*A部門入選作発表*

当季雑詠*全47投句(入選42句)

【特選】

一席
●細き枝に細き雨降る雛納め=君不去


◎葱、夏、資○二△五、水、百、香=15点
(葱:「細き」のリフレインと「雛納め」のはかなさに痺れました。 夏:「雛納め」はどこか寂しい。その寂しさが良く出ていると思います。 資:細くなりける母のおつとめかな。 五:綺麗です。寂しさが漂うのは、細さ所以か? 百:ちょっと寒い雨。)


二席
●ガジュマルの洞は神の座つばくらめ=夏海


◎水、君○葱、砂、雪、香=14点
(君:”神の座”で決まりました 葱:神話的な美しい句ですね。親指姫の「つばくらめ」を想像しました。燕は誰かの使者とも思えます。 雪:そんな気がします。実際に見たことないですが。)


三席
●おまえさんなんてささやいてみる弥生=君不去


◎砂、白○葱、水、百△メ=13点
(白:日常を少し変えたくなる春…ですか。艶のある機微が感じられます。「旧式なる告白…」という句とどちらを◎にするか迷った句です。若いころに感じた春の爆発的な感情の膨張は、いまはもうなくなっています。それが大人というものならそれはそれで寂しいものです。 葱:弥生だけが漢字なのが思わせぶりで具合がよい。「弥生ちゃん」なんかな、な〜〜んて。 百:「春雨じゃぬれてゆこう」なんて。 入:柔らかくて弥生にぴったし。 メ:呼び名を変えるだけで新鮮になる。)


三席
●春爛漫家にリボンの巻かれをり=スライトリ・マッド


◎入、二○喋、メ△葱、雪、久=13点
(葱:一言、「おめでとう!」と言いたい。 メ:情景がわきにくいけどいい感じ。 雪:戸建ての家ならでは! 久:欧米ではよくあるようです。)


【入選】

●春みぞれ土一点に弾かるる=君不去
◎五、ス○砂△前、二、白=11点
(五:正統派の俳句。中七下五が素晴らしい。 ス:不意の霙の激しさがよく表されているようで。 白:土一点という表現が効いてると思います。ただ情景を詠んでいるだけのような句ですが、自然のリズムが感じられて好感もてます。)

●掬はるる命の群るる白魚鉢=砂太
◎雪、前○資△水、メ=10点
(雪:「命の群るる」とは、旨い表現ですね。)

●掌に受けし〈時〉のかけらよ桜満つ=夏海
◎メ、香○入=8点
(メ:毎年毎年ありがたいことです。)

●芽柳を透かして高層ビルの街=雪絵
○五△百、澄、資、香、ス、久=8点
(五:綺麗な句。綺麗なだけでなく、寂しさが何故か漂う。 百:まだ新芽だから透けて見える。 澄:都会にも春ですね。 ス:おもしろい視点ですね?! 久:自然のいいところだけ切り取った都会称賛の風景。粋ではあるが。)

●花散るや城(ぐすく)の眠る海の底=夏海
○雪、資△澄、香、二=7点
(雪:沖縄の海でしょうか。 資:今帰仁の寒緋桜のことでしょうか? 葱:この「ぐすく」という沖縄言葉には無条件で強く惹かれるものがあります。ましてや「海の底」だどなおさらに。)

●宝満の山桜溶け一合目=喋九厘
◎久○入△五、砂=7点
(久:上から見ると桜のドーナツかも知れん。 五:桜は、4月に詠んでもらいたいが、山桜だからいいでしょう。山桜溶けがいい。)

●春泥や墓石の隅根の豊か=香久夜
○百、メ、久=6点
(百:なんか桜の木の下の死体に共通する。 久:春泥柔らか⇔墓石固いの対比がいいです。死と生の対比も。)

●辛夷にもシャンデリアどき入日太し=入鈴
◎百△君、白=5点
(百:「辛夷」を詠みたかった。 白:確かに春の夕日は次第に大きくなっているように見えます。遠景と近景の対比がよかったと思います。)

●囀やドリトル先生いる処=水音
○五△葱、入、雪=5点
(五:ドリトル先生のことを思い出して、ついつい。オウムの囀り?  葱:あんまり内容は考えないほうがよい句かもしれません。何故か楽しくなります。 雪:昔、映画で見たドリトル先生のことかな?!)

●サムライにコノハナサクヤヒメのキス=葱男
◎澄△夏、ス=5点
(澄:なんとも素敵です! 夏:洒脱な句。桜の姫神もサムライの帰国を大歓迎! ス:おもしろいです。)

●其々ノ窓ノ温度ノ春ノ風=水音
◎喋○ス=5点
(ス:明治の詩人みたい!)

