*A部門入選作発表*

当季雑詠*全50投句(入選32句)

【特選】

一席
●主なき鏡台跡や畳替ふ=夏海


◎香、入○二、前△葱、君、百、雪、資、砂、里=17点
(香:鏡台っていろいろなことをものがたりますね。儚さ、せつなさを感じます。 入:切なさもあるけれど、畳を替えてからの未来にも目がいきます。色んなことを考える句。 葱:亡き母のおもひではおもいでのまま、畳替えの日がやって来るのであった。 百:主がいない寂しさ。)


二席
●切り貼りの祖母の手になる冬障子=ひら百合


◎君、資○香、木、里△水、雪、ス=15点
(君:ぬくもりのある障子を感じます。 資:なかなか障子のある広い家というのには縁がなくてね。 香:大掃除の時に改めておばあさんの仕事に想いを寄せられたのでしょうね。 水:切り張り〈貼り?〉と祖母がしっくりきます。 ス:梅の花の形に切り抜いたのとかね。 入:「祖母の家」とかの句集ができそう。)


三席
●中空に止まりしひと葉冬の風=君不去


◎木○喋、ス、五△男、メ=11点
(男:北風の厳しさを感じます。 ス:吹き上げる風と引力の法則との微妙なバランスね。 五:類句、類想句もあるかもしれませんが、今回の句の中では気に入りました。 メ:すごく寒そうです。)


三席
●果ての月人待ち顔の蒲団干す=夏海


◎メ、前○葱、入△君=11点
(メ:帰省してくる子の布団かな? 葱:わが子よ、たくましくなって帰って来いよ! 入:家庭にあっても、一人身であってもこういうイメージは持っていたいです。 君:子供達の帰省を待ってまさしく同じ状況でした。)


三席
●ポコポコと歩いているよ冬日和=葱男


◎喋○君、メ、ス、砂=11点
(君:かわゆい! メ:なんだか楽しくなる句です。 ス:ポコポコと が面白く、ほかほかした気分に。)


三席
●牧師にも子の悩みありクリスマス=木陰


◎水、砂○夏、前△男=11点
(水:超越して達観してるような人も我々と同じという意外さがいい。 夏:どんな人にも親としての重荷があるものですね?! 前:近所にあるお寺の子供部屋には、クリスマスツリーが飾られていました。サンタは来たのでしょうか・・・。 男:誰にも悩みが。 入:私の友人の夫の牧師さまはツマゴイ拓郎に行ってきました。)



【入選】

●窓際の愚痴聞き流すシクラメン=資料官
◎百、五○砂△水、木=10点
(百:知らん顔したシクラメン。愚痴を言う自分がいる。 五:窓際族の心境か?家庭の窓際の出来事か?いずれにせよ、聞き流すという言葉がよろしい。今回の一番の佳句ではないでしょうか? 水:日差しを浴びながらシクラメンに向かって愚痴るさらっとした感じがいい。 葱:我関せず、我が楽しき道をゆく。)

●言の葉のあやとり酔ひし年忘れ=雪絵
○水、五△二、夏、香、資、砂=9点
(水:言葉のあやとりという言い方が新鮮。 五:言の葉のあやとりという言い方が気に入りました。砂太先生なら「言の葉のあやとりに酔ひ年忘れ」にするそうです。ただ、年忘れと酔ひがつき過ぎなのですが、よい句です。 夏:俳句、楽しんでますよね。 香:言葉のあやとり?おもしろい表現ですね。)

●初雪や合掌の屋根天仰ぐ=五六二三斎
◎葱○二△夏、前、木、ス=9点
(葱:白川郷の情景か? 美しき日本の原風景ですね! 夏:雪の合掌郷が目に浮かびました。 ス:白川郷の合掌作りでしょうか?祈りを思わせる句。)

●八十年孤児の叔母葱畑=五六二三斎
◎夏、ス△香、里=8点
(夏:この破調の句、イメージが広がって小説が書けそう。 ス:かなしさの中に明るさと強さが感じられて。 香:叔母さまへの感謝の気持ちや愛情をかんじます。 入:八十歳台と思われる叔母様と葱畑に乾杯。)

●裸木の枝縦横に二羽の禽=スライトリ・マッド
◎雪○君△木、五=7点
(五:裸木の寒々さと元気な二羽の禽の取り合わせがよろしい。枝縦横にもよい表現。)

●鐘の音や影に尾を引く冬至の日=水音
○メ、資△二、喋=6点
(メ:「影に尾を引く」がいいです。 資:昼過ぎるとたちまち日が傾く冬至の頃をうまく表現。 葱:短日の感ひとしほ、いとほしき一日の日差し。)

●冬の梅そなたの鼓動たしかむる=葱男
◎二○雪△夏=6点
(夏:梅は もう確かに春の準備をしてます。)

●古日記尋ねてみたき過去のあり=雪絵
◎男△百、五、里=6点
(男:昔のままなら良いのでしょうが。 百:忘れていたことを思い出す年齢でしょうか。 五:類句、類想句はないか?と考えましたが、どんな過去が隠されているのか?知りたくて選句!あなたの過去など知りたくないの♪かな〈笑〉?)

