*A部門入選作発表*

当季雑詠*全47投句(入選36句)

【特選】

一席
●筑紫次郎寡黙に海へ麦の秋=砂太


◎五○水、夏、資、君△葱、久、喋=14点
(五:最初、天位にしてた句が季語がないみたいで、棚ぼたで天位まで下剋上。筑後川の近くは麦畑が多い。 水:正統的な折り目正しい句って感じがします。 夏:「寡黙」が効いてます。筑後平野の麦秋も目に浮かびます。 資:一級河川はかくも雄大に流れるのですね。 葱:「寡黙に」がこの句をただの説明文から詩情のある情景へと高めているように思いました。)


二席
●昭和の日ずつしり重きビルヂング=葱男


◎雪、砂△五、入、香、ス、君=11点
(雪:「ビルヂング」が昭和のすべてを物語っているように思えました。とても深みのある句だと思います。 五:昔のビルは重厚だった。天神交差点の北東側は三菱銀行で三階建てくらいの低いビルだった。 ス:昭和の日は4月29日ですよね?!でも感じのとてもいい句。)


二席
●夏に入る火は天辺の棚田から=五六二三斎


◎夏、喋○香、ス△資=11点
(夏:遅霜除けの畝火なのでしょうか?火の情景が見えるようです。 香:火は日か陽のつもりでいいですか? ス:棚田に火、幻想的な光景ですね。)


【入選】

●五月雨の灯台に馬寄り来り=入鈴
◎葱、二○雪△五、ス=10点
(葱:「馬寄り来り」に不思議なリアリティを感じます。 雪:都井岬を思い浮かべました。「寄り来たり」がいいですねぇ。 五:都井岬が浮かんだ。修学旅行で行ったきり。 ス:白い灯台と寒立馬!?)

●夏衣やや小走りに編集子=葱男
◎水○雪、ス△入、香=9点
(水:「やや」に初夏を感じます。 雪:日常の何気ないところに細やかな目。 ス:締め切りが近いのでしょうか?)

●葉桜や満開の日を仰ぎ観る=メゴチ
◎久、澄○百=8点
(久:葉桜が人生の老後のようで。もう誰も振り向かないであろうが、秋一番に振り向かせてみせるという気概を感じさせますね。 百:思いをはせる気持ちが良くでてます。)

●てんと虫草に背を見せ腹を見せ=雪絵
○葱、久、喋△メ=7点
(葱:自分の重みで葉っぱが裏返ったりして、それでもとことこと葉先をめざす天道虫のの可愛い動きが見えるよう。 久:こじんまりしている割に興味がわきます。)

●藤房の母の顔まで垂れにけり=資料官
◎入○メ△雪、二=7点
(メ:爽やかな藤棚が目に浮かびます。 雪:見事な長さの藤の花だったんでしょうね。)

●百合いだく知覧の月や終楽章=入鈴
○香、資△葱、砂、君=7点
(香:終楽章ということばが、じーんときます。 資:まさにピアノの話ですね。 葱:中西和久氏の「ピアノのはなし」を連想しました。残念ながらまだ観る機会に恵まれません。)

●駒を責むる青年の夏匂ひけり=砂太
○夏、君△久、香=6点
(夏:躍動感が素晴らしい。「を」は要らないかも。)

●どんたくや仁輪加の面の憂ひ顔=雪絵
○葱、二△夏、メ=6点
(葱:軽い諧謔味が大仰でなく、ほどよい感じ。 夏:これまで「憂い顔」とは見ておらず、なるほど!と。)

●イえぃ!驟雨種蒔き終えしタイミング=ひら百合
○砂、喋△夏=5点
(夏:大胆な切り口に「ハッ!」としました。この発想が自分にも欲しい!  葱:面白い!!)

