*A部門入選作発表*

当季雑詠*全47投句(入選37句)

【特選】

一席
●赤とんぼ記念写真の空を飛ぶ=資料官


◎前、水○夏、砂△喋、メ、木=13点
(前:我々の記念写真は白黒ばかり。赤とんぼも赤くないトンボも、写真では分からなかったかも。 水:農薬の種類が変わった頃から赤とんぼが激減したとか。 夏:一瞬を切り取った「記念写真」に、更なる「赤とんぼ」の一瞬が面白い。 メ:「三丁目の夕日」を思い出した。 葱:負われて見たのは、いつの日か〜♪)


二席
●色鳥来折り紙のごと結ぶ帯=スライトリ・マッド


◎砂○喋、水、五△雪、二=11点
(水:色彩的に少しうるさい感じがするけど、とても華やかな創作の結び方なのでしょう。 五:きれいな句ですね。外と内の対比がよい。 雪:さまざまな色が目に浮かびます。どんな結び帯でしょうか?)


二席
●廃線やただコスモスの揺れてをり=資料官


◎男○久、水△夏、雪、香、百=11点
(資:栗原隆司鉄道再発見の旅68Pをご覧下され。 男:この風景には魅かれます。 水:コスモスは雑草のように逞しいだけに侘しさ、寂しさしとしおです。 夏:錆びたレールにコスモスの揺れる寂しさ! 雪:錆びた線路、まばらに咲くコスモス・・・。 香:鉄道句、最近いいものが多いですね。 百:くっつきすぎかなとも思いましたが、やはり絵になる。 葱:佳句であることは間違いないのですが、類句がたくさんありそうなので・・・。)


【入選】

●ちちろ鳴く切絵の中の竜安寺=雪絵
◎ス○葱、メ、砂△夏=10点
(ス:切絵がユニーク!静寂の世界が広がる感じがしました。 葱:やや作為的な感はあるものの演出力を買いました! メ:「切絵の中の」ってのがよくわからないけど。 夏:切り絵の龍安寺って、”晩秋”に似合う)

●つづれさせこひにあやなし紫野=葱男
◎喋○五、雪△久=8点
(五:色っぽい句ですね。ついつい引き込まれてしまいました。 雪:とても艶っぽい句ですね!いろんな言葉学びました。)

●はにかんで光る黒靴秋の暮=五六二三斎
◎葱、君○ス=8点
(葱:「はにかんで」に、出番を待つ黒いブーツを思い浮かべました。オシャレな作者は、男とちゃうやろね、女性であってほしい! 君:”はにかんで”がいいですね、夕暮れだし! ス:おニューの靴?嬉しい気分が伝わってきます。)

●ひつじ田やこの地に眠ることも良き=葱男
◎夏、香△水、木=8点
(夏:各人各様の、こういう場所がきっとあるのだろうな、と。 水:小春日の能登で見た風景を思い出し、しみじみした感じがしました。)

●行く秋や肺魚の深く潜(くぐ)りけむ=葱男
○夏、香、君、百=8点
(夏:肺魚のことは良く判りませんが、深く潜ったという辺りに冬間近な雰囲気。 百:どこの肺魚なんだろうと思いながら、うちにも魚がいるので・・・共感。)

●干蒲団秋には秋の日の匂=夏海
○二、木△雪、砂、百=7点
(葱:「匂」に「ひ」とふりがなを付けないところがミソですね。 雪:この微妙な違いを感じられるのは、主婦の特権ですね! 百:秋には秋のが実感。)

●山の辺に柿色冴えて宙(そら)抜ける=喋九厘
◎木○前△男、資=7点
(前:「柿たわわ・・・・天弾く」の句を思い出しました。 男:空の青さに柿が映えます。)

●夕もみじ透過光らのシンフォニィ=ひら百合
◎メ○木△五、君=7点
(メ:こんな中を散歩したい。 五:透過光の言葉が気に入りました。)

●秋桜(コスモス)や小首傾げる六地蔵=雪絵
◎二△葱、前、香=6点
(葱:童心、なくすべからず。)

●ひつぢ田の青みにスキップしたくなり=木陰
○ス、資、メ=6点
(ス:楽しそう!でも転ばないようにね! 葱:字余りがなければ選んだ句、単に「青」だとまずいかな? メ:そういう気持ちになるのわかるなあ。)

●溝蕎麦や瀬音にも揺れ虫に揺れ=水音
○葱、資△夏、木=6点
(葱:「溝蕎麦」をよく知りませんが、雰囲気に惹かれました。 資:食べる蕎麦と思っていたら植物の季語にあった。よく観察している句と思いました。 夏:花が目に浮かびました。)

●老いぼれてなお老いぼれて生きる晩秋(あき)=前鰤
◎百○男=5点
(百:秋は老いを感じる季節。 男:晩秋と老齢の並びに感動しました葱:この、あまりにも素直すぎる句はどうしましょう?)

