*A部門入選作発表*

当季雑詠*全58投句(入選48句)

【特選】

一席
●短夜やジオラマにある水平線=夏海


◎二、資、ス○水△雪=12点
(水:目の付け所が斬新ですね。 ス:ノスタルジックな景色を想像しました。 葱:土肥あき子さんの「長雨や金魚玉にも水平線」の句を思い出しました。感性の人はいろんなものに「水平線」を見つけるんだなあ! どんなジオラマだったのでしょう?)


二席
●退職のひとこと添えて夏見舞い=資料官


◎久、前○入、小=10点
(久:この前、退職を知らせる葉書が同窓生から届きました。厳しいらしいけど何と返事を書いたら良いか、、、。)


三席
●逢魔時つづりて烏瓜の花=夏海


◎五○水、喋、ス=9点
(五:ボキャブラリーの勝ちですね。逢魔時わかりませんでした。「つづりて」は何をされているのか?普通は手紙を書いていると読むところです。水:烏瓜の花は本当に妖しげですよね。 ス:夕方の薄暗い中にあの妖しい形の花はぴったし!)


三席
●日食に磁場あるごとし蟹笑ふ=水音


○二、澄、君、前△五=9点
(五:磁場と日食の関係?何かあるように思いますが、わかりません。不思議な科学俳句でもある。)


三席
●ひめゆりの高女のバッヂ夏岬=二六斎


○葱、入、砂、前△久=9点
(葱:「バッヂ」が眼目。 入:記念館にある遺品を見られたのでしょう、裁縫道具の紅色を心に留置きました。 久:追い詰められた心に身体が肉塊になっていくイメージが湧いてきました。)


【入選】

●青蔦のあしあと辿る雨後の風=葱男
◎香○二、前△久=8点
(香:ア行でまとまりスムーズです。「あしあと」が面白く、「雨後」で、鮮やかな緑が見えます。 久:上向きの動きでしょうか。)

●時を越え阿修羅の夏のうなじかな=喋九厘
○メ、小、香△葱、前=8点
(香:うなじを拝観出来たんですね。 葱:「夏のうなじ」の「夏」が効いています。それは逆に「夏」でもひんやりと感じられる、時間を超越した阿修羅像の不変の温度を作者が感じたのでは?)

●勢い水打てる女の玉の汗=砂太
◎小、雪△資=7点
(雪:男の祭りにも縁の下の「女」の存在感。)

●かき氷古典派男子の網と籠=水音
○久、男、資△君=7点
(久:汗じゃなくてかき氷でよかった。上五が唐突な感じだけど、古典派と相俟って冷静さを感じさせます。 男:昭和の暴れん坊。)

●白服の胸にひろごる青海原=葱男
◎夏○香△二、雪=7点
(夏:白と青の色の対比が鮮やかで”夏”らしい。 香:海を空想しているのか。「ひろごる」というのですね。 雪:この感性に敬服。 入:綺麗。)

●どこまでももののけをんなはたたがみ=五六二三斎
△葱、夏、水、資、喋、ス、百=7点
(葱:「もも」「のの」「たた」のだぶりが大仰な句意をユーモアで薄めてくれました。 夏:怖いもの揃い! 水:ちょっと怖い。 ス:おもしろい!! 百:「はたたがみ」が気になって、調べたら、霹靂神=激しい雷というのがあったけど、そういう意味なのかな。)

●ペディキュアの少しはがれて冷夏かな=水音
◎君○資△砂、五=7点
(君:作者の着眼点に脱帽! 五:マニキュアを違う言い方をすると違ったアンニュイな感じが出るのも不思議。)

●蝉時雨しばし前線押し下げぬ=香久夜
○香、五△入、水=6点
(五:蝉時雨がして、前線が南へ行ったということか?何気ないことなんでしょうが、やけに俳味があります。 水:雨が止んだ途端に蝉時雨が降ってきますよね。)

●和紙縒の線香花火屋三代目=夏海
◎男△雪、君、百=6点
(男:三代目が何とも言えないです。 百:本物は大変良いお値段らしいですね。)

●盂蘭盆会父のしぐさをまねてみし=小夜女
◎メ△入、喋=5点

●大夕焼ドゥオーモのごと雲のたつ=入鈴
◎葱○君=5点

●洗面台いく度の命迷い蜘蛛=ひら百合
○久、君△香=5点
(久:迷うんです何故か。迷わなくてもいいのに。 香:迷い蜘蛛」が面白いです。)

●団塊はここでも群れて夏の山=君不去
○砂△久、入、百=5点
(久:団塊の後塵で我々は最低の介護となるかも。 百:ちょっと悲しい。)

