*A部門入選作発表*

当季雑詠*全46投句(入選31句)

【特選】

一席
●冬木立こぶしの固き仁王像=葱男


◎夏、水、五○男、前、雪、入、二△君、喋、資=22点
(夏:拳を握り締めた仁王様と 寒々とした廻りの風景が響き合って。春を待望する気持ちも窺える素敵な句。 水:仁王様も寒さに耐えているんでしょう。 男:仁王も寒さをこらえてか。 五:冬木立と仁王像の対比の妙。寒さを堪える気持ちが出て来る。 雪:仁王像には冬木立がぴったり!旨いですね〜。 入:木立と仁王像なら思い浮かびますが、こぶしをもってきたのがすばらしい。)


二席
●この蔵は女杜氏や実万両=夏海


◎資、二○葱、雪、水、香△木、入、喋=17点
(資:実千両のあでやかな赤との対比が良い。 葱:女杜氏が仕込んだ酒には色気がありそう。 雪:私も万両を詠もうとして挫折。取り合わせがいいですねぇ。 水:厳しい職業でしょうが、万両の実を配すると華やかさが加わるようで。 香:散文的な始まりできれいにまとまってますね。 入:取り合わせがぴったり。かっこいい。)


三席
●大仏のふわりと笑ひ煤払=水音


◎ス、喋○五、砂△澄、前、雪、メ、君=15点
(ス:そんな感じ! 五:何ともユーモラス! 澄:大仏さんもきれいになるとやっぱり嬉しいよね。 メ:「ふわりと笑ひ」がいい。 葱:大仏も気持ちよさそう。 入:煤のふわりともとれて、掃除もいいものですね。)


【入選】

●落葉焚き四角く眠る箱の猫=スライトリ・マッド
◎雪、香、砂○水、資=13点
(雪:幸せそーに眠る猫の顔。どこかで見たような・・。 香:四角く眠るとはおもしろいですね。 水:犬は喜んでも猫は「そんなの関係ねぇ」と。四角く眠る・が良いですね。 葱:寺の門前などに石で枠組みした焼き場を見かけます。よく乾いた落ち葉を焚くとなかなか懐かしいいい匂いがします。猫とは「ほっこり繋がり」ですね。 入:よーくわかる、その光景。)

●ヴィーナスになりそこなって柚子湯する=水音
◎前○葱、砂△夏、香、五、資=11点
(葱:下五の措辞に生涯を自分磨きに徹する「女性の品格」を感じ取りました。 夏:この俳諧味、大好きです!口語なので、やや川柳色かも?ですが。 入:ユーモラスでいい、いい。 香:私もなりそこなった。じゃなくて、年末に柚子湯に入りました。ほんのり香って贅沢気分。 五: 自戒の句?あきらめの境地か? 資:なりそこなってが面白いが,じゃんけんに負けてなりそこなったのでしょうか?)

●冬の薔薇未来予想図開きけり=スライトリ・マッド
◎葱○澄、夏、二△五、資=11点
(葱:ドリカム吉田美和の歌声と開花した冬薔薇の美しさが重なりました。 澄:薔薇で華やかな香り立つ未来を感じます。 夏:どんな「未来予想図」なのだろうか、と興味が沸きました。 五:新年の希望句か?)

●丸善の窓の灯りや日記買う=資料官
◎男○木、ス△久、百、砂、二=11点
(男:年が明けないうちに何故か買うんです。 ス:昔よく呉服町の丸善まで行ってたなあ。 百:丸善には日記がよく似合う。)

●初雪や黒ねこの背にあはと消ゆ=入鈴
○久、百、メ△葱、男、木、水=10点
(百:白と黒、初雪のはかなさ。 メ:「あわ」ではなく「あは」としたのが妙に気にいった。 葱:白黒の対比と「あは」が楽しい! 男:寒さに生きる野良ですか。 水:ふわりふわりと雪が降る中を悠然と歩いているんですかね。)

●ふるさとの土も土産や大根引く=資料官
○メ、入、君△澄、水、砂、二=10点
(メ:妻の実家にいったときに時々もらってきます。 入:大根を引く気持ちが、手に取るようにわかる句ですね。 澄:土のついた大根おいしそう。 水:ある程度の齢になって判る感覚でしょうね。 葱:大根の淑気に充ちる白さかな、ですね。)

