*A部門入選作発表*

当季雑詠*全43投句(入選35句)

【特選】

一席
●飾らるる牛の憂ひも花田植=夏海


◎久、二○葱、水、百、砂△メ、君=16点
(葱:夏祭に駆り出された牛は、体中に飾り物を付けられて少々迷惑かもしれませんね。 水:知らなかったけど、とっても華やかな田植えなのですね。牛も大変ね。 百:「牛の憂い」がさりげなく、いいすぎないのがいいと思います。 メ:田植え祭りに借り出される牛のちょっと迷惑そうな顔が浮かびます。)


一席
●鳥と子に残す高さの枇杷太る=水音


◎木、雪、砂○夏、メ、二△入=16点
(雪:目線にやさしさを感じる、とても素敵な句です。 夏:「残す高さ」に愛がありますね。 メ:枇杷狩りに行きたくなりました。 葱:木守柿ならぬ、木守枇杷というところですか。 入:ほのぼのとする。鳥と子の枇杷太れ、、、とかは?)


三席
●つうむりに沙羅の挿頭(かざし)や石地蔵=夏海


◎前○五、香、君△葱、喋、入、資=13点
(君:”つうむり”は石地蔵の頭? 葱:「沙羅」が効いていますね。石地蔵にも一段と箔がつくというものです。 入:石地蔵にぴったり。沙羅の花まで言うのはだめでしょうかね?)


【入選】

●でで虫や時を駆けたる夢を見る=水音
◎葱、男○君、資△砂、入=12点
(葱:のっそりしている蝸牛が、時を駆ける夢を見るとは、なんという洒脱な発想! 男:でで虫の歩みとの対比が良かった。)

●あぢさゐやぼんやり父の書斎の灯=資料官
○葱、香、砂△久、五、二=9点
(葱:紫陽花のまあるい形と書斎のアンティークな灯りの対照が綺麗。隠居されて晴耕雨読の日々を過ごされている父上を想像しました。 五:父の書斎は北向きでしょうか?昔が偲ばれますね。)

●笹ゆりや打ち明け話をする少女=雪絵
◎夏○水△葱、ス、砂=8点
(夏:笹ゆりと少女の初々しさがピッタリ「を」を入れず中7音で纏めても良かったかな。 水:笹ゆりは生えてるところも秘密めいてる。 葱:受胎告知の天使は手に純潔の白百合を持っています。少女の打ち明け話しも大事なお告げかもね。 ス:百合にもいろいろあるんですね。笹百合、図鑑で見て覚えました。)

●異国には異国の掟夏つばき=水音
◎五○夏△葱、香=7点
(五:きっぱりしていて、気持ちよい句です。 夏:夏椿は一日で落ちる定めで、よく判らないながらも異国の「掟」と響き合う感じ。 葱:夏椿は仏陀がその樹のもとに瞑想した沙羅の花の別称、異国の掟とは各民族の宗教観でもあるのでしょう。)

●追ひかけて追ひかけられて夏の月=五六二三斎
○男、前、喋△資=7点
(男:そう言って走った時代がありました。 資:昔流行ったザピーナツの恋のフーガ♪♪を思い出した。)

●数式の花序のおぎょうぎ姫女苑=入鈴
○ス、二△雪、メ、香=7点
(ス:花に数式ね! 雪:花序にも定理!? メ:字余りだけど、濁音のゴロがいいので。)

●東京の人で生きけり鵜飼の火=五六二三斎
◎ス○雪△夏、二=7点
(ス:「おもしろうてやがて悲しき」の現代版かなあ!? 雪:色んな意味で人生を振り返り、またこれからを考える歳でしょうか。 夏:故郷から離れて生きている人の哀愁と、鵜飼の火の取り合わせが良い。)

●薄白き月まだ低く夏至の路地=香久夜
○木、喋△久、百=6点
(百:夏至とはいってもまだ薄寒い。 入:静かさが伝わります。)

●宙に投ぐ解答用紙夏日射す=スライトリ・マッド
○百、入△水、資=6点
(百:夏休みになった開放感。 入:何かを解答用紙に托している?とか考えると楽しい。 水:メチャクチャ嬉しかった?或いはその逆?どちらにしても夏日で強い印象だったのですね。 資:きっとまぶしい白紙だったんだ。)

