*A部門入選作発表*
当季雑詠*全45投句(入選35句)
【特選】
一席
●沙羅双樹落ちては苔の花となり=秋波
◎小、資、五○君、香△前、喋、水、白=19点
(資:写真でしか見たことがないが,緑のこけの上にたくさんの沙羅双樹の花が落ちている様はなんともいえないものです。 五:平家物語の一節のような俳句。おごれるもの久しからずか? 水:きれい。が、沙羅双樹と苔とはしっくりしないような。南国、インドを連想してしまうからか?)
一席
●夕凪や一木一草ふり向かず=砂太
◎前、澄○小、水、白、メ△葱、資、百、五、香=19点
(葱:まず、字面の美しさに惹かれます。 百:微動だにしない。 五:夕凪に一木一草はおろか、人々も振り向かない。暑い夏の始まりである。しかし、強く生きようと決心したようだ。)
一席
●ゆがみたる硝子の奥の夏座敷=雪絵
◎百、君○前、二、砂、メ、五△水、夏、ス=19点
(百:祖母の家のようです。 君:懐かしい風景”ゆがみたる硝子”で決まり! 五:何故、硝子がゆがんでいるのか?暑さのせい?それとも地震のせい?東北の夏座敷を感じてしまう。 ス:古い建物には窓ガラスのゆがみも味があっていいですよね。)
【入選】
●青葉より短音階の雫せり=雪絵
◎メ○百、ス△二、砂、澄、白=11点
(百:静かな初夏の昼下がり。 ス:雨のしずくも音楽なのでしょうね?!滴が音符の形にも似てるしいい。 葱:☆「短音階」。)
●立葵くるりくるりと風が寄る=砂太
◎水○喋、夏、雪△前、メ=11点
(水:まさにこの通りの風の形が見えます。 夏:立葵の花は風車が並んでいるようで、「くるりくるり」はピッタリ。 雪:「風が寄る」という表現がいいですね。葱:☆情景が素直に入ってきます。)
●存在と不在のあはい蛇の衣=スライトリ・マッド
◎砂、夏○雪△白、メ=10点
(夏:視界にはないが、きっと何処かに居るだろう蛇の存在。蛇の衣を巧く詠んでいる! 雪:まさに納得。この頃蛇も見かけなくなりました。 白:わたしなら「存在と非在のあはい蛇衣」としますが…。 葱:☆「間=あはひ」だと思うけど、視点が面白い。)
●父の日や小鹿田黒牟田小石原=資料官
◎二○香△喋、砂、君=8点
(資:小鹿田黒牟田小石原=おんたくろむたこいしわら。 葱:音の楽しさが満喫できます。)
●オリーブの花や胎児も遊びをる=水音
◎葱、ス△砂=7点
(葱:オリーブの實がなるころには出産でしょうか。胎児のリアリティがうまく表現されていると思いました。 ス:おなかの中で赤ちゃんいろんなことやってますよね?!オリーブの柔らかい感じとも合う。)
●蟷螂の子蟷螂のまま生れにけり=君不去
◎白○葱、夏=7点
(葱:小さくても全く成虫と同じ形をしているところが迫力あります。 夏:なるほど、と納得。)
●サングラス取りて別れの握手かな=小夜女
◎雪○前△百=6点
(雪:別れの握手、まさにそうですね。サングラスも手袋も取りたいものです。 百:何気ない動作に季節感。 資:サングラスで涙を隠して握手するが自然かなと思う。)
●白合歓や水ある星の数いくつ=夏海
○水、五△澄、雪=6点
(水:雨上がりの合歓の花に光が射して、、白い合歓がいいですね。 五:水が液体として存在する星がいくつあるのか?と尋ねている。合歓の花と液体はよく合う。 葱:正木ゆう子の「 水の地球すこしはなれて春の月」を思い出しました。)
●六月の若き乳房や生命満つ=君不去
○喋、白、ス=6点
(ス:なぜ6月か?と考えたのですが、雨に濡れるシーンもありかな? 葱:☆西東三鬼の「おそるべき君等の乳房春に入る」を彷佛とさせますね。)
●夏暖簾客の寝言に耳澄ます=小夜女
◎喋△前、ス=5点
(ス:酔っ払いの寝言?落語の世界みたい。)
●現実が喉を通らぬついりかな=葱男
◎香△五=4点
(五:重苦しい梅雨入りが感じられる。その訳は大震災だけではないのだろうか?)
