*A部門入選作発表*
当季雑詠*全53投句(入選39句)
【特選】
一席
●草の絮輪郭の無きちひろの絵=スライトリ・マッド
◎葱、夏、五、水○入、香、資△メ、雪=20点
(葱:ちひろの絵は好きだなあ〜。田中裕明さんが長女の名前を「ちひろ」と名づけたのはやはり、「いわさきちろ」なんかな? 夏:輪郭線を入れずに画く子供の絵、なんと表情豊かなこと! 五:ちひろさんの絵の憂いが伝わってきます。)
二席
●ひえつきの唄に身を置く尾花かな=男剣士
◎ス、君○入、五△久、夏、メ、資、二=15点
(ス:稗搗節ってどんな唄だったかな? 君:椎葉の鄙びた情景が眼前に! 五:ひえつきの唄は秋がよく似合う。高千穂に行かれたのでしょうか? 久:身を置くと言うのがいい感じ。)
二席
●まんじゅしゃげ空は騙し絵やもしれず=夏海
◎白、雪○水、香、君△五、小、資=15点
(白:見えないものが見えてくるとき、まなざしは研ぎ澄まされています。曼珠沙華の花弁の隙間からのぞく空なのか…。時間軸の中では常にあり、空間軸の中にはどこにもないもの、それがものの本質だそうです。 君:断定していないので却って本当かも?と思えて。 五:まんじゅしゃげの妖しい雰囲気が空を騙し絵にしているのか?)
【入選】
●クレヨンのぽきんと折るる秋思かな=雪絵
○水、メ△葱、砂、五、白、君=9点
(葱:「クレヨンしんちゃん」の作者が山で亡くなったそうだけど、そんなニュースもすこし感じさせる句です。クレヨンはよくぽきんと折れますよね、あれはなんともならんのかな? 五:秋思をこのように表現するとは面白い。 白:憂愁幽思の季節にクレヨンがぽきんと折れる思いとはどんな思いなのか、実は想像がつかないのですが、表現の妙味を感じました。)
●青みかん裸足で校庭駆けし頃=小夜女
◎入、喋○夏=8点
(入:香りと空気感と触感すべて豊に甦ります。 夏:青蜜柑といえば運動会。青い蜜柑の香と、裸足の感触、周りの歓声、五感に訴える句。)
●吾亦紅嫁ぐとふ娘の目の強く=君不去
◎メ○砂△喋、香、ス=8点
(ス: おめでたいお話ですね。)
●ぐずぐずと乾かぬ髪よ鉦叩=入鈴
◎資○夏△砂、五=7点
(夏:夏には洗っても直ぐに乾いた髪が、秋湿りの頃には乾きにくくなってくる、実感のある句。 五:鉦叩に急かされているような句。面白い。)
●女子が漕ぐ月の自転車ふたりのり=葱男
◎砂○喋△入、白=7点
(白:少しメルヘンチックなんで×か、と思っていたんですが、頭の「女子」が利いたのかもしれません。)
●マジェンタの濃淡をほめ萩の花=入鈴
◎久○五、ス=7点
(久:マゼンタと言えば秋はコスモスを思い浮かべますが、萩は、というとどうだったか。濃淡がどうだったか。観察不足です。 五:マジェンタがよいですね。 ス:絵を描く人かな?)
●村里は饅頭(まんとう)色に棉吹きぬ=夏海
○葱、喋△香、メ、雪=7点
(葱:「饅頭色」がいい。 濁った白にややピンクがかかったような色でしょうか?)
●馬の背に揺れる跳ねるや彼岸花=香久夜
◎男△久、ス、君=6点
(男:背中には子供が乗ってるのですかね。 久:本物の馬の向こうに見えるのか、稜線に咲いているのか、どちらにしてもいい句です。 ス:馬に乗っている様子でしょうか?)
