*A部門入選作発表*
当季雑詠=全93投句(入選70句)
【特選】
一席
●桜南風ひかりを返すランドセル=雪絵
◎朱○砂、入、茶、メ、秋△や、智=15点
(朱:昨今の重い雰囲気の中で眩しい明るさを感じた一句です。 や:ぴっかぴかの一年生も自宅待機で。 入:力強いメッセージ。 秋:新一年生の真新しいランドセル。季語との取り合わせもいいと思います。 茶:「返す」が会話を交わしているようです。 智:ピカピカのランドセル。。)
二席
●なで肩の瓶を煮苺すべりたり=まさこ
◎遊、虹○茶、し△十、久、五、智=14点
(遊:台所の空気まで見えるようです。 虹:俳句の原点に帰った佳句。 茶:瓶の擬人化がよいと思いました。 し:なで肩の瓶 、なるほど・・・どんな瓶か良く分かりますね。 十:なで肩の表現がユニーク。 智:映像が見える。)
三席
●坂下る無人のバスや春夕焼=裕
◎喋○十、紅、ま△清、入、五、秋=13点
(十:「無人」の措辞から「外出自粛」が想起される。「坂下る」が不穏な空気を象徴している。 紅:今日もこの景を見ました。 ま:普段は混みあっているのでしょうが、今は寂しい景ですね、春夕焼けなのに。何気ないけど惹かれました。 清:コロナ禍の中の非日常、夕焼は普段と変わらない。 入:生活バスちばにうという活動をしてます。身に沁みます。 秋:正に今年、今の情景。)
【入選】
●春惜むテイクアウトの京料理=清一
◎十、ラ○や、子△資、裕=12点
(十:京都では手料理より仕出し料理が最高のもてなし。テイクアウトという片仮名のアンバランスさがいい。 ラ:自粛生活は何でもテイクアウト。世相を反映した句。 や:芝生に座り野外で昼食。 資:テイクアウトが今様ですね。)
●ひとり手を挙げるお稽古つくしんぼ=十志夫
◎智○入、香、朱△茶=10点
(智:可愛くて寂しい。 入:つくしんぼのかわいらしさを言いえて、楽しい。 香:はーい、と可愛らしい声が聞こえてきそうです。朱:お稽古としか書かれていないけれど小さな子の愛らしい仕草が見える一句。 茶:挙げた手の形状との取り合せでいただきました。)
●街はゲルニカ初蝶の翅ちぎれ=十志夫
◎清、五、水△朱=10点
(清:いつもの春とは違う光景で戦時中のゲルニカの様だ。発想がユニークな佳句。 朱:ゲルニカは言い過ぎかとも思いますが大胆で挑戦的な一句だと思い頂きます。 水:キュービズム俳句 久々にガツンときた。)
●鴨帰る中の一羽が吾を乗せて=砂太
◎始○ま、葱△入、虹=9点
(ま:ふと、そう思いたい一瞬があるような。 葱:想像力で憑依する。 入:今までの鳥見の会でこういう想像したことなかったです。)
●春雨や草の匂ひも傘の内=秋波
◎や、茶○メ△入=9点
(や:五感すべてで春を感受す。 茶:素朴さに粋を感じられる佳句だと思います。 入:春雨じゃ濡れて行こうぞ、も、こんな新鮮な一人?歩き素敵。)
●マスク縫ふジャスミンの香の昼下がり=まさこ
◎紅、ぼ△や、入、修=9点
(紅:今、ジャスミンは真っ盛りですね。今年ならではの景ですが、心の余裕を感じます。 ぼ:何というゆとり。もう尊敬します。 や:日々の営み恙無しとぞ。 入:マスクが冬の季語らしいですが、コロナ禍の手縫いマスクで季語ではないと解ります。 修:愛とやさしさ!)
