*A部門入選作発表*

当季雑詠*全50投句(入選40句)

【特選】

一席
●カタコトのちひさき主張つくしんぼ=雪絵


◎香、水、百、喋、五、砂○澄、夏△葱、入=24点
(香:何とも可愛らしい。つくしんぼがぴったりですね。 水:可愛らしくて、長閑で、優しくて好きです。 百:片言なのか?その発想に。 五:春の名句誕生ですね。 夏:第一反抗期?確かな成長が可愛くも頼もしい。「つくしんぼ」の季語と響き合って。 葱:子供を「つくしんぼ」に喩える句はよくありそうですが、カタコトでも主張であると捉える感性がいい。 入:原始の主張。)


二席
●雨しとど図書館司書の花日記=スライトリ・マッド


◎雪○香、二、前、資△葱=12点
(雪:静かな、優しい時間の流れを感じます。 香:春の花が咲き乱れてるのでしょうね。この句の雰囲気が好きです。 葱: なかなか文学的で、素敵な大人の女性が漂います。)


二席
●飛ぶ鳥のごと結ぶ帯卒業す=雪絵


◎資○入、砂△葱、香、二、百、ス=12点
(資:飛ぶ鳥のごとく卒業する姿をうまく表していると思いました。 入:娘欲しい。 葱:「飛ぶ鳥」がとってもいい。 香:卒業おめでとうございます!嬉しいきもの姿、娘さんかしら。 百:ふくら雀ってのもあったけど、飛ぶ鳥の羽を想像するのは楽しいですね。 ス:羽根を大きく作って華やかな結びに!ですね。)


【入選】

●三月や紐一本を揺れ残し=二六斎
◎夏、ス○香、雪△久=11点
(夏:年度末・学年末の三月。「紐一本・・・」が色々な意味に取れる、深い句だと思いました。 香:寒さが残り、ちょっと物悲しさもある三月? ス: 何の紐でしょうか? 雪:心にずしりと。私の勝手な解釈で。 葱:「紐」がよく分かりませんでした。)

●春愁や掬はれし魚透きとほる=砂太
◎入○資△澄、夏、水、メ=9点
(入:掬ったのは、魚の透明さだけではないと思います。 夏:「シロウオ」は博多の春そのものですが、儚い命が少し切ない。 水:これから食べちゃうと思うと心の痛みが?? 葱:佳句だと思います。どう考えても白魚ははかない存在ですね。)

●雛納め大好きな娘に通せんぼ=葱男
◎二○前△雪、五、砂=8点
(雪:少年の心、今も健在!? 五:かわいい感じですが、意外に色っぽい句に感じる。)

●オーロラの帯翠なる春の惑星(ほし)=夏海
◎澄、前△水=7点
(水:宇宙からオーロラが見えるなんて感動しました。)

●こころ此処ことばや何処春霞=君不去
○水、砂△メ、喋、ス=7点
(水:春の愁いを霞で表して、更にリズムがいい。記憶に残る句になりそう。 メ:語呂がいいので。 ス:わかる、わかる。春だから?!)

●朝摘みのわらび一束真砂女の忌=スライトリ・マッド
○久、二△君、砂=6点
(葱:「卯波」の女将はきっと美味しく炊いた蕨も得意の献立のひとつだったに違いありません。いい句ですね。 入:わかり過ぎて、、、。)

●馬酔木咲く恋ふる心を隠しつつ=水音
○男、メ△香、資=6点
(男:淡い乙女心ですな。 香:恋をしてる人にしか詠めないですね。 葱:なんと可憐な!)

●昨夜より花咲く枝の軽(かろ)く見ゆ=香久夜
◎葱○百△前=6点
(葱:なるほどと納得させる確かな観察力と感性。もし満田春日さんが選ぶとしたら、まずこの句でしょう。 百:なるほど。 入:目の前の桜を毎朝見ているとそうそう!)

●末っ子にして長男の蓬餅=五六二三斎
○葱、入△雪、水=6点
(葱:末っ子を前に持って来たところがこの句の眼目! 入:男の子って蓬餅好きだよなあ。 雪:何かと大変なんですよね。 夏:ちょっと甘えん坊でヤンチャかな?「蓬餅」に家庭の味を思います。)

●蒼天へ嫁ぐ大地や梨の花=夏海
○雪、喋△澄、久=6点
(雪:「嫁ぐ」という発想がおもしろい! 葱:「大地」と「梨の花」のどちらに比重がかかるのか、ちょっとはっきりしない感じ、惜しい〜。)

●春の潮母子鯨を乗せて引く=葱男
◎君○水△喋=6点
(君:スケールが大きくてほのぼのしてて好きです。 水:大きな大きな穏やかな潮で気持ちがゆったりします。)

●うらの紅ほほに添えたし花杏=入鈴
○喋、五△二=5点
(五:薄紅色の頬はまさしく春の顔。)

●春雨に天女踏切横切らん=久郎兎
○葱△雪、君、五=5点
(葱:この句の意味はよく分かりません。 しかし、今回一番、惹かれた句です。 解釈は間違っているかもしれませんが、この句の背景には、社会に疲れ果て、みずから死を選んだ現代人への弔いと慈愛があるようにも思いました。 雪:何か妖しげな雰囲気!でも春雨には女性ですね。 五:天女踏切とは何かよくわかりませんでしたが、頂きました。)

