*A部門入選作発表*

当季雑詠*全38投句(入選29句)

【特選】
一席
●枯れ葉踏む セピアの音に佇めり=月下村


◎五、平◯前、資△澄、ス=12点
(五:セピアの色と言うと、つまらない句になるのでしょうが、音にしたところが、すごい!文句なしの◎!あー、また誰かが特選一席か(泣)! 平:「セピアの音」ってのが新鮮。ついウエッブで調べたけど、枯葉の音とは繋がってなかった。 ス:枯れ葉を踏んで歩くの好き。 資:セピアの音がいい。見上げると枯葉の先に青い空かなあ。)

二席
●絵筆など小春日和に調べをり=入鈴


◎木◯五、一、君△月=10点
(五:どのお方の句か?これが、部長の句でないと、面白いのですが? 一:職人の休日かな? でも、ほっこりした間合いがいいですね。まろやかさを買いました。月:昔の職人の造った筆は良かった。そう言うと、いや、狸をはじめ、動物自体の毛の質が落ちていると現代の匠は言う。)

三席
●薄墨の時雨のそこにくぐもりぬ=君不去


○月、五、入△一、久、平=9点
(月:「そこ」とは「其処」だろうか?それとも「底」だろうか?ふたつの情景を重ねてもまた、雨情である。 五:薄墨を使ったことで、山水画の世界になってますね!やはり、冬はモノクロでしょうか? 一:本当は色彩感のある句の方が好きなんですが、今の私の気分にマッチしていたので選んだものです。昔のATG映画の1シーンを思い出しました。 入:それはどういう心境なのでしょう。こっそり教えて下さい。 平:これと同じ感覚、デジャブ。)

【入選】
●雨伝ふ 枯れ葉木っ端の 虫の家=久郎兎
◎喋◯ス△入、前、君=8点
(入:ちょっとなさけないはずの情景が、ユーモラスに。 ス:万物への暖かい眼差しが感じられて。)

●風聴きて 窓を開くれば 月は凛=一木
◯澄、ス、資△久、喋=8点
(ス:月を見るとなんだかほっとします。 資:家に向かう道すがらの月しか知らない私。窓を開けて月を見るそのひと時がいいですね。結構遅い時間?)

●桜葉や 紅先き果てて 終う秋=久郎兎
◎一◯喋、平△資=8点
(一:ちょっとうますぎますね。だから本当は△にしたかったけど、シロートだからやはり◎なんです。句の情景自体は何と言うこともないし、情感もあまり感じない。もしも自分の年のことを歌っていたとしたら、むしろ私の嫌いな句の部類に入るのですが……。でも言葉使いのうまさが◎です。 平:下の句どう読むのかなあ、しまう?)

●暖冬にジャケット抱えペダル踏む=平百合
◎前◯入△木、五、=7点
(入:どうということない日常の有様なのに、句にするとはつらつとなる。 五:男の句であることは、間違いない。自転車通勤している者は誰か?これも、部長だったりして。無ちょうほうな選者?)

●道の端の 銀輪追いゆく 朽葉かな=一木
◎君◯月、前=7点
(君:風を感じて、好きです 月:作者が見ているものは、きっと我が来し方の道、行く末の道だろう。 ス:葉っぱのフレディもおじいさんになったのね、でもまだ元気そう。)

●目を細む鳥と吾との小春日や=入鈴
◎久◯木、△平、五=7点
(五:目を細めている鳥と私!何とも言えないかわいい句ですね! 平:鳥も目を細めてるのか。)

●吹き上げる 頂清か 峰の秋=木笛
◎月、ス=6点
(月:自然に触れる、そして、自然と一体化する。自然と繋がっている事を肌身で感じれば人は優しくなれるものだ。 ス:すがすがしい感じの一句。)

●縁台も朽ちて 行秋過ごしけり=五六二三斎
◯木、君△前=5点

●走り来た 人生の秋 あと八年=前鰤
◎澄△月=4点
(月:今、中3の子供が大学を卒業するまではお父さん、頑張らなくっちゃ。60からの人生、きっと素晴らしいよ。)

●畦道に白き妖精 霜柱=喋九厘
◯久△澄=3点

●北風に 朽ちるとも薔薇 深き紅=久郎兎
△ス、君、一=3点
(ス:わがままで孤独なバラのプライドか。  一:これも◎候補の一つでした。「桜葉〜」の句よりも情景、作者のまなざしを感じます。しかも2ヶ所の体言止めが緊張感を高めています。ほんのわずかの天秤の傾きで◎○△に分けるしかないので仕方ないですね。)

●木の葉髪 しとどに濡れた憂国忌=月下村
◎入=3点
(入:三島の割腹から、35年の月日がたったことをこういう捉え方できちゃうんだもんなあ!)

●新札に かなしうつくし ひとつの葉=月下村
◎資=3点
(月:樋口一葉は25年の生涯を生きた。 資:新五千円札は薄い悲しい色をしていると思う。おりしも11月23日は一葉忌,一葉の2倍以上も生きてしまった私。)

●つわの花すっくと伸ばす強き意志=君不去
◯喋△ス=3点
(君:庭の一隅に咲く姿に。 ス:私もつわの花を見て同じような思いを・・)

●冬の朝目に飛び込みし光る海=スライトリ・マッド
△月、一、資=3点
(月:感受性は青春の頃のまんま。 一:「吹き上げる〜」という句との比較で、海好きの私としては「山よりも海」でした。夕日と違って朝日というのはあまり表情がないものです。でも、晴れた冬の海に出て行くとき、そのまぶしさは夏のそれとは違った鮮烈さを持っています。最後の句を「光る海」ではなく「海光る」と倒置させれば、私の感官にもっとぴったり来るんですが……。 資:どこの海?あまり寒くはなさそう。)

●雨上がり 土の香懐かし 落ち葉道=前鰤
◯平=2点
(平:土の香は、いつも懐かしい。)

●思はずにわれを忘れし残り菊=君不去
△久、資=2点
(君:「しのだづま考」の名場面に寄せて。 資:よく見ている。盛りの菊しか目を向けなかった私。)

●かげろうの 透き羽にかすむ 霧雨か=一木
△前、喋=2点

●風吹いてほのかに揺れる実紫=澄響
○久=2点

●白き湯気 赤く変わりし松葉カニ=資料官
△木、澄=2点

●友集(つど)う たゆとう心 みのりの時=平百合
◯澄=2点

●冬入りを 忘れたるかな 青き空=五六二三斎
△入、平=2点
(入:おーい、そんなに暢気してていんかいって、空に呼びかけたりしたら、変なおばさんか? 平:暖かい11月でした。)

●リュック背負い 秋の彩り 踏みゆけり=木笛
△五、君=2点
(五:リュックしょいと詠むのでしょう?踏みゆけりとしたことで、元気百倍の感じが出てます!)

●林檎むく刃もと流る果肉まぶし=入鈴
△一、喋=2点
(一:果肉を、まぶしい白(?)の流れと見るシーニュが気に入ったのです。本当はこちらを◎にしたかったのですが……。)

●郁子葛(うべかずら)姿なけれど鳥の声=スライトリ・マッド
△入=1点
(入:ムベの実は鳥の好物なんでしょうね。)

●神農の社にもうすぐ秋祭り=澄響
△木=1点

A部門入選作

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