●銀木犀風は少女の髪とTango=夏海
◎資△水、砂=5点
(水:そんな感じもするけど、なんとなく分からない感じもする。)

●金木犀苦い心に沁みわたり=木陰
◎久○百=5点
(百:甘いにおいと苦い心。)

●柳散る十二の菩提心を描く=五六二三斎
◎雪△ス、君=5点
(雪:「柳散る」と「菩提心」が、何故か心にずしりと響きます。 ス:十二の菩提心って?)

●冷まじやスクリューは海掻き混ずる=雪絵
◎五△ス=4点
(五:男らしい句ですが、私の予想は常にはずれます。今回はいかに?海の男のイメージで、下北の鮪一本釣りを想像しました。 ス:荒々しい感じが新鮮。)

●陽の落つる九十九島や秋の風=男剣士
○前△メ、香=4点
(メ:九十九島せんぺいでお茶を飲みながら見たい夕景です。)

●紅葉してかららかららと馬車の鈴=夏海
○葱△喋、五=4点
(葱:「からからからと」より「かららかららと」のほうがゆったりとして気持ちよいです。 五:小さい頃は、馬車が私の家の前を通ってました。)

●幼きの影絵本かな秋の暮れ=ひら百合
△喋、ス、砂=3点
(ス:影絵が郷愁を誘いますね。)

●金色のかほり満ち光満ち照葉=君不去
○喋△資=3点
(資:葱:チャレンジ精神を感じます。)

●月満ちて 赤福餅の 指の痕=久郎兎
△前、水、二=3点
(前:ニュースで、赤福のあの模様は指の痕だったと知りました。 水:どこででも買えるようになったと喜んだのが間違いだった。 葱:「赤福〜」以下はとても良いと思いますが、「月満ちて」との取り合わせがもうひとつ、しっくりきませんでした、残念。)

●ほととぎす母の手折りて色をます=香久夜
○二△資=3点
(資:時鳥草実物は見たことはないのですが、白に紫の点々。)

●やまぎはのひとつひとつに秋の空=男剣士
○君△百=3点
(君:よくある風景も印象が新しくなりました。 百:新しい発想ではないかもしれないけど、しみじみ。)

●あてもなく 夕陽ドライブ ススキ波=久郎兎
△男、君=2点
(男:あてのないドライブって良いですよね。)

●数珠玉や選りし指先昔紡ぐ=君不去
△前、二=2点


●月待てば門司港駅に風渡る=資料官
○男=2点
(男:門司港駅と月は合いますね。)

●べったらの甘い匂いや市の声=メゴチ
○雪=2点
(雪:べったら市、初めて知りました。喧騒が目に見えるようです。)

●目をつむり焼き松茸に浸りおり=香久夜
○久=2点
(葱:うらやましい〜!)

●山遠く雲なほ遠く紅葉照る=水音
△久、メ=2点
(メ:最近紅葉狩りに行ってませんねえ。)

●をみな舞ふ紅殻格子十三夜=スライトリ・マッド
○香=2点

●警官は挙動不審に鳥渡る=水音
△五=1点
(五:男剣士警視には、失礼ですが、取り合わせの妙でついつい。そんな警官は今後いないと信じます。)

●旅立つや深まる秋にカラスの子=喋九厘
△葱=1点
(葱:「カラスの子」は「我が子」の比喩と読みました。)

●街過ぎて眼に癒しの稲田かな=メゴチ
△男=1点

●別れ来て赤いセーターそぞろ寒=木陰
△久=1点


【無選】

●秋風に消え行く最後のたばこかな
(葱:体の事も考え、周囲からの圧力もあり、ついに禁煙と相成りました、めでたし、めでたし。)

●同窓に 月に自分史 垣間見る
(葱:月は暦を。暦は歴史を想像させますね。)


A部門入選作

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