*A部門入選作発表*
当季雑詠*全44投句(入選36句)
【特選】
一席
●かいなよりあふるうぶごえ風光る=香久夜
◎五、夏、雪、ス、砂○水=17点
(五:「風光る」という季語との取り合わせですが、春の母親と赤ちゃんのうぶ声!春らしくていいですね。 夏:可能性いっぱいの赤ん坊と 季語「風光る」との絶妙の取り合わせ! 雪:輝く生命の誕生ですね、幸多かれ! ス:大きな泣き声は元気の証拠!フィクションでなければ、おめでとうございます。 水:赤ちゃんの生命力と腕に抱いた喜びが季語によって鮮明になってる。 葱:「あふる」がちょっと苦しそう。 入:春風や、とかじゃいけませんかね?三月だと、光るはもっと北の地方の様子?)
二席
●忘れ雪子らのなかなか帰り来ず=水音
◎前、君○男、香△入、雪=12点
(君:何気ないところが好きです。 男:雪を追い掛け回しているのか。 雪:このごろめっきり雪が降らなくなりました。 入:忘れ雪だからぽっと帰ってきたりして。)
三席
●花恋ふる日ごと蕾の重さかな=雪絵
◎メ、資○久△夏、男、百=11点
(メ:春の重さを感じる句です。 資:日に日にほころんでゆく姿をじっと見入る気持ちが伝わってきます。 夏:桜を待つ日本人の期待感。 男:咲くのが待ち遠しい。 百:期待して待つ気持ち。 葱:お花見が待ち遠しいです。)
【入選】
●ミモザ咲くキリンの舌の太きこと=夏海
○葱、入、ス、砂△水、雪=10点
(葱:写生がうまく二句一章にハマった感じ。 入:黄色のミモザの花のほわほわ感と、キリンの舌の食む力とか面白そう。 ス:ミモザとキリンの黄色が元気で明るくていい感じ。 水:確かに舌は太くて長くて、、、。)
●一叢のすみれの割りしアスファルト=夏海
◎入、水○メ=8点
(水:春の命の強さを感じる。 入:ひとむらと読ませてもらいました。万葉からアスファルトへと菫はたくましい。 メ:健気さより儚さを感じる。 葱:「すみれ」の強さを表すのに「一叢」が鮮やか。)
●老父母の家近まりし沈丁花=雪絵
◎百○葱、前△砂=8点
(百:香りによって距離が分かる。 葱:老父母に対する穏やかな心情がよく表れています。 入:沈丁に古いゆかしさが含まれて、老は要らないのではないかと。 )
●明日咲くや木蓮と陽を分かち合う=香久夜
◎葱○資△君、久=7点
(葱:まだ咲き初めていない木蓮の傍らに立ち、天から与えられた食べ物のように陽を浴びる。「分かち合う」に人柄が滲み出ているようです。 男:陽を分かつというのがなかなか)
●片栗の花医学書を開帳す=葱男
○喋、夏、君△前=7点
(夏:片栗は風邪や腹痛に薬効があるらしい。愛らしい片栗の花と硬い医学書の取り合わせが面白いし、説得力もある。 前:分厚い医学書で押し花を作る?)
●菜の花や津屋崎行きの古電車=資料官
◎男△五、夏、ス、砂=7点
(男:レトロの風情も廃線になりますね。 五:廃線となった宮地嶽線の句で、ついつい。 夏:一部廃線になった宮地嶽線への惜別の思いに共感。 ス:ニュース見てさびしく思いました。)
●リュック背負う小さき一歩や春の風=君不去
○砂△五、夏、百、久=6点
(五:リュック背負うのは、一年生?歓迎遠足のことでしょうか? 夏:お別れ遠足?春は、子供達の姿がことさら眼に止まる。素晴らしい未来があるように祈りたい。 百:結構強い風が吹くんですよね。)
●うつろひてうつつに生れし馬酔木かな=葱男
○百△前、香、メ=5点
(百:花がぴったり。 メ:「うつつに生れし」というのが気にいりました。)
●遠回りして沈丁の庭ひいき=入鈴
○百、資△香=5点
(百:私もそうする。 資:あの匂いと可憐な花に思わず。沈丁花の句の中で一番分かりやすく。 葱:「ひいき」は言わなくても・・・。)
●花灯路二人を照らしてねねの道=メゴチ
◎喋△久、資=5点
(資:春の京都の花の風情を味わいたいもの。)
●ひと気なき被災の浜や桜貝=水音
○男、君△喋=5点
(男:桜貝が希望を与えてくれますね。)
●ほゐほゐとひとつ山越す狂ひ猫=葱男
○ス△喋、五、香=5点
(葱:植木等氏・追悼。 ス:返句:すゐすゐと車かすめて群燕 こりゃまた失礼! 五:私たちの子供の頃のクレージー・キャッツ!大人の若者たちという感じでしたね。でも、あの頃で既にけっこうおじさんだったのか?)