●懸け大根ベランダ越えし八津干潟=入鈴
○木△水、喋、前=5点
(水:この大根はベランダにほしてあるんですよね。近景の白と遠景の水の対比ですよね。 前:マンション群のベランダでしょうか。八津(谷津?)干潟一周はちょうど良い散歩コースでした。 葱:八津干潟には水鳥がたくさんおるとでしょうね?)

●紅一点みどりに山茶花浮き出づる=香久夜
◎里○男=5点
(男:艶やかですね。)

●柚子湯して昭和の歌を口遊ぶ=水音
○夏、喋△葱=5点
(夏:共感しました! 葱:昭和しかないっしょ、僕らの世代のテーマは。 入:柚子湯に昭和の歌の取り合わせがいい。でも口すさぶというと、古風な歌のような気がします。)

●母からの柚子を浮かべて長湯する=資料官
○百△香、入=4点
(百:母のことを思いながら・・・。 香:柚子湯の句では、こちらに一票。ことばの並びがいいですね。 入:お幸せそのものですね。 葱:母の愛をおもひ、その贈り物をその香りとす。)

●衆生の闇佛身に積み煤払=夏海
○雪△里=3点
(夏:南蔵院涅槃像お身拭い【12/26】。)

●一人身のイルミヌーション自殺行為=裸猿
○葱△喋=3点
(葱:雪女郎撲滅運動成果なし。 喋:ヌーションから、沼宮内から三陸に抜ける峠道を連想。凍てついた峠の一軒家でイルミヌーションを灯しても、一人身には寂しさが増すばかり。作者様、勝手に物語を作ってしまい、すみませんm(_ _)m)

●冬去るや銚子電鉄ぬれ煎餅=喋九厘
○男△資=3点
(男:多くの人に集まって欲しいですね。 資:ぬれ煎餅頼みのローカル電車,JR銚子駅のホームの端から出ている。昔,夏乗った「澪つくし号」はいがだ。Railwayもの,採る。)

●冬鳥も好みあるらし紅き実なれど=木陰
○百△ス=3点
(百:そうそう、赤い実でも残ってしまう。 ス:そう全然食べられてない赤い実がある、ある。 入:つつましい観察かもしれないけれど、なるほどと思わず相槌をうってしまいます。)

●実南天つぎはぎデニム踊りけり=スライトリ・マッド
○水△五=3点
(水:美南天は確かにむっちりと元気よさそう。 五:これも、取り合わせの妙かな?実南天の静とデニムの動!デニムには赤い実の刺繍があるのでは? 葱:どうなってんのよ、この国の美意識は?)

●山裾を行き交うかな除夜の鐘=五里
○資△入=3点
(入:鐘の音も人々も行きまじえて、空間に広がりも。)

●漱石忌ロンドン帰りの友の墓=資料官
△二、雪=2点

●年用意長きリストを走り書く=水音
○香=2点
(香:年用意か、、、こまめにおせちの準備する様子が見えます。 入:とても正しい年の瀬のあり方を思い出させてくれます。)

●離れ居て元気問ふ父冬日入る=君不去
△入、砂=2点
(入:冬日にぴったりな取り合わせだと思いました。)

●マフラーをゆるく合わせし博多の街=入鈴
△百、メ=2点
(百:博多はホントに暖かい。 メ:今年は暖冬だもんね。)

●娘子とあと幾度の除夜の鐘=雪絵
△男、前=2点
(男:いつまでも置いておきたいがそうもいかず。)

●六花オーガンジーを首に巻き=スライトリ・マッド
○入=2点
(入:むつのはなと読みをとるのに手間がかかりすみません、選んでいたと思います。)

●初氷きゃ〜きゃ〜と声響き=五里
△メ=1点
(メ:幼い頃を思い出します。)

●持ち越すやアナログ頭の年忘れ=前鰤
△葱=1点
(葱:同じ間違いを何度でもくり返して懲りないのが人間ぞ!)



【無選】

●イブゥの夜ポインセチアと篝火花
(葱:篝火花ってシクラメンのことなんやね。)

●竈ねこ図書館らいおん第九鶏
(葱:第九鶏っちゅうのがいまいち分からんやったあ〜、ベートーベンの第九なんか?)

●師走来て流れる読経の悲しけり
(入:読経の流れる師走というだけで、悲しさは漲っているから、師走来て読経流れし小路かなとか、夕まぐれとか?うーん、こだわりたくなるお句でした。)

●年の瀬や 行く歳無くて また歳溜まる
(葱:腹の脂肪もまた溜まる。 入:年と歳は違う方向を向いていると改めて。)


A部門入選作

創刊号 第二号 第三号 第四号 第五号 第六号・新年号 第七号 第八号 第九号 第十号 第十一号 第十二号 第十三号 第十四号 第十五号 第十六号 第十七号 第十八号 第十九号 第二十号 第二十一号 第二十二号 第二十三号 第二十四号 第二十五号 第二十六号 第二十七号 第二十八号