*A部門入選作発表*

当季雑詠*全44投句(入選36句)

【特選】

一席
●大阿蘇の夏に蹴り出すバイクかな=雪絵


◎水、君、ス○砂、夏、葱、前△二、五、香=20点
(水:「夏に蹴りだす」がとてもいい。大景で爽快感満開です。 君:蹴り出す勢いにひかれました。 ス:光景が目に浮かぶようです。 夏:雄大な阿蘇の姿が目に浮かびます。 葱:エンジンを始動するときの動作に大きな自然と対峙する若者たちの姿を思います。 五:夏の阿蘇の大きさとバイクツーリングのワイルドな出来映えに拍手。)


二席
●憂の字のならんで烏瓜の花=夏海


◎葱、雪○二、五、ス△資、喋=14点
(葱:写生句なのに写生句らしからぬところが魅力。 雪:今年は特に、そんな風にみえますね。真っ白な美しい花ですが、儚さも感じます。 五:烏瓜の花で1句詠んだ手前、ついつい同じ季語の佳句に選。上手い。烏瓜の花の憂いか? ス:作者の心象風景か?!)


三席
●火宅より火宅へ届くさくらんぼ=砂太


◎香○喋、入、ス△葱、水、資=12点
(ス:火宅とさくらんぼの取り合わせが意外性があってよい。 葱:中原道夫の「氷柱」は別格、先生の句には「赦し」が感じられます。 水:どちら様も大変なようで。さくらんぼが気持ちをほぐしてくれますね。)


三席
●夏色の三番目にはラムネ玉=夏海


◎メ○二、前△砂、五、水、白、君=12点
(五:何故、三番目かは分かりませんでした。訳を知りたい。 水:三番目というところが気に入りました。 白:一番と二番が何かと気にさせるところがうまいですね。ラムネ玉の中の色彩はトポロジックで不思議な感覚を誘います。)


【入選】

●浜木綿や月にも海の名はあれど=夏海
◎二、白○水、雪=10点
(白:どこがいいのかはっきり言えないのですが、一番印象に残った句です。海辺に咲く浜木綿を月の海との対比で見ているからなのですが、だからどうなのと言われれば答えに窮してしまいます。そのあたりの不思議さがよかったのかも。 水:浜木綿の咲く砂浜、海、そして荒涼とした月の海。ロマンチスト。 雪:ロマンチック!どうして海の名なんでしょうか。)

●こくこくと乳吸ふ赤子汗ばみて=君不去
○小、メ△砂、夏、葱、香、喋=9点
(小:ごくごくの表現の方がぴったりくるように思いました。 葱:赤子はこくこく乳を飲み、親父はごくごくビール飲む。幸せってなんだっけ?)

●ゆつくりと回すプロペラ大夕焼=葱男
◎五○夏、香△メ、ス=9点
(五:このプロペラは風力発電のものと思いました。回るのでなく回すのです。脱原発を暗に推進しているように感じました。U音の繰り返しも良い。 夏:映画の一コマのようで好きな句です。 ス:大きなプロペラか、小さなそれか、わかりませんが。)

●雲疾し虹は断片(かけら)となりにけり=白髪鴨
◎夏○メ、君△喋=8点
(夏:虹がかけらとなるとは面白い視点。)

●白鷺は遊女に似たり瀬をあゆむ=白髪鴨
◎小○喋△二、雪、前=8点
(小:凄いなあ!白鷺のイメージが変わりましたよ。)

●とりどりにはしゃいでしぼむ花火かな=秋波
○砂、五△前、白、君=7点
(五:色とりどりの色を省略して俳句らしくしましたね。惜しむらくは、「はしやいで」にして欲しかった。はしゃいでしぼむという表現も良い。 葱:☆素直で自然な詠みっぷりです。 白:はしゃいでいぼむ、と花火の楽しさをうまく表現しています。昨日、今宿の花火を船で見に行きました。あまりに近すぎてただ迫力があるばかり…、句など思いつく間もなしでした。やはり花火は遠目に見たほうが風情がありますね。 )

●ゆらとゆら千灯明が凹む夏=喋九厘
○入、白△二、秋=6点
(白:ある厳粛な空間を「凹む夏」と表現しているのが気に入りました。「ゆらとゆら」の表現は少し作りすぎているような気もします。 )

