*A部門入選作発表*

当季雑詠*全47投句(入選38句)

【特選】

一席
●菜を洗ふぎゆつと詰まった冬の水=水音


◎喋○二、メ、ス、秋△葱、久、砂、雪、白=16点
(秋:手が切れそうな水の冷たさが伝わります。 葱:「ぎゆつと詰まった」に一票、冬菜は白菜か? 雪:冬の菜は洗っていると手ごたえを感じます。それは、冬の水だったんですね。)


二席
●ぶち切られ鮪は魚を離れけり=砂太


◎久、ス、白○葱、水△二、雪=15点
(久:哲学的で切り口が新鮮です。 葱:「魚」を略したのは中原道夫の小さな「白魚」ですが、、、。「ぶち切られ」が豪快で大きな魚の迫力を感じます。 水:「魚を離れる」の表現が面白い。 雪:魚を離れる、という表現がいい! )


三席
●雑踏に詩語を探せる十二月=水音


◎君○砂、資、入△五、夏、前=12点
(君:実感でした。 入:コレは私のことをどっかで見かけた丘人の作やないですか? 五:冷徹な人間ウォッチングをしているのは砂太先生か?ダークホースは雪絵さんか?雑踏にも詩が隠されているはず。まさか、これで俳句になってなかったらそれは残念です。ぜひ、その2句目が知りたいですね。)


三席
●ひうひうとうねる淑気や龍が来た=葱男


◎資、入○雪、秋△喋、ス=12点
(入:淑気がうねんのんか?ですが、龍と繋げたところが面白くて新鮮! 雪:「ひうひう」が木枯らしに思える淑気。とうとう還暦の年ですね。 秋:不安と期待の入り混じった新年の幕開け。そんな時代感覚を表して いるようです。)


【入選】

●枯菊は色を残して枯れ惜しむ=秋波
◎雪、前○葱、資=10点
(雪:確かにそうですね!いつも見ていることだけど。 葱:「枯れ惜しむ」がいい。)

●君が猫だつたらひらふ小晦日=葱男
○五、夏、雪、君△百、水=10点
(五:女性を愛して止まない部長の句か?不倫の匂いがしますが、君は若い未婚者の感じです。従って、問題は部長か?いやいや、作者は不詳でした。部長、失礼しました。 夏:君とは?と 気になる・・・巧さ。 雪:辛い恋の句?でもどことなく優しさが。 君:”ひらふ”は訛?意識してでしょうか? 百:「拾う」? 君が?猫?っと思いながら,取ってしまった。 水:有川浩の青春恋愛小説のようなシチュエーション。小晦日がちょっと余裕のある感じ。)

●斬りし振り斬られし振りや里神楽=雪絵
◎五○白△二、夏、水=8点
(五:夏海さんの句か?里神楽の激しい動きが伝わってきます。i音の繰り返しがいいですね。)

●活版のくぼみ仄かにお元日=夏海
◎秋○百、喋=7点
(秋:手作りの版画の年賀状でしょうか。かすれ具合も味があっていいも のですよね。 葱:「年賀状」?)

●くらくらと冬日照らすや河童川=喋九厘
◎二、夏△メ=7点
(夏:冬日を「くらくら」と表現する感性が素晴らしい。)

●年名残リズの遺品の売られゆく=夏海
○ス、白△葱、水、君=7点
(葱:なかなかトリッキーな句でした。)

●主なき大漁旗よ初山河=葱男
○入△久、資、ス、香=6点
(入:堂々と広がる句とともに、悲しみも果てしない。)

●冬夕焼け第七版の辞書求む=白髪鴨
◎百、水=6点
(水:『舟を編む』を読んで辞書編纂の気の遠くなるような作業を思い起こし、それも七版まで、、と考えると、儚くて心に沁み込むような冬夕焼がとても効いているように思います。)

●かぐら坂の灯の誰かれと降誕祭=入鈴
◎砂○君=5点
(葱:☆昔、「キャナル・カフェ」で彼女とデートしたことを思い出しました。)

●寒月やすっぽり地球の影に入る=資料官
○水、香△白=5点
(水:寒月という詩語を月食と取り合わせたところがいい。)

●虚心とはなれぬ河豚居る板の上=砂太
○五、久△夏=5点
(五:河豚をまな板に乗せた緊張感がありますね。砂太先生句か? 葱:自分で河豚を捌いているの?法律に違反しないですか?)

