*A部門入選作発表*

当季雑詠*全38投句(入選30句)

【特選】
一席
14●これやこの風に乗れかし巣立ち鳥=君不去


◎久、平○澄、里、入△資=13点
(久:この句で、2箇所のインパクト。「これやこれ」詠み手のはやる気持ちがよく伝わってきます。こんな表現が出来るのは達人では?「かし」この言葉の使い方ができるのはやはり達人では?この言葉の正確な意味はわからないけど、「関西方言で、しよし=しなさい」だと思うので、そのようかもと考えます。 平:いかにも頼りなげな様子。それを見守る様子。 澄:何かにチャレンジしてる姿っ応援したくなります。 入:「此やこの」に何がなんでもこの風を制御して欲しいと願いが籠っているようで。 資:こころ優しい人の作。)


二席
01●遇い見てし路地のすみれの愛しさや=スライトリ・マッド


○月、メ、資△久、澄、二=9点
(月:菫の花咲くころ、はじめて君を知りぬ♪ メ:ひっそり感がいいです。 資:たまたまひっそりと咲くスミレを見いだした喜び。 久:偶然に見つけた路地のスミレに抱く思い、わかります。どんな困難な場所に咲いてもスミレはスミレ。強く生きよと勇気づけられる句です。 澄:すみれ大好きなので。。。)


三席
06●オフィーリア浮かぶ水面に風信子=月下村


◎二○五、ス=7点
(五:これも、外来語を取り入れて、ハイカラな感じに仕上がってます。 ス:「水の中のオフィーリア」だな!透明感があっていいね。)

三席
11●くれ霞む津軽の海や鳥ふれぬ=入鈴


○久△里、ス、喋、資、二=7点
(久:海と空が接する情景、でも霞みがかかって、混ざるという感じを受けさせま す。 ス:きれいだわん。 資:桜前線も渡ってもた。)


【入選】

08●ガリレオや地球は動く春日の出=スライトリ・マッド
◎澄△五、里、二=6点
(澄:そう季節も地球も激しく移り変わりつつあるのです。 五:これも、外来語を取入れて、新鮮でした。ガリレオと地球は動くはつき過ぎか?)

10●草餅を含むて匂う里の原=五里
◎君○喋△澄=6点
( 里:今春の土筆採りにて。 君:どうして食べ物系にこんなに弱いんだろう!含むて? 含みて? 澄:草餅の香りなつかしいな〜。)

21●散る花に 「来年またね」と誓う母=前鰤
◎月△久、澄、入=6点
(前:いつまで春を迎えられるのか、来年も元気でいて欲しいと思います。 月:俳句として詠むにふさわしい、うるはしき心情ですね。 久:桜は来年も必ず咲くと確信があのに、という思いが伝わります。どうぞお元気でと心でつぶやく詠み手の気持ち。 澄:自分の母とだぶります。 入:すばらしい花にまた会えることを祈って採りました。)

33●水ぬるみタンポポながめて釣り初め=澄響
◎前△メ、入、平=6点
(前:のんびりした風景、羨ましい。 メ:へら鮒釣りでしょうか? 入:えこひいき。この一投が堪らないってゆーじゃなーっい。すみれたんぽぽ甘くなり、水温むで季重なり、勝手に連用形斬りー。 平:川釣りに幼いころよくついて行ってました。)


35●山櫻妖怪宿る季(とき)来たり=五六二三斎
◎ス○資△月=6点
(ス:おどろおどろしい感じがして好き。 月:桜の花の満開の下、花弁の淡いピンクは薄められた妖怪の血の色でしょうか。 資:山桜の花と茶色の葉の組み合わせは,怪しげな風情をかもし出す。なんとなく良い。)

13●こぶしかな 木蓮かもと 散歩道=メゴチ
○久、平△君=5点
(久:植物の見分けは難しい。そう思いながら季節が進んで行くのかなあ、と。 平:そうそう、それが毎年。)

23●半木(なからぎ)は二河白道の紅枝垂れ=月下村
○喋、二△五=5点
(五:京都の雰囲気が醸し出されています。間違いでしたら、失礼!)

