*A部門入選作発表*

当季雑詠*全46投句(入選33句)

【特選】

一席
●三才の落書きの汽車日脚伸ぶ=五六二三斎


◎雪○葱、夏、水、二、砂、前、入△資、ス、君=20点
(雪:春が来たらこの坊や?の描いた汽車で旅行がしたいなぁ。 葱:昔、枕木にいろんな色のチョークで落書きをしたような記憶があります。遠い土地への憧れもあったのでしょう。 夏:心身伸び盛りの三才児の落書き、「日脚伸ぶ」がピッタリ。 入:老若の一日の早さの感じ方を、汽車と日の脚? 資:汽車好き,なんてかわいい孫でしょうか。この歳でしたら汽車に乗せても覚えているし,後々その写真を見せていたら,彼の記憶は一生ものですね。 ス:今もその落書き残ってるんでしょうか?きっと名画ね!)


二席
●家解かる冬芽の梅の在り処=夏海


◎香、二○百△喋、木、水=11点
(香:家解かる、、在り処、、趣あることばですね。 百:家がなくなっても咲く梅の哀しさ。 葱:う〜〜む、句が老成してるなあ〜。)


二席
●着ぶくれてみやげに撰ぶあんこ玉=葱男


○五、ス、入△男、雪、メ、百、砂=11点
五:あんこ玉がレトロでよろしい。40年前の頃を思い出させる。 ス:ユーモラスで楽しい! 入:粋筋系の句?舞妓さんへみやげのあんこ玉のことですか?着膨れの哀感、面白いと思いました。 男:孫への思いか。 雪:思わず、くすっ!糖尿病にご注意を・・。 メ:今の寒い季節の中で気持ちが熱くなるひととき。 百:「着ぶくれ」と「あんこ玉」がなんだかユーモラスで、ほのぼの。)


二席
●自傷する少女風花を見ている=水音


◎五、君、砂△葱、二=11点
(五:句またがりの変調句。切れをつくるにはこれでよいのかも?自傷する少女は作者のことか?もしも、あの時に句に出会っていたら、あなたは今や日本的な女流俳人かな? 君:破調により不安感が増幅されて感じられます。 葱:早く自己嫌悪から逃れ出てほしいですね! 今は良い薬があるから早めに神経内科に診てもらうのもいいかも。)


【入選】

●肩の荷をひとつ解いて春を待つ=雪絵
○喋、香、木、君△夏、入=10点
(香:受験が終わった?やれやれですね。 夏:そういう風に早くなりたい。 葱:やっとひとり、子供さんの進路が決まって、御本人もほっとされたのでしょう。 入:お雛様を飾る時、仕舞うときに同じ気持ちなったことあり。)

●襖絵に音無き瀧は轟けり=夏海
◎ス○五△香、百、砂、入=9点
(ス:どこかでそんな襖絵見たなあ! 五:襖絵の中に躍動感があり、もの哀しさもあり、よい句です。 葱:きっと素晴らしく臨場感のある筆致なのでしょうね。 香:敢えて、音無き瀧ということで、強調されて力強いです。 百:同じものを観た感動同感。季語は何? 入:たぶん一緒に観た「襖の瀧」でしょう。既に絵に音無きを含むのでどちらかは要らないかなあ?私は流れ落ちる瞬間を、畳の間に封じ込めてしまう幻のほうに、興味がありました。)

●花魁の雫に覚めし冬の梅=五六二三斎
◎入○ス△男、二、前=8点
(入:艶やかさ、寂しさにちょっと魔法もあっていいなあ。 ス:梅の枝にきらきらと光る雨の雫の美しさ! 百:「おいらん」?ッてどういう情景?、選ばなかったけど質問。)

●餅花の咲きし神棚古びけり=君不去
◎百○資、水△二=8点
(百:華やかな餅花で古びて見える神棚に注目したのが新鮮。 水:餅花と古い神棚の色の対比でそれぞれの色が生きている。)

●雪催七年のちの一句かな=葱男
○雪、砂△夏、五、喋、二=8点
(雪:七年のち?還暦?ヤダ〜!! 夏:良くわかる! 五:砂太先生曰く、「一句とは?がよくないか?」句歴が10年になった時にどんな進化があるのか?楽しみ!)

●垣中に華やぐ宴や初雀=君不去
◎葱○メ△百=6点
(葱:お正月に見る雀はなんだかいつものチュンチュンも華やいだ声に聞こえます。のんびりと、心にゆとりがあるからでしょうか? メ:すずめの声が聞こえてきそうです。 百:そう、垣根の中でちゅんちゅくやってます。)

●風疼く子のふたりならふたり分=雪絵
◎喋○前△五=6点
(五:やさしい母親の気持ちが伝わってくる。 葱:「風疼く」が厳しい表現ですね。心配ばかりかける子供さん、なのでしょうか?)

