*A部門入選作発表*

当季雑詠*全47投句(入選36句)

【特選】

一席
●古句帳の中の我が性春埃=砂太


◎葱、五、ス○水、雪△夏、喋、資、百、二=18点
(葱:70才がこのようなエキセントリックな句を詠むのです。56才である我々が、予定調和的な習い事俳句を詠んでどうなんや!という気持ちになりました。 五:句歴の長い方はただ一人かな?句歴五年で古句悵はないですよね?句はなかなか斬新です。まだまだ上手くなりたいという執念がある。 ス:いいなあと思いました! 水:季語から推察すると、懐かしいような?顔を赤らめるような?? 雪:「春埃」がいいですね〜! 夏:人生が刻まれた句帳! 百:日記にも。 入:はたして?とにかく?ともすればとかぐるぐる考えるのも楽しい。)


二席
●一生を思春期でいる蕗のたう=スライトリ・マッド


◎君○澄、砂、男、香△葱、水=13点
(君:おもしろいですね〜〜! 澄:見習いたいです。 男:言われれば正にそうですね。 葱:「思春期」でトリュフォーの映画を思い出しました。「ふきのたう」はあんまり関係ないけど。 水:「たう」が漢字だったら○にしたかも。好みの問題ですから何とも言えないけど。)


三席
●早春の缶に七色ドロップス=雪絵


◎砂、水○葱、五、ス=12点
(葱:手だれた句ではないのですが、ポエジーを詠むのならむしろ、この句にあるような初々しさに感動しました。 五:七色ドロップスありましたね。季語を変えて感情移入の方がいいかもしれません。春の風もいい。ご一考下さい。 水:気持ちがふわりと軽くなる色彩ですね。 ス:「火垂るの墓」を思い出しました。)


【入選】

●卵からぽたりと落ちしものは春=水音
◎夏、澄、男△君、ス=11点
(夏:この発想、素晴らしい。春卵が美味しそうです。 澄:そんな卵一杯あればいいですね。 男:春はそうやって生まれるんですね。 ス:卵焼き、オムレツ?)

●土筆摘む那由他(なゆた)という数どれくらい=夏海
◎二○雪△男、資、水、香、百、君=11点
(雪:「那由他」 初耳でした。 男:掌いっぱい。 資:難しい言葉ですね。 水:那由他という言葉初めて聞きました。 百:これも新しい言葉に出会った感動。)

●雪解川くぐらば空へ染め幟=夏海
◎資、香○二△喋、百=10点
(香:雪の冷から5月の暖へ、川から空への移動が広がりを持って素敵です。 百:”ユキゲガワ”って読むんでしょうか。口になじまないのによく俳句に使われてるんですね。 葱:文法的に「くぐらば」でいいのかどうか、意味としては「くぐらせ」あるいは「くぐらせて」のような気がします。)

●お顔拭き三十路の雛のお嫁入り=香久夜
○夏、喋、君△葱、五、久=9点
(夏:お嫁入りに持参されるのでしょうか?お雛様だけ余所へ貰われていくのでしょうか?色々想像できて楽しい句。 葱:お雛様の御利益のようやっと、雛の顔も娘さんの顔もよーく磨いて。 五:26才の時のお子さんですか?結婚が益々遅くなっていくようですね。三十路の雛が面白い。嬉しくも複雑な心境がもう少し出れば?推敲してみて下さい。 久:雛人形が買って30年も過ぎたという感慨か。)

●ためらはず手を挙げ渡れ春一番=水音
◎入、百○小△喋=9点
(入:これこそ春一番にぴったり。 百:なんとなく元気になりそう。)

●草萌ゆる細道海へ曾良の墓=五六二三斎
○葱、香、ス△夏、砂=8点
(葱:正統派俳句。写生にフィクションである「奥の細道」をうまく絡めています! ス:曾良にあやかりたいです! 夏:曽良のお墓が見えるような句。)

●白魚のするり色即是空かな=五六二三斎
◎喋○夏、メ△雪=8点
(夏:なるほど! 雪:今年も室見川に簗が立ちました。2年前を思い出します。)

●淡月や母の生まれし日を老ゆる=葱男
◎雪○入、小△水=8点
(雪:母恋いの句にも思えますが、老いの現実に向き合う作者の思いがずしんと伝わってきます。でもまだ早い! 水:さまざまな感慨がありますよね。)

●春風や路面電車の似合ふ町=雪絵
○男、資△葱、砂=6点
(男:路面電車がうれしそう。 資:春風のようにやさしく走る電車が良いが,どの街も路面電車はよく似合う。 葱:「はるかぜ」と読みたいと思います。)

