*A部門入選作発表*

当季雑詠*全52投句(入選43句)

【特選】

一席
●住み込みの夫婦の訛り初大師=五六二三斎


◎二○葱、久、砂、喋△ス、水、香=14点
(葱:俳趣ってのですかね、ありますね、雰囲気。 ス:方言っていいもの! 水:故郷を思う気持ちと信心深さが訛りによって際立っている感じです。 香:ほっこりするような、なごみとお大師さんという繋がりがぴったりです。)


二席
●地の底の星とはならず福寿草=砂太


◎木、五○資△夏、澄、喋、入=12点
(五:よく批評できませんが、何となくキリスト教的雰囲気に思いました。 夏:よくぞ地上に出てくれた、という花への感謝と慈しみ。 入:地の底とまでは?蕾のまま土から半分くらい、顔を出している期間が長い。☆この花はまさしく金色。 葱:この感覚はとてもユニーク。感性が若い!この句も戴きたかったひとつ。)


三席
●語りぐさ身丈に余る鯨銛=夏海


○葱、二、砂△木、水、雪、香、入=11点
(葱:着想が素晴らしい!表現の仕方も上手い! 水:どれだけ大きい銛なんでしょうね。 雪:年老いた漁師の自慢話が聞こえてきそうです。入:素材が新鮮で豪快。鯨って冬の季語なんですって!モリというのはそんなに大きいの?)


三席
●山茶花やこぼれ落ちたる時の数=水音


◎資○雪、澄、前△夏、メ=11点
(資:おおよそ半月入院していた母が退院したとき、玄関の山茶花が結構落ちていて,その風景を思い出した。いい句です。 雪:時の流れを花びらの数で知る。この繊細さには脱帽です。 夏:「時の数」、上手いなあ。 入:山茶花の花は椿と違い、なかなかこぼれ落ちないだけに、惜しい。)


【入選】

●時化の宙(そら)紙のつばさや冬鴉=入鈴
◎葱○木、香、澄△前=10点
(葱:「紙のつばさ」に参りました。 香:冬の冷たい厳しい風がよく表されています。)

●白梅や文字の滲みし絵馬ひとつ=資料官
◎男○水△久、二、夏、前、メ=10点
(男:古い絵馬の感じが好きです。 水:端正な白梅とその逆の滲んだ文字の対比が、絵馬の願いの強さを表すよう。 夏:受験シーズン、切実なお願いがあることでしょう! 入:亡父の戦友会は白梅会といいましたので、絵馬にもいろいろあるのかも。 葱:文字の滲み、雨に打たれたのか?戴きたかった句です。)

●苛めつ子いぢめられつ子土竜打つ=砂太
◎夏、雪△ス、水、香=9点
(夏:子供の行事にも社会の縮図が・・・。 雪:文句なく大好きな句です! ス:もぐら打ちって季語があるんですね?! 水:両方とも同じように土竜を打つってところが微笑ましい。 香:こんなに1つのことに夢中になれれば、いじめも、はしかみたいに過ぎていくんですよね。 葱:楽しい時には喧嘩なし!)

●純白のひかり集めて冬牡丹=資料官
◎澄○男、メ△木、前=9点
(男:箱崎の冬牡丹を思い出します。 メ:清涼感のある情景が浮かびます。 葱:ひたすら美しい!)

●開き戸を少し邪魔して花八手=雪絵
◎入○水、資△砂=8点
(入:字余りになってもやはり八手の花。大楠八反町の社宅を思い出します。 水:知らない間に大きくなって、作者もそれだけ年をとって、、という感慨。)

●福引や愛想の良き娘の列へ=夏海
◎前○君△男、五=7点
(入:そりゃそうだ! 男:そうそう、そうなんです。 五:愛想が大切! 入:川柳でも、とても微笑ましい。 葱:大きく共鳴しまーす! 間違いなく佳句です、が、ああもう手持ちの札が無い。)

●冬空の鴎凛々しく岩となる=木陰
○喋、前△五、資、君=7点
(五:冬空やと切れをつくった方がいいのか?このままがよさそうですね。)

●雪道を原人のごと歩きをる=水音
◎君○入△葱、男=7点
(入:そうなんです。深い雪は蟹股になって、ゴリラ歩き。 葱:「原人」で戴きました。 男:原人の歩きかぁ、なるほど。)

●ガード下寒灯低くくぐりけり=葱男
○夏△久、男、君=5点
(夏:ガード下の音、匂などが伝わってきます。 男:寒いときはこんな句に惹かれます。)

●木彫の顔に罅あり鎌鼬=雪絵
◎香○君=5点
(香:仏像の永く経てきた時を、一瞬の鎌いたちで表現したことに驚きました。)

●冬星の身じろがず吾瞬かず=水音
◎喋○木=5点
(葱:リズムがいい!語感もいい!)

●十万年狂わぬ時計冬桜=夏海
○雪△葱、澄=4点
(雪:正確過ぎる時計と少し狂った桜。私は桜の方かな?! 葱:冬桜との取り合わせが微妙、だけどいい!)

