*A部門入選作発表*

当季雑詠*全45投句(入選36句)

【特選】

一席
●わた雪の地に触るる聲石の庭=夏海


◎水、百、入、砂○葱、前、木 君、資△香=23点
(水:どんな静かな庭なんでしょう 冷え切っている感じがします。 百:その聲を聞こうと耳を澄ます静寂。 入:地に触れし音のほうが石の庭の静寂を際立たせる? 葱:視覚にも音なき声がある。素晴らしい! 資:触れた瞬間解ける雪の姿が目に浮かびます。京都かな。)


二席
●うかれ猫ちよこれえとの歩を進む=葱男


◎喋○前、五、夏、君△木、ス、雪=14点
(五:ちよこれーとが昔を思い出し、うかれ猫がバレンタインデーにたくさんチョコをもらって、浮かれている作者を呼び起こしますね。 夏:「チョコレート」と歩く遊びを思い出しました。 君:楽しい句ですね。 ス:グリコパイナツプル懐かしい! 雪:うかれ猫って、ご自身のこと!?)


二席
●絹鳴りの帯かるく締む黄水仙=スライトリ・マッド


◎葱、香○メ、資△水、二、喋、砂=14点
(葱:黄水仙がきりっとしていて取り合わせが綺麗! 香:きものの句、いいなぁ。 メ:キュッという音が聞こえてくるようです。 水:春めくと意識的にゆったりと着物を着たくなるのかな。 入:キヌ、カルク、キズイセンなどのカ行音が快い。18と五分五分でした。)


【入選】

●前を向きまた振り返り春の風=五六二三斎
◎木○水、喋、百、香△ア=12点
(水:気まぐれな春風に翻弄されてる?若ければ恋の句かと思うけど。 百:くるくる回る春の風。 ス:そうやって生きてくんでしょかね。)

●奔放に生きて美くし雪柳=木陰
◎君○メ、雪△夏、香、資=10点
(君:雪柳はもう少し先ではとも思いますが、今年は暖かいし。何だか説得力あります。 メ:奔放に生きて美くし、というのが気に入りました。 雪:雪柳って、まさにそんな雰囲気してますね! 夏:雪柳の枝のノビノビ感! 葱:好きな句です。やっぱり雪柳ですよね、猫柳じゃ奔放じゃないか?)

●山の端の空に滲める雨水かな=水音
◎メ、ス△前、夏、ア、入=10点
(メ:ぼんやりとしたちょっと暖かそうな雨模様が見えるようです。 ス:なんかきれい。 夏:春らしい朧な情景。 入:景も漢字も美しいのですが、偶然類句を以前味わったことがあり、私の感じ方が鈍りました。)

●いにしえの嫁入り画像梅笑う=香久夜
◎ア、雪△葱、五、君=9点
(雪:梅笑う、がいいですね!私の場合、見たくない写真のひとつです。 五:嫁入り画像が残っていたんですか?我々の結婚の頃のビデオはまだまだ高かったでしょうね。  葱:「梅笑う」がなんともセピアな風情、自嘲気味なのがしっとりしますね。)

●五分五分に割る芋の酒雨水来る=葱男
◎夏○入、砂△資=8点
(夏:焼酎の良い香りがしてきます。しみじみした句。 入:お湯と芋焼酎と雨水のハーモニー。 資:ろくよんにとせずにごぶごぶとした音感が面白い。結構強いお酒を好むのですね。)

●影法師行き交う庭に福寿草=資料官
○夏、ア、喋△水=7点
(資:旧正月に詠める。 夏:春の午後の庭が目に浮かびます。 水:神社かお寺でしょうか、黄色が鮮やかに浮かびます。)

●庭ごとに庭ごとの梅凛と咲く=君不去
◎五△葱、木、喋、ス=7点
(五:「庭ごとに庭ごとの梅」という言い方が気に入りました。下五は、他の言い方にした方がいいかもしれませんね。例えば、「老夫婦」のようにして、老人世帯の家の住宅地をイメージとかいいかもしれません。 ス:たしかに! 葱:櫻は団体さんやけど、櫻と違って梅は一本一本で鑑賞に耐えますね。)

●染みのあるシャツを野良着に春耕す=水音
◎前○香△君=6点

●幸せの黄色あちこち福寿草=資料官 
◎二○砂=5点
(資:旧正月。)

●搭乗の子の手を振りし余寒かな=雪絵
○葱△五、砂=4点
(葱:親のもとから旅立つ子供の心細さや健気さがよく出ていますね。「余寒」「春寒」、季題に何を持ってくるかでしょうが、僕なら「春の虹」かなんかかな? 五:搭乗の子はどちらへ?東京?)

