*A部門入選作発表*

当季雑詠*全46投句(入選38句)

【特選】

一席
●大根干す雲ひとひらの筑波かな=入鈴


◎水、ス、前○夏、砂△久、男、香、資、君=18点
(水:小から大、近から遠へ、大きな景が気持ちよくて、北陸の冬には無い景がとってもいい。 ス:筑波颪の吹くつくばには4年住んでて愛着があります。 夏:干し大根の簾と、筑波の冬晴れの空とが見えるようで。 久:雪ではなく雲であるところが趣なのかもしれない。 男:冬風景ですかね、筑波山を背景に。 資:大根の産地練馬の通勤電車から遠くに筑波山が見えることがある。)


一席
●根深汁人よりも牛多き島=スライトリ・マッド


◎五、夏、砂、香、入○前△水=18点
(五:根深汁とのんびりな島の取り合わせが光る。 夏:大切に牛を育てている島の人々の暮らし振り! 水:どこの島でしょうか。 葱:どこの島ですかね。)


三席
●お互いに連れ子の夫婦クリスマス=五六二三斎


○久、水、澄、雪、白△ス=11点
(久:連れ子という緊張にクリスマスで安堵というところかな! 水:ちょっと複雑なクリスマス。 澄:ほのぼのファミリーですね! 葱:これはサスペンスか、はたまたホームドラマか? 雪:いろんなドラマがあったんでしょうね。 白:おかしみともかなしみとも受け取れる句ですね。脱日常的なシチュエーションがさりげない言葉の中に感じられます。 ス:どうぞお幸せに!)


【入選】

●小晦日“を”の字にひそむ色香かな=葱男
◎メ、白○喋△百、雪=10点
(白:もちろん自分も含めてなんですが、師走になると何となくみんな世事にかまけてしまい、句もこころなしか小さくなっているような気がしてます。そんな中、小晦と「をんな」(勝手に「を」の字を解釈してます)がどう絡むのか分からぬままですが、冴えた目線を感じて選びました。 百:どこかでみたようなと思いながら・・。 雪:そう言われればそんな気が・・。書をする人の感覚でしょうか。)

●はなひるや岳父の腹に弾丸(たま)ふたつ=葱男
◎雪○百、夏△五、水、ス=10点
(雪:くしゃみするのも、生きてればこそ、ですね。 百:くしゃみの度に思い出してしまうとは・・。 夏:開戦記念日を思いました。 五:どんな弾丸なのか?一つは雷か?もう一つは? 水:「はなひる」とくると、ちょっとコミカルになるけど、実際はそんな話しじゃないですよね。 ス:うわ、よく生き延びられましたね?!)

●もう一夜蕪の塩梅重石(いし)に問う=香久夜
◎喋、資○白、君=10点
(白:世事の中の世事ともいうべきシーンなんですが、何だか人物のおかしみが現れているようで…。)

●冬日さす山家の鏝絵鶴と亀=雪絵
◎二○メ、百△水、入=9点
(百:「こてえ」てのが古い正月らしさを感じる。 水:おめでたい。新年の句にするといいかも。 葱:「鏝絵」っちゅうのがあるんですね。 調べたら、漆喰を用いて描くレリーフとありました。)

●ぴんと立つ尾のそわそわと雪催=水音
○五、ス、前△夏、砂=8点
(五:猫ですか?猫が気象予報士? ス:猫の天気予報かな? 夏:猫は寒いのが嫌いですよね! 葱:鴨でしょうか、カイツブリの類いでしょうか? 感じ出てますね。)

●凍てる道靴底サクと冬を聞く=喋九厘
◎男、秋○メ=7点
(男:冬を聞くってところが。 葱:「朔」「策」「索」???)

●毘沙門天の金の眼や年つまる=砂太
○水、雪△夏、資、二=7点
(水:毘沙門天の顔が、年末の大問題を抱えた顔に見えてきました。 雪:年末の暗いニュースを睨みつけているような・・。 夏:邪気を祓う毘沙門天、新しい年への祈り。 葱:やはり「毘沙門天の」の「の」は意味を正確に伝えるには必要な「の」なのでしょうけれど・・。)

●蜜柑甘く吸ひて一日の籠りかな=砂太
◎君○葱、資=7点
(葱:「甘く」が効いています。「老ひの甘き追憶」といったところか。 資:蜜柑食べ食べ一日蟄居、風邪ですか。)

●ぜんまいを巻き実家出るおおつごもり=水音
◎久○入△二=6点
(久:少し前の家の中の風景か。里帰りした花嫁が明日の新年には嫁入り先に戻るとき時計のことをも気にかけている様子を思い出させますね。 葱:大きな古時計が見えるよう。)

●鳥の巣の透けつつ解けつ冬木立=水音
◎百△メ、澄、前=6点
(百:「透けつつ」がからからしてきた白い季節を感じます。◎。)

●宮守の一段づつの落葉掻=雪絵
○二△葱、男、メ、香=6点
(葱:しっかりとした写生ですね! なにごともないのがよろしいなあ。 男:心をこめての一段ですね。)

●寄鍋の五十少年漂流記=五六二三斎
○葱、喋△澄、ス=6点
(葱:好みの句です。「十五少年漂流記」を五十歳にして「むかし少年」が鍋を囲んで冒険談義ですね。 澄:なんか良い感じですね! ス:なんだか楽しそう!)

