*A部門入選作発表*

当季雑詠*全49投句(入選43句)

【特選】

一席
●はじめての絵本ミモザの芽は赤し=葱男


◎水、砂、二、ス○香△百、雪=16点
(水:赤ちゃんが成長する喜びと希望が小さな赤い芽に凝縮されてる感じ。ミモザが良い。 ス:へえ、ミモザの芽は赤いんだ! 百:孫の絵本なのかな?)


二席
●春泥を踏み立つ市のさんざめく=水音


◎久、香、入○資、夏△葱、メ=15点
(久:泥のイメージは汚いのに、それを活気に結び付けているのがいい。 資:天候不順でも市はにぎやかという意味でしょうか。春泥をふみ立つの表現に惹かれました。 夏:苗物市?生活の活気を感じます。 葱:「踏む」と切ったらどうでしょうか? 「春泥を踏む立つ市のさんざめく」。 メ:何の市なんだろう。)


三席
●目覚めればジュラ紀の匂ひ春立ちぬ=水音


◎夏、君○砂、五△葱、二、ス、入=14点
(夏:”ジュラ紀”、命のパワー溢れる感じが「春」に通じます! 君:取り合わせが面白くて。 五:そのような新鮮な自然ある春だといいですね。ジュラ紀にやられました。 葱:ジュラ紀の匂いを知るはずもないのですが、語感からして、なんとなく水っぽくてウェットな感じしますね。 資:ジュラ紀?恐竜やシダ・ソテツ,何の匂いでしょうか。裏庭のじめじめした匂いかなあ。 ス:カフカみたいね!)


【入選】

●ドーナツの穴の静けさ鳥雲に=水音
◎雪、五○砂、ス△二、喋=12点
(雪:ドーナツを見ても、穴は見えない私には詠めない句。凄いです。 五:ドーナツの小さな穴から見る空の鳥雲!その遠近画法に感服! ス:おもしろ〜い。 葱:面白い! でもドーナツの穴に「静けさ」を感じる感性が自分にはありませんでした。)

●むら雲の朱色あやしき春の暮れ=久郎兎
◎メ○資、前△澄、百、五=10点
(メ:急に冷える夕暮れ時は確かにあやしさをまとっている。 資:神秘的な夕方の雲の色をうまくとらえている。 澄:きれい〜。 百:妖しいのが春。 五:何か物語を感じました。)

●梅を訪ふ女人の深き後襟=砂太
◎葱、百○香△水=9点
(葱:「深き」の措辞が流石です! 「女人」も「後襟」も言い切って俗にならず、素晴らしい! 百:色っぽさと梅が似合います。 水:玄人の女性でしょうか、紅梅が目に浮かびます。)

●淡き陽を集めて眩し福寿草=資料官 
◎澄○久、メ△男=8点
(澄:福寿草の輝き感じます。 メ:なんかゴロがいいので。 男:これから本当の春ですね。)

●うかれ猫身体でつくるL-O-V-Eの文字=スライトリ・マッド
○二、君、前△五=7点
(君:春!ですね。 五:ひょうきん猫句で面白い。)

●きさらぎや筑波の尾根の線硬く=入鈴
◎資○ス△久=6点
(資:富士山もそうだが,冬は遠くの山が鮮明に見える。線硬くとの絵画的表現が良いですね。 ス:きさらぎの響きと線硬くが合う! 葱:「きさらぎ」を平仮名にしたところが眼目ですね、秀逸。)

●春うれひ待合室のモーツァルト=葱男
○雪、君△香、入=6点
(雪:病院の待合室でしょうか?不安な気持ちがモーツァルトの曲で少し和らいだのでは・・。)

●大豆腐四丁供養の針まばら=夏海
○二△資、香、君=5点
(資:豆腐が大き過ぎたのか,供養する人が減ったのか。)

●紅梅の遠く烟れる都府楼趾=砂太
○水△夏、五、ス=5点
(水:「紅梅」は大宰府にあるのでしょうか。うらうらと柔らかい感じ。 夏:遠景の紅梅は本当に烟っているようで美しい。 五:烟れるに感服しました。 ス:きれいですね!)