●隧道の出口は遠し雪女郎=葱男
○喋、五△夏、ス、二=7点
(夏:雪の山道、トンネルの薄暗い中で雪女郎に出会いそう・・・。 五:川端康成の「雪国」俳句版か? ス:こわ〜。)

●指折りて冬流星の放射点=夏海
○澄、前、木△二=7点
(澄:指折ってで放射点をみるなんて素敵です。)

●薄霜や枯れ草花の化粧なり=男剣士
◎メ○百△久=6点
(メ:こういう朝の風景が好きです。 百:ちょっと説明しすぎかもとは思いましたが。 入:見方が綺麗。)

●笹子鳴くスキップ苦手園児あり=五六二三斎
○香△葱、入、ス=6点
(香:「笹子鳴く」の季語がぴったりですね。 葱:スキップって不思議! できる時は突然、完全に習得するもんね。 入:ぴったりの表現。 ス:いましたね。スキップが出来ない子。でもそれもかわいかったです。)

●枯菊の呆けて猫の過ぎ行きぬ=君不去
○資△木、百、入=5点
(百:呆けてるのは菊なのか猫なのか。 入:枯れとか、呆けとか負の言葉ですが、猫がしっかりしょってくれます。)

●日向ぼこ力士の背ほど広ければ=水音
◎入△雪、夏=5点
(入:作者を想像すると、とても楽しい。 夏:この句も俳諧味があって楽しい。)

●独り居にストーブ優し雨の庭=木陰
◎久○君=5点 (久:しるしかぁ雰囲気の中にストーブでホッとするけん。)

●妹に姉より届く冬帽子=雪絵
○夏△水、香=4点
(夏:姉妹の情愛に惹かれます! 細かいですが「に」でなく「妹へ」では如何でしょう。 水:暖かさが伝わってくるようで。 香:そんなのもらったことないです!)

●柿落葉拾ひしあとの栞かな=雪絵
○喋△久、百=4点
(百:その鮮やかさを惜しむ。)

●富士山の姿が嬉し寒日和=資料官
◎澄△メ=4点
(澄:富士山大好きなので。 メ:「ふじやま」と読むのがいいんでしょうか?)

●冬すみれワーズワースを口ずさむ=スライトリ・マッド
◎木△二=4点

●ダイオード師走を青く染めあげて=木陰
○久△君、砂=4点

●お湯割りのまろやかなりし年の暮れ=前鰤
○男△雪=3点
(男:ゆったりとした年越しで。 雪:お湯割りもこの一年も、きっとまろやかだったのでしょう。 葱:最近はほんとにまれやかな焼酎が手に入るようになりました。マイブームは紅乙女酒造の麦焼酎『時代の忘却』。)

●ひえびえと昭和の生地のコートかな=入鈴
◎君=3点
(君:身の回りのものをこんな風に句に詠み込めるんですね、なるほど・・。 葱:重たい割りにそう暖かくないコート、でも愛着があるんやね。)

●冬木立光る青空見つめけり=五六二三斎
○ス△メ=3点
(ス:冬木立句どちらにしようかと?こちらのやさしい感じが今の気分にいいかな?!  メ:冬の澄んだ青空は気持ちいいものです。)

●零時過ぎそれでも入る柚子湯かな=メゴチ
◎百=3点
(百:せっかくの柚子湯。)

●今日帰るメール眺めつ年用意=君不去
△前、喋=2点

●店先の托鉢僧に冬の雨=雪絵
△男、五=2点
(男:ウーン、何となく見えます。 五:もの悲しい中に師走のたたずまいが感じとれる。 葱:修行は厳しいー!)

●あと五日だからどうした年の暮=ひら百合
△男=1点 (男:正月も12月の次の月。)

●去年今年ふくらむ夢のプレゼント=五六二三斎
△澄=1点
(澄:どんな夢かな〜。)

●身揺るぎをして賀状吐くプリンター=夏海
△ス=1点
(ス:ちょっと古くなったプリンターかしら? 葱:宛名までプリントだとなんだか有り難みがないなあー。 入:プリンターが年賀状に欠かせなくなりつつ、擬人化したくなるのも共感。)


【無選】

●句作中忙中閑の歳の暮
(葱:なるほど!こんな感じで楽に句作すればいいのか!)

●けあらしと雪降る町へ急行「津軽」
(資:鉄道ものしかも急行津軽なので採りたかったが,青森で「けあらし」というのと字余りがちょっと・・・。)

●何で今日恨む氷雨のゴルフかな
(資:この一年を象徴するような打ち納めでしたか?)


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