*A部門入選作発表*

当季雑詠*全46投句(入選36句)

【特選】

一席
●麻の葉やミスパスつづく相関図=葱男


◎君、二○水、秋△喋=11点
(君:麻の葉模様ですよね。捉え方が面白くて。 水:麻の葉模様が相関図のようですね。 秋:紋様とは違い実際の葉は不ぞろい。 資:麻服は夏だけど,麻の葉は季語でもなさそうだし・・・・ 葱:「麻:麻の葉、麻の花、大麻、麻畑」か晩夏の季語でした。)


一席
●洗ひたてのブルージーンズ聖五月=雪絵


◎砂、資、五○夏=11点
(夏:初夏の清々しさ! 葱:☆空気が乾燥した、よく晴れた日に、洗濯して吊るされているブルージーンズの風景はまさに初夏。)


一席
●発熱の朝明け遣らず蟇となる=君不去


◎ス、秋○水、百△白=11点
(秋:夏風邪でもひいたのでしょうか。 水:年齢を重ねると発熱は苦しい。「蟇」とは相当ひどかったのでしょうね。 百:蟇が季語なんだ。)


【入選】

●黒南風の名づけ忘れし島のこと=夏海
◎水、香○白、五=10点
(水:黒南風の島。名前の無い島。「こと」で切ったことで想像が膨らみます。 香:南国の無人島?中七の表現がいいですね。)

●丸を描く閉じしあたりの蛇の衣=水音
○葱、雪、前△夏、ス、五=9点
(葱:そのあたりが「蛇の衣」のようかどうかは別として、視点がおもしろい。私なら「閉ぢしあたりの」と、「ぢ」の字を使って蛇の妖気を強調したい。 雪:子供のころは長〜いままの蛇の皮を目にしたものです。)

●カタカナの形すつきり初夏の月=五六二三斎
◎雪、白△水、秋=8点
(雪:「初夏の月」がすっきりした感覚にさせられます。)

●雲よりも高き塔あり夏燕=水音
○香、ス、白△前、君=8点
(香:スカイツリー、初日は雲の中でしたね。)

●花わさび素足に沁みる沢の味=秋波
○葱、君△メ、前、百、五=8点
(葱:ワサビの香が素足にしみ込むようです。 百:「花わさび」摘みにいったことあります。)

●いとしくて握ればさみしラムネ瓶=葱男
◎メ△砂、喋、白、資=7点

●糸取女老いし指先絹となる=君不去
◎夏○五△葱、白=7点
(夏:「指先絹となる」がぴったりな表現。 葱:下五の表現に惹かれました。)

●過ぎしとき像も黙して夏若し=白髪鴨
◎前○百△メ、秋=7点
(百:なんの像だろう。)

●犬に見え人には見えぬもの立夏=スライトリ・マッド
○夏、二△百、秋=6点
(夏:あるある!犬にだけ何かが見えてるらしいって時。 百:犬は敏感です。)

●夏茱萸の酒美味くなれラベル貼る=夏海
◎百○ス△砂=6点
(百:共感 。 葱:☆気持ちがよく分る。 )

●薔薇の香もたつぷり都電一日券=資料官
○砂△雪、夏、君、二=6点
(夏:都電が抜けていく狭い路地あたりに薔薇が咲いているのでしょう。なかなかのお得感。)

●球を追ふ夜の運動場の夏=スライトリ・マッド
◎葱○砂=5点
(葱:類句はあるかもしれませんが、爽やか!)

●ゆらぎたるねこふんじやつた夏衣=スライトリ・マッド
○資△葱、夏、百=5点
(葱:衣装がふわふわしてピアノがうまく弾けなかったってことでしょうか?なんか面白い。 百:衣の下に猫が居たのかな。)

●茅の屋根見上ぐるパプリカ・シャーベット=夏海
○喋、二=4点

●倶利伽羅のみどりや若し黒からす=前鰤
○メ、喋=4点

●斜張橋に乱るる風や小判草=水音
○資△雪、二=4点

●つましさや名をKYOTOてふ満天星=白髪鴨
◎喋△香=4点
(葱:「満天星(ばんていし)=ドウダンツツジ」のことのようです。)

●浅草の駅はレトロに街薄暑=資料官
○君△水=3点

●ギンガムチェックの青春更衣=雪絵
○資△水=3点
(水:遥か以前の爽やかだった頃の。)

●白鷺佇つ能古の港の船溜り=砂太
△雪、香、ス=3点

●明治通りバスに揺られて夏に入る=白髪鴨
○雪△喋=3点
(雪:あたかもバスに乗って「夏」に行ったような、何気なさがいい。)

●あんばいのグラタンの焦げ麦の秋=雪絵
△砂、五=2点
(葱:☆「グラタン=麦」がやや付き過ぎかも、でも好きな句です。)

●職人はほぼ怠けもの水饅頭=葱男
△香、二=2点

●温ぬくと別珍の色袋角=ひら百合
○秋=2点
(秋:角の産毛を別珍と喩えたのが面白い。)

●薔薇へ来て嬰は手を伸ぶ憧れて=砂太
○メ=2点

●大和路に雨滴ばらまき若葉満つ=秋波
○前=2点

●林檎咲くそろりそろりと五能線=資料官
○香=2点
(香:海辺や林檎畑を行くんですか?のどかな沿線が目に浮かびます。)

●赤薔薇のアーチを潜るショッピング=五六二三斎
△葱=1点
(葱:お買い物の楽しさと心の高揚感が初夏の季語にぴったり。)

●還暦や全国遍歴5月旅=喋九厘
△ス=1点

●鱚釣りて変はらぬ海へありがたう=メゴチ
△君=1点
(葱:☆安心して「釣り」を楽しめる海、安心して食べられる魚であってほしいものです。仮名遣ひに注意!「鱚釣って変わらぬ海へありがとう」で新仮名。)

●小囀り夕轟きのほの暗さ=ひら百合
△資=1点
(葱:☆実験的な言葉がふたつ、「小囀り」「夕轟き」重ねているところにチャレンジ精神がうかがえます。)

●シロツメを花環に繋ぐ子供の日=香久夜
△前=1点
(葱:☆子供のころ、そんな女の子をよく見かけました。)

●森若葉十人十色の緑なり=秋波
△メ=1点
(葱:☆「緑」と一言で云っても本当に千差万別です。)

【無選】

11●岩木山林檎の花咲き林崎
(資:出かけた本人の気持ちは分かるがもう少し何とかできなかったか。)


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