●痣きつと消え去る日あり牡丹の芽=五六二三斎
○前、ス=4点
(ス:今は辛くてもいつか笑って話せるときが来るよって励ましているみたいでいい。)
●スヰトピーなに色の水母の手に=入鈴
◎香△資=4点
(葱:「水母の手」じゃないしなあ。)
●啓蟄や東京メトロ九段下=資料官
△葱、雪、ス=3点
(葱:「啓蟄」と「東京メトロ」がよく呼び合っているように感じました。 ス:人間も地中もぐって虫みたい! 男:土があるところって。)
●沈丁花真昼の月の真半分=夏海
○喋△砂=3点
(入:わけわかりまっしぇんが、雰囲気が好きです。)
●花楓盛りの錆朱知らぬ間に=ひら百合
○五△君=3点
(五:「知らぬ間に盛りの錆朱花楓」の方がいいようにも思いましたが、よくわかりません。 葱:小さい花やもんなあ。「錆朱」は友禅の代表的な色目。)
●花曇り女性市バスの運転手=スライトリ・マッド
○雪△水=3点
(雪:何だかほっとする感じです。 水:若い花咲くころの女性なのでしょうね。 葱:トラックやタクシーの運転手も女性が多くなりました。 入:花曇かと思ったら、大型免許を持つ女性のバスにたまたま乗っている。気持ちがいいお句。)
●春暑し犬の前あしのそと出る=入鈴
○夏△喋=3点
(夏:前足を投げ出している犬の暑そうな様子!)
●広がりしげんげ田の先幼稚園=五六二三斎
○水△葱=3点
(水:童話の世界の幼稚園のようなのがあるのかな。 葱:「げんげ」を「紫雲英」としなかったのは「幼稚園」だから? 入:幼い頃そのままの風景でしょうか?)
●やよいとふをみなおどりしこひざかな=スライトリ・マッド
○五△君=3点
(五:平安時代、鎌倉時代の匂いのする句ですね。ひらがなにしたことで、民衆の感じが出ています。 君:”こひざ”って何? 葱:「こひざ」って?)
●来年もまた会おうねと雛納む=君不去
○雪△葱=3点
(雪:毎年飾ってあるんですね。ほのぼの〜、です。 葱:そのまんまがいいですね。)
●川風に 崩れ土嚢の 菜の花よ=久郎兎
○入=2点
(入:ぐるっと一回転しても茎を伸ばしている菜の花に見とれたことがあります。)
●けだるさも憂いも掃ふ春嵐=ひら百合
○メ=2点
(メ:嵐のあとはすっきりしたいです。 入:黄沙の嵐は感傷の微塵もない、ぴったり。)
●軒下の 草引き楽し 春の雨=久郎兎
△前、入=2点
(入:こういう時間が懐かしい。)
●蝿とまる硝子の向こう彼岸過ぎ=ひら百合
○香=2点
●ひと降りに緑変へけり春の雨=君不去
△百、メ=2点
(百:一雨ごとに変わるんですよね。 メ:確かに緑濃くなってきますね。)
●一点の翳りもなしや今朝の春=雪絵
△男=1点
(男:爽やかな朝を感じます。 葱:「今朝の春」は季語では「初春=新年」になります。)
●すみれ咲く由布岳優し風の声=喋九厘
△男=1点
(男:由布にすみれは映えるのでしょう。)
●それぞれの出発の時水温む=五六二三斎
△水=1点
●はるうらら海辺にかもめ静かなり=男剣士
△メ=1点
(メ:かもめものんびりしているのでしょうか。)
●春咲きぬ咲いた咲いたと花暮らし=喋九厘
△資=1点
(資:2月末から5月初旬までは気ぜわしい日々。いつの年からこんなことに。 入:気持ちわかる。花咲く春はなんといっても待ち遠しい。)
●もくれんや炊き出しの米ふつくらと=スライトリ・マッド
△入=1点
(入:先日の能登半島の地震の炊き出しでしょうか、木蓮の白の温もりを感じました。)
【無選】
●引越しのコンテナ待つ間や春の雷
(男:引越しは不安と期待が交錯します。 入:季語がぴったり、切れもかっこいい。)
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