*A部門入選作発表*

当季雑詠*全46投句(入選29句)


【特選】

一席
●星の降る音のきこゆる落花生=夏海


◎二、ス、メ○雪、水△君=14点
(雪:「星の降る音」ですかぁ。いいなあ〜。 水:地上に落ちた星が落花生になって、、、絵本のような楽しさ。)


二席
●実石榴や膝つ小僧の傷消えぬ=夏海


◎雪○資、秋△五、砂、前、ス、メ=12点
(雪:思わず膝を見ました。おてんばだった証がしっかり残っています。五:石榴の割れた様と膝小僧の傷。痛々しさが伝わってくる。 秋:パクッとあいた傷だとすると痛そう! 葱:☆「少年の日」の思い出。)


二席
●横顔はことに右よし柿熟るる=水音


◎前○雪、五、砂、香△夏=12点
(雪:おもしろいところを詠んでますね。 五:面白い観察。)


【入選】

●北へ石据ゑたる庭師冬近し=砂太
◎五○二、夏△雪、香、君、ス=11点
(五:庭師の冬を前にピリッと締まる気持ちが伝わってきます。 雪:何か意味があるのでしょうね。 葱:☆「北」は「俳句界・今月の兼題」の賜物ですね。)

●学校の空まで学校運動会=水音
◎夏○ス△葱、雪、香、前、秋=10点
(葱:「空まで学校」がすごく気になりました。作者と私が感じたイメージは、ひょっとしたら少し違うのかもしれません。校庭の広さが空まで広がっている、と解釈するのが普通かもしれません。でも私のイメージは「空」がある意味で「学校のような」、ある種「厳格で自由で学ぶことはたくさんあって大変なのに、一方では楽しい子供たちの社会生活」の場が広がっているようなイメージを喚起されました。 雪:おもしろい感覚! 秋:空まで抜ける歓声が聞こえるよう。)

●連弾の音散らばつて星月夜=雪絵
◎砂、資△二、夏、水、ス=10点

●奥入瀬を黄色い林檎に語らせり=香久夜
○水、メ△資、前=6点
(水:面白い表現。 葱:よく分りませんが、奥入瀬の林檎の木の葉が黄葉しているのでしょうか?)

●ドアノブに魚下がりぬおんこの実=スライトリ・マッド
○二、君△夏、秋=6点

●ハングルの暗号めきぬ秋灯下=雪絵
◎水○資△砂=6点
(水:秋灯下が効いていると思います。 葱:相手が韓国だけに「秋灯下」がじんわり重い。)

●ほの暗き蔵ひとのみに新走り=君不去
○前、秋△香=5点
(秋:今年の新酒はどんな味?)

●朝霧に下り入りまた上り出づ=君不去
◎香△秋=4点
(葱:☆中七、下五のリズムの面白さ。)

●鶏頭や少年兵の血のほめき=砂太
◎君△雪=4点
(君:句全体が無残な赤のイメージ。 葱:「ほめく=熱い」と、この言葉にやや頼り過ぎ。)

●さはやかにセロ背負ひけり双生児=白髪鴨
◎葱△資=4点
(葱:「チェロ」と双生児の出会いが素晴らしい、言ってしまえば「ミシンと蝙蝠傘」よりもいい。となると、どