*A部門入選作発表*


当季雑詠*全52投句(入選36句)

【特選】

一席
●正座して広き座敷の雛の客=資料官


◎木、前、メ○澄、砂、水、ア△ス=18点
(澄:かわいいお雛様目に浮かびます。 水:旧家の冷え冷えとしたお座敷と立派なお雛様でしょうか。 ス:広いお座敷のある家に私も住みたいな。 メ:娘が嫁いで寂しくなった雛祭りかな? ア:可愛いお客様たちに、にぎやかに白酒ふるまうひな祭り ですね。)


二席
●子らの手の泥人形もひな祭り=水音


◎入○里、前、男△木、五、砂、君、資、百、香=16点
(入:今の子達もそうなら、ひな祭りにふさわしい遊びをしているんですね。 男:雛祭りを楽しむ無邪気な子どもに、洗濯物が増えるともいえない母親の優しさ。 五:綺麗な雛人形だけでなく泥を表現してひな祭りを演出したのには参った!綺麗なもの、醜いものも大切だということを教えられた。 香:うちはひな祭りから、しばらく遠ざかってるから懐かしい。 百:かわいい。 月:食べちゃいそうで怖い。)


三席
●ゆくうりと雲の影往く菜の花野=夏海


◎喋、水、君、百△里、ス=14点
(水:これぞ絵に描いたようなのどかな春ですね。 君:こんな時間と空間の流れ大好き! 百:「ゆくうりと」がいい。影を見てるというのが、堤防の上からの菜の花畑を思わせる。 ス:「ゆくうりと」聞いたことないですが何かピッタリ!)



【入選】

●五線譜の波や引鴨符をしるし=入鈴
◎夏、香○二、女△砂、メ=12点
(夏:「五線譜」→波、「符」→引鴨、絶妙で素晴らしい。参りました!! メ:よくわからないけどいい感じなので・・・。 香:楽譜にたとえたところがおもしろい。)

●就活という濃紺の昼下がり=入鈴
◎二○木、君、女△夏、百=11点
(夏:この時期らしい大学の風景画が見える。 百:「看護婦になり美容師になる」というのを思い出した。)

●春雨や筆を洗ふてひとしきり=月下村
◎男○君、ス△木、五、水=10点
(男:春雨の柔らかさと筆先の柔らかさで、春のホッとした感じ出てます。 五:筆の洗う水と春雨の水の対比!春雨の音と静かな作業の音の対比もよい。 水:作者が分かっているので面白くないんだけど好き。 ス:一仕事終えた後の安堵感が伝わって。)

●春の月森のてっぺん小人舞ふ=五六二三斎
◎里、ス○月△水、二=10点
(月:絵本のような世界が広がっている。小人とは森の妖精=ニングルのようなものだろうけど、スギ花粉みたいなチョイ悪キャラもあるかもね。 水:なんとなく怪しげな感じがいい。 ス:ファンタスティック!)

●三椏(みつまた)と答ふる母や車椅子=水音
○砂△月、木、喋、入、夏、資、メ=9点
(月:僕らの世代は今ちょうど、親の介護に真正面から向き合わなければいけない時期。ガンバ! 入:三椏は日本文化に欠かせない木だけど、案外その花って知りません。知恵 者の後に続かなくては。 夏:お母様への思いが伝わってくる。)

●咲き初めの桜名も無き山を呼ぶ=スライトリ・マッド
◎月○入△五、喋、前=8点
(月:いいなあ、こうして山を愛でる。名も無きもの、ひそやかに其処に在るものに対する、作者の深い愛を感じます。 入:山桜には名のないものが多いでしょう、山もセットになっていてこの気持ちよくわかる。 五:今まで注目していなかった山も桜が咲くとついつい目がいってしまう。)

●春女苑八分音符の雨に濡れ=スライトリ・マッド
◎五、砂△月、二=8点
(五:八分音符の雨という表現が春の雨の嬉しさを表現していて佳句!春女苑と八分音符の韻もよし! 月:ユーミンの歌が聞こえる。)

●踏みしだく剪定の青香りして=木笛
○夏、資、百△里、香=8点
(夏:剪定された枝の香りがしてくる。 百:春は香りの季節でしょう。 香:きれいなことばで、落ち着いた雰囲気が伝わります。)

●君が来て春が綺麗とうつらつら=喋九厘
○木、前、メ△君=7点
(メ:うつらつらが気に入りました。)

