*A部門入選作発表*

当季雑詠*全46投句(入選37句)

【特選】

一席
●阿の狛の面欠けてをり春の草=葱男


◎二、入、喋、君、ス○メ、香△久、百、砂=22点
(君:"草"が全体のイメージにぴったりですね。 ス:春の愁いを感じさせる句。 メ:うらぶれた神社が目に浮かんだのですが・・・。 入:ちょっと寂しさもあるのだけど、春の草で着地成功だと思います。 香:顔の欠けた狛犬で一句とは、なかなかできないですよね。 百:「面欠けて」がノンビリとして・・・。 葱:砂太先生は「あのいぬのつらかけておりはるのくさ」と読んで下さったそうです。)


二席
●遍路道振り子時計の指す余白=夏海


◎葱、資、五○香、百、砂△ス=16点
(葱:数字と数字のあいだに目盛りを打ってない時計なのでしょう。 お遍路さんの時間は都会生活のビジネスの時間とは全く違う流れなんでしょうね。 資:人生の余白にて八十八ヶ所巡ることを思う。 五:これは、一番感動の句でした。遍路道をあの人の面影を抱いてみたいな句ですかね。 香:日常から離れ、忘れかけていたものを見つけたような一瞬がよく表れています。 百:失われた時を求めて。 ス:わかんなかったんですが気になった句で。)


三席
●春の蕗愁いもすうと剥いてやる=スライトリ・マッド


◎水、香○入△夏、五=10点
(水:蕗は夏の季語なんですね。「愁い」を「すうと剥く」のがいい。 香:好きです、この句。すじの取れたはだかの蕗、何ともすっきり、瑞々しいです。愁いとの取り合わせがすばらしい。 入:爪の黒うなることばかり気にするけん、これからはこういう心持でスジとりしましょう。 五:怖い句のような気もします。でも、面白い。怖いおじさんか?おばさんか? 葱:そうなれたらもっと蕗、食べるんだけど・・・。)


【入選】

●古き家にいのち灯せり蔦若葉=君不去
◎木、夏○水△百=9点
(水:蔦若葉の瑞々しさをいのちと感じたところがいいですね。 男:主がいない家なのでしょうか。季節は巡る。 百:まだ廃墟ではないと・・・。)

●リハビリに添ひし穀雨の数十分=葱男
○前、入、資、雪△久=9点
(資:暖かい雨が体に効くようです。辛抱強くがんばれ! 雪:数十分の思い、でもいろんなことが凝縮されているような・・。 入:穀雨の雨に励まされる意味を、今年はよく考えます。)

●たんぽぽや岩の割目に隠しごと=スライトリ・マッド
○喋、五△前、メ、資=7点
(五:「たんぽぽの矛盾〜」とどちらにしようか迷いましたが、二句一章句を頂きました。 メ:「隠しごと」というのがわかりませんが、たんぽぽの力強さを感じました。)

●はねかえるチタンの白さはなみずき=ひら百合
◎雪○木、五=7点
(雪:そう言えばはなみずきの白さって、金属的ですよね!意外な取り合わせだと思いました。 五:チタンの白さにじーんと来ました。)

●たゆたゆと舟にゆられて春告魚(メバル)釣り=メゴチ
◎男○久△君=6点
(男:ゆったりとした春の感がいいですね。 葱:擬音語の「たゆたゆ」は「可愛いで賞」!)

●たんぽぽの矛盾かかえて庭しごと=ひら百合
○葱、砂△夏、香=6点
(葱:たんぽぽのぎざぎざの葉を見て、「矛盾」に悩む自分を作者が客観的に見ているのが健気。 香:複雑な日常とたんぽぽの取り合わせで、ほっとするような。)

●アッシジの鐘朗々と桜月=木陰
△夏、入、水、百、五=5点
(水:日本では鐘朧となるも、石造りの街では朗々と響くのでしょうね。 資:外国の話? 百:アッシジと桜月が似合ってます。 葱:最初、アッシジに桜?って思ったけど、なんだか詠んでるうちのそれもなかなかいいなって、思い始めました。「夢見月」や「祓月」よりいいか! 五:アッシジがよくわからないけど、「鐘朗々と」がいいです。 入:あの音のアクセントが快くてとりました。すぐ口ずさんでしまいます。 桜月が今回の二十四節気に合わないかな?もっと鐘そのものを特定したほうが、音まで聞こえてきそう。)

●芝桜小さき庭で主役張る=メゴチ
○男△久、前、雪=5点
(男:心意気に脱帽。 葱:なるほど「役者」と「芝居」でイメージ膨らみますね。 雪:小さいけれど、精一杯の生命力を感じます。)

●清明の朝天神様に礼を言ふ=資料官
○君、雪△ス=5点
(君:清々しい! 雪:身も心も清々しく、感謝! ス:アサテンジンかな? 葱:「朝」なしじゃだめ?)