●柔らかき傘打つ音の春時雨=メゴチ
◎資△入=4点
(資:a音が続き,あたたかさをひしひしと感じました。 入:素直に雨降りの日が楽しめそう。 葱:ちょっと江戸が香るな。浮世絵とか杉浦日向子の漫画とか。)

●梅散りぬ大畑(おこば)駅前るうぷ線=喋九厘
△夏、ア、百=3点
(夏:知らない駅なのに、風景が眼前に。 百:大畑(おこば)駅探しました。 資:この山の中のループ線やらスイッチバックへの作者の40年に渡るこだわりがひしひしと伝わってくる。)

●如月やミニチュアボトルの蝶リボン=夏海
○水△百=3点
(水:寒く冷たい棚の上にでもあるのかリボンに存在感がある。 百:まだ正月気分が残ってるのかな。 葱:正装して一列に並んでいる小瓶達。いろんな国からやって来たいろんな顔。)

●君居りて旧正月の祝いあり=男剣士
○雪△前=3点
(雪:素敵な愛情表現ですね〜。)

●合格のアパート探し旅の空=五六二三斎
○ス△雪=3点
(ス:希望に満ちた感じ! 雪:経験あり!ほとんど旅行気分でした。 資:梅散るやまだまだ続く神頼み。)

●蜃気楼見得ず地球儀からからと=夏海
△木、ス、砂=3点
(ス:ゴアの映画を連想。)

●通勤の背中押しけり春疾風=雪絵
○五△メ=3点
(五:東京の中年サラリーマンの活躍が目に浮かびます。頑張れ、S君!もうすぐ春だよ! ス:花粉症にも逆風にもへこたれないでがんばれ! メ:向かい風だったら行きたくなくなるかも。 資:はるはやてに押されて通勤電車に乗ってみたい。毎朝,「着膨れの背中押し込む鉄道員」だもの。)

●落椿今朝はいくつや数ふ道=スライトリ・マッド
△メ、香=2点
(メ:楽しいような悲しいような散歩道)

●紅白の梅や静かに人を待ち=男剣士
○百=2点
(百:香りで誘う。)

●コンクリート影絵芝居や榛の花=入鈴
○ス=2点
(ス:色も形も地味だけど、きっといい役者さんね。 葱:図鑑で「榛の花」を見て、納得。)

●聖バレンタインの日の猫の髭 男まえ=入鈴
○二=2点
(葱:「聖」を付けたのがいい! 猫好きじゃなくてもそんな感じがする。)

●節分の豆を数えて福は内=メゴチ
○ア=2点

●水温む川面に汚れし小型舟=男剣士
○木=2点

●海雲吸ふはてなと思て生きてこな=葱男
○入=2点
(葱:「海雲」「水雲」で「もずく」=春の季語でした。 入:海雲?どんなものか判らないが、生命を詠んでらっしゃると解釈。)

●知恵の輪に挑みて敗る二月尽=前鰤
△葱、雪=2点
(葱:写生句には力がある。 雪:解けない時のもどかしさ、よくわかります。)

●鴬の声に合わせて球を打つ=メゴチ
△前=1点
(入:テニスではなく野球のノックかな?)

●梅の香や父子ともバツの自分チョコ=喋九厘
△入=1点
(入:言葉も無かです。)

●気張れどもここに尽きたり如月句=前鰤
△百=1点
(百:もう力尽きたって感じ。)

●旧市街ミモザ咲き満ち海に抜け=木陰
△二=1点
(葱:どんな街のどんな通りなんだろうって、想像が膨らむ句ですね!)

●しだれ梅坂の先にも茶屋のあり=資料官
△君=1点

●知り合いと三人出会ふ春の宵=五六二三斎
△喋=1点

●ヘ長調春告鳥のルフランや=スライトリ・マッド
△メ=1点
(メ:ヘ長調なんだ? 葱:音的には僕なら「ハ長調」だけど、単純すぎる? 入:へ長ならカッコウのほうが?でも鶯の鳴き声をそうと聴いたところが面白いと思いました。)

●細き葉や黄金の台(うてな)のクロッカス=入鈴
△五=1点
(五:585になっていますが、切れをつくるためには仕方なし?いや、「黄金うてなの」でもよくない? 葱:僕は「黄金」で「きん」と読みました。)

●目覚めたる龍の化身や雪解水=水音
△資=1点
(葱:雪国の雪解け水は半端じゃないんですかね。)


【無選】

●菜の花の働き蜂も花粉症
(百:んなわけないでしょう、つっこみいれたく。)


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