＊Ａ部門入選作発表＊

当季雑詠＊全４２投句（入選３４句）

【特選】

一席
●開かざるはからくり箪笥はたた神＝雪絵

◎夏○水、喋、百、君、秋△五＝１４点
（夏：からくり箪笥の面白くもイラッとする感じと、雷がよく共鳴している。　水：中には一体何が！そこに雷鳴！！ミステリーの始まり。）


二席
●玉止めをころんと結び梅雨晴れ間＝香久夜

◎雪、百○夏、ス△水、白、二＝１３点
（雪：「ころんと結び」が、晴れ間の明るさを感じさせます。　百：ころんがかるい。　夏：縫い目の玉止めのように　梅雨の一休みにホッとする。　水：ころんと結んだところに元気が見えている。　白：人は無意識に時間の流れを止めることができる。）


三席
●浮いて来い一人子は今日姉となり＝夏海

◎水、ス○白、五△葱、雪＝１２点
（水：季語が効いていると思います。幼い女の子の揺れる気持ち。　白：17文字のドラマツルギー。　葱：「ひとりっこ」の女の子と「姉」となった女の子はきっと随分違った性格になるんだろうなあ〜。かたや「わがままなで個性的で小悪魔的でコケティッシュな魅力の女性」、かたや「母性あふれるマリアのようなマドンナ」ですね。どちらかになって「浮いて来い！」。）


【入選】

●梅雨明けやうちなーぐちのバスガイド＝スライトリ・マッド
◎香○雪、資△砂、夏＝９点
（雪：もう梅雨明け？と思ったら、沖縄でした！　資：6月ゆえ沖縄の句が身にしみる。　夏：梅雨明けの沖縄が羨ましい。バスガイドの方言もいかにも明るそう。）

●貧しさの庭に四葩の色初め＝砂太
◎喋、資○前△ス＝９点
（資：紫陽花の存在感を見事に言いえているところが良い。）

●川砂の魚影を追ふや笹の舟＝久郎兎
◎前、秋△メ、香＝８点
（葱：☆涼しげな夏の遊びです。）

●山梔子の花の朽ちたる月曜日＝五六二三斎
○水、メ△喋、白、前、ス＝８点
（水：通勤途上にあるかして月曜日に見つけたということでしょうか。月曜はいろいろ発見がありますね。　白：時が止まるときは確かにここにある。）

●さみだれはイエローグラスごしに見る＝白髪鴨
◎砂○葱△メ、秋、五＝８点
（葱：シャレてる。）

●雨の国へ音をこぼして沙羅の花＝夏海
○葱、白、香△喋＝７点
（葱：中七の措辞と「沙羅の花」の美しさと、雨もまた、そのシチュエーションなら甘美です、仏教的世界の匂いがします。　白：字余りがさながら吃音を感じさせる。しかし、この「へ」がなければこの句のおもしろさはない。）

●葉の上で一つ一つのやまぼうし＝秋波
○白△葱、喋、君、五＝６点
（白：何気ない句ながら、定かな視点がある。　葱：面白い咲きかたですよね。）

●風呂敷のりぼん包みや七変化＝雪絵
○砂△葱、夏、水、資＝６点
（葱：「りぼん包み」が紫陽花の花の形を想像させる、ということもあるけど、風呂敷の包み方自体がすごい「七変化」です。　夏：カラフルな風呂敷、周囲には紫陽花の花盛り。）

●蟻の道追ひ行く我も列の中＝君不去
○メ、ス△百＝５点

●淡淡と天が手を振る夏至の雨＝水音
◎葱△喋、前＝５点
（葱：上五、中七の表現が新鮮！）

●空つぽの家住むマリアさまついり＝スライトリ・マッド
◎五△百、二＝５点

●紫陽花を額に入れるやランドセル＝喋九厘
◎メ△夏＝４点
（夏：自分で描いた紫陽花の絵を持ち帰るところかな？）

●蝸牛今朝の葉脈お気に入り＝メゴチ
◎二△香＝４点

●この小節アゴーギクでとゆすらうめ＝スライトリ・マッド
◎白△百＝４点
（白：技法としてのアゴーギクではなく、おそらく自然はアゴーギクを当然としている。時間の流れもまた。　葱：テンポを自在に揺らす、という音楽表現だそうですね。「赤穂菊」の文字が浮かびました。）

●父の日はみずいろ外は雨模様＝資料官
○砂、二＝４点

●遠刈田こけしの笑みて梅雨晴間＝雪絵
○君、秋＝４点

●友ありて酸味苦味も半夏雨＝秋波
○前、資＝４点

●青田の夜かはづの声と眠りけり＝葱男
○香△雪＝３点

●里山も熱帯雨林（ジャングル）となりさみだるる＝白髪鴨
◎君＝３点
（君：私も実感です。里山をジャングルと結びつけた発想が面白くて。）

●数独の難易度上げる夏至の夕＝水音
△香、五、ス＝３点

●梅雨晴間川辺のバイク教習所＝水音　
○雪△夏＝３点
（雪：バイクは晴れの日にしか乗れませんよね。着眼がおもしろい。　夏：情景が目に浮かぶ。）

●短夜や繕ひものの縫ひ目荒る＝君不去
○百△雪＝３点

●夜の木々をてっぺんかけたか突き抜けて＝君不去
△砂、二、秋＝３点

●若鮎の跳ねし水玉時止まる＝メゴチ
△前、二、君＝３点

●捩花に添へてフラメンコ・カスタネット＝夏海
△水、資＝２点
（水：捩花をみていると力強く踊りだしそうな気がしますよね。　資：ねじ花とフラメンコ，なかなか面白い組み合わせ）

●僕の人生君の人生籐寝椅子＝葱男
○二＝２点

●動かない大きな風車薔薇十色＝砂太
△メ＝１点

●親父どの四角四面は冷奴（やっこ）だけ＝秋波
△資＝１点

●滴りやクンとも啼かず犬の逝く＝葱男
△秋＝１点

●梅雨本番飾り山写すアスファルト＝喋九厘
△君＝１点

●トンネルの闇つきぬけて初夏湯沢＝資料官
△砂＝１点

【無選】





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