*A部門入選作発表*

当季雑詠*全47投句(入選34句)

【特選】

一席
●薄墨の夏一文字の余白かな=水音


◎前、香○夏、資、雪、君、喋△白、ス、メ=19点
(香:余白に涼しさを見いだすところが、すばらしいです。 夏:涼しげな「夏」という墨文字が見えるようです。 雪:その余白、どんな思いが綴られるのでしょうか。 白:俳人の涼とはこんなところにあるんですかね〜。凡人にはなかなか分からないところですが、目指したいところ…。 ス:涼しさが伝わってきました。 葱:すぐに「庭涼し条幅の書の余白かな」を思い起こしました。青墨で書かれた「夏」という一字書の涼しさもまたいいですね。)


二席
●端居する夕べは白き花ばかり=夏海


◎水、資、ス○雪、百△久=14点
(水:白き花ばかりとはすごい発見。 ス:日田の母の実家の広い縁側と庭を思い出しました。 雪:マンション暮らしでは白い花さえ見れません、トホホ・・ 百:薄暗がりに浮かぶ涼しさ。)


三席
●帰省子のまた他人めく素振りかな=雪絵


◎百○君△久、水、砂、前、五、香=11点
(百:だんだん大人になっていく。 君:”また”が効いてます。 水:何となく距離があるんですよね。 葱:人間観察の確かさの句、佳い句だと思います。 五:親には言えない隠しごとがあるのか?そうやって、大人になっていく。 香:ちょっと淋しいですね。大人になった喜びがやがて…。)


三席
●ねぶの花美女に右顔左顔=夏海


◎雪○葱、水、資△五、二=11点
(雪:右顔左顔の発想がおもしろい!ねぶの花と美女もぴったり! 葱:「座五」の巧さ、上手さですね。 水:そうなんだ。芸術家の感性か。 五:確かに左から見てより美人とか、右側から見てより美人とかいそうですね。ただ、どちらから見るとおかめはいないんじゃ?失礼!しかし、美人は美人ですよね。)





【入選】

●グラジオラス傾きそうな母の肩=資料官
○砂、ス、二△葱、水、喋=9点
(ス:さびしくもあり、おもしろい取り合わせですね。 水:色鮮やかなグラジオラスとの対比に一層母の老いを感じさせます。 葱:「グラジオラス」という音感にやや崩れた感じがあって、年老いた「母」の形容にぴったりですね。 )

●高台のプールのしぶきだけ見える=スライトリ・マッド
◎砂、二○五=8点
(五:高いところにプールがある風景とは面白い。高いだけで涼しそう。)

●雲の峰兄弟三人並び立つ=資料官
○喋、ス△葱、雪、二=7点
(ス:入道雲と男兄弟の元気な感じが合っている感じがします。 葱:「三兄弟」という比喩が楽しい! 雪:雲の峰は確かに兄弟!姉妹ではないですね。)

●たましひの抜け殻軽し夏の果=水音
◎夏○百△君、メ=7点
(夏:空蝉のようでもあり、夏バテで放心状態の自分自身のようでもあり! 百:恍惚感というか自虐的というか)

●夕凪ぎてただ並びたる船溜り=君不去
◎メ○夏、ス=7点
(夏:とっても詩的な情景ながら、時事問題(漁船の一斉休漁)も透けて見える? ス:静かで何もない感じがいいなと。)

●遠泳の子ら護りをりさくら島=スライトリ・マッド
○香△葱、資、白、雪=6点
(香:かなで表現され、桜島の優しさと大きさを感じます。 葱:クロールで泳ぎながら、息継ぎのたびに大きな島の影を見ることができるのは、競技者にとってもとてもいい効果があるでしょう。疲れもふっとびます。 資:錦江湾の遠泳だったら桜島でも良いような。 白:これも非常にストレートな句だと感じました。しかし、ストレートでも藤川の投げるような骨太のストレート。大きさのある句はやはり選んでしまいます。 雪:桜島を背に泳ぎきった子供たち。たまたまこの映像を見てました。)

●夏草に点景となり阿蘇の牛=雪絵
△久、前、資、百、五、メ=6点
(百:広々とした景色を詠むのは難しい。 五:やまなみハイウェイから眺める阿蘇!避暑に行きたい!)