●父の日の父うたた寝の昼下がり=資料官
○男、入△夏、喋=6点
(男:安らぎのひと時。 入:父のリフレインが効いていて、失礼かもしれないけど、子守唄のようですぐ採りました。 夏:お父様への眼差しが温かい。 葱:世の父なるものはすべからく、休日は寝るものですなあ。)

●もつれ糸ほぐす呪文を曼荼羅華=夏海
◎君○五△ス=6点
(君:”曼荼羅華”が呪文になっているのが楽しい!。 五:おどろおどろしいところがいいです。 ス:下向きに咲く白いダチュラが近所にあって不思議な花だと思ってました。)

●我が歩み真似する幼女や草苺=君不去
◎入△前、水、香=6点
(入:その様と草苺の取り合わせがぴったり。 水:中七がもたついてる感じがするけど、幼女って他に読み方があるんですか? 葱:「や」はいるのかなあ〜?)

●温かきもぎたて枇杷の甘さ(うまさ)かな=メゴチ
◎香△久、前=5点

●山梔子の花十字架を背負う日々=五六二三斎
◎水△木、砂=5点
(水:人を酔わせるような強い香りが却って苦悩を深める?信じましょう。)

●黒南風や重き空気をかいくぐる=君不去
◎喋○木=5点

●流れくるマグノリアの香ジャズの街=木陰
◎百○資=5点
(木:マグノリア=泰山木  百:ニューオリンズかな?)

●立葵群れ咲く庭に秘密の戸=木陰
△男、夏、五、君=4点
(男:秘密の戸ってなんですか。 夏:「秘密の戸」がミステリアス。 葱:あまり開けられることのない古民家の裏戸を想像しました。一体どんな人が棲んでいるのか興味津々。 五:何だか物語があってよろしい。)

●弾き語る青年の背夏の月=雪絵
○ス△男、五=4点
(ス:どんな歌唄ってるのかな? 男:遠い昔の青春の夢。 五:夏の夜のありきたりな風景のように思いましたが・・・。)

●深川の不動拝みて暑気払ひ=資料官
○前△百、君=4点
(百:深川不動と暑気払いが妙に合う。)

●街なかに独り唱(うた)いや雨蛙=男剣士
○メ△木、前=4点
(メ:がんばれと声援をかけたくなる。 入:ちょっと哀感が過ぎるですか?)

●荒南風や屋根打つ雨に音量(おと)を上げ=前鰤
◎メ=3点
(メ:臨場感がある句です。黒南風、白南風も同じ作者?)

07●石階をひいふうみいよアロハシャツ=スライトリ・マッド
◎資=3点
(資:リズム感と彩りが伝わってくる。沖縄ですか。 葱:元気で軽薄な若者達に、屈託のない特権の夏が来た。)

●井路覆ふ紫陽花滴る隠れ道=君不去
○久△メ=3点
(メ:滴るという表現がいいです)

●父の日の水茎の跡風のあと=葱男
○雪△水=3点
(雪:ほんとに風が見えたかのような、爽やかさを感じる句です。 水:風の「あと」は跡?後?どうも情景がよく分からなかったです。)

●かたつむり花七変化に我忘れ=男剣士
○久=2点

●白南風やフーさんは名漢方医=葱男
△ス、二=2点
(ス:ほんわかとしてて。 入:多分伝か傳さんという中国名でしょう、南からの風に合っている。)

●雨蛙鳴く夜は我も天仰ぐ=木陰
△男=1点
(男:少雨ですもんね。)

●草いきれ 佇む河原 蒼き空=久郎兎
△木=1点

●濁流に 乱気違えて 乗る燕=久郎兎
△百=1点
(百:川ツバメ、岩ツバメ? 入:乱気流のこと?乱気、気違の言霊が浮かんできて、 せっかくの俯瞰の景がすっきりしません。)

●梅雨晴れ間物干し竿の華やかさ=メゴチ
△雪=1点
(葱:「華やかさ」がいい!)

●宵螢昔の気持ち聞いていい?=葱男
△喋=1点
(入:勇気要る。)

●ラヂヲよりバンドネオンや蚊遣焚く=スライトリ・マッド
△雪=1点
(雪:古き良き昭和を思い起こさせます。 葱:タンゴかな? 雰囲気、なんかそそられますね。)


【無選】

●運みくじ何はともあれ夏なかば
(入:一茶の中ぐらいかなの句を思います。)

●ゲキヤスの霧島足湯夏立ちぬ
(葱:夏立ちぬ、だと「立夏」の意味ですから季節が戻ってしまうのが残念。)


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