●春暁や出雲最後の橋渡る=資料官
◎女○夏△水、香=7点
(資註:寝台特急出雲。 夏:列車のある風景がくっきりと絵になる。 水:春は旅情を掻き立てられます。 香:出雲に1票。)

●耳遠き犬とたんぽぽ道行くや=木笛
○澄、入、男△月=7点
(澄:ほのぼのですね。 入:中の句の{犬とたんぽぽ}にやられました。タンポポタンポポのリズムで、散歩しているのかな。 老齢の犬を優しく労る気持ちと春の優しさが。 月:老犬とお散歩、うららの陽気に犬もなんとか元気そう。)

●笑み弾け袴の娘らの往き過ぎぬ=夏海
◎ア△里、前、女=6点
(ア:卒業の声がうれしくて、つい振り返る華やかさですね。)

●音もなく雪解のように夜の尿(しと)=月下村
○五、ス△入=5点
(五:ものがなしい雰囲気を醸し出している。春の愁いを詠んでいるのか? 入:春寒の夜の美しい生存現象。 ス:オシッコを堂々と詠っている点がすごい。でもきれい!)

●己がじし苦きのありて春野草=木笛
△喋、入、夏、百=4点
(入:甘いのが冬野菜、というのが不思議です。 夏:春の野草の苦味、好きです! 百:苦い季節でもあります。)

●月宮殿 梅にかさなる 宴の香=香久夜
◎澄△資=4点
(香註:月宮殿=梅園にあった白梅。同、娘の結婚式で、父が披露してくれたお謡いの曲名。 澄:なんか雅です〜。)

●古雛やをばのお口は達者なり=資料官
○五、香=4点
(五:だいたいどなたの句か見当がつきました。いつも新しい視点を示してくれます。そうならないで欲しい。 香: 何とも可愛いです。食欲旺盛と思ったんだけど、おしゃべりのこと? 月:こひひなも、可愛いところあるよね!)

●ひっそりと咲き散りたかろ櫻花=君不去
○香△澄、男=4点
(澄:その気持ちわかる! 男:短い命の桜、酔客のいないところで静かに自分を美しく見せたいのでしょう 。 香:大阪城公園は、焼肉のにおいがするから、ガッカリなんですよ。 月:目立ち過ぎ、モテ過ぎで困ってるデリケートな櫻もあるみたい。)

●南への旅路えらびし春ショール=五六二三斎
○二△砂、ス=4点
(ス:希望を感じます。)

●根あけきて命の雫木霊する=五里
○喋△二=3点

●まさにそのまことに降るや涅槃雪=ひら百合
◎資=3点
(資:本当に彼岸の頃降るのですね。情感がある句と思いました。)

●山裾の漂う雲に春は乗り=五里
○ア△前=3点
(ア:九重の峰に 雲がかかって はるがすみという雰囲気の おだやかな 句ですね。)

●畦踏みぬじゅんぱく萌えん雪柳=喋九厘
○月=2点
(月:「じゅんぱく」のひらがな表記に何故だか痺れた!)

風昇る谷津奥一樹の辛夷かな=入鈴
○水=2点
(水:そこだけ白く華やかに浮き立つような春を感じる。)

●唐子皿ほうれん草の紅甘し=スライトリ・マッド
○喋=2点

●杯の上に浮きたり桜花=男剣士
○メ=2点

●春陽に紅ぞひとすじケセラセラ=君不去
○里=2点

●なつかしき香りいただく桜餅=澄響
○百=2点
(百:やはりクマリンの香りですね。)

●春風に吹かれて参る墓参り=澄響
○メ=2点

●ほっこりと思い巡らす花疲れ=五里
○資=2点
(資:ほっこりというのが何か分らないのですが何となく良い。)

●アスパラの濃き緑美味し歌出づる=君不去
△女=1点
(月:アスパラ食べて口ずさむ歌って、どんなんかな?「巴里の空の下」?)

●大鞄何処へ伴するや春の風=夏海
△君=1点

●河川敷ひばりの声に空見上げ=アイン
△男=1点
(男:空高く舞うひばり、姿は見えないけれどその声に春を感じる有様が。)

●三寒と 四温もあと 五三日=メゴチ
△澄=1点
(澄:数字の使い方が上手。)

●春雷や雨音高く居眠りて=ひら百合
△女=1点

●菜の花を 食べてみたい 歳になる=香久夜
△男=1点
(男:昔はそんなことも考えなかった。春が来てまた一つ年を重ねる何ともいえない気持ちです。)


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