*A部門入選作発表*

当季雑詠*全36投句(入選27句)

【特選】
一席
●老犬に蚊取り線香そっと置き=木笛


◎澄、前、喋△月、里、資、久=13点
(前:「思い」は見えないが「思いやり」は見える。 月:ちょい、上手いのが憎くももあり、好きでもあり、嫌いでもある。 久:うちも犬を飼っているので、人のやさしさを感じます。)


二席
●旅を終え一日(ひとひ)を終えて沙羅の花=月下村


◎資○木、五、君△入、ス、喋=12点
(資:お釈迦様の横で開いたという白い沙羅双樹の花を見たことはないが,良い句のような気がした。何の旅だったの? 五:人は誰も旅に出て振り返る。間に合いましたか?沙羅の花に! ス:最後に花にたどり着くってのが、ハッピィエンドっぽくていい。)


三席
●夏の陽や放物線の水に跳ね=スライトリ・マッド


◎メ○前、五、君△木=10点
(メ:情景が目に浮かびます。 前:フィルムのコマーシャルの風景か。 五:夏の噴水の風景をうまく捉えている。)



【入選】

●紫陽花の我も遊べリ玉しずく=木笛
◎久○澄、資△前=8点
(久:紫陽花の花びらが雨粒をリレーして葉に送っているのを、雨傘をさし、子供がそのルートを変え遊んでいる様子かな? 資:「あ」だから紫陽花の歌が続くのも当然。全部採らなかったが皆秀作と思った。)

●初めての時計草、母と二人で=澄響
◎月、木△入、君=8点
(月:一番好きなのは「、」を使った事。自由律を受け入れる、自然な愛と意志を感じる。 君:面白いリズム。読点を使っている意図教えて!)

●蚊の聲の俄に遠し夜立かな=月下村
◎五○入△久、君=7点
(五:夏の風物の蚊をうまく捉えている。暑くて夜中にも蚊の聲が聞こえてくるのか?日本の夏って感じでよいです。 久:寝苦しい夏の夜から少し解放されたけど、蚊が。)

●校庭の蝦蟇どっかりと白線上=入鈴
○月、二、喋△君=7点
(月:「我、関せず」ってところがいい。 資:今回は難しい漢字が苦手な私は蝦蟇・蝌蚪・驟雨とかに悩まされた。いったいなんのこっちゃ?同じ作者やったら怒るで。石灰の上にヒキガエル『両生類』。化学反応おこさんの?)

●あぢさゐの碧悦びて薄暮かな=入鈴
◎ス○資△五=6点
(ス:きれい! 資:紫陽花と詠まぬ頑なさが心に残った。 五:夕暮れは夏の季語でしょうが、薄暮は違いますね。あぢさゐの碧をめでている間にあっという間に夕暮れがやってきたんでしょうね。)

●海の幸百年の夏迎へけり=五六二三斎
◎二○ス△月=6点
(ス:石橋美術館の青木繁かな?彼の”海の幸”いいですね! 月:百年の夏が、何かありそうで、何もなかったりして。)

●夾竹桃安アパートの母子かな=五六二三斎
◎君○月△ス=6点
(君:ドラマがありそうでとても好きです。 月:夾竹桃には悪いけど、そんな感じする。 ス:夾竹桃には毒があるとか・・ユニークなストーリーが膨らむ感じ。)

●恋すれば守宮(ヤモリ)も愛し夜の窓=スライトリ・マッド
○前、久△木、入=6点
(久:昔の家の窓を思い出させます。四角い窓に2匹のヤモリが向かい合う構図。)

●せせらぎの音ひんやりの午睡かな=五六二三斎
○澄、ス△前、メ=6点
(ス:山の中バッカスの神に抱かれ眠るイメージ、五感をくすぐられる感じでいいです。 メ:涼しいところで昼寝したい。)

●風鈴の遠い調べや水仕事=木笛
◎里△澄、久、資=6点
(里:音の情景が浮かびますね。 久:夏の町家の風景を感じさせます。くみ上げ井戸か。 資:お昼時素麺をゆがいて昼支度と想像した。)

●驟雨消ゆ 遅れし不意の 樹下しぐれ=久郎兎
○里、喋=4点

●ベランダにあふるる緑や暮らしひとつ=君不去
◎入△澄=4点

●羅(うすもの)や弱冷房車目で追ひつ=入鈴
○里△前=3点
(里:...夏の風物ですが、最近は驚かされますね。 前:強冷房車もあっていいと思う。 資:クールビズなんていうが,冷房車は結構薄着には辛いかも。特に雨の日は。)

●廃リフト待合室の五月蠅=五里
△月、木、二=3点
(月:作者がどうしてその現場にいるのかが、知りたい。)

●路の草 割れアスファルト 向かう夏=久郎兎
△二、里、喋=3点
(里:生命力には驚かされます。)

●峰越えしオオムラサキや風と舞い=五里
○木△資=3点
(資:蝶の句にはすぐ反応。すぐ採ってしまう。でも風に舞うのはアサギマダラではないだろうかと想像するがオオムラサキもこういう飛び方するのだね。「飛翔ゆるやかなりアサギマダラ,飛翔敏速なりオオムラサキ」。)

●紫陽花に晴れま似合わぬ池の亀=喋九厘
○久=2点
(久:太陽の強い光を感じさせます。亀は似合ってますヨ。 資:亀の甲羅干しかぁ。紫陽花の花は晴れ間も良いがしっとり雨の風情が良い。)

●風薫る皇居半周回り道=資料官
○メ=2点
(メ:ゆったり歩きたいものです。)

●眠れずに白みゆく空 熱帯夜=前鰤
△五、メ=2点
(五:夏の朝は早い!明るくなってくると、なおさら焦って眠れなくなってくる。そんな暑い夏が今年もやってくるのか? メ:ここんとこ続いてます。)

●花菖蒲鯉がジャンプし静まりぬ=喋九厘
○メ=2点
(メ:静かな雰囲気がいいです。)

●七変化せぬはあの日の雨ばかり=月下村
△五、ス=2点
(五:季語がないようですが、七変化という言葉と今年の空梅雨をうまく詠んでいて採りました。 ス:なんか、よおわからんとですけど、気になる句。 月:七変化=紫陽花でした。)

●ロンドンの重たき恋や梅雨晴れ間=スライトリ・マッド
△里、喋=2点
(ス:先日映画館で”CLOSER”「2005」を見ました。 )

●アボカドの色ぞ悩まし初鰹=君不去
△澄=1点

●真夏日のハーフ終了生ビール=前鰤
△メ=1点
(メ:ゴルフ後のビールは格別おいしい!)

A部門入選作

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