*A部門入選作発表*

当季雑詠*全47投句(入選36句)

【特選】

一席
●キリシタン墓碑はたひらや冴返る=雪絵


◎水○砂、葱、君△二、夏、香、入、ス=14点
(水:「たひら」な面に冷たさをより感じます。 葱:「歌垣の上古の衣」よりこちらのほうがより冴え返りました。)


一席
●ほくほくと花菜ひとたば持ち帰る=夏海


○水、喋、雪、秋、百△砂、白、香、君=14点
(水:「ほくほく」とは心もちなのか 足取りなのか。花菜の暖かさ。 雪:「ほくほく」がいいですね。 秋:春を先取り! 白:いかにも女性らしさを感じさせてくれ、温かみのある句です。ただ、以前にも似たような印象を得た句があったような気がします。 百:ほくほくの気持ちがよくわかります 。)


三席
●一新の白線にほひたつ二月=夏海


◎二○葱、五、白△資=10点
(葱:「一」と「二」の並びに「白線」が美しい。 五:「ん」音の繰り返しがいいですね。何の白線なのか?分かりませんでした。花のこと?雪のこと?ミステリーでいいと思います。 白:「一新の白線」とは何か。分からぬまでも「にほひたつ二月」がひとりでに語ってくれているような句ですね。だとすると、前句にもう一工夫欲しかったようにも感じます。)


三席
●歌垣の上古の衣(きぬ)や冴えかへる=白髪鴨


◎雪○メ、秋、資△水=10点
(雪:格調高い雰囲気のある句。 秋:ロマンを感じます。冴え返るという季語をはじめて知りました。 葱:☆季語を吟味したらグンと良くなる予感。)


【入選】

●帰らうか酔ひの足らざる春炬燵=砂太
◎白○入、君△秋、百=9点
(白:日常性の中に潜む狂気への愛。それが酒飲みの楽しみ。プラトーに達する強度はないが、シンパシーを感じさせられます。一方で、孤独で、哀しみに浸されながらも「春炬燵」というぬくもりを配した冷静な句作りにも感心させられました。 百:中途半端な酔いかた 。)

●人好きの人アレルギー春の月=葱男
◎夏、入○百△メ=9点
(夏:この感覚、良く判る。面白い!対人に限らず一般的な”アレルギー”も春にはありがち。 百:”人好き”ってのが気の毒)

●ほっぺたをたてよこななめ風光る=君不去
◎喋、資○香△白=9点
(資:春を肌に感じる喜びが伝わってくるところが良い。 白:春の風を感じる。その気持ちがよく伝わってきます。下句もすべてひらがなにしたかったかなあ〜。)

●首曲がる角度を測る余寒かな=スライトリ・マッド
◎久○夏△五、メ、喋=8点
(夏:余寒に体が縮こまって、それを延ばしてみる様子が見えるよう。 五:着眼点が面白い句。)

●凍てゆるむ池のほとりのかへり道=資料官
◎メ、秋△入=7点
(秋:凍てゆるむという表現が効いています。)

●月面のじんわり融けて春立ちぬ=水音
○メ、喋△五、夏=6点
(五:月も融けたように感じる立春の夜。空気が暖まってきました。 夏:「月面が融ける」とは面白い表現。 葱:☆ほほう〜!)

●紅一点てきぱきバレンタインデー=資料官
○二、雪△五、喋=6点
(雪:「てきぱき」が可笑しい!一人で義理チョコを配っている様子が見えます。 五:義理チョコをてきぱき配る紅一点のこと?ウィットに富んだ句ですね。)

●ポニーテール揺るる春のグラウンド=雪絵
◎砂○二△君=6点

●あえのこと田の神帰る田に雪間=水音
◎香△白、喋=5点
(白:最初は「あえのこと」という意味が分からなかったのですが、第一印象から何か引っかかっていました。由来がわかると下の「田に雪間」がとても効果的で味わいのある句になっています。世界無形文化遺産ですからね。でも少し技巧的な気もします。 葱:奥能登の風習なんですね、「あえのこと=餐の祭り」。)

●梅一輪茶筅静かに響きをり=秋波
○資△葱、メ、雪=5点
(資:茶室には一輪挿しの梅。ふと茶筅の音が聞こえる静けさが良い。 葱:桜と違って、梅は一輪で「梅」です。)

●クラリネット途切れ途切れに春遅し=雪絵
○入△香、ス、百=5点
(百:クラリネットの音が春らしい。)

●佐保姫のお好きなオセロゲームかな=水音
◎葱△二、ス=5点
(葱:三寒四温のイメージでしょうか、シャレてる〜!)

●二羽三羽四羽となつて鶴帰る=五六二三斎
○水、ス△久=5点
(葱:☆写生の見本句です。)

●春時雨跳ねる飛沫の温さかな=メゴチ
◎百○久=5点
(百: 飛沫に注目。 葱:☆佳句です。)

●まんさくや過去未来へと太鼓橋=喋九厘
◎五△砂、君=5点
(五:太鼓橋の前で厳粛になる気分を上手く表している。大宰府天満宮の太鼓橋が思い浮かぶ。まんさくの花咲いてますか?)

●きのふより五度あたたかき春を噛む=葱男
△夏、雪、秋、百=4点
(夏:気温が乱高下して不安定ながらも、確かに暖かくなっている実感。 秋:三寒四温の季節です。 百:また寒くなるんですよ。)

●父の忌や海蜷踏みて和白浜=入鈴
◎君△二=4点
(君:心情と景がぴったり。)

●再処理の浜にたたずむ寒立ち馬=入鈴
○久△秋=3点
(秋:東北の春は遠い。)

●冴返り月に飛び込む翼あり=君不去
○ス△二=3点

●浅春の天灯うづめつくす空=夏海
○五△資=3点
(五:どなたか台湾か中国に行かれましたか?春よ来いと空に願っているみたいな句ですね。)

●つちふりて六十年目の春にいる=白髪鴨
○香△葱=3点
(葱:「めでたさも中くらいなりおらが春」ちゅうことですね、共感!)

●二ン月の夕陽掬へり零るるまで=砂太
○白=2点
(白:「二ン月」ですか〜。句作りとはこういうことなんでしょうかね。中下の凡庸さを一気に秀作に変えてしまいました。)

●早三月こだまでせうかいいえ、のぞみ=資料官
△久、二、入=3点
(葱:☆やりたい事は分るけどなあ〜、やや「鉄」寄り。)

●春の雪第一番のシンフォニー=白髪鴨
○砂△葱=3点
(葱:「春の雪」はいろんな優しいイメージが広がります、誰のシンフォニーなのかは言わないのが俳句。)

●前庭に指輪ころがる待雪草=ひら百合
◎ス=3点

●春愁や陽水の母は六十四=ひら百合
○夏=2点
(夏:わが青春の陽水歌。その母の年齢へ自分達も近付いた感慨!)

●盆梅の主語らう小宇宙=秋波
△砂、雪=2点
(葱:「語らう」は「語らふ」がいいかも。)

●犬にも相性あるらし春しぐれ=スライトリ・マッド
△水=1点

●還暦はうるう年とぞ春の宵=君不去
△久=1点

●さすらえば春の時雨に迷いけり=ひら百合
△水=1点
(水:春ってなんだかたぶらかされているようで。 葱:「けり」を使うなら「さすらへば〜迷ひけり」。)

●春浅し箱崎浜の藻の澄みて=入鈴
△二=1点

●緋毛氈春待ち顔に敷きつめる=秋波
△資=1点
(資:雛人形を飾る風景かと想像した。)


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