●掛け軸の如来に久し陽の光=久郎兎
◎澄△葱、香=5点
(澄:きれい。。。 葱:冬の床の間の寒さがようく感じられます。)

●鐘太鼓響く師走の乾きかな=五六二三斎
○ス△白、砂、資=5点
(ス:鐘太鼓の音と師走の乾いた感じがよく合っていますね。 白:師走の乾き、という表現が気に入りました。いろいろな意味にとれますが、上の句の凡庸さを引き締めているようです。 資:雨を呼ぶ鐘太鼓でしょうか。)

●宅配の顔もなじみに十二月=資料官
○秋、砂△前=5点
(葱:あれって、受け持ちの担当区域があるみたいですね! ぎょうさん御歳暮もろて、よろしいなあ〜。)

●北斗冴ゆ手甲のしわに吾を問ふ=白髪鴨
○澄、君△五=5点
(澄:天地人ですね。 五:硬派の句ですね!)

●老婦揺る背負し葉ボタン笑みを撒く=久郎兎
○香、資△前=5点
(資:「葉ぼたん」って人が笑っているように見えますね。)

●散紅葉あわ雪の床選ぶごと=入鈴
△メ、百、白、喋=4点
(百:色がきれい。 白:他にもたくさん細やかな目線を感じる句がありましたが、今の私はそういう句を選ぶ心境ではないんです。すみません。でも、この句だけは簡単に捨て去る気になれませんでした。)

●降る雪や路面に淡き染みとなり=男剣士
○久△入、君=4点
(久:淡き→染みと時間経過を感じさせます。)

●まぼろしの七半の影雪しまく=入鈴
○五△百、喋=4点
(五:雪しまくがよい。七半に乗るのが夢だったのか? 百:七半が俳句になるという新鮮さ。 葱:「七半」がよく分かりませんでした。まさか、バイクのナナハン??)

●夢追わぬ正しき友へメリXマス=久郎兎
◎葱△君=4点
(葱:噛み締めてだんだん良い句です。 座五はそのまま「メリークリスマス」でいいかも。 百:誰のことなんでしょう。)

●菓子箱の古地図を読みぬ煤はらひ=スライトリ・マッド
△久、秋、二=3点
(久:地図が出てくるとは珍しいので入れました。眺めるのではなく読むほど菓子箱に付いているのかな? 葱:俳句的風景なれど・・・予定調和なのか、少し作為的な感じがしてしまいます。)

●バット持つ必勝地蔵冬うらら=雪絵
○男△夏=3点
(男:地蔵とバットの組み合わせが。 夏:ホークスも今年こそは、とお祈りしたいです! 葱:「バット」を持つお地蔵様があるのですか? それとも誰か、野球小僧が立て掛けたんやろか?)

●人の死を死にて聖夜の灯をともす=葱男
△澄、雪、入=3点
(澄:なんかもひとつよくわかりませんが、、、。 雪:今年も多くの灯がともされました。)

●わらわらと集う人あり焚火かな=メゴチ
△久、白、喋=3点
(久:わらわら、焚火と動きがありますね。 白:子供の頃はよく出会った光景です。今でもこんな光景に出くわすことがあるんでしょうか? という疑問をもちつつもノスタルジーから選んでいました。)

●ささくれる耳にも憑くやクリスマス=香久夜
○秋=2点

●白熊にもありぬ減量目標値=夏海
○香=2点
(葱:楽しい句!)

●父上のジャケット羽織り年惜しむ=資料官
△葱、砂=2点
(葱:「父上」がサラリといい。)

●富士天城大島を一直線に寒入日=白髪鴨
○二=2点
(葱:「富士天城」だけじゃ違うもんなあ〜、字余りも佳しとするべきでしょうが・・。)

●古暦捲り忘れて時止まる=メゴチ
○男=2点
(男:忘れててゴメンと謝りつつゴミになり。)

●星仰ぎ聖樹はシャンペングラスタワー=夏海
○入=2点

●朝の床の背伸び心地よ冬深し=砂太
△男=1点
(男:ウーンよう寝たって…自分の極楽です。 葱:私は目覚めると、一度、二度と深呼吸をしてから、おもむろに起き上がります。)

●淡雪や路上駐車の証拠あり=前鰤
△秋=1点
(葱:なるほど、でも証拠の消えないうちに捜査するのはむずかしそう。 どうですか、 男剣士さん?)

●茎の石化石混りの島の石=夏海
△五=1点
(五:やや技巧に走る気配ありも、漬物石に化石混じりとは、面白い着眼。)

●ブルートレイン廃止のニュース蜜柑剥く=資料官
△雪=1点

●往くも止まるもただ迷いなり冬ざれの町=白髪鴨
△秋=1点
(百:捨て難く。)


【無選】

●冬月がイルミネーション止めぬ家照らす
(葱:言いたいことはよく分かります。)


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