●バリアフリ庭の椿の近づきぬ=香久夜
◎久△資=4点
(久:視点の変え方に感心しました。 葱:すごく共感する句なのですが「バリアフリ」の省略になんか、ひっかかって・・・。)

●ぽつぺんのぽつでこはれてしまひけり=葱男
○香△ス、喋=4点
(香:壊れてしまった様子が、こっけいに描かれておもしろい! ス:おもしろいなあと。)

●雪の晨まだ音のなき信号燈=葱男
◎砂△入=4点
(入:信号灯の色と音も内包している。雪の朝でも?)

●合掌の屋根雪狐の嫁入り=久郎兎
◎ス=3点
(ス:破調だからいいのかな? 葱:美しい日本を象徴する風景。)

●水仙花岬の匂ひいつぱいに=スライトリ・マッド
○二△雪=3点
(雪:岬の水仙は潮の香りもするんですね。)

●それぞれに想い巡らし雑煮椀=ひら百合
○入△君=3点
(入:お雑煮にふさわしい。)

●無量なる光の中に春明けり=澄響
◎水=3点
(水:今年も絶対に良い年になるという期待感が持ててうれしい。)

●蝋梅に夫婦(めおと)メジロの散歩道=喋九厘
◎メ=3点
(メ:こういうのが好きです。)

●凍滝のとき止まりけりヴォルフ音=スライトリ・マッド
○メ=2点
(メ:どんな音だかよくわからないんですが・・・。 葱:ヴォルフ音って、狼の声みたいな音だそうですね。感覚的な句で好きな句です。戴きたかったところですが、いかんせん、今回好きな句がめじろ押しで、残念!)

●ウエデイングのピアノの音色日脚伸ぶ=雪絵
△久、二=2点
(葱:人生に訪れる、いくつかの幸せのうちの一コマ。)

●思ひはや父の歳時記春を待つ=五六二三斎
○ス=2点
(ス:お父様の歳時記を使えるなんてステキなこと。 葱:歳事記がだんだん手に馴染んで来た感じがよーく分かります。)

●片隅に幼き日あり水仙花=五六二三斎
△葱、メ=2点
(入:確かにそういう気がしていたのを、俳句にしてしまう。 葱:子供の頃から好きだった庭の水仙が、何十年も経って大人になってもまた今年、その場所に咲いている。抒情の句です。)

●地吹雪や深紅はためく道の駅=入鈴
○ス=2点
(ス:音が聞こえてきそうです。)

●地吹雪や夜窓を叩き花火する=入鈴
○久=2点

●空に咲く椿の森のねじれ枝=木陰
○五=2点
(五:ねじれ枝に惹かれました。)

●土地鑑で友訪ねしが雪の札=久郎兎
○男=2点
(男:どこに行ってしまったのか。)

●七度(ななたび)のセルフタイマー初写真=ひら百合
○夏=2点
(夏:親戚が集っての賑やかなお正月風景が見えてきます。 葱:「七度」が大袈裟じゃないところがまた、可笑しいね!)

●初釜の母の草履の艶そろう=香久夜
△二、砂=2点
(葱:まさに「女性の品格」ありますなあ〜。)

●初たより蕾を宿す陽の木立=香久夜
○五=2点
(五:二句一章になっています。)

●けあらしや私の…紋別オホーツク=喋九厘
△砂=1点
(資:前回,気嵐は北海道のものだとコメントしたが、宮坂静生の地貌季語のことを書いた本に北陸東北もあると書かれていました。失礼しました。)

●サッカー球蹴つつ歩む子春近し=君不去
△雪=1点
(雪:時々、こんな子いますよね、かわいい!! 入:サッカーも球も蹴るもだぶっている感じがする。サッカーに技競う子の?)

●遠吠えに星の光の冷たけり=男剣士
△木=1点

●飛梅や一輪一輪と春ひとつ=喋九厘
△澄=1点

●初詣かなわぬことの多かりき=男剣士
△入=1点
(入: 約5年ほどそういう経験ありますからあ。)

●はや三日もとの二人の淡々日=ひら百合
△五=1点 (五:ほのぼの夫婦が伝わってきます。 葱:「淡々日」という表現、いい感じですねえ〜。)

●寄りて咲く臘梅のはだの温きかな=君不去 △資=1点
(資:とろけそうな蕾が温かそうでした。 入:博多はもう蝋梅の咲く頃でしょうか。)

●臘梅やデジカメ越しの花さんぽ=メゴチ
△喋=1点


【無選】

●寒の雨早く着きたし暖の家
(葱:気持ち、よく分かる。)

●成人の日の父ひたすら写真館
(葱:毎年の光景。特に娘の父の場合がほとんど。)

●バグダッド百年ぶりの雪に沸く
(夏:素材、良いですね!「沸く」は無い方が余韻が、、、。入:異常気象ではない?平和の予兆であってほしい。)

●ボサノバの音浮遊してちやつきらこ
(葱:面白い!楽しい!)


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