●生命の階段を解く春の海=五六二三斎
○資、ス△木=5点
(ス:命の源は海からでしょうか? 葱:「階段」の意味が見えてこないんだけど、なんだか気になる句。DNAの螺旋みたいなものがイメージとして浮かんできたけど。)

●脱ぎ捨てし靴の中にも落花あり=水音
◎百△男、喋=5点
(百:臨場感のある情景。 男:桜の舞う庭の掃除をしているのでしょうか。)

●猫の子の餌待ちわびし正座かな=雪絵
◎メ○葱=5点
(メ:礼儀正しく待っている姿が浮かびます。 葱:こんなに躾のいい、上品な猫なら、余計に愛らしくて、愛おしいよね。 香:行儀のいい猫に躾けられてるんですね。)

●葉を剥ぎて幼な子のごと桜餅=葱男
○木△喋、君、雪=5点
(君:"剥ぐ"って方言かな? 雪:大人になって葉も食べられるようになりました。)

●藤の花留学生の夕餉時=五六二三斎
○ス△葱、資、雪=5点
(ス:なんだかほんわかした感じでいいな。 葱:「配合」がきれい! 雪:藤の花には夕刻が似合いますね〜。)

●リラの香に過ぎし異国の雨の庭=木陰
○夏△メ、水、砂=5点
(メ:リラの花に思い入れがあるんでしょうね。 水:「リラの香や」にするともっと広がりが出てくるように思うのですが。この意見どう思われますか?)

●おれと云ふ少女のえくぼ石鹸玉=スライトリ・マッド
◎砂△五=4点
(五:これは、新感覚!この路線は、部長句か? 葱:僕の感覚では「おれ」がちときつすぎるように感じました。地域性があるので一概には判断できませんが・・・。 香:自分のことを、オレと言ってる?ですよね、女の子の素顔が見える、ちょっと気になる句でした。)

●竹の秋今日定年と苦笑ふ=雪絵
○喋△葱、ス=4点
(葱:「苦笑ふ」が面白い。何か複雑な事情がありそう。 ス:春筍を育てながら竹は枯れるのね。)

●花に憑く心の儘やはらと散る=入鈴
○久△資、香=4点
(香:心の儘や がいいなと思ったんですが、憑くというとちょっと重たいかも?と。)

●草餅やいろにかおりに季(とき)込めぬ=君不去
○男△木=3点
(男:季込めぬの表現が。)

●薫風の百年坊主積み重む=喋九厘
◎前=3点
(前:誰の句か、楽しみです。たぶん・・・。 葱:どこで切れるの? 「百年坊主」が分かりまっしぇんです。)

●徒然に花も嵐もちゃっちゃくちゃら=喋九厘
○君△香=3点
(君:丘23游俳ならではの一句! 葱:また違う場面の「ちゃっちゃくちゃら」に期待しよっと。 香:思いっきり遊んじゃいましたね。この語感、博多県外の人に教えたい!)

●惜しみてのこころ届かじ花の舞=前鰤
○水=2点
(水:まったくその通りです。)

●紺碧に 菜の花冴えて 光立つ=久郎兎
△葱、メ=2点
(葱:色を「光立つ」と表現したところが好き! これは提案ですがそろそろ五・七・五、詰めて書いたらどうでしょう? メ:色のコントラストがまぶしいほどです。 男:美しい光景です。)

●聖堂の屋根見ゆ駅は花疲れ=入鈴
○百=2点
(百:駅が花疲れというのがいい。 葱:「駅」が上にかかるのか下に続くのか、ちと判断が苦しかったです。 資:私の見た光景と似ているも,思わずさくらに遭遇した驚き。)

●散り染めて川を流るる花嵐=喋九厘
○メ=2点
(メ:ゆったりした流れであってほしい。)

●菜の花を碗に浮かべて春を食い=男剣士
○前=2点

●薔薇の丈 輪郭強く 風に濃く=久郎兎
△木、君=2点
(葱:うん。うん。確かにそうなんだけど、視点もいいんだけど、強、強、強って感じがしてちょっと辛い。)

●春の潮引き厳島赤鳥居=資料官
○夏=2点

●藤の風銀翼傾ぎつつ下り来=夏海
△入、砂=2点
(入:つつ下り来が、ゆっくり下降していくようで、まったりとした藤の香りとぴったり。)

●行く春や縄文杉は鎮座せり=雪絵
△男、水=2点
(男:人生の1年なんてちっぽけ、くよくよするなってか。 水:季節の千回もの巡りにも動じなかったんですものね。惜しんでなんかいないでしょうね。)

●潮満ちてお濠に通う針魚(さより)かな=入鈴
△前=1点
(前:大濠公園に針魚を釣りに行って、ウナギを釣ってきたことがあります。 メ:大濠公園にさより釣りに行ったころを思い出しました。)

●中腹に大漁旗たんと躑躅山=夏海
△喋=1点
(葱:これは写生なんでしょうかね?)

●学び舎に慣れし頃ツツジ懐かし=久郎兎
△入=1点
(入:55・7になっているようですが、回想の装置?)

●ワンカップおやじの肩に花吹雪=資料官
△男=1点
(男:これこそ酒の極意。)


【無選】

●負われ去るテニスコートに春の蝿
(君:やってしまった!アキレス腱。  葱:入院中、お見舞いにも行けずにごめんちゃい。外科は日にち薬だから、気長に養生して下さいね。)

●土筆摘み男児三人食談義
(葱:「土筆」をどう料理するか、お互いのレシピを話し合っているのでしょうか? 「食談義」がもう少し焦点が決まると選びたい句なのになあ。)

●雲雀野にただ一人在り四面楚歌
(葱:家庭サービスのつもりが「四面楚歌」とは、悲しいなあ男親は。 ん? 違うか?)

●身を捧ぐすべてのものに春の土
(葱:犠牲的精神によって亡くなった方々の墓を詠んだもののような気もするけど、深読みか?)


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