●一睡の夢の中へも花吹雪く=やんま
◎子○ぼ、始△葱=8点
(ぼ:おお、何という至福。うつつも夢も。 葱:美しき仮想現実。)
●教科書とクラス名簿や春こたつ=紅椿
◎資、久△雪、喋=8点
(資:新学期のさびしい風景。季語が効いている。 雪:待ち遠しいですね〜。)
●蒲公英の地を這ひ笑ふ強さかな=秋波
○資、ス、修△入、香=8点
(資:タンポポのたくましさ。笑ふが良い。 虹:たとえ身なりは小さくとも。 修:この擬人化の押しの強さよ! 入:タンポポの黄色は老眼に活を入れてくれる。 香:蒲公英は何が起こっても笑ってますね。)
●土筆ん坊お地蔵さんに野球帽=やんま
○ラ、ス、裕△子、資=8点
(ラ:何だか語呂合わせのようですが、可愛い♪ 裕:リズムがいいですね。ちょっと不謹慎ですが、クスッとできます。 資:落とし物か。ほんのりとした風景)
●春風の芯に情けのやうなもの=葱男
◎ス○白△雪、香、秋=8点
(白:そういうものが感じられると嬉しいですね。 香:単に優しさとかではなく、情けのようなものを感じる感性が素敵です。 秋:少々肌寒い中にも温かみや柔らかさが感じられて。中七の表現が巧みです。)
●しばらくは逢えぬ人ゐて春惜しむ=虹魚
◎メ△砂、子、入、久=7点
(入:ほんとにうかつでした。頑張って新年会音頭をとっとけば良かったのにと。)
●夏近し空へ抜け行く獣道=智雪
○清、喋△ス、ま、久=7点
(清:都会の自粛を逃れここは別世界の獣道。 ま:スカッと初夏の気分を感じ取れ、とても気持ちが良いです。)
●行く春やコトコト煮込むラタトゥイユ=智雪
○裕、雪、久=6点
(裕:ラタトゥイユで煮込むのは夏野菜だそうですが、夏野菜を煮込みながら行く春を惜しんでいる!いいですね。)
●オンラインの句会呑み会花馬酔木=スライトリ・マッド
△十、ラ、入、白、ま、始=6点
(十:馬酔木の「酔」の字が空しく響く。 ラ:今年ならではの句ですが、季語が動きそう。 入:花馬酔木の取合せがぴったり。 白:馬も酔う程淋しい飲み会でした。 ま: いち早く今の生活に取り入れておられるのがとても前向きで見習いたい。季語も良いですね。)
●休校の校庭広し緑立つ=清一
○や△資、裕、メ、修=6点
(や:学童戻ればたちまち狭し。 資:緑立つに救いがあるような。 修:すっき淡々と。)
●雲一つなき青空の春愁=五六二三斎
◎雪△紅、ま、水=6点
(雪:空の青さと心のギャップが大きくて・・。こんなこと、時々ありますね。 紅:こんなに良いお天気なのに・・と思うか、せめて青空で良かったと思うか。人それぞれでしょうか。 ま:空を見ていると何も憂きことは無い様なのに実は。青空が効いています。 水:昨日この景を実感していました。)
●在宅の頬づゑ勤務弥生尽=茶輪子
◎砂△白、香、朱=6点
(白:いわゆるテレワーク。頬杖で。 香:やっぱり、こんなんですよね。 朱:頬づゑ勤務とは上手い表現。)
●春泥や微熱のごとき軽き鬱=朱河
○香、水△虹、紅=6点
(香:本当に軽い鬱になりそう。 水:振り払っても払えないモヤモヤ。季語が良いですね。 紅:私も微熱が続いているのですが、、。)
●生きておれば金婚式や花の雨=ぼくる
◎修△ラ、入=5点
(修:花に涙のような雨が! ラ:類句がありそうですが、心情的に惹かれます。 入:直球で深く動かされます。)
●鰹節削る香りや緑立つ=まさこ
○ラ△子、メ、ぼ=5点
(ラ:鰹節削り器、懐かしいです。 ぼ:これもよき時代の風景か。)
●空つぽの街の行方や弥生尽=雪絵
○朱△遊、入、虹=5点
(朱:確かに空っぽの街と言う不安を詠んだ一句。 遊:時事を読んでいてそこにとどまらない不思議。 入:空っぽという上句と弥生の尽きることが呼応してて、惹かれました。)
●鷹の爪妻の繰り言歎異抄=白馬
○五△遊、茶、メ=5点
(遊:うますぎるのが難だと思うw 茶:「歎異抄」をもってきた功ですね。)
●つばくらめ吾子のラインを待倦ね=入鈴
○雪、秋△葱=5点
(雪:近くにいても会えなくなりました。 秋:じじばばはいつもそうだけど、特に、容易に会うことも出来ない今はこの思いもひとしお。 葱:会えない時はなおさら。)
●花筏海へ行かむと連なりて=砂太
◎入△清、葱=5点
(入:東北太平洋岸を想像します。 清:季節は巡り花筏は流れ流れて海へと。 葱:自分の思いを桜の花弁に託しているようで、ちょっと切ない。)
●遅き日にふつと目の合ふペルシャ猫=遊歩
○久、智=4点
(智:ペルシア猫がいかにも。)
●かのことは春の嵐と決めにけり=白馬
○紅、修=4点
(紅:きっぱりと言い切ったところが素敵です。 修:そう思ったらいいのか。感謝です!)