●聞きなしの声も賑はふ春日かな=君不去
○五、百△二=5点
(五:何かのお祭りですか?ユニークな句で頂きました。 百:’聞きなし’という言葉知りませんでした。 葱:「聞きなしの声」とは例えば鶯が「ホーホケキョ」という音で鳴くという人工のオノマトペのことです。鶯よ、頑張って上手くなれ! 入:鳥好きとしては採りたいところですが、聞き倣しとひとからげだぎゃーね、と尾長いい。)

●棒立の木々にシフォンの名残雪=入鈴
◎メ△五、雪=5点
(五:棒立という言葉に、驚きがあり、面白い。他の方の目にも止まれば、点が伸びる句かも? 雪:ふんわりとやわらかな雪だったんでしょうね。)

●髪切れば天気予報に風光る=水音
○喋△資、小=4点
(資:お天気お姉さんに気を取られ明日の天気覚えなし。)

●享保雛旧家の色に染まりけり=雪絵
○資△五、小=4点
(五:俳句にはなっていますが、もう一工夫ほしい。どんな色?どんな雰囲気?どんな表情? 葱:「享保雛」が古くからある雛人形である、ということしか分かりませんが、なかなか良い雰囲気ですね!)

●跳躍の背も脚も伸ぶ恋の猫=スライトリ・マッド
○二△砂、香=4点
(入:恋猫には無様でおばかが多いが、これはかっこよさそう。)

●廃校へ灯は甦り雛の窓=夏海
◎小△香=4点
(葱:そんなドキュメンタリーを見ました。第二の人生に余力を残して夢を追いたいものです。)

●夜半過ぎ福は内だけそっとまき=メゴチ
○久△入、男=4点
(久:お隣さんに気を使って室内撒きということか。 男:わかるわかる。 入:こういうのだーい好き。)

●黄に霞みとっととっとと春一番=喋九厘
○メ△君=3点

●休耕田菜の花ふたつみっつよつ=男剣士
△澄、小、ス=3点
(澄:かわいらしい菜の花。 ス:菜の花の時期は少し先みたいですが、ところどころ咲いているのを詠まれたのでしょうか。)

●くっきりと富士見ゆる日の冴かへる=資料官
○澄△夏=3点
(澄:くっきり富士見たいな。。。 夏:寒い日ほど富士山がくっきり見えますね。)

●ほどほどの二月の雪や開け放し=入鈴
◎久=3点
(久:障子を開け放しても雪の冷たさに負けないという余裕が感じられていいですね。なごり雪みたいな。)

●夜の梅しかと浮き立つ翁かな=葱男
○君△雪=3点
(雪:能舞台を思わせる感じです。)

●梅が枝に鶯降りし弓の張り=男剣士
△久、メ=2点
(久:谷渡りを弓を張るとしたところがなんだかいいね。)

●茅葺きの雪解しずくや白川郷=資料官
△入、男=2点
(男:雪深い村にも春ですか。)

●始発バス冷たきイスに背筋伸ぶ=小夜女
○百=2点
(百:実感を大切に。)

●セロリの香指に一日春めける=スライトリ・マッド
△メ、砂=2点

●縮みたるセーターのちょうど良くデイケア=小夜女
○久=2点
(久:実感でしょうね。古くても着られるし。入:デイケアの様子がたち上がってきます。)

●春浅し訪ねし生家「売り」とあり=小夜女
○水=2点
(水:何ともいえない気持ちですね。)

●裕明は決して走らず葱の花=葱男
○入=2点
(入:4,5年ほど前、唐招提寺展に寄せられた連句の中で、一人だけそこでペースが変になっている俳人がおったんです。裕明って本名で、目に留めるようになりました。 葱:田中裕明は2004年12月30日に逝去しています。)

●立春やゆげがゆらゆらゆめやゆめ=喋九厘
△澄、メ=2点
(澄:ゆげとゆめの境目のない感じがいいですね。)

●薄氷踏んで歩いた遠き日々=メゴチ
△澄=1点 (澄:私もそんな感じかな〜。)

●紅梅の団子の飯はしやぎ声=五六二三斎 △ス=1点
(ス:なんだか楽しそう!飯は何と読むのでしょうか?)

●雛飾る家とも知らず遠き道=君不去
△入=1点
(入:遠き道の結句に何故かやられました。夢の中の句のような。)


【無選】

●猿舞の猿が梅見て立ち上がる
(入:本当かなあ?って、色々猿の気持ちを推し量るのも楽しいです。)

●南天の実去りて葉なお濃し堅し
(入:なんかこれ、人生だなあって。)

●春日向さらば特急の喫煙車
(資:未練たらしく時代錯誤な別れがいじらしい。きっぱりとこれを機に止めた良いと思う。)


A部門入選作

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