●霧笛(フォグフォーン)の揺り篭となる海の薔薇=二六斎
○澄△葱、夏、砂=5点
(二:裕次郎忌。 葱:「海の薔薇」は珊瑚の一種だそうです。7月17日が裕次郎の忌日、「霧」は秋の季語なので、前書きはなくてもいいのでは? 夏:海への献花でしょうか。)

●写りしは父と戦友夏の雲=雪絵
◎砂△前=4点
(入:航空隊でいらしたのでしょうか。)

●キティちゃん夏のトースターからこんがり=二六斎
○葱、夏=4点
(葱:「夏の」がとってつけたような感じもしますが、モチーフで○、いっそ「キティちゃんトースターからこんがりと」で夏休みの季感勝負でてもよさそう。夏休みと母と子の朝食の情景が浮かんできます。 夏:夏休みの朝食風景?俳句らしからぬところが面白くて。)

●積み草に名知らぬ一羽止まりおり=ひら百合
◎入△澄=4点
(入:蝶でしょうか、鳥でしょうか、名が知りたいです。)

●夏果てる油麩入りの味噌御つゆ=スライトリ・マッド
◎百△喋=4点
(百:なんだかほっとするような 。 入:夏の疲れを癒す香りも漂ってきそう。)

●夕焼空コーナーキックなぜ逸れる=入鈴
○五△水、ス=4点
(五:サッカー俳句も初めて見ました。面白い。 水:切ない夕焼けの感じがイイ。 ス:サッカーですかね?!いい感じがします。)

●石臼の水に睡蓮開きおり=入鈴
○男△ス=3点
(男:静かな涼しさ。 ス:カレンダーの写真みたい!)

●雲梯の順手逆手に力む汗=久郎兎
○雪△メ=3点
(雪:「順手逆手」に、なるほど!)

●後れ毛を梳けばとまれや揚羽蝶=スライトリ・マッド
◎水=3点
(水:黒髪と白いうなじの艶やかさ、そこに揚羽蝶。黒揚羽を想像したけど、夢二の絵みたい。)

●太陽と月の演ずる夏の闇=資料官
◎澄=3点

●梅雨長し半裸のピカソに耳あらば=二六斎
○喋△夏=3点
(夏:不思議さに一票。 葱:「耳あらば」がわかりませんでした、「耳」とくればどうしても「ゴッホ」のほうを思い浮かべてしまいます。)

●梅雨晴れ間父に大きく便りする=香久夜
◎喋=3点
(葱:「大きく」とは「大きな文字で書く」という意味なのかな?)

●日を喰ふて涼し天神交差点=五六二三斎
○ス△二=3点
(ス:天神で日食を見られたのですね?!)

●縁側のサイダー汗する訪ね人=メゴチ
△小、男=2点
(男:平成では、なかなか見ない光景ですが。)

●鉛筆を転がし決める夏の恋=君不去
○雪=2点
(雪:鉛筆で恋占いでしょうか?かわいい!!)

●河童忌やエレベーターの色ごのみ=スライトリ・マッド
○夏=2点
(夏:「色ごのみ」が良くわからないまま・・・。)

●竈門山九割日食やおぼろ夏=喋九厘
○百=2点
(百:九割の日食というのもいい )

●大暑なる積乱雲に御笠山=喋九厘
○百=2点
(百:山の句が気になるこのごろ 。)

●天拝の小経に汗して老夫婦=男剣士
○メ=2点

●遠花火縁無く過ごしし日の終る=君不去
△小、澄=2点

●山笠の通り過ぎたる水の痕=男剣士
△二、メ=2点

●山笠(やま)の汗よくぞ博多に生まれけり=砂太
△男、資=2点
(男:見れそうで見れない追い山です。)

●朝凪や潮の切れ目で当たり待つ=メゴチ
△香=1点
(香:句になるのは釣れたときばかりじゃないんですね。朝凪の潮の切れ目や、ではどうでしょう。)

●空梅雨に泣くな田の面よ蝉時雨=久郎兎
△男=1点

●高原の教師の笑顔日焼けかほ=資料官
△メ=1点
(入:本当に先生たちって重労働。)

●七月や博多の路地に男衆=雪絵
△砂=1点

●漆黒に乳白渡る天空宙=ひら百合
△澄=1点

●夏祭り大群衆の夜が明ける=砂太
△小=1点

●薄暮越え拙者一風恋しがる=久郎兎
△五=1点
(五:これまでに見られなかった句。二六斎宗匠の句でしょうか?)

●山笠に水をかけんと子らが待ち=男剣士
△香=1点
(香:見てる側にも可愛い姿がありましたね。)


A部門入選作

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