●気が付けば我春愁の息をして=虹魚
◎香△砂=4点
(香:今の気持ちを一番言い得ていると思いました。頭から離れないですね。)
●ジムノペディ聖金曜の夜を閉ぢる=朱河
○智△始、し=4点
(智:BGMはジムノペディ。 し:静寂に包まれた夜ですね。)
●初夏の空や手裏剣のごとく鳥=修一
◎ま△ラ=4点
(ま:スカッと初夏の気分を感じ取れ、とても気持ちが良いです。 ラ:「手裏剣のごとく」という比喩がノスタルジック。)
●トロットの芦毛の仔馬都井岬=智雪
○遊、葱=4点
(遊:都井岬が効いていると思う。いったことないけどw 葱:仔馬が跳ねる様子がいかにも春。)
●花は散る想ひはひとに届かずに=白馬
○始△砂、水=4点
(水:私も同じことを表現したくても句になりませんでした。素直に詠んでいるのが良いと思います。)
●春日差す等間隔の釣り人に=雪絵
○十△入、裕=4点
(十:どこでも見られる景だが、ソーシャル・ディスタンスも感じられておかしい。 入:コロナ禍でも、春の日差しを取合せて調子が柔らかい。)
●パンティーのゴムのゆるみしうららかな=遊歩
○白、し=4点
(白:うらら・うらら・うらうらら♪ し:気の滅入るこの頃にいいですね〜この句。パンツやショーツでなくパンティーにした句意が気になる。最近あまりそう呼ばないですよね。笑)
●ものの怪とハグして花の宴を閉づ=葱男
○ぼ△白、秋=4点
(ぼ:何だか人を食った句で、面白い! 白:終わりよければーーー。 秋:物の怪となら三密もいいかも。)
●蘆芽の中はねあがる釣りの竿=砂太
○虹△葱=3点
(虹:爽やかな躍動感。 葱:蘆に隠れて釣り人は見えていません。)
●永劫の悩みとなりし四月馬鹿=始祖鳥
◎白=3点
(白:その日だから許されると思って言った言葉だったがーーー。)
●陽炎やライブハウスのがらんどう=ラスカル
◎秋=3点
(秋:本当にこの光景が夢か幻であって欲しい。)
●クツキーの粉を払つて春日和=虹魚
◎裕=3点
(裕:在宅続きでクッキーづくりが一段落、気分転換に外で春の空気を吸いに出た景が浮かびます。)
●献花台にひざまづく人鳥雲に=ラスカル
△十、朱、葱=3点
(十:何の献花台かは不明だが、悲しみを誘う。「献花(死)」と「鳥雲に」は、やや付き過ぎのような。 朱:悲しい背景がある句なんだと思いますが鳥雲に、と言う季語が合っていると思いました。 葱:想像がかきたてられます。)
●公園をひと回りしてわらび餅=資料官
○子△茶=3点
(茶:ちょっと小腹を満たすよろこび。わらび餅ちょうどいいですね。)
●籠る日の四人心地す道明寺=入鈴
○喋△始=3点
●子らの曳く甘茶の薫る花御堂=裕
○資△修=3点
(資:花まつりの風景。 修:甘茶の薫りがいい!)
