*A部門入選作発表*

当季雑詠*全46投句(入選36句)

【特選】

一席
●缶けりのコンと山茶花こぼしけり=夏海


◎葱,久,水,喋○砂,雪△君,ス=18点
(葱:カンとコンが気に入りました。「山茶花」がこの句を「俳句」に留めていて見事。 久:本当にこの句,情景が解らないんだけど,選んじゃいました。山茶花の花に当たったならコンの音はないだろうし。こぼれけり,ではなく,こぼしけりだし。 水:コンがいいな。山茶花がくずくずと散る感じが出てる。 雪:缶けり,子供の頃よくやっていました。きれいな句ですね。 ス:昔神社の境内で缶けりしたこと思い出しました。)


二席
●課せられし錠剤の白冬に入る=雪絵


◎砂○葱,二,久,水△入,メ=13点
(葱:「課せられし」が辛い。生老病死は定めでありますが,薬に頼らなくてはならぬ身には凍みます。 久:薬を飲み続けなければならない年齢になってきたということですね。白色が切ないです。 水:錠剤の白って冷徹な感じ。)


三席
●懲りぬ子のそれ見たことか渋の柿=久郎兎


◎入,君○男,喋△香,ス=12点
(君:懐かしい情景です。リズムがあって楽しい句。 男:昔の自分を見てるようで。 ス:そうだ!そうだ!)


【入選】

●白狐身ぬちに黄泉を湛へをり=葱男
◎雪○五,君,ス△二,久=11点
(雪:白狐は黄泉の人でしょうか?何とも不思議な感覚のする句です。 五:義母上のご逝去を詠まれた句。白狐に義母上のお嫁入りを想像しました。 君:透明感を感じて。 ス:そんな感じしますねえ。 久:身ぬち,雰囲気でわかります。何かこの類いの経験がおありか!?)

●一行を少なしとせず空也の忌=葱男
◎百,香○メ△二,資=10点

●女の彫る地蔵の目鼻冬温し=砂太
◎夏○香,雪△水=8点
(夏:女性の彫っているお地蔵様,優しいお顔だろうな,と。 雪:やさしいお顔のお地蔵さんの出来上がり! 水:女性の柔らかさが出てる?)

●沢の秋ひとり登りの脊振かな=男剣士
○二,百,君△夏=7点

●帰り花今日つきし嘘ひとつふたつ=君不去
◎資○砂△水,香=7点
(水:美しい嘘?)

●茶の花に真心のやうな雄蕊たち=水音
○澄△砂,葱,百,喋=6点
(葱:「真心」が「茶の心」に通じるような気がしました。)

●ちゃぶ台に蜜柑を燈し語らひぬ=葱男
○百△男,入,雪,資=6点
(男:懐かし昭和がありました。 雪:話し込んでいたら,いつの間にかあたりは暗くなっていた,そんな光景?)

●白鳥隊ジャングルジムはおおさわぎ=入鈴
◎二○澄△五=6点
(五:何か笑える句ですね。)

●まさを空音なき時の落葉かな=入鈴
◎五○夏△君=6点
(五:小春日和の落葉でしょう。視覚,聴覚,触覚という組み合わせか? 夏:地球の息遣いに同化するような,過ぎていく「時」を目撃しているような。)

●手のひらの紅葉とんがり指ほのか=久郎兎
◎澄○資=5点

●布袋様のお腹つるりと小春かな=砂太
◎ス△葱,雪=5点
(ス:つるりとがおもしろい。 葱:可愛い! 「つるり」がなんとも心地良い。)

●むささびの筆のしんによう上に伸ぶ=スライトリ・マッド
○夏,五△久=5点
(夏:この筆文字,まるでムササビが飛んだみたいで面白い。 五:何を言ってるのかよく分かりませんでした。むささびの字にしんにようあり?でも,新しい感覚ですね。 久:上向き矢印のようにですかね!?)

●画用紙の絵は玄界の冬の海=雪絵
○資△男,五=4点
(男:荒々しさが良かったです。 五:「の」の三連発が気になりましたが,孫の絵?)

●小春日の猫のじやうずな人言葉=夏海
○久△五,雪=4点
(久:上手ではなく,じやうず,としたのが,猫が喋っているようでいいです。 五:猫の人言葉とは何か? 雪:どんな風に聞こえたんでしょう!)

●喋るだけ喋らせインコ冬ぬくし=スライトリ・マッド
△砂,男,入,水=4点
(男:インコとの心の通いが…。 水:どれだけ喋るんでしょうか。)

●廃校の門閉ざされて紅葉散る=五六二三斎
△久,夏,メ,ス=4点
(久:わぁっー,お仕舞いだっーって感じ。 ス:ちょっとさびしい句ですがいい感じ。)

●虫ひとつ落葉に替えて弔ふや=久郎兎
○入△百,喋=4点

●朝紅葉見惚れる犬や主人待ち=喋九厘
◎男=3点
(男:ハチ公と重なりまして。)

●オペラグラス失念チュチュの師走かな=入鈴
○ス△二=3点
(ス:バレエ鑑賞ですか?)

●神々と十色装う山楓=喋九厘
○香△澄=3点

●時雨るるや古城は木々の赤備え=夏海
○メ△君=3点

●切々と語りし友や冬林檎=雪絵
○水△メ=3点
(水:冬林檎からするにきっと丸く収まったのでしょうね。 葱:「冬林檎」の斡旋は及第点だと思いますが,100点満点なのかどうかで,残念ながら点盛りには至りませんでした。)

●空の青海の青まで小六月=五六二三斎
△砂,澄,資=3点

●短日や犬と散歩の影法師=資料官
◎メ=3点

●マフラーに父とたばこの匂ひ合ふ=資料官
○葱△百=3点
(葱:座五の「匂ひ合ふ」で逆転勝利ですね。)

●柊の花を見初めてひとり言=五六二三斎
○喋=2点

●鮃釣り歳だけ数えてあたり待つ=メゴチ
○入=2点
(葱:句が生き生きとしています。あとは中七の散文的な表現の問題だけでしょうね。)

●冬めく日すっと差し出す妻の愛=メゴチ
○男=2点
(男:何も言わずにわかるんですね。)

●末枯れや石段埋むる銀杏の黄=喋九厘
△澄=1点

●小春の日あまねし寝釈迦安けらし=砂太
△夏=1点

●しっぽまでつまったあんこ椿かな=水音
△喋=1点

●パティスリのレジ横にある大根かな=スライトリ・マッド
△二=1点

●炉開や心開いて鬱閉じる=メゴチ
△香=1点


A部門入選作

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号