●あたたかし人は水辺に集まれり=スライトリ・マッド
○澄△葱、久=4点
(澄:水ぬるむ春ですね。 葱:ほっとします。動物は水辺に仲間と集ひ、安心するのです。 久:「あたたかき」だったらシュールで◎にしようと思ったけど、季語が怪しくなるかなあ、水辺に集まるでなんとか季語としたいところ。)

●雨なれど今宵はしだれざくらかな=資料官
○君△水、澄=4点
(君:つぶやき風の何気なさに惹かれて。)

●陰雪や海馬の底になくした日=葱男
○白、久=4点
(白:海馬とはおそらくhippocampus。セイウチともタツノオトシゴとも違いますよね。今の私の心境に共感するものがあったので選びました。 久:陰雪は日陰の雪かな?忘れたと言うこと?)

●鳥雲に恩師の奏づハーモニカ=雪絵
○水△五、喋=4点
(五:なつかしい句に仕上がっています。 葱:小澤昭一を思い出しました。ノスタルジーのある美しい俳句ですね。 入:ごつごつしているけど、惹かれます。)

●竈門社のぼけ平凡と花みくじ=喋九厘
○前△君=3点
(喋:竈門神社の花みくじ あなたの花は ぼけです。花ことば 平凡 中 吉50円。)

●十三は裕明の街弥生尽=五六二三斎
○ス△入=3点
(ス:ジュウソウという地名は、亡き父から昔聞いたことあって懐かしい響きがしました。)

●デフラグをしたき関係春の波=水音
○君△入=3点
(葱:「デフラグ」を調べました。IT関連の語でなかなか意味深ですね!)

●豚骨とさそりのスープ涅槃西風=スライトリ・マッド
○喋△二=3点
(葱:面白い!! 面白すぎてコメントできず。)

●指先で奏でる音色雪柳=五六二三斎
○二△資=3点

●旧式なる告白すべし春休み=葱男
○白=2点
(白:「おまえさん…」の句と、どちらを◎にするか迷った句です。旧式なる告白とはどんな告白なんでしょうか…。手紙? 和歌? それとも三行半か…。でも春休みなんですからきっといい告白なんでしょうね。)

●古雛とともに米寿を祝いけり=資料官
△夏、喋=2点
(夏:ほのぼのとした優しさのある句ですね。)

●西行忌西海の渦立ち上がる=五六二三斎
○夏=2点
(夏:渦「立ち上がる」がダイナミック。)

●雪柳(せつりゅう)と咲き競うなり桜花=香久夜
○澄=2点
(澄:どちらもきれいです!)

●デイケアのバス来たるらし白木蓮=資料官
△メ、ス=2点
(ス:作者の温かい気持ちが、ふっくらした白木蓮と合わさっていい感じ。 葱:現代を映した佳い句です。)

●咽過ぎてよりの白魚安堵かな=砂太
○前=2点
(葱:実感のある句です。時期ですね!)

●春分けん苦き風ほろ土筆ん子=喋九厘
○香=2点

●ブルトレの離合の汽笛雪消なる=久郎兎
△砂、君=2点
(資:あの悲しげなピーという音は残るが,離合ということがぴんと来ない。しかも,雪消ではないの?)

●雪遥か高山の山車橋渡る=久郎兎
○夏=2点
(夏:春の高山祭の華やかさ!)

●飯蛸や餌につられて船の上=メゴチ
△前=1点

●宴するミモザの園に旅人のごと=入鈴
△砂=1点
(入:大伴旅人)

●君の行く淡墨樹々に花楓=ひら百合
△資=1点

●桜えび花見なりしや天日干し=メゴチ
△喋=1点

●春雷や字幕ビデオのおくりびと=メゴチ
△雪=1点

●惜縁と壁に残して十余春=ひら百合
△前=1点

●天気図に桜前線加わりぬ=雪絵
△夏=1点
(夏:桜の季節、日本中がワクワクと。)

●花待ちて今日か明日かと通う道=前鰤
△百=1点
(百:毎日見上げてます。)

●痩せてはおれぬとばかりに春陽入る=入鈴 △白=1点
(白:「辛夷にも…」と同じ作者の句でしょうか…。こちらは入日が主人公になっていますが、作者の前向きな姿勢を感じました。)


【無選】

●枝先の霞みに霞む鶸萌黄
(葱:感性のいい写生句だと思いました。中七の「霞」のダブりがやや雑な気もするかな? 惜しい。)


A部門入選作

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