●鈴の緒の束ねられたる藤の花=紅椿
△や、朱、秋=3点
(や:花房に風音符流れる。 朱:今は何処の神社もそうですね、僭越ですが連体形で季語に繋げるよりも「鈴の緒は束ねられたり藤の花」と一度切ってみたらどうかなと思いました。 秋:藤の花って本当そう見えます。観察眼!)
●先頭の見えぬ行列霾ぐもり=十志夫
○清△葱=3点
(清:パチンコ屋の開店前の風景か、黄砂で霞んで見える。 葱:マスクを買うために並ぶことがあろうとは夢にも思いませんでした。)
●蒲公英の絮たましひのごと漂へり=秋波
◎し=3点
(し:たましひのごと漂へり、が気に入りました。そんな気がします。)
●超新星爆発さくらちりはてる=水音
△ス、朱、喋=3点
(朱:意味はよくわからないのですが面白い、好きです。)
●鳥雲に東村山三丁目=紅椿
△雪、ぼ、水=3点
(雪:とても悲しい出来事でした。 ぼ:懐かしや、あの唄よく聴きました。合掌。 水:彼は行ってしまったのですね。寂しいです。)
●話しかけ動く機械やのどけしや=水音
◎葱=3点
(葱:デパートの玩具売場やスマホのショップなどで見かけることがありましたが、なんだか間が抜けてますね。)
●春夕焼アンネのバラの莟かな=修一
○ス△入=3点
(入:アンネフランクという名のバラは夕焼色から何色へ?)
●荷風忌やスカイツリーを雲流る=ぼくる
△智、し=2点
(智:スカイツリー、荷風が見たらびっくりするでしょうね。 し:季語との取り合わせが、説明はできないけどとても良いと思いました。)
●篭る日やべらんだすずめのうらうらに=入鈴
△ス、五=2点
●春昼や独り言ちつつ自粛飯=しゃが
△十、ぼ=2点
(十:造語の「自粛飯」がいいですね。 ぼ:自粛飯とは言い得て妙。)
●白むころ床に就く日々放哉忌=しゃが
○五=2点
●逃水や長蛇の列の霊柩車=清一
△朱、喋=2点
(朱:霊柩車の列と逃げ水の取り合せが興味深いです。)
●ハナミズキ自粛の日々の散歩道=資料官
○砂=2点
●「百万人の祈り」はここでタンポポと=ぼくる
○遊=2点
(遊:こういう祈りと俳句がコロナを終息させると思います)
●物干しに出てカレーの香春深し=茶輪子
△清、入=2点
(清:自粛中の隣家の昼餉の香りがやけに気になる。 入:よほどカレーの好きな方と見受けられます。)
●森の百年春の星の光年=スライトリ・マッド
○水=2点
(水:時の流れや悠久の時間を表現しようとしてもなかなかできずにいました。このように簡潔に表現できるとは。)
●遊び子と蓮華を摘まん首飾り=喋九厘
△遊=1点
(遊:郷愁をそそられる。)
●うつむきて歩く野道を蝶嗤う=香久夜
△し=1点
(し:蝶嗤うって表現がすごくいいですね。自分では思いつかない。)
●大藤の刈り取られたる末期かな=五六二三斎
△十=1点
(十:観光客が来ないようにする園の寂しい現実。震災句と同様、こうした形で歴史を記録することも大切。)
●四月馬鹿ウソはウソでは隠せない=メゴチ
△水=1点
(水:かの人のことかな。)
●何もせず何ごともなく夏に入る=資料官
△入=1点
(入:こういう前向きの姿勢もあるよなあ。)
●春風のようなイイねをありがとう=葱男
△紅=1点
( 紅:こんな時はちょっとした事が嬉しいのですよね。)
●春の虹命尊ぶ弾き語り=しゃが
△清=1点
(清:死を選ぶことは出来ない、生と死は一体である。)
●引き潮を待つ小舟あり潮干狩り=久郎兎
△入=1点
(入:潮干狩の景が遠く近く現れて好きな句。)
A部門入選作〈back number〉
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