●ジヨギングの春色ジヤージすれ違ふ=雪絵
○百、五△葱=5点
(百:ジャージが新鮮。 五:春らしくてよろしい。 葱:何色かは特定せずにあちらもこちらも「春の色」としたのがいい加減そうで逆に肩の力が抜けている。)

●春風が鳩を追ふ子の髪に吹く=雪絵
◎男○久=5点
(男:光景が浮かびます。)

●姫君のひひな道具の鋸と鎚=夏海
◎喋○水=5点
(水:豪華な雛の道具に鋸と槌という意外性が面白い。)

●じつとして耳澄ましをる餘寒かな=五六二三斎
○百、雪=4点
(百:何を聞こうとしてるんでしょう。 雪:こちらまでゾクゾクしそうな寒さ。)

●月灯り蕾も解けて雨水かな=喋九厘
○メ、入=4点
(メ:「蕾も解けて」がいい。)

●土手青む人の通りし草の跡=雪絵
○葱、澄=4点
(葱:下萌えが始まり、人の踏み締めた足跡がしだいにあらわになった様子に、春の運気がよーく表れています。「通りし」は「通ひし」と柔らかく、どうでしょう? 澄:草の香りがしてきそう)

●神籤結ふ人群の上の梅つぼみ=君不去
○夏△百、水=4点
(夏:情景がはっきり見えて良いです。 百:いい情景です。 水:梅の上から眺めているような鳥瞰的な景色が見えます。)

●荒ぶるや氷見の海から雨晴(あまはらし)=喋九厘
○入△前=3点

●義歯装填ややサイボーグ春の土=葱男
△二、喋、入=3点

●里山をせなにあてなる紅梅かな=入鈴
○喋△君=3点

●静けさを切り裂きつるむ猫の恋=メゴチ
◎前=3点

●ちぐはぐな鍋の賄い寒戻る=入鈴
△砂、二、前=3点
(葱:冷蔵庫の中残り物をぶっこんだ、オリジナル鍋か?)

●ひな菊やみどりご生まる知らせ来る=スライトリ・マッド
△資、夏、喋=3点
(夏:おめでとうございます。新しい命と春は相性が良い。)

●ふるさとや白一色のふるさとや=前鰤
○男△澄=3点 (前:白一色は季語にならないでしょうか? 男:久しぶりの故郷ですか。 澄:感極まってる感じです。)

●壱万弐千参拾九羽鶴帰る=夏海
△資、砂=2点
(資:これは出水の鶴ですね。12,039羽が今年の公式の記録。うまいなあ。 葱:「日本野鳥の会」万歳!! ん?)

●くるりんとひばりも唱ふ麦畑=喋九厘
△男、メ=2点
(男:「くるりん」が気に入りました。)

●紅白の梅咲く時や父母の声=五六二三斎
△砂、ス=2点
(ス:愛情が感じられます。)

●残雪をのぞみでパシャリ富士の山=メゴチ
○澄=2点
(澄:新幹線から写真撮られたんですね! 資:富士山も見るには山側のE席に座ります。新富士駅前後がうまく撮れますね。ただまだ真っ白。)

●庭の梅一人だけ知る半世紀=五六二三斎
△久、雪=2点
(雪:梅を見ながら自分の人生を振り返っているのでしょうか?)

●春の空紙飛行機の吸はれゆく=砂太
○葱=2点
(葱:春の空に吸われて消えてなくなる、なんてことあるはずないけど、なくなったっていいよね、春だから。)

●平壌の春や来べきか新世界=ひら百合
△澄、夏=2点
(澄:北朝鮮にもホントの春が来るといいですね。 夏:先日のコンサート風景?)

●ふんわりと我に笑まひし梅一輪=君不去
○喋=2点

●ポンコツの身にふりつもる粉雪かな=前鰤
○男=2点 (男:悲哀を感じるにはまだ早い。)

●まぶしさに眼の裏暗き雪の朝=ひら百合
△久、君=2点

●薄氷こわごわ踏み割る兄妹=男剣士
△香=1点

●残雪の融け行く流れ板屋かな=男剣士
△雪=1点
(雪:「板屋」とは、背振山中腹の板屋地区のことでしょうか?以前ここにあった 板屋分校には、小学六年の時に深い関わりがありました。いつか尋ねた時には既に分校はなく、周りも大きく様変わりしていて、とても悲しい気持ちになったことを思い出しました。古き良き時代の大切な思い出の一つです。)

●煮凝りや妻のこだわり胚芽米=資料官
△二=1点

●春浅し神田まつやの窓あかり=資料官
△水=1点
(資:創業明治17年、江戸の蕎麦の味を現代に引き継ぐ神田まつや。 水:調べたら美味しそうな蕎麦屋だった。蕎麦が食べたくなった。)

●春時雨えのきのぶぶ茶すうるりと=スライトリ・マッド
△メ=1点
(メ:「すうるりと」がいい。)

●春疾風右往左往の人模様=君不去
△前=1点

●ひさかたのコート手に持つひかりかな=前鰤
△男=1点
(男:コートもそろそろ・・・。)


【無選】

●逝った友まだ信じ難く葱刻む
(葱:亡き友に誕生日来る春の雪 葱男。)




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