●花嫁のベエール若葉風抜けた=資料官
○砂、澄=4点
●星野村の星と交信やまぼうし=雪絵
○葱△水、夏=4点
(葱:hosi-hosi-bo-siの韻律と村の夜空に惹かれました。 水:星野村と星は語呂合わせ?何か意味が?)
●もぢずりを腐す雨とてひばりの忌=夏海
○資△葱、二=4点
(夏:※6/24 美空ひばり命日。 資:6月24日は林檎忌というらしいですね。捩れてもてっぺんに可憐な花を咲かせる花はひばりの姿そのものだったかもしれません。 葱:「俳句」は100%「文字のおもかげ」を慕う芸術ですね。本当の意味はあまり深追いしないでいいのだろうとおもいます。佳作。)
●雨音に月下美人の花芽来る=夏海
○二△五=3点
(五:雨音やと切れ字入りにしても良かったか?惜しい句。)
●誘蛾灯名優ひとりまたひとり=葱男
○資△喋=3点
(資:速水御舟の炎舞という絵を思い出します。名優とはシンジュサンとかオオミズアオとかヤママユだったりして。)
●風薫る夫の小言聞き流す=小夜女
△百、香=2点
(百:小言幸兵衛はうちにも・・。)
●神鳴りは遠くにてあり潮匂う=白髪鴨
○澄=2点
●五部唱の手書きの楽譜風青し=スライトリ・マッド
△資、雪=2点
(葱:☆全体にさわやか。)
●蜻蛉生る昨日と今日の狭間にて=白髪鴨
△小、香=2点
●夏草ややんちゃ盛りの猫に似て=秋波
△澄、君=2点
(葱:☆ぴんぴん跳ねてる感じですね!)
●眠れぬ夜夜気にとけ込みミミズ鳴く=秋波
○小=2点
●日を倦みて一人遊びの天道虫=水音
○百=2点
(百:のんびりした夏。 葱:☆草を葉を上に行ったり下に行ったり、いったい何をしているのか不思議。)
●宮の森木洩日に浮く蚋(ぶよ)柱=砂太
△小、メ=2点
●明暗を提げ尺八の影涼し=葱男
△君、ス=2点
(ス:尺八の音色っていいですよね。先日ジャズでやってましたが良かったです。)
●両毛の紫陽花想ひ思川=喋九厘
○君=2点
●あじさいによっつのひみつありにけり=白髪鴨
△資=1点
(資:花言葉は確か移り気とかこころ変わりとか。 葱:作者には申し訳ないけどちあきなおみの「四つのお願い」が出てきました!あはは。)
●肝つ玉母さんの目や濃紫陽花=五六二三斎
△雪=1点
(葱:☆「肝」と「濃」に符牒を感じます。)
●針持てる時に持つべし仏法僧=水音
△夏=1点
(葱:私には難解句でした。)
●満たされてきらめくプール子らを待つ=香久夜
△小=1点
【無選】
●いとおかしでんでんむしの宅配便
(葱:☆わざと「のろのろ」のでんでんむしをシンボルマークにしているところが愉快ですね。「おかし」は「をかし」。)
●懐かしき赤土の道梅雨晴間
(葱:昭和が懐かしい〜、「5年ひと昔」って云うけどもう23年も昔なんだなあ〜。)
【番外】
●秘密なき蛍袋の雨上り=入鈴
(資:◎なんだけど・・・・。)
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