*A部門入選作発表*


当季雑詠*全50投句(入選39句)

【特選】

一席
●早苗植ふ棚田灯祭り灯の綴(つづれ)=夏海


◎百、水、二○砂△香=12点
(百:棚田に灯が映っている様子、「つづれ」という言葉をよく見つけたなあと感心。 香:灯のつづれということばがあるんですね。激しさを感じます、芸術的。 水:私も棚田の句を考えたけどできなかった いいなぁ この句。)


一席
●ほんたうの戀の火影や螢籠=月下村


◎君、ス○里、砂△香、喋=12点
(ス:本当の恋は静かに燃える色してるんかなあ? 香:恋にもえる火、ロマンチック。)


一席
●余花のいろ芸者八十路の糸調子=夏海


◎資○水、二、前△百、君、砂=12点
(資:奥山の新緑の頃の一本桜に老芸者。「男はつらいよ」に出てきそうですね。 百:真佐女という方思い浮かべてます。 水:はかない美しさを残しつつ齢を重ねつつ、しかも粋な感じが素敵。)



【入選】

●愛と死を刻む花逢忌風薫る=五六二三斎
◎男、砂△月、百、夏、ス=10点
(男:静かな能古の緑に合う優しい風が心地良い。 月:壇一雄、没後30年の花逢忌、五六二三斎殿も御出席なさった御様子ですね! 最近、こんな男を見かけなくなった。「ちょい悪」どころじゃないよ、「ぐい悪おやじ」ですね、僕も頑張ろう! 百:博多の人なら忘れない。 夏:壇一雄没後30年だそうで。 ス:花逢忌と風薫るは、重なりOKかな。壇一雄に!)

●太き風まるごと呑みし鯉幟=水音
◎前○木、香、二△資=10点
(前:鯉の大きさとはためく様子が見えます。 香:風が太いという発想がおもしろいです。 月:口がでか〜い! 楽しき風力風向計。 資:新茶の季節の鯉のぼり。静岡時代の思い出。)

●風通り光るうなじや夏めきて=君不去
◎メ○百、喋△男=8点
(メ:すがすがしい感じがいいです。 百:うっすら汗ばむ様子が「光るうなじ」ね、勉強になるなあ。 男:そういう季節になったことを汗で感じますね。)

●鯉のぼり口を開いて風を呑み=男剣士
◎澄、喋△メ=7点
(澄:躍動感ありますね〜! メ:息を呑むような大きいのがいいですね。)

●たたむ過去たたまぬままに月光魚=月下村
◎里△入、五、メ、資=7点
(里:泳ぎ着くのは月山かな。 五:月光魚が季語?たたむ過去は何とも言えないいい感じです。 メ:月光魚?なんか流れがいいので。 資:この月光魚が分らなかった。とはいへ葱の部屋に敬意を表して。)

●梅雨晴れ間地神水神御在す庭=スライトリ・マッド
◎夏○喋△五、砂=7点
(夏:「地神水神」って、蛙や蛇などの生き物ですか? 五:地神と水神の争い?痴人と粋人の争い?すみません!おふざけ句評になりましたが、地神と水神は面白い!)

●雷雨去る滴る菖蒲こともなげ=木笛
○月、澄△水、君=6点
(月:「滴る」と「菖蒲」が季節重なってるけど、「こともなげ」に惹かれました! 澄:鮮やかな紫目に浮かびます。)

●大銀杏 緑の槍を 高く挙げ=五里
○澄△夏、メ、資=5点
(澄:目に浮かびます。 夏:ほんと、「緑の槍」だ! メ:緑の槍というのがいいです。 資:ようやく若葉が。薄暑の頃街を歩いていると,銀杏の日陰はありがたい。)

●今年また父甦り柿若葉=五六二三斎
○入△月、夏、喋=5点
(入:柿がお好きだったのでしょうか?私ごとでは、パパイアです、失礼。 月:「黄泉がえり」ですね! 自宅の庭の柿の木かな? 夏:お父様との思い出の柿の木ですか。)

●不忍の命を重ね菖蒲池=喋九厘
◎五○里=5点
(五:不忍の池のことでしょうが、なんとも言えない詩情が出ているのです。うまい!  月:不忍心中菖蒲池 首の白いは燕子花)

●啄木の碑やサングラス忘れてし=入鈴
○夏△五、ス、砂=5点
(夏:サングラスの持ち主へ、想像が広がります。 五:サングラスが出てきたところが滑稽ですが、味がでています。 ス:不来方城の「・・・空に吸われし十五の心」を思い出しました。)

●ほお濡らしかいなを撫でて走り梅雨=スライトリ・マッド
○メ、資△水=5点
(メ:生暖かい雨ですかね?)

●現在地奇跡と思ほゆ青田風=月下村
◎香△ス=4点
(香:現在地ということばの強さで緑の濃さを感じます。 ス:すべてのことに感謝したい気になります。)

●白日傘差す母のかを若く見へ=資料官
○百△入、里=4点
(百:うれしいよね。 入:母ではありませんが、近所のおばあちゃまにはっと同じ事を思った初夏ありです。)

●巣を守るツバメや猫をかすめ飛び=水音
◎入△香=4点
(入:猫と鳥の緊張関係をよく捉えてらして。図書館の駐車場で、私の車が驚かせたことがあります。猫と鳥の緊張関係さもありなん。 香:猫も目じゃないい!)

●梅雨寒や霞ケ浦の無人駅=資料官
○木、夏=4点
(夏:サスペンスドラマの始まりのよう。)

●てんとむしまことに害虫食みおるか=入鈴
○月、男=4点
(月:「てんとむし」と平仮名にしたところが好き! まっこと純な質問です。 男:コロコロしたあの身体のどこにそんな力が・・・。)

●仏前にぽつんと一つ柏餅=メゴチ
○君△百、前=4点
(百:おいしそう。)

●ブロンズの青春時代松落葉=五六二三斎
○資、ス=4点
(資:常緑樹も葉が入れ替わるこの頃。われらの青春時代も。 ス:理想と現実の狭間で泣いて笑ったね。 月:青銅の時代は遥か、50過ぎれば鉄の時代かもね!)

●アボカード マリネに恋する夏グラス=香久夜
○前△二=3点
(前:おしゃれな感じ。 月:アドガドとフレッシュチーズだけのサラダ、檸檬をたっぷり搾って! 鮹と小海老とトマトと玉葱とバジルのマリネかな?)

●黄の班の手拍子つつつあやめかな=入鈴
○ス△水=3点
(ス:明るく楽しい感じ! 月:「つつつ」が面白い。)

●里蛙 水張る田やとて 先に産む=五里
○香△男=3点
(香:おもしろい捉えかた、蛙の気持ちがわかるんですね。 男:自然とは小さな動物の知恵。)

●芍薬のかたき蕾や鎮魂花=水音
◎月=3点
(月:かたき蕾を魂となぞらえたところが好みです。鎮魂歌が花に!)

●新緑の湖面眩しく午睡時=木笛
○メ△澄=3点
(メ:こんな別荘があるといいなあ。 澄:水に浮かぶ新緑きれいでしょうね。)

●匂いたつ筍飯で時を知る=メゴチ
○男△澄=3点
(男:あの青臭い何ともいえない香りが好きです。 澄:おいしそう!)

●にはたづみうつりしそらやわかばびえ=スライトリ・マッド
○五△君=3点
(五:ひらがな句の愛好家として採りました。 月:にはたづみは「庭潦」「行潦」。水たまりの古語です。)

●春鮒釣り糸にて川と結ばれる=澄響
○入△喋=3点
(入:実は霞ヶ浦の無人駅とこの句を迷いました。二句合体させたい!)

●梅雨入りとみまがふ今日の時雨かな=前鰤
○五=2点
(五:詠みなれた方の句ですね。どなたか楽しみです。)

●さわさわと足伸ぶ縁に風薫る=香久夜
○君=2点


●夏嵐枝葉メドゥーサの髪となる=夏海
○水=2点
(水:メドゥーサというのがいい。)

●苺摘む小指先ほどの小さきまで=ひら百合
△月=1点
(月:気持ちは分るけど、普通に「指先」でいいんじゃないでしょうか?)

●エニシダの雑草負けじと強き青=木笛
△里=1点

●白雲の濃く湧き上がる空に夏=ひら百合
△前=1点
(前:「濃い白」が強烈です。)

●端午過ぎカラカラひとつ風車=男剣士
△前=1点
(前:夢の後のわびしさか。)

●どんたくを避けて博多の雨降らむ=資料官
△男=1点
(男:今年のどんたくは珍し雨なし。)

●森を撫でみどりにそよぐ初夏の風=前鰤
△澄=1点
(澄:気持ち好いですね〜。)

●八十路きて木陰に薫る風しばし=香久夜
△里=1点

●ライラック香ほるその間に庭仕事=ひら百合
△入=1点
(入:またまた共時性?青森の庭、薄紅のライラック下の草取り楽しと管理人言ひて付き合ふ。)


A部門入選作

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