●追山笠(おいやま)の果ててビル風の街となる=夏海
○水、白△資=5点
(水:祭りの後を句にするとは! 白:カクテルバーの句と最後まで迷った句です。山笠が終わるともう秋なんでしょうか。しかし、この句に感じたのは凛とした引き締まりでした。)

●亡き子似て今朝の向日葵顔高し=久郎兎
◎五○香=5点
(五:お子さんを亡くされた経験がおありですか!きっと小さい時のことか?向日葵が咲くと思い出す。 香:向日葵にたとえられ、元気な笑顔を想われてる様子に安らぎます。)

●夏体操オキナワハクセンシオマネキ=喋九厘
○百、二△夏=5点
(百:その動きが想像できます。 夏:シオマネキのユーモラスな動きが見えて楽しい。 葱:「オキナワハクセン」が何だろか、と調べてみたら、奄美大島以南に棲息する蟹の仲間でした。)

●青を背に入道雲の気ままさよ=久郎兎
○砂△白、喋=4点
(白:非常にストレートな句、かな。でも絵のような夏の景がよかった。)

●カクテルバ−の屋台に明り梅雨あがる=砂太
◎白△雪=4点
(白:何だか昭和初期の模様。いまどきそんなものがあるんだろうか? と思いつつも、飲兵衛にはそこはかとなく感じるものがありますね。梅雨あがるで締めた感性に◎。 雪:博多の屋台、いろいろありますね。 葱:博多はよいなあ〜! 水:えびちゃんですか? 夏:カクテルバーの屋台というのがあるんですね。趣のある情景。)

●くりかえすズーム葉先の蜻蛉とり=ひら百合
◎君△香=4点
(君:”くりかえすズーム”が面白くて。 香:やっぱりピントを合わせるのは難しいんですね。)

●萎みたるあさがお照らす星月夜=白髪鴨
○メ△百、香=4点
(百:萎んだ朝顔に着目。 香:萎んだ朝顔に注目されたのが斬新だと思いました。葱:仕事から帰宅しると、月に照らされて、一日の仕事を終えたように静かに休んでいる朝顔にふと気付く、俳味ありますねえ〜。)

●蝉しぐれ男の日傘田舎道=久郎兎
◎葱△水=4点
(葱:男の日傘に惚れました! 都会じゃ絵にならない。 水:古びた写真の風景のよう。 夏: 男性の日傘姿はまだまだ珍しいですが、猛暑の所為でちらほら。せっかくの面白い視点、三段切れが惜しいかも。)

●ひと休み片陰に身を合わせ入る=君不去
○前、白=4点
(白:これも◎候補だったんですが…。信号待ちの間も電信柱や小さな看板の陰を求める人の性、情景だけでなく情感を読んでいるような気がします。)

●風凪ぎて簾もあえぐ西日かな=メゴチ
○久△君=3点
(久:暑さ満点。息も乾いてしまいそう。)

●ガラタ橋揺れつつ食べる鯖サンド=葱男
◎喋=3点
(葱:「ガラタ橋」は金角湾に架かるイスタンブ−ルの可動橋です。)

●コートそば汗も逃げ出すかき氷=メゴチ
◎久=3点
(久:汗と氷が同居している句に何故か惹かれます。)

●あくびするイルカの親子夏の月=葱男
○メ=2点

●空蝉を付けるはつらつ女学生=五六二三斎
○葱=2点
(葱:「はつらつ」がいいですね! その女学生の感性は素直で衒いがなくて、とても可愛いね。)

●起きてなほ働かせをり扇風機=香久夜
○久=2点
(久:実感。実感。冷房ではなく扇風機で詰まった汗を乾かしたいからね。朝からは少し休みを。)

●踊子の細き襟あしアマポーラ=葱男
○五=2点
(葱:アマポーラ=芥子の花の傍題です。 五:二句一章になってて頂きました。古風な踊子とアマポーラの取り合わせも面白い。)

●雲の峰回転ドアにいくつ生れ=水音
△夏、砂=2点
(夏:回転ドアに映り込む雲の峰、きれいな情景。 葱:ホテルの入り口でしょうか?)

●此処はまへ八百屋魚屋ラムネ瓶=スライトリ・マッド
△喋、二=2点

●トマト熟れ妻に夏痩始まりぬ=砂太
○前=2点

●湧き水に冷やしトマトの袋ごと=雪絵
△夏、君=2点
(夏:下五「袋ごと」で、その場に居た人だけのライブ感が!)

●炎天や杜を掠めて我家あり=五六二三斎
△前=1点

●健康に妻のこだわり紫蘇をもむ=資料官
△砂=1点

●心太君は青のり僕からし=メゴチ
△ス=1点
(ス:私は両方!)


【無選】

●大西日ピレネー犬の毛の硬し
(葱:好きな句です。 犬本人は暑いのでしょうが、ピレネーという語感には涼感がありますね。)

●工場に燃えさかる火の酷暑かな
(葱:思いっきり、あ・っづう〜!)


A部門入選作

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