25●花疲れ都電の窓にうたた寝ぞ=資料官
○前△君、ス、平=5点
(ス:ははあ、わかるわかる・・でも私は絶対電車では寝ないぞ! 平:夢中で花に浮かれてしまうんでしょう。)

37●山吹の命果てても雲起こる=喋九厘
◎五△入、資=5点
(五:山吹が枯れるころには、夏が近づくのか?うまいです! 入:オーバーやんって迷いましたが、作者の思いを捨てきれず。 資:良く分らないが鮮明な黄色が目に浮かぶ。)

02●アダージョに舟をこぎだすめかりどき=平百合
○月、五=4点
(月:最近、楽しそうにしてる若いカップルを見かけるとなんだか優しい気持ちになるのが自分でも不思議。目だけじゃなく、ついでに体も借りたいと思う今日このごろ。 五:意味はよくわからないけど、ハイカラな感じがして、新鮮でした。)

07●朧月恋の宴は今宵より=五六二三斎
○澄△前、喋=4点
(澄:なんかいいですね。がんばってね。)

09●求愛のせつなく今宵も鳴く蛙=平百合
○前△久、喋=4点
(前:あの鳴き声は求愛だったのか・・・。 久:せつないですが、これも定めか。昔、池から上がって道路を横切ろうとした蛙の集団を車でひいたことがあります。ぶちっぶちっという音が今も耳についています。)

12●君子蘭体得の筆みぎひだり=月下村
○ス△五、里=4点
(ス:面白い、君子蘭の葉っぱってそんな感じ! 五:君子蘭を写生しているのか?筆を右に左に持ち替えて書いているのか?このよう写生の句はたまに登場しますね!どなたの句かな?)

29●春木市色と香りの満ちてをり=スライトリ・マッド
◎資△平=4点
(資:市の賑わいと鮮やかさが伝わってくる。大手町のJAビル横でも月に1回あり。 平:植木市ってのがなつかしい。)

30●冷えし夜の 雨に付き合う 花のひら=久郎兎
○入△君、前=4点
(入:(雨に散る花ひらの夜の始まりぬ)って以前作ったことあるので、えこひいきしちゃいます。)

32●待ちかねし命湧きけり蛙の子=君不去
◎メ△前=4点
(メ:久しく見てません。)

05●幼子に可笑しがられる運賃箱=五里
○君△月=3点
(里:20年前の記憶です。 月:萌黄の季節には子供の屈託のない笑顔が赦せるなあ、普段ならうるさいなあって思う場面でも。)

15●桜咲き 想ひ出開く 七七日=メゴチ
◎喋=3点
(メ:2月に亡くなった父の四十九日の法要で、父を偲んで詠んでみました。)

17●自転車の四、五台影ろふ遠き橋=入鈴
○平△二=3点
(平:陽炎(かげろう)様な、「影ろふ」が新鮮。)

31●古草やともに眺めし花一つ=君不去
◎入=3点
(入:寒い地方の四月の刹那さに共感。)

16●桜散り残る思いが澱なるか=五里
○君=2点
(里:25歳の友人に。)

24●花散るや錦織なす神田川=資料官
○メ=2点
(メ:情景が浮かびます。)

27●母の背にうたた寝坊や 土筆採り=前鰤
△メ、ス=2点
(メ:前にだっこじゃできない。 ス:のどかでほほえましい光景。)

20●千羽鶴定子の思い春は行く=五六二三斎 △二=1点

22●つつじ摘み 蜜吸い鳴らす 帰り道=久郎兎
△月=1点
  (月:歩道沿いに綺麗な矩形に裁断された満天花を見ると「躑躅」=「髑髏」に思えてちょっと嫌な感じがするのは僕だけか?)

26●花冷えに今朝もつましいチューリップ=平百合
△メ=1点
(メ:黄色を希望します。)



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