●老いたれば目深にかぶる夏帽子=水音
○砂△百、資、君=5点
(百:老いたからなんだ。)

●海と川交はるところ夏来る=スライトリ・マッド
○水、五△資=5点
(水:川が海に流れ込むところでは水の色が変わっていたりするんですよね。 五:室見川の風景が浮かんだ。シンプルだけどいい。 資:水の色、渡る風に夏を感じるのでしょうか)

●夏つばめ地面を歩む島の昼=雪絵
◎メ△夏、喋=5点
(メ:不思議な光景ですが。 夏:地上の燕は見た経験がないので、新鮮。 葱:南のリゾートアイランドか、または地元の名も無い小島か?願わくば後者と取りたい。)

●薔薇くたす長雨しとど音消えて=君不去
◎資○百=5点
(百:「くたす」がいい。)

●夏来たり由布岳仰ぐ足湯かな=喋九厘
○澄△五、百=4点
(五:旅のカメラマン句かな?今回は鉄道句が少ないのでこれは当りか? 百:初夏の感じがでてます。 資:わしゃ山に背を向けて汽車を見る。)

●日南にのたりゆらりと初夏の波=喋九厘
◎君△澄=4点
(君:のんびり、広々感に惹かれました。)

●山路行き余花のかなたのアルプスや=君不去
○澄、入=4点

●恋してる主張たわわに夏来る=五六二三斎
◎ス=3点
(ス:さりげない明るさ、カラッと感がいいです。)

●小満や乗法公式唱えさす=君不去
△水、雪、二=3点
(水:一学期も軌道に乗ってきて、ぐんぐん子どもも伸びていく感じ。 雪:小満を辞書で調べたら、益々知識不足を感じました。)

●雀らのカラカラ浴場夏河原=夏海
○メ△水=3点
(メ:セキレイの方がピッタリな気がしますが。 水:とても乾いた感じです。)

●寅さんもジョナサンもいて夏燕=水音
○二△雪=3点
(雪:古びた映画のポスターを見ているような気分。)

●日光と月光の旅麦の秋=水音
◎香=3点
(香:今ぴったりの話題で、おさまりもよく嬉しくなりました。 資:旅名人の九州満喫きっぷでしょうか。)

●花過ぎの胃の腑にそそぐミント水=葱男
○入△メ=3点

●引き戸開け雨音聞きつ眠りたし=久郎兎
◎百=3点
(百:雨音、私も好きです。テニスさぼれるから。)

●へりおとろーぷほおづえつきしまましじま=入鈴
△葱、砂、ス=3点
(葱:「ヘリオトロープ」を調べたら日本名は「木立ち瑠璃草」で別名「香水草」。ペル−が原産で良い香りのする草、とありました。作者の目の前にあるのはきっと、濃い紫が薫る鉢植えの花なのでしょう。夏目漱石の「三四郎」に出てくるそうだけど、忘れたなあ〜。 ス:ニオイムラサキ?キダチルリソウ?瑠璃草は夏の花にありましたが、また別の種類みたいですね。ヘリオトロープは春の季語とあったのですが・・。ひらがなにつられて。)

●緑さす庭の丸虫地を這へり=香久夜
△久、澄、入=3点


●朝風の吹きてふくらむ麦の秋=男剣士
○久=2点
(久:ふくらむのが麦ではないような気がしますが、気のせいでしょうか?)

●祈りつも他人の空の稲光=久郎兎
△水、百=2点
(水:どう解釈すればいいのか・・? 百:偽善は嫌いです。)

●走り茶やマリアカラスの初初し=スライトリ・マッド
○五=2点
(五:取り合わせの妙。昔のオペラのビデオを見ながら新茶をすする? 葱:面白い取り合わせだと思うのですが「初初し」がなんだかピンと来ず・・。)

●踊草(おどりそう)撫で肩の背(せな)透き通る=五六二三斎
△二=1点

●新緑の先に丸ビル新丸ビル=資料官
△澄=1点
(澄:ホントに東京も変わりましたよね〜。)

●梅雨晴や船乗り込みの藤十郎=夏海
△砂=1点

●畑の種思い残して旅支度=ひら百合
△喋=1点


【無選】

●ディスプレイの色味狂える五月闇
(葱:なるほどなあ、そんな事もありますか。)

●葉桜の季節に読んだ歌野節
(メ:歌野というのは、歌野晶午という作家のことです。 葱:歌野晶午氏のミステリーを読んだ事がないので「節」がなんとも分からずにすみません。)

●指歌ふフジコヘミング幟かな
(葱:面白い! 「幟」との取り合わせは踊るようなリズム感なんだろうけど、「幟」は少し大きすぎる気がして、残念ながら選からは漏れました。)


A部門入選作

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