*A部門入選作発表*

当季雑詠*全45投句(入選37句)

【特選】

一席
●虫の音をピカソの女の耳で聞く=葱男 


◎五、君、砂○夏、前、二△資、ス=17点
(五:今回の句の中で一番斬新な句でした。意味はよくわかりかねます。 夏:何か他の事ををしながら耳だけは虫の音を聞いていた? 前:外国の人も、虫の音に感ずるものがあるのでしょうか? ス:ピカソの女の耳は日本人的なとこあるんかな?)


二席
●天上の瑠璃色吸ひし秋の薔薇=水音


◎木、入○資、メ△葱、五、二、砂=14点
(木:詩的だね! 入:空の透明に薔薇の彩度が際立って素敵です。 資:秋の薔薇は透明の澄んだ空に映えて鮮やか。 葱:青いバラってまだ見たことありまっしぇん。 メ:どんな色の薔薇だろう?今日、テレビでレインボーローズってのを見ました。 五:秋の快晴の瑠璃色が感じ取られました。)


三席
●烏瓜土塀にひとつ赤く燃ゆ=木陰


○里、男、水、メ、百△資、喋=12点
(男:烏瓜の赤さが際立ちました。 水:里山の古い家に赤が目を引き付けます。 メ:土塀のある風景、いいですね。 色鮮やかな秋。)



【入選】

●草紅葉山並みふわり持ち上ぐる=水音
◎二○五、入△木、喋、メ、砂=11点
(五:秋のまだここちよい風景を感じました。 入:草紅葉をこんな風に観たことなかった。 メ:持ち上ぐる、がいいです。 葱:「持ち上ぐる」はいい表現だと思いました。)

●ススキの穂 空を払うて 筋の雲=五里
◎水、メ○木△男、百=10点
(水:思わず深呼吸したくなる気持ちの良さ。 メ:確かに払うって感じです。 男:秋の美しい風情でしょうか。 百:ススキの穂と雲の筋をつないだのがアイディア。)

●月の雨家路を急ぐ傘の列=資料官
◎葱○入、ス△木=8点
(葱:「雨月」より「月の雨」がいい、傘の列が直線に並ぶのもいい。現代の浮世絵みたい。 入:雨月なら自然と足は家路に。 ス:雨雲の上からお月さんは地上のカラフルな傘を見てるかな?)

●大き空大き雲ゆく大き秋=君不去
◎百○木△水、メ=7点
(百:いかにも広い澄み切った空。 水:のびやかな景が好きなんだけど、秋の晴天の雲で大きいのはあまり想像できなくて△。 メ:大き、で揃えたのがいいですね。)

●陽を弾き風に従ひ色葉散る=水音
◎喋○資△夏、メ=7点
(資:リズミカルで鮮やか。 夏:色葉が散る様子、目に浮かびました。 メ:陽を弾き、が気に入りました。 入:漢詩みたいな格調。)

●秋夜長志ん生らくだかんかんのう=ひら百合
○君、砂△葱、入=6点
(葱:落語はラジオで聞くほうが、和むね。)

●つと触れぬ天井桟敷のもみじ葉や=君不去
◎資、前=6点
(前:「つと」を調べると、「動作がす早いさま」「動かずにある状態を続けるさま」とあります。「すごい」をアメリカ人が調べたときの「wonderful」「terrible」を思い出しました。 入:演舞場に紅葉の飾りは、改めて秋の定番だと。)

●望比浜秋思の石のうす紅に=スライトリ・マッド
○葱、五、二=6点
(葱:望、浜、秋、思、石、紅と並べただけでもきれいね。 五:どこの浜辺か、秋の憂いが感じられます。)

●実り満ちお色直しの案山子立つ=君不去
○百△葱、夏、男、前=6点
(百:案山子もお色直しするってのが新鮮。 葱:今年の豊作を願って。 夏:「お色直し」がユーモラス。案山子の作者はマメな人らしい。 男:案山子も頑張ってますね。)

●水澄むやオヒルギの根にひたひたと=スライトリ・マッド
◎里○葱=5点
(葱:山清水でしょうか?オヒルギって食べられるもの?)

●朝霧に光るくもの巣あまたなり=スライトリ・マッド
◎男△木=4点
(男:蜘蛛はどこに行ったのか。つい破りたくなりますね。 木:朝露の方がいいんじゃないかな?)

●岡城趾四方千年秋の山=五六二三斎
○男△資、喋=4点
(資:冬行ったことがあるが九重山が良く見えたような記憶。 男:荒城の静けさと山間の調和が。)

●草引きの白髪にまぎれ金木犀=香久夜
○前△里、入=4点
(入:金と銀、綺麗かも。)

●里芋や土はらひなほ持ち重り=入鈴
○香△里、百=4点
(百:桃にもそんな句があったけど、実感。)

●訪ねたる 床に入り込む 秋夕陽=五里
○水△前、君=4点
(水:床はお見舞いの床?床の間?病人を見舞うのを想像したんですが。)

●たらい舟児らの菱採り体験記=夏海
○里△二、百=4点
(百:菱採りも季語なんですね。)

●半月を半分にして食べちゃうか=葱男
○喋△君、砂=4点 

●秋時雨ともに夢路をさまよへり=五六二三斎
△夏、前、ス=3点
(夏:ちょっと艶っぽい。 ス:アンニュイな感じですが、時雨と夢路が合うなあ。)

●芋掘りて掘り返されて耕さる=ひら百合
◎香=3点

●きのこ買う夕日葉裏を照らす道=香久夜
◎ス=3点
(ス:夕方歩いてるそのひとときのすばらしさが伝わってきました。)

●さようなら手をふるやうに秋桜=葱男
  ○夏△二=3点
(夏:そう見えますね!)

●遠富士の初雪ヒルズ五拾弐階=資料官
◎夏=3点
(夏:富士山をヒルズから見たところがとっても新鮮。 ス:これ採りたかったけど、冬でしょ?残念!斬っちゃった・・。)

●長き夜やすることもなく寝落ちたり=男剣士
○君△入=3点
(入:わかるわかる。)

●新北風(みーにし)のフォローに乗って渡り鳥=メゴチ
○砂△香=3点

●秋しぐれ蒸籠の湯気のほの温し=夏海
△男、君=2点
(男:湯気の暖かさが伝わります。)

●大杉の緑とりまく紅葉かな=五六二三斎
○ス=2点
(ス:鳥になった気分で空から見てるみたい。緑と赤のコントラストがきれい!)

●晩稲(おくて)の穂ダンボール解くを待ち構え=入鈴
○香=2点

●アキアジも北の国から初飛行=喋九厘
△香=1点
(資:全国で北海道物産展ですね。) 

●落ち銀杏舗道に拾う老婆あり=男剣士
△水=1点
(水:これは葉っぱ?ギンナン?リズムからすると葉かとも、、、両方拾っていたのは私ですけど。)

●神と成り蜻蛉州(あきつのしま)を見下ろすや=前鰤
△喋=1点

●烏瓜ならべし翁嵯峨野みち=香久夜
△五=1点
(五:烏瓜並べて何をしてるのか?売れるのでしょうか?下らない質問ですが、何とも不思議な光景のように思えました。)

●首垂れ祈る稲穂よ秋もやや=喋九厘
△里=1点

●理に 逆らうても 秋の暮れ=五里
△水=1点
(水:人生の秋の真っ只中にいることを感じてしまう。)

●店先にお化けカボチャはニンマリと=夏海
△香=1点
(葱:ハロウィンかな?)


A部門入選作

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