*A部門入選作発表*

当季雑詠*全70投句(入選55句)


【特選】

一席
●いくつもの夢を閉ぢこめ蝶凍つる=ラスカル


◎阿、紅、水、雪、ぼ◯修、淳、香△喋、ス=23点
(阿:人生や季節や観察に感服。 紅:ため息が出ました。このまま終らずに春にまた羽ばたいてください。 雪:人生も終盤にくると、色々振り返ることが多くなります。作者はどんな夢があったのでしょうか。 ぼ:そう、人生はこういうことかも。感慨深い句。)


ニ席
●靴下の親指の穴十二月=まさこ


◯や、阿、十、ラ、雪△五、水、砂、ぼ=14点
(阿:この靴下は芝居の小道具で使えそう。黒い靴下で、ちょこっと肌が覗いているだけでどんな立派な身なりをしていても何処となく悲しさが漂ってくる。特に師走。 十:靴下の穴に、この一年の全てを収斂させている。 ラ:一年分、しっかり働いた証拠の「穴」ですね。 雪:12月は宴会の多い月。こんな光景ありそうですね!面白いけど、当の本人は恥ずかしさでいっぱい! ?五:ユーモラスANDペーソスありの出来栄え。)


三席
●縛りたる本を引き抜く年の暮れ=まさこ


◯十、久、五、前、メ△葱、秋、ス=13点
(十:処分するつもりで縛った本の中に気になる思い入れの一冊が。 久:廃棄のため紐をかけたのに未練でしょうか。なかなか捨てられないものですね。 五:捨てようか?捨てるのよそうか?迷っている間に夕暮れが。 葱:断捨離を選ぶか再読のパッションをとるか、はたまた、単に優柔不断なだけか、いずれにしてもネーンゲン的なものを感じさせてくれます。 秋:断捨離はやっぱり無理よね。)


【入選】

●熱燗やとんと芽の出ぬ者同士=ぼくる
◎や◯修、資△紅、砂=9点
(紅:ドラマの一場面を見るようです。)

●父が名を教へてくれし山眠る=五六二三斎
◎葱、ラ◯砂△水=9点
(葱:やや叙情にすぎるのでしょうが、「眠る」が効きますねえー。 ラ:しみじみとした気分になりました。)

●雪の夜に微かな寝息針運び=久郎兎
◎淳◯阿、ぼ△資=8点
(阿:そうだよね。雪は音を吸い込んでくれる。 ぼ:懐かしくも温かき、昭和以前の情景。 資:雪の降る夜は静かですが,寝息と針仕事を並べたところがうまい。)

●海沿ひの道ふぞろいの蜜柑買ふ=まさこ
△や、十、葱、五、紅、雪、秋=7点
(葱:実感あり。 五:海の傍のみかん農家の道端での描写。「ふぞろい」が、寒村を連想する。 紅:「道の駅」でしょうか。景がくっきり浮かびました。「ふぞろい」は「ふぞろひ」ですね、もったいないです。)

●冬の野や我は発熱体である=スライトリ・マッド
◎ま、喋△メ=7点
(ま:発熱体、良い表現ですね。そうであることを思い出させてくれました。)

●ほつほつと記憶の抜くる冬菫=雪絵
◯ま、砂、喋△や=7点
(ま:ほつほつが温かく、ちょっと切ないのに温かい句で好きです。)

●明日からの日伸びを話す冬至梅=白馬
◎久、香=6点
(久:寒さはこれからなのに日が長くなる、このいい塩梅を私も詠んでみたいと思っていました。 )

●あれこれと列に並んで十二月=やんま.
◯水△五、淳、資、ぼ=6点
(五:十二月の主婦の忙しさか?案外、主夫のことで、嫁さんは、女子会だったりして、、、。 資:並ぶ師走も面白い。締めくくりは晦日蕎麦でした。実感。)

●聖樹の灯ペリエの瓶に光粒=水音
◎十○資△メ=6点
(十:クリスマスの華やぎを見事にとらえている。 資:よくぞペリエの瓶をもってきた。)

●年の瀬を桂馬のごとく駆け抜けり=十志夫
◯久、ぼ△前、ラ=6点
(久:ジグザグに進む慌ただしさが出ていていいですね。香車ではなくて。 ラ:「桂馬のごとく」という比喩がユニーク。 ぼ:ほんとに、ほんとに、実感ですね。 葱:中七の措辞に惹かれます。)

●ねの字似は猫か鼠か雪の窓=久郎兎
◎ス△阿、ぼ=5点
(阿:観察眼に感服。)

●咆哮の牙の白さや冬の虎=砂太
◎秋◯葱=5点
(秋:真冬の荒波の猛々しさ! 葱:熱帯に生息する猛獣の牙の白さが冬という季語をかぶせることで際立つような気がします。)

●雪の上に雪ためらひのなきベーゼ=葱男
◯紅△久、砂、ス=5点
(紅:オシャレです! 久:この感じいいですね。ためらいごと、人生で多かったですね。)

