*A部門入選作発表*

当季雑詠*全51投句(入選41句)

【特選】

一席
●阿蘇牛のピアスに風と女郎花=夏海


◎葱、喋○里、水、香、二△メ、砂、入、資=18点
(葱:牛の鑑札をピアスにみたてたところが新鮮!女郎花と阿蘇の牛との取り合わせもいいなと思いました。女性の句だと思うけど・・・どう? 水:秋の阿蘇に立ちたい! ス:たしかにあれもピアスだ!面白い取り合わせと思いました。 香:すがすがしくていい情景。 メ:牛のピアスって似合ってるよね。 入:牛さんピアスが効いている。 資:雄大な阿蘇の風景をうまく捕らえていると思います。)


二席
●炭焼きの破れ屋根から鰯雲=五里


◎男、メ○喋、ス、木△香、二、百=15点
(男:落ち着いた風情を感じます。 メ:目に浮かぶ情景です。 ス:トンネルの先とか穴から見える風景好きです! 百:いわしの炭焼きを連想、食欲の秋です。)


三席
●三日月や時速幾千粁の笑み=スライトリ・マッド


◎白、二、前○砂△喋、夏、澄=14点
(白:時速幾千粁の笑み? 百万ボルトの瞳…?。でもいいですねえ〜、月は笑っているんだ。 夏:そうですね! 葱:月が地球を回っている速度は何千キロもあるんだってね!びっくり。)



【入選】

●寂しさのこんぺていしよん石榴食う=葱男
◎砂○里、白、君、二△ス=12点
(白:意味が分からないようでやっぱり分かる…私自身、石榴なんて何十年と食べたことないのでどんな味だったか分かりませんが、きっと苦味の多い石榴なんでしょう。 ス:露人ワシコフは叫び、キミはザクロを食べた!)

●呑むもよし夜ごとに月の量(かさ)ふえて=葱男
○喋、夏、五、入、前△白、君=12点
(夏:秋の酒は美味しそう!月の量とともに酒の量も増えて? 五:男らしい句ですね!侍を感じる!む、剣士さんの句? 入:月の楽しみ方をこういう風に詠めるとは! 白:「量ふえて」の結び方が気に入りました。筆者は単なる酒飲みではなさそう…。〔葱:残念ながら単なる酒飲みでした。〕 資:うむ。夜毎にわが身も量ふえて、つらい。)

●悲しこと嬉しこと褪せ彼岸花=五六二三斎
◎百○君、夏、香△水、木=11点
(百:忘れさせてくれる。 夏:”記憶”の褪色と色褪せた花、視点が面白い。 香:私も彼岸花を詠みたかった。 水:彼岸花には人生の決算をしてるって趣がある。 葱:「嬉しこと」が後に来たのが成功してますね。 ちょっとリズムに頼ってる感じがするのが残念。 ス:かなしいことは忘れた方がいいけど、いい思い出は色鮮やかに覚えていたいなあ。)

●秋暁や路面電車の曲がる音=資料官
◎夏、水○砂△葱、里、木=11点
(夏:単に路面電車ではなく「曲がる音」なのが印象的。早朝の空気感、町の情景まで詠み込まれていて見事!! 水:乾いた固めの音に季節を感じます。 葱:懐かしき昭和の音が聞こえてきました。 入:日常性の寂しさとか、もっとはっきりしたほうが。)

●日替わりの景色に驚く秋の空=五里
◎木、澄○白、メ△男=11点
(白:ストレートな感想をストレートな表現で、ちょっとだけシュート回転させたような感じかな〜。印象に残りました。 メ:変わりやすいのは女心と・・・。 男:ホントに秋は毎日変わります。)

●秋茜非天の目にて空(くふ)を見る=白髪鴨
○メ、資、前△君=7点
(メ:「空(くふ)を見る」というのがいいですね。 君:「非天の目」どんな目のこと?わからないけど惹かれました。 葱:天に非ず、か・・・「非天」が伝わりませんでした。)

●己が葉と出合うことなし曼珠沙華=水音
◎五、香△澄=7点
(五:新しい感覚なのか?類句ありなのか?わからないけど採りました! 香:洒落た発想ですね。 葱:そう言えば不思議やなあ、葉っぱはいずこ?)

●まなうらに夜汽車の灯りすすき原=スライトリ・マッド
◎入○二△里、喋=7点
(入:夜汽車とすすき原がつき過ぎ。なぜか様式美。)

●揺り戻し揺り戻されて思草=五六二三斎
◎ス○百△夏、資=7点
(ス:芒の間にひっそり咲く野草に思いを重ね、揺れている心象風景に共感! 百:ナンバンギセル、勉強しました。 夏:詠み手の揺れる思いと揺れる草が呼応して。 資:思い草に惹かれました。 入:ナンバンギセルの実物は揺れなさそう。むしろ妖しさを思う。迷ひ選。)

●熊ヶ畑宙へ曼陀羅彼岸花=喋九厘
◎君○資△夏=6点
(君:地名がもっといいと、もっといいのに・・・。 資:廃線の熊ヶ畑,あぜ道の曼珠沙華を曼荼羅と見る妙。 夏:「曼荼羅」、なるほど。)

●廃線に光と陰の彼岸花=喋九厘
○五、男△香、二=6点
(五:彼岸花の光と陰、わかります。 男:ひっそりと咲く彼岸花の趣が・・・。 葱:これは写真に切り取りたいような風景です! 資:熊ヶ畑と同じ作者であろうが、あっちの方が良い。)

●老老の秋風の庭蜘蛛の糸=香久夜
◎里△水、メ=5点
(水:庭や家のたたずまいまで見えるような句。 メ:「老老の」というのが気になって。 葱:これは「ろうろう」と読んでいいのですか?「おいおい」?)