●歩を止めし義父(ちち)の目線に黄蝶舞う=香久夜
○百、メ△男=5点
(百:静かな、小さな感動。 男:実父でないところが良かったような。 メ:老父の散歩に付き添う姿が浮かびます。)

●三椏の花一つ揺れ二つ揺れ=資料官
○君△香、二、入=5点
(香:数え歌のようで楽しいです。 入:花柄が短いので揺れるか?でも一つ二つ三つゆれたら楽しい。)

●木蓮や旅立つ顔の凛として=五六二三斎
◎久△澄=4点

●一寸の白魚箸につまみけり=砂太
◎男=3点
(男:白魚の他の句もよかったのですが、つまむところが特に。 葱:小さな命のはかなさ、いとおしさ。)

●島の風菜の花色に染まりけり=雪絵
○澄△資=3点
(資:能古島の風でしょうか。 葱:美しい〜〜、が、類句もありそう。)

●スヌーズを押してまどろむ春ぼらけ=前鰤
◎メ=3点
(メ:まどろみのなんと心地よきことか。 葱:なかなか暁を覚えられません。)

●なはみずほさくらあさかぜ春の夢=資料官
△夏、二、君=3点
(夏:先日廃止された寝台特急ですね。名残り惜しく、残念至極。 葱:昔の電車の名前にはロマンがあるなあ〜、今はアルファベットと数字やもんね。)

●花の雨くるくる返す焼おにぎり=夏海
△百、喋、砂=3点
(百:実景ならではの臨場感。 葱:大変興味深い句でした。取り合わせはなるだけ離れているほうがいい、と田中裕明さんは言っていたそうです。が、「花の雨」と「焼おにぎり」、う〜〜ん、どうなんやろ?写生句なんかな?)

●春菜風オープンカーにぬいぐるみ=水音
○男△夏=3点
(男:どんなぬいぐるみが風に吹かれているのか。 夏:春の風だからオープンカーも心地良さそう。ぬいぐるみの持ち主に興味が沸きます。 葱:なんだか能天気だけど、楽しい句ですね。どこかのセレブのお嬢さんなん?)

●あかつきの永久の別れにつくし摘み=喋九厘
○久=2点
(久:老練なる句です。いつこんな心境になれるやら。 葱:散文的な表現を俳句風にすると「あかつきに久遠の別れつくづくし」とか。 資:寝台特急あかつき廃止、追っかけご苦労様でした)

●あの頃の木造校舎花すみれ=葱男
○ス=2点
(ス:ぬか雑巾で床を磨いていたね! 夏:すみれを見ると思い出す・・・。)

●桜まで尊く黄泉に橋渡し=久郎兎
○五=2点
(五:この句は感じとして二六斎宗匠句か? 葱:「まで」の意味の取り方を迷いました。)

●巣立つ娘に言葉少なく父の笑み=君不去
△メ、前=2点
(入:娘をコと無理に詠んでることに抵抗。子でいいと。)

●飛びはねる犬や宙舞う弥生凧=ひら百合
△男、二=2点
(葱:これも「犬」と「弥生凧」が同じ重さに感じられました。)

●涅槃西風病院通ひのたより来し=資料官
○ス=2点
(ス:どうぞお大事にと言いたい気分。)

●春雨を楽しむ余裕のゴルフかな=メゴチ
△男、入=2点
(男:そんなゴルフしてみたい。 入:初雪で余裕の無かったラウンドを思い出す。3ホール残し棄権。)

●留守の間に桜つぼみの色づきぬ=香久夜
△百、前=2点
(百:春休みだもんね。)

●朗詠に卒業生の大拍手=五六二三斎
○君=2点
(葱:おおらかで、切れのある、とても気持ちの良い句ですね。)

●オブラートに包んでしまいたし滝桜=二六斎
△五=1点
(五:破調句はあまり採りませんが滝桜に惹かれました。 葱:老桜へ 哀惜の情いとど深ければ。)

●春雷に導かれ居りルノアール=君不去
△ス=1点
(ス:桃色の肌のふくよかな女性と春の雷との取り合わせがユニーク。)

●高鳴きの紅冠鳥や春の雨=ひら百合
△夏=1点
(夏:調べてみたらなんと、紅冠鳥=カーディナル! ということは野球の話題ですね?面白い!)

●原城の桜を待たず轍散る=喋九厘
△資=1点
(資:島原鉄道南線廃止,この季節は毎年惜別の詩。ここには一度も行けなかった。)

●落花して仰ぎ見させる花楓=ひら百合
△久=1点
(夏:アー、この情景良くわかる。)


【無選】

●足元に雪を残して朱山門
(葱:決まってるうー。)

●アスパラやふっくら緑の茹で上がり
(葱:これも口語体を文語にするとしたら「アスパラや緑ふつくら茹で上がる」かな。)

●ねこ毛とは逞しきもの孕み猫
(入:孕みも逞しきもたくまし過ぎて。あやかりたい。)

●雪形の種蒔爺さんホワイトデー
(葱:「爺さん」まではまだ行ってないけど、わたくしもホワイトデー、何人かの素敵な女性に種を蒔きました。)


A部門入選作

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