●洋館は明治の香なり年暮るる=君不去
○百、前△入=5点
(百:「降る雪や明治は遠くなりにけり」を連想。 入:駒込の旧古河邸ですかね、ジョサイァ・コンドルの大正期の部分が多いという印象をもちましたが。)

●重ね着もファッションとなり町師走=君不去
○久△資、百=4点
(百:一寸川柳的かも。 葱:☆今の子は重ね着のオシャレがうまいね、ブランド志向から抜け出て、お金をかけないで個性的な着こなしができるのが「文化」ですね。)

●三鉄や希望走らせ除夜の鐘=喋九厘
○香△秋、君=4点
(喋:被災したすべての人に捧ぐ、三鉄は三陸鉄道。)

●幸せか大つごもりの蕎麦に問ふ=前鰤
○砂△メ、香=4点

●夜半の冬コンクリートの収縮す=スライトリ・マッド
◎葱△白=4点
(葱:もしかしたら類想があるかも、ですが。)

●霙はねボールのはねて打納め=入鈴
○二△前=3点

●狐火さへ恋しくなりぬ海の夜=白髪鴨
△五、入、香=3点
(五:海の男、白髪鴨さんの句でしょう。男のロマンがあって、破調も気になりません。 入:狐火の〜だったら字余りと口語っぽいことが薄まる?)

●これつきりですかとすがる師走かな=五六二三斎
◎メ=3点
(葱:百恵ちゃんみたい。)

●亡き友は北風に否波の下=久郎兎
◎香=3点

●冬かもめリセットボタン押されけり=雪絵
○夏△秋=3点
(夏:年が改まるのは「リセットボタン」のイメージかも。)

●耳透いてかがりびばなの冬日かな=入鈴
○メ△前=3点

●ゆったりと有為転変の年の暮=メゴチ
○前△資=3点

●元旦の過ぐ夜轍の静けさよ=久郎兎
△五、二=2点
(五:轍と来れば、鉄ちゃん2人のいずれかの句か?資料官さんの句でしょう。確かに元旦の夜は帰省客も居ず静かに感じますが、列車は休日ダイヤで走ってますよね?まあ、それはさておき、静かな元旦の夜でしょう。)

●感嘆符つけてあなたへ聖誕祭=水音
△メ、君=2点

●丹頂の足首細く居定む=君不去
△葱、秋=2点
(葱:「居」の音と字面が効きます。)

●月が地球の影に喰はれてチャンチャンコ=砂太
△雪、喋=2点
(雪:まさに喰われる感じ。「チャンチャンコ」をカタカナの理由は?)

●槌をもて縒る大注連を夫婦岩=夏海
○喋=2点

●ヒッチコックの鳥めくカラス冬ざるる=雪絵
△砂、ス=2点
(葱:☆加山又造の絵も浮かびます。)

●風邪押して襷運びし友逝けり=五六二三斎
△喋=1点

●霜が消え猫は畑で日向ぼこ=秋波
△入=1点

●聖夜かな中洲の夜は空まはり=白髪鴨
△久=1点

●大根引く市民農園天快晴=資料官
△砂=1点

●隣人の訃報の知らせ炭を継ぐ=スライトリ・マッド
△百=1点


【無選】

●しんみりと妻に感謝の柚子湯かな
(葱:☆沁みますね〜。)

●撫でてやる犬は冬毛に変はりをり
(葱:☆上五が少し気になりました。)

●浪江より夜ノ森末続大晦日
(喋:30年前にふるさと浪江に帰った彼女と、いつの日かの常磐線復活を願い沿線の人々に捧ぐ。 葱:☆地霊を感じます。常盤線の駅名ですか。)


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