●曼珠沙華ゲーテの如く呟けり=五六二三斎
○白、雪△葱、ス=6点
(白:ゲーテのささやきは苦悩にあふれてました。しかしそこにつねに希望があるから彼の言葉は生きているんです。曼珠沙華のつぶやきに希望はありましたか? 葱:ゲーテはなにを呟いたのだったか? なんか呟いたよなあ〜? 「人間は努力するかぎり迷うものである。」かあ。ス: つぶやいた言葉を想像するのも楽しいですね。)
●稲掛けに農の括りの長き月=久郎兎
◎香△喋、二=5点
(葱:雰囲気のある、好きな句です。)
●神主のつと躓いて放生す=砂太
○白、二△小=5点
(白:瞬間を切り取りながらそれが写真のように静止していない感覚がいいですね。 葱:「つと」が面白いですね、作者の観察眼がシャッターチャンスをうまく捉まえて、クスッと笑える俳諧の味です。)
●徒競走並びし手のグー息も止む=久郎兎
○小、メ△男=5点
(葱:思い出すなあ〜、不安と緊張と勝利への確信と、たまに挫折と。)
●ララミーは町の名いまも鳩吹きて=葱男
○ス△砂、夏、雪=5点
(ス:ララミー牧場懐かしいなあ!)
●騒擾の戀とはちがふ秋の風=葱男
○男、雪=4点
●胎の子を撫でて二人や放生会=砂太
○二△喋、君=4点
(葱:「胎の子」っていうんですね!鯛の子みたいで可愛い表現ですね。「や」ともってくるところがキャリアですね。)
●高千穂に尾花騒ぎて風を見る=男剣士
○澄、資=4点
●放生の鳩の落とせし怪し物=砂太
◎二△男=4点
●落花生茹でて真白き肌の出づ=君不去
○久、資=4点
(久:落花生ではなかなか詠めないでいました。この句はいいですね。落花生の生焼け生茹でが食べたいです。 葱:そのままの句ですが、艶があります。)
●おのが尾で濁せど秋の水の中=水音
○小、△香=3点
●コオロギと星降る里に吾一人=喋九厘
◎澄=3点
(葱:いいですね、旅人ですかね。)
●蟷螂に女潜める不思議な日=五六二三斎
△久、白、二=3点
(久:いやいや、欲深い=女のサガ?こりゃ失礼。 白:不思議な日の中身が見えてこないので、前半の象徴性がつながらない気がするんですが、蟷螂に潜む女を見るまなざしに感心しました。)
●長廊下義母の手引きぬ秋彼岸=君不去
○久△小=3点
(久:縁側が見えてきますね。何か長〜い嫁しゅーの歴史を感じさせます。)
●人逝きぬ画廊は秋のリトグラフ=夏海
○砂△水=3点
●わが性(さが)は扱いかねぬる雲居月=白髪鴨
◎小=3点
(葱:「かねぬる」は文語的にどうなのか? 詳しいひといませんか?)
●赤とんぼ親馬子馬たづな取る=香久夜
○男=2点
●静寂の雨のシンセでスティングを=久郎兎
○葱=2点
(葱:スティングの声とフレディ・マーキュリーの声はどちらがよりセクシーなのでしょう? ふたりよりもっとセクシーな声のヴォーカルってあるんだろうか? どうですか、女性軍のみなさん。僕は声だけならジョルジュ・ムスタキだな。)
●宝満の天も高いと彼岸花=喋九厘
○澄=2点
●山好きは雨ニモ負ケズ濃竜胆=資料官
△水、澄=2点
(葱:電車好き、蝶好きは雨に負けそう???)
●会いたきはピュアホワイトの甘さかな=メゴチ
△澄=1点
(メ:注文から4ヶ月を経て届いたトウモロコシに感動して。)
●秋うららアップルパイな女たち=水音
△葱=1点
(葱:うむむむ・・・ついつい餌に食いついてしまいました。)
●秋高し青い三角形の空=香久夜
△夏=1点
●秋高しのぞみの窓の富士高し=資料官
△澄=1点
●義妹(いもうと)は白ワイン好き酔芙蓉=資料官
△入=1点
●教わりて菱の実喰いつ川下る=小夜女
△入=1点
●コスモスの畑さながら活けてある=スライトリ・マッド
△水=1点
(葱:それがコスモスの真っ当な活け方ですね。 大体、茎が曲がりくねってるし。)
●幸せや新米ご飯の炊き上がり=前鰤
△男=1点
(男:ホカホカ美味そう。)
【無選】
●古の業や秋刀魚の手づかみ漁
(葱:テレビで見たけど、すごい漁法ですよね! ただ秋刀魚を手づかみするんだから。Oh! アンビリーバボー!)
●幻月もつかみそこねた逃走線
(葱:手相に「逃走線」なるものが実際にあるんですかね? それはともかく、「も」より「を」でいいんじゃないか。俳句と川柳の境界がその辺にありそう。)
●トロンボーンの音色こもりし思草
(葱:やや付き過ぎのような・・。「思草」はもう少し離したらどうでしょう。)
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