をくっつけて身を折りたたむ=合掌、枯れ葉を捲いて枝のよう=木管、または枝に穴をあけて眠るので中空になっている枝=木管。いいですね。 白:ちょっとシュールな情景が気に入りました。)

22●春が来る美容師になり保母になり=入鈴
◎二△久=4点
(久:希望を抱いてその仕事に臨む人たちに乾杯。イメージしやすい職業を出したのは良いと思う。)

35●栗鼠駆けて 跡残したる 雪の朝=平百合
◯入△君、ス=4点
(入:蒔絵の文箱に欲しい景です。 ス:一面の銀世界、盛岡で見た風景が懐かしい。野生のカモシカもいた。)

01●熱燗や 三十年がしみ渡り=資料官
△月、五、澄=3点
(月:ちょっと甘口の酒にしたい。 五:熱燗に三十年やられた胃壁に、男の哀愁が漂い、共感を呼びます。 澄:30年短いような長いような〜。)

09●出窓拭き 陽射し更増し 小ぬくもり=久郎兎
○平△前=3点
(平:なるほど、分かる感じ。そうとらえたことなかった。)

24●一人立つ風わたりゆく冬川原=君不去
◯入△前=3点
(君:冷気の中の冬枯れの景色に心惹かれて。 入:偉い!身を挺してお句を作ってる。)

26●冬映えの遺影の友のまなざしや=入鈴
△月、喋、資=3点
(月:冬映えは、来し方の「思ひ出スクリーン」だ。 資:まさにそのとおり。合掌。)

31●雪女はきし吐息やべに赤し=君不去
◯ス△五=3点
(ス:怖いけど見たいってやつ。 五:またしても、雪女句を採ることに。色っぽいし、べに赤しの下五が決まってる!)

03●凍てつくも オレンジ暖か 北斗星=喋九厘
△月、資=2点
(月:チュンサンってあったかいのね。)

10●樟並木枝打ちされて寒々と=スライトリ・マッド
△五、久=2点
(五:かごんまから届いた句と思うたとでごわす。鹿児島商工は、今では樟南高校に名前を変更しましたね。そのあたりから、作者を掴みました。かごんまでも、枝打ちは必要 なんだね。さあて、予測が当たりか?楽しみ! 久:落ち葉対策で、早々とつんつるてんにされる並木を、僕も晩秋に詠みたかった。)

11●朽ちし幹数輪だけの冬の梅=五六二三斎
△平、久=2点
(平:古木の風情を感じる。 久:老木に咲く、数こそ少ないけれども、初々しいその花は美しい。)

12●黒々と 凍てつく空に オリオン座=五里
◯澄=2点
(澄:オリオン座ってなんか気になりますよね。)

29●八つ手花ユーモラスなり葉も愉快=スライトリ・マッド
◯月=2点
(月:愉快!愉快!作者の童心とともに遊ぶ。)

30●やぶつばきメジロつつけどがっしりとし=スライトリ・マッド
○月=2点
(月:「やぶつばき」をあえて漢字にしないところで、絵本的なるファンタジーの世界が実現した。)

16●人生のマークシートや悴む手=五六二三斎
△二=1点

20●浪速津に雲形変わる春の風=白髪鴨
△二=1点

23●ひたすらに歩みて迎ゆる春の暮れ=白髪鴨
△澄=1点
(澄:ほんと人生駆け抜けてます。)

33●雪も舞い 津軽海峡 夢景色=喋九厘
△入=1点
(入:えこひいき。ブルドーザーでドカドカ雪を投げ捨てられる陸奥湾への労わり。 資:連絡船もなくなり,まさに夢の景色。時間は早くなったけどトンネルはつまらん。何も見えず,居眠りタイム。)

A部門入選作

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