●暑さ終え玉砂利の音藍の花=香久夜
◎資△葱=4点
(資:玉砂利の音が響く風情にうっとり。 葱:藍の花ってまだ本物見たことないけど、きっと涼し気な色なんだろうな、と。 入:玉砂利と藍の花の取り合わせ。終わる?)

●摘みたての間引き菜青き朝餉かな=君不去
△水、入、香、二=4点
(水:色の対比が鮮明に見える句ですね。 入:摘みたて、間引き菜、青、新鮮さがくっきり。)

●夕暮れの琵琶湖を渡る山の影=五里
○澄△入、百=4点
(百:影が湖を渡るというのは見てみたい。 資:叡山か比良の山影が琵琶湖を渡る。三井寺の鐘が聞こえるのでしょうか。行って見たいところです。 入:きれい。)

●秋の灯や昔挑みし長編と=君不去
△葱、五、前=3点
(葱:「死霊」(埴谷雄高)=身は善し、身は高し、に首ったけ! 五:長編小説は何だろう? 入:しみじみとして。迷ひ選。)

●朝寒や空に群呼ぶ鳥の声=入鈴
○木△澄=3点

●古書の市夢二いちまい秋の色=葱男
○水△白=3点
(水:古びた夢二の絵は秋の光に映える。 白:夢二ってところがあんまり簡便すぎるような気がしましたが、ニュアンスは伝わってくるので選びました。 資:ごめん、採らなかったが、神田神保町の古本屋の先に飾ってあるような。ところで,文京区弥生に夢二記念館があります。同窓会前に行って見ては如何?)

●たむろする若者を背の良夜かな=五六二三斎
○入△ス=3点
(入:どこかの社会を切り取ったようで。 ス:昔若かったころお月さんなんか見えてなかったな・・。)

●秋の朝筆の運びのするすると=水音
○ス=2点
(ス:気持ちのいい朝は仕事がはかどりそう!)

●コスモスの白花多し合唱団=入鈴
○澄=2点
(葱:白いコスモスのような清楚な美人が多い合唱団だったのでしょうか?)

●苦味ある零余子(むかご)なつかし祖父祖母と=木陰
○百=2点

●初秋やざわわざわわの風を踏む=資料官
△喋、砂=2点

●まんじゅしゃげ田畑に人の気を引いて=男剣士
△二、前=2点

●黙々と黙々とひとり秋の朝=ひら百合
○男=2点
(男:何となく秋の静けさを感じます。 葱:これは嫁さんも子供もまだ寝ている早朝にひとり朝飯を食べてるのか?それとも単身赴任?)

●秋茱萸(ぐみ)や見上げる丘に透きとおる=入鈴
△資=1点 

●秋の朝ハラを上にす金魚かな=男剣士
△白=1点
(白:寒さとはかなさがありますねー。 葱:写生句ですからいいのでしょうが、一応「金魚」は夏の季語です。)

●うつむきて恥らうような秋海棠(しゅうかいどう)=木陰
△メ=1点
(メ:秋海棠の写真を見てなるほどと感じました。)

●ガラス越し風に乱れる萩を見し=木陰
△男=1点
(男:吹かれても吹かれても秋を保つ心意気。)

●この一輪ネットで分かつ曼珠沙華=ひら百合
△前=1点
(入:さぞかしあでやかな一輪だったことでしょう。)

●澄む空へ紙風船つく一人秋=君不去
△男=1点
(男:一人旅の田舎ですか? 入:紙風船と一人が意外でいいのですが、秋?)

●月赤く爛れて見ゆる颶風近し=白髪鴨
△君=1点

●撫子のピンクと赤をカンバスに=メゴチ
△里=1点

●彼岸花棚田なぞりて彼岸花=喋九厘
△ス=1点
(ス:彼岸花のリフレインが段々の田んぼに合っていて。)

●福岡をひょいと素通り敬老日=資料官
△砂=1点
(葱:福岡が故郷の人だけに、地域限定句ですね! 入:ご両親のこととか本当は後ろ髪を引かれて。)

●豊作や黄金の海に散居有り(富山県福光にて)=前鰤
△百=1点
(百:散居 も私には新しい語彙。)

●前籠の銀の風受く芒かな=水音
△木1点
(葱:自転車に芒を積んで帰ってるところでしょうか?「前籠に風受く銀の〜」じゃ、普通すぎる? 入:自転車ということがはっきりすれば。)

●油彩画の歩きし舗道秋晴るる=スライトリ・マッド
△五=1点
(五:言い方が面白い!油彩画の中の話? 葱:「油彩画が歩く」という表現がイメージできませんでした。)


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