●山頭火?時雨れて渋谷交差点=やんま.
◎砂△修=4点

●泥つきの野菜もすすめ飾売=紅椿
◯や、ラ=4点
(ラ:商売上手ですね〈笑〉。)

●冬日さす病児の寝息のやわらかさ=秋波
◯淳、ま=4点
(ま:あたたかな視線に見まもられている安らかさを感じます。)

●まるまりて一年過ぎし古暦=メゴチ
◯香△阿、久=4点
(阿:そうです、飾りそこなったカレンダーとまるまってきた背中が重なって面白い。 久:最近は壁に貼るタイプは使ってないですね。なるべく貰わないようにしています。)

●リズムとるピアスの揺るる冬の星=雪絵
◎前△ま=4点

●温室にミイラと為りぬ昼の夢=やんま.
◯ス△喋=3点

●大観の富士を選ばん初暦=紅椿
◎五=3点
(五:横山大観の富士、いいですね。良い年になりそう。)

●日輪を撹拌せしが鳶の影=やんま.
△十、水、香=3点

●人声の遠し里山雪催=砂太
◎修=3点

●風雪に読経満つ夢行の日々=久郎兎
◯秋△前=3点
(秋:自分にはない厳しさに脱帽。)

●冬かもめ波と鼓動の呼応する=水音
◎メ=3点

●冬されば街イマジンに塗られけり=葱男
◎資=3点
(資:もう33年,冬が来ればイマジン。)

●柚子二つ浮き沈みするジェットバス=五六二三斎
△や、ラ、ま=3点
(ラ:柚子湯の句で、「ジェットバス」は、初見です。)

●あしたまた会ふ輩あて賀状書く=資料官
△紅、ラ=2点
(紅:「あるある感」満載です。 ラ:あはは! 確かに、そういうこともありますよね。 葱:言われてみれば馬鹿馬鹿しいような、面白いものですね。)

●あだし野は枯葉舞い散るけもの道=阿Q
◯水=2点

●いろはにほへとちりちりに散り紅葉=ぼくる
◯ス=2点

●浮見堂の電飾に浮くクリスマス=雪絵
◯五=2点
(五:「U」音の連発がクリスマスの浮き浮き感を出している。)

●薄日さすビルの谷間の冬の朝=淳一
◯メ=2点

●オトゥールの神々の座の冬の湖=水音
◯秋=2点

●同じ膝付かれし陛下誕生日=五六二三斎
◯葱=2点
(葱:震災を見舞われた時の両陛下の万民に対する思いやりや慈悲心に心が熱くなりました。)

●風花や蜜柑をもぎる人のあり=秋波
△久、メ=2点
(久:柵からはみ出た蜜柑はもらっていいと聞いたことがあるが、お仕舞いの蜜柑なのかな。)

●走り終へダウンコートに抱かるる=葱男
◯雪=2点
(雪:テレビ観戦でよく見る光景ですが、下五の表現がいいですね。)

●冬の夜や噂でとどく訃の報せ=十志夫
◯紅=2点
(紅:若い頃にはきっと大切な人だったのでしょう、中七が切ないですね。)

●冬林檎老ひの微熱のしつこさよ=やんま.
△香、秋=2点

●夕暮れに鍋をまぶたに急ぎ足=淳一
◯前=2点

●急ぎ足ふと気づきしは暮れの音=淳一
△雪=1点
(雪:暮の音、がいい。)

●数え日の通勤電車にある空間=資料官
△ま=1点
(ま:そうなんですよね、いつもと違う隙間。)

●帰省子の年々荷物の数増えて=香久夜
△淳=1点

●靴底にめり込む石や初日の出=紅椿
△雪=1点

●暮れ寸志浮かれし妻に笑み走る=淳一
△前=1点

●紅白の歌手知らずして老いを知る=前鰤
△淳=1点
(葱:グループがこれだけ賛美される理由が分かりません、ジャニーズ系も48もEXILEも多過ぎるんとちゃう?)

●迫り来る家のほこりや年の暮=メゴチ
△修=1点

●徘徊の影ぼろぼろに落葉道=やんま.
△喋=1点

●初詣で天神さまもひと稼ぎ=喋九厘
△阿=1点
(阿:ひと稼ぎどころではないよ。)

●フエルトのマフラーの胸ほんわかりん=香久夜
△葱=1点
(葱:この句は作者の私に対する個人的な挨拶句だと思われます。)

●頬杖を突く彫像に落葉かな=ラスカル
△資=1点
(資:西洋美術館でしょうか。)

●メールからメールへメリークリスマス=ぼくる
△十=1点

●雪の夜は浅川マキの唄で寝ぬ=十志夫
△修=1点

●吾が着し振袖着たる子や冬芽=スライトリ・マッド
△香=1点


A部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号 81号 82号 83号 84号 85号 86号 87号 88号 89号 90号 91号 92号 93号 94号 95号 96号 97号 98号 99号 100号 101号 102号 103号 104号 105号 106号 107号 108号 109号 110号 111号 112号