*A部門入選作発表*

当季雑詠*全49投句(入選37句)

【特選】

一席
●花すすきやがてひきずる童かな=水音


◎葱、喋、百、香○雪、君△五、二=18点
(葱:好奇心が旺盛で、いたずら好きで、飽きっぽい子供の心をうまくとらえていると思いました。 百:「やがてかなしき 鵜舟かな」を思い出す。 雪:子供の遊ぶ様子、見ていて飽きがきませんね。 香:何とも可愛くて。のどかな時間も目に浮かびます。 五:「やがて」という言い方が物語的でどうか?と思いましたが、いい句と思います。)


二席
●空高くあれば小さき秋遍路=葱男


◎水、二、ス○夏△入、雪、香=14点
(水:大から小へズームしていくのびのびと気持ちが良い句です。 ス:日本の原風景って感じ。 夏:空の高さが見えるようで良いなあ。 入:空がめったにない程高ければ、すぐ近くだって旅の気分に。 香:大きな空と対比して小さく見える田舎道、作者のいる場所も想像できます。)


三席
●口わるく人よき男菊膾=夏海


◎五○入、水、資△葱、砂、ス=12点
(五:巧言令色の反対ですか?菊膾と合ってますね。 入:菊膾との取り合わせ絶妙。菊のようなイケメンだばさらなり。 水:菊膾のくたっとした感じがその男と重なるようで。 資:菊食うなどもってのほか,人のよいおやじの店でいい色の菊膾だろうか。 葱:古き良き明治の男って感じ。 ス:角川春樹っぽい〜。)


【入選】

●国東のただ平らなる秋の海=資料官
◎男○香、君△木、雪、二=10点
(男:太平の秋を感じます。 香:雄大な、のどかな景色。国東半島、行ってみたいです。 君:ふるさとの海の懐かしさに惹かれています。 葱:半島の上に立ち、眼下を眺めているのでしょうか。 雪:広々とした穏やかな海が浮かびます。)

●小鳥来る小学校に土俵あり=入鈴
○水、喋△木、五、雪、君、砂、ス=10点
(水:田舎の小学校と言う長閑な感じ。 五:いい取り合わせと思います。 葱:相撲が国技として存続できるかどうか、今が瀬戸際ですね。 雪:小鳥と小学校の取り合わせが、何とも可愛らしくて! ス:巨人大鵬卵焼きの時代も遠くなりましたね〜。)

●白木槿トンネル抜けぬ母の闇=木陰
◎君、資○入、五=10点
(君:何か痛々しく、白木槿の寂しげな風情とぴったりしました。 入:槿の花のおおらかさに支えられた一句だと思います。白花は薬効があるそうです。 五:闇と反対の白木槿。現実とのギャップをよく表現している。)

●無花果を煮る人の世のはじまりに=水音
◎夏○百、久、前=9点
(夏:「人の世のはじまり」とは面白い措辞。お孫さん誕生? 百:アダムとイブね。 前:アダムとイブは葉っぱでしたね。)

●おいそれと譲らぬ会話敬老日=資料官
○葱、砂△喋、久、夏、香、メ=9点
(葱:政治君たちの事でしょうかね? 夏:そうだろうな!と微笑ましく。 男:その感じ分かる。 香:おもしろい、うなずけます。 メ:わかるわかる・・)

●まんじゆしやげ友の遺せる字のまろし=スライトリ・マッド
○前、雪△喋、二、メ、資=8点
(前:月花村の馬淵先生を思い出しました。 雪:秋は人恋しくなる季節、それが亡くなった友となれば余計に。 葱:穏やかで優しかった友人の姿が思い浮かびます。 早くに亡くなられたのでしょうか? 前鰤さーん、「月下村」ですし、馬淵先生は御健在ですよお〜。)

●名月やペガサスの雲従へて=五六二三斎
○葱、木、百△前、ス=8点
(葱:月に懸かる雲をペガサスの羽と見立てたところがおもしろい。 百:そう、月と雲を詠みたかった。 ス:ペガサスの雲に乗ってみたいです。)

●秋の風ゆつくり廻す糸車=スライトリ・マッド
◎雪○香△水、五=7点
(雪:ゆったりとした時間が流れている感じです。 香:優雅な趣味ですね。 五:ミシンを使って、秋服の手直しでしょうか?)