●ちちははの賀状のんびり届きけり=資料官
◎前○葱△水=6点
(葱:今年は郵政民営化の影響で大幅に年賀状の配達が遅れたようです。 水:確かにそうですね。)

●津軽野のはるかな橋や雪の舟=入鈴
○君、前△喋、水=6点
(君:墨絵の景が美しいですね。 水:暖冬でも津軽は雪にうずもれてるだっぺ。)

●百年のいのちのバトン春隣=五六二三斎
◎水△夏、雪、砂=6点
(水:千とか万の方がはまるような気がするんだけど私の解釈が違っているかも。 夏:春は命の営みの季節ですね。 雪:スケールの大きさに感激しました。)

●うつむいても水仙の上昇気流=入鈴
◎夏○雪=5点
(夏:「上昇気流」!寒さの中でもパワーを貰えそう。 雪:健気に生きる姿、見習いたいです。)

●番犬のゆるく寝そべり春近し=水音
○メ△雪、香、君=5点
(メ:最近の暖かさとマッチしているようで。 雪:番犬も無防備になる春!? 香:のんびり感が何ともいえず。 君:番犬なのに”ゆるく”がいいな!)

●カンカンの北極颪に道固く=ひら百合
○香△ス、君=4点
(香:北極颪なんて、文句なく寒そう! ス:北極おろしは造語かな?!)

●さらさらと崩れる雪や口笛に=入鈴
◎木△ス=4点
(ス:湿気のない雪ですね!スキーがしたくなりました。)

●遠眼鏡覗く暮らしや百合鴎=香久夜
◎資△木=4点
(葱:海か川のすぐ傍にお住まいなんですか?羨ましい。)

●破魔弓や福的射ぬけ鈴鳴らし=君不去
◎男△資=4点
(君:館山安房神社へ初詣へ。 男:正月らしい場面が。 資:五拾代の男にはまねできない強引に福を引き寄せようとする力強さを感じました。)

●久々の夫唱婦随や冬ぼたん=資料官
○男、夏=4点
(男:最近二人で歩くことがなくなった。 夏:睦まじいご夫婦の姿、ほのぼのですね。)

●松明やつまさき立ちてうひの場所=葱男
○資△二、メ=4点
(資:何が見えたのか興味があります。 メ:初場所ではなくうひの場所としたのがいい。)

●切干や東シナより風巻かむと=スライトリ・マッド
○木△香=3点
(香:字余りが気になるのですが、大きくて、迫力あるので。)

●手軽さのパックに整う七草や=ひら百合
○男△葱=3点
(男:パックの便利さが風情を・・・。 葱:便利なような味気ないとうか。)

●細き首雨に折られし水仙花 =木陰
◎メ=3点
(メ:水仙花って何か儚い感じだよね。 葱:かわいそう〜。)

●茜雲行き逃げ去るや三学期=喋九厘
△木、前=2点
(葱:1、2、3のリズムあり。 入:三学期というのは実にせわしい。毎日の下校も、もう茜雲かと目の端に見ながらだった。)

●七草の菜にあてがいて名の残る=香久夜
○喋=2点

●冬枯れの庭も楽しや花想い=木陰
○百=2点
(百:同じ想いです。)

●隅田川そぞろ歩いて初場所へ=メゴチ
△入=1点 (入:気持ちのいいお句だと思います。 葱:春のうららの隅田川♪)

●セーターに温き閉じ込め歩みだす=水音
△男=1点

●七草や幼き声のもらいずせ=スライトリ・マッド
△五=1点
(五:七草句の中で一番よかった。「もらいずせ」の意味がいまいちわからなかったけど?よい響きで頂きました。 葱:「もらいずせ」がさっぱり分かりまっしぇん。) 

●盛塩の旗めいており初詣=ひら百合
△資=1点
(資:なぜかめでたさを感じました。)

●雪国に雪の影なし緑あり=前鰤
△葱=1点
(葱:暖冬だあ〜。)

●路地裏に凛とあでやか寒椿=木陰
△メ=1点
(メ:椿は何故か裏庭とか路地裏が似合う。)

【無選】

●あら不思議つくし菜の花ボケも咲き
(葱:地口附、洒落附の世界に近いような。)

●白葱の湯気舞い踊る一人飯
(入:一人鍋でしょうか?葱の香りと湯気まで踊ってくれて、表現に悲愴感なくていい。)

●寝て待たば後に果報か玉子酒
(葱:風邪ひきの楽しみ方。 入:懐かしい。今はせっかちに薬で抑えてしまいます。この句のように、余裕もてばよかとに。)

●物干す手の悴めり真白き朝
(葱:この、六、五、六の破調は面白い。 香:句またがり?全体で、17文字に収まってます。)

●早咲きの湯島の梅にいい予感
(葱:切れるの別れるのッて、そんな事は、芸者の時に云うものよ。……私にゃ死ねと云って下さい。ま、鏡花も最後にはお蔦さんと結婚したみたいで。)

●臘梅や隣の庭からこんにちは
(葱:うー、素直すぎるうー。)


A部門入選作

創刊号 第二号 第三号 第四号 第五号 第六号・新年号 第七号 第八号 第九号 第十号 第十一号 第十二号 第十三号 第十四号 第十五号 第十六号 第十七号 第十八号 第十九号 第二十号 第二十一号 第二十二号 第二十三号 第二十四号 第二十五号 第二十六号 第二十七号 第二十八号 第二十九号