●ロバ啼きて赤子も泣きて夏日影=スライトリ・マッド
◎入、前=6点

●空蝉となりしを知らぬ空蝉や=水音 
◎秋○葱=5点
(秋:我が家の壁にも1年以上しがみついたままの脱け殻があります。毎 日何となくそこにあることを確認しちゃうんですよね。 葱:実体の不確かさといった哲学的テーマもあり、空蝉の比喩は自身の存在とも照らしあわせることができる。)

●「虚無と空」ラジオに重し蝉時雨=君不去
◎資△メ、秋=5点
(秋:ラジオだからこそ深みが増すことも。)

●睡蓮にちょっと立ち寄るウォーキング=資料官
○水、君△雪=5点
(水:「睡蓮に立ち寄る」の表現に惹かれました。)

●成約の声弾ませる新牛蒡=五六二三斎
○香△二、雪、ス=5点
(ス:営業がんばった結果でしょうね。季語がユニーク。)

●赤い鳥どこへ逃げたか夕焼空=葱男
◎喋△五=4点
(五:まるで童謡の歌詞みたい。俳句がはまればまるで童謡の歌詞になります。スモール白秋賞というところ。)

●早起きの蝉たち眠らない都会=五六二三斎
◎砂△夏=4点

●炎天のユンボの動き見てをりぬ=スライトリ・マッド
○白△君=3点
(白:炎天とユンボの取り合わせが妙です。かつてオークランドの野外コンサートで、ステージの左右に3台ずつのユンボが並び、音楽に合わせて踊るという趣向を見たことがあります。ユンボの動きは決して機械的じゃありませんよね。)

●大鯉が人の指吸ふ土用丑(博多 友泉亭にて)=砂太
△葱、水、入=3点
(葱:疑似体験があります。友人は鯛の活け造りに指を噛まれました。世俗の人間模様には人生の芳醇な喜悲劇があります。 水:よく分からないのですが、二六斎先生が以前「因果律が無いのが俳句的」とおっしゃっていました。これもそうなのでしょうか?)

●夾竹桃白と紅の曲がり角=香久夜
○資△メ=3点

●軒下に蝉も逃げ込む驟雨かな=水音
△香、入、秋=3点 

●乾杯は関西なまり鱧料理=資料官
○雪=2点
(雪:豪勢な鱧料理、いいですね〜。これは関西人ではない人が感じることでしょうか〜。)

●木耳や食みつつ偲ふ樹のいびつ=入鈴
○白=2点
(白:木耳から樹木の地肌を感じ取れる感性に脱帽。木耳は樹木から脱領土化するリゾームですね。 葱:変だけど面白い。)

●サルビアの空に負けない鮮やかさ=秋波
○小=2点

●ジギタリス画帖を恋はれ少年に=入鈴
○資=2点
(葱:物語がなんかあるような・・・。)

●大蛇山火を噴き練るや夏の宵=喋九厘
○秋=2点

●熱帯夜レム睡眠の犬の声=スライトリ・マッド
△小、入=2点

●箸置の硝子に金魚ゆるらかに=雪絵
○秋=2点
(秋:いかにも涼しげ)

●野菜室最前列にプチトマト=葱男
△砂、二=2点

●揚羽蝶台風一過の庭に舞う=香久夜
△前=1点
(葱:☆俳句モードです。)

●炎天下ひとかげのなき救急車=白髪鴨
△夏=1点
(夏:胸騒ぎが伝わって来る句です。)

●蓮の花そよ風誘ひ咲かむとす=君不去
△小=1点

●木道にそつぽを向きて花黄菅=雪絵
△資=1点
(葱:「木道」という言葉を知りませんでした。尾瀬に見られるような木でできた道なんですね。)

●山桃にふと想ひ出す乳首あり=砂太
△小=1点
(小:確かに(^。^)y-.。o○ 葱:どひゃ〜〜! 誰だ〜?って思ったら先生でした。それならま、いっか!)

●夕立来て子らの歓声太くなり=水音
△ス=1点
(ス:今も昔も子どもたちって雨でも晴れでもうれしいもんでしょうね。 


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