●虫の音のその庭ごとの土鈴かな=葱男
◎入○男、資=7点
(入:庭と虫から土鈴の連想がぴったりきて。 男:それぞれに庭の主が居るんですね。)

●コオロギに取られし夜の静けさや=前鰤
○久、メ△葱、男=6点
(メ:最近聞かないなあ。 葱:「うるさい」とは思わず、静けさを取られた、とする表現に可笑しさがある。 男:風情ありまた五月蝿くもあり?)

●オーボエの音いろ栗いろ雨しとど=入鈴
○木、喋△香=5点
(香:「栗いろ」がくるのか…、さすが! 葱:オーボエの「栗いろ」は感じ!)

●観月の雲の切れ間に団子かな=男剣士
◎久△百、二=5点
(百:団子に弱い。)

●秋霖や半世紀後のカレンダー=五六二三斎
○夏、ス△水=5点
(五:携帯のカレンダーは未来のカレンダーをすぐに見ることができる。2057年を入れてみると、何と今年と全く同じ!半世紀後はいないだろうけど・・。秋の55才の物思いは何だか寂しい。 夏:50年後の地球はどうなっているか?懸念もあり期待もあり。 ス:半世紀後のカレンダーがなんだか興味深いです。)

●長月の夫戯れに触るピアノ=夏海
◎砂△入、君=5点
(入:わかるわかる、夫(つま)の気持ち。さわるピアノ、で字余りにして長月らしい落ち着きが。)

●名月や懐紙にススキの和三盆=香久夜
○二△水、百、久=5点
(百:みんなそろいすぎの感もありますが・・・。)

●静けさを語りつくせる花野かな=水音
○男△前、砂=4点
(男:語りつくせるのか尽くせぬのか。)

●忘れられ月とおはする馬頭仏=君不去
○五△葱、二=4点
(五:寂しく恐ろしい感じですね。俳句の幻(まぼろ)性を感じました。 葱:昔話に出て来るような童話的風景!)

●老いの背に 濃き汗流る 刈り穂棚=久郎兎
○メ△入=3点
(メ:最近、腰に疲れがたまります。 入:景がくっきり浮かんできます。)

●敬老の日とてやわらにサーブ打つ=メゴチ
◎前=3点
(葱:「やわら」という形容があるのかどうかよくわかりませんが、雰囲気は分かります。「やをら」だと、そっと、そろそろと、おもむろに、という意味がありますが・・・。)

●満月と歩めば心まろむなり=香久夜
◎木=3点
(葱:好きな句です。だれもが満月を見上げると同じ気持ちになるのが不思議ですね。)

●曼珠沙華稲穂の金を織りなして=木陰
○二△男=3点
(男:黄金と朱の色合いが。)

●清かなるさやけし秋にさやさやと=喋九厘
◎メ=3点
(メ:「さ」の余韻が気に入りました。)

●青北風や海峡に渦今しがた=雪絵
△夏、資=2点
(夏:海峡の渦のダイナミックさ! 葱:鳴門?それとも船で関門海峡を越えたのですか?)

●学生の戻る地下鉄秋晴るる=五六二三斎
○ス=2点
(ス:新学期の活気とすがすがしさが感じられて。)

●眼下なるパッチワークや稲の黄々=雪絵
△二、メ=2点
(メ:「パッチワーク」がいいですね。)

●このところ謎ばかりなり葛の花=葱男
△木、君=2点

●見送りしあとの空港秋夕焼=雪絵
○砂=2点

●アアア秋むしむし騒ぎKYと=喋九厘
△久=1点 (久:政治の歴史にKYを残したい。)

●無花果のワイン煮冷えて待つ人や=君不去
△男=1点
(男:ちょうどいい時に見えるんでしょう。 香:待ち人きたらず?雰囲気好きだったのですが、「待つ人や」がしっくりこなかったです。)

●枯れ畑居場所確かに大南瓜=君不去
△百=1点
(百:枯れると顕れてくるんだよね。)

●玄界の人の笑顔や秋の空=男剣士
△前=1点

●釦とぶ子のシヤツつぎて秋の夜半=スライトリ・マッド
△資=1点

●名月やああ名月や酩酊す=喋九厘
△夏=1点
(夏:この句の路線、好きなので。)

●モノクロのきみたち集う姫昔=ひら百合
△喋=1点
(百:姫昔蓬=鉄道草。)


【無選】

●秋鯖や外道で嬉しい鯵の船
(葱:釣りと晩の御馳走で二度嬉しい収穫でしたね! 透き通るぐらいひ軽く〆た鯖が大好物です。)

●囂(かしま)しく群れ鳴く雁の空くの字
(葱:「んの字に膝抱く秋の女かな  小沢信男」。)


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