*A部門入選作発表*


当季雑詠*全46投句(入選34句)

【特選】

一席
●ふるさとの春詰める荷を抱き運ぶ=木笛


◎月、五、砂、香○喋、水、前、二△百=21点
(月:景がいいですね、重い荷にも思わず笑みがこぼれる。何を送ってくれたんだろ? もしかして、デコポン? 五:ふるさとから、春の荷物[何だろう?]が届いたのか?それを抱き抱えた時の親への愛、ふるさとへのなつかしさが滲み出てくる。 香:優しくて嬉しくなります。 水:フキノトウがはいっていたりするのかな。)


二席
●春担ふ百の綿毛や蒼天へ=スライトリ・マッド


○里、久、香△入、五、澄、砂、君、前=12点
(入:卯の花を想い描きましたが。 香:大きな句で好きです。 五:綿毛を通して、春昇天を表わしているようだ。 月:たんぽぽの綿毛と青い空。宮崎アニメのセル画が浮かびました。)


三席
●あぜ塗りの農婦汗ばむ雨水かな=水音


◎入、喋○月、二△久=11点
(入:仕事でちょうど3年前の二月、ゴッホの農婦の入札で、穴のあくほど農婦の顔をみつめたことを思い出します。 月:田んぼの仕事は大変辛いものだが、その辛さのうちにも春の気分がある。お天道様だって雨水には恵みの雨を降らせるぜ!)



【入選】

●黒猫のいそぎの先やクロッカス=入鈴
◎木、百○砂△前、二=10点
(百:色のコントラストが鮮やか。「いそぎの先や」というのは思いつかないけどナルホドという発想。 月:黒=クロは面白いんだけど。)

●精霊の姿あつめて春しぐれ=月下村
◎澄○里、砂、ス△メ=10点
(ス:ちょっと明るそうな精霊かな? メ:時の経つのは早いものです。)

●うすらひをふむやうに序破急ならむ=月下村
○五、資、ス、君△二=9点
(五:薄氷のことか?序破急とは、雅楽の節度に関する称とある。むずかしい句だが、春の訪れのリズムのことかな? 資:調べてわかったうすらひという表現に感動。 ス:薄氷、序破急の言葉がステキ! 君:本当は1番好きなのですが、私の中で消化不良・・・)

●そつそつと降る春雪や闇染みぬ=君不去
○月、入、百△澄、メ、資=9点
(月:僕は「ソンソン」と表現したが、「そつそつ」のひらがな表記は、もっとしめやかな雪模様。 入:{そつそつ}が何かに期待する心持ちのようでいいな。 百:「そつそつと」という言葉と「闇染みぬ」の視覚がいい。 メ:そつそつとが気に入りました。)

●雨水にてぬるるをいとはずあゆみをり=香久夜
◎資、君=6点
(資:顔洗う水は冷たいがひしひしと春に移り行くを感ずる。)

●父からの電話三分余寒かな=資料官
◎水○木△砂=6点
(水:寡黙なお父様からの電話、、、モノクロ映画の風景みたい。)

●日之影や光も萌ゆる春の刻=喋九厘
◎メ○澄△資=6点
(メ:光も萌ゆる、がすばらしい。 資:作者決め打ち。鉄道ものの中ではこれが良い。シャベ栗の高千穂鉄道の本まもなく発刊らしい。)

●雪間草夢はみどりに塗られけり=五六二三斎
◎ス○木△資=6点
(ス:厳しい冬を耐え忍んで春を待つ心が伝わってきます。)

●広々と野火や裾引く暮れつ方=木笛
△入、砂、香、ス、前=5点
(入:シンプルだけど、スライトリー万葉が素敵。 なんのこっちゃ。 香:暮れつ方、のことばに1票。 ス:春の風物詩ですね。)

●盆梅の 無彩に温き 紅蕾=久郎兎
◎二△里、水=5点
(水:無彩の冬から彩りの春への喜びを感じる。)

●雪明けて春立ちにけり二月堂=香久夜
○メ、前△澄=5点
(メ:二月堂ってどこ?)

●落ちていく二月(にぐわつ)の水どどどどど=スライトリ・マッド
○喋△メ、二=4点
(メ:なんか気分がでてる。)

●絡みつく恋猫の声コロンの香=スライトリ・マッド
◎二△月=4点
(月:お洒落で都会的な匂いがする一句ですね。)

●沈丁の 花めぐりきて きみおもう=香久夜
◎前△喋=4点

●樋かける雀笑いぬ春近し=君不去
○入△月、里=4点 (入:かわいらしさに溢れてます。 月:「駈ける」「掛ける」どっち? ふくら雀の顔は可愛いね!)

●春ゆるり神楽走りて国見丘=喋九厘
○君△入、二=4点
(入:神楽の冬が逃げる?サッカー、国東半島、闘牛の島とか連想します。いいだろうなあ、春は。)

●あなどられ消えるばかりの春の雪=ひら百合
○香△水=3点
(香:暖かくなりそうです。 水:真冬の雪と比べて気温はさほど変わらないのに何故かすぐ溶けるのが不思議。)

●うずきたるこころとからだはるたちぬ=五六二三斎
○水△ス=3点
(水:若いなぁ。 ス:季節はまさに春!って感じですね。ひらがな書きがいい! 月:う〜〜ぅ、やられた〜〜ぁ、僕の大好きな全ひらがな表記!)

●如月やコートの雫漲りて=入鈴
○木△百=3点
(百:冷たい雨だけどそれほど耐えられないというほどでもなく、春を感じる。体験者は一票。)

●寒々と雨に濡れ立つ蝋梅花=五里
○百△久=3点
(百:蝋梅は1月の花という気がするのですが、好きな花なので。)

●春きざす噛りつきたし草の朋=月下村
△里、ス、喋=3点
(ス:かじりつきたいは草の朋に対する愛情か!)

●寒空にほのかに香る梅の花=澄響
○メ=2点
(メ:スマートな句ですね。)

●送別のうたげ果つるや冴え返る=水音
○資=2点
(資:酒飲んでれば寒の戻りなんぞ平気平気。)

●はずむ声走りぬけゆく春電車=五六二三斎
○澄=2点

●春咳き(しわぶき)友のメールを惜しみつつ=入鈴
△君、喋=2点

●蕗味噌にあれこれ巡る農事暦=五里
△香、二=2点
(香:一つ作ればもう一つとなるんでしょうね。)

●うぐいすや締め切り迫る朝せかす=水音
△百=1点
(百:同感、うぐいすはいないけど。)

●東風ふかば重きペダルに腰も浮く=ひら百合
△水=1点
(水:確かに。)

●廃の字に レール枕木 別れ霜=久郎兎
△二=1点

●水温み そろそろ行こか 沖釣りに=メゴチ
△君=1点

●無残にも落ちて恥じ入る椿かな=君不去
△香=1点
(香:そんなに恥ずかしがらなくていいのにね。)

●雪乗せて中央特快東京着=資料官
△月=1点
(月:頑張っておられますなあ、電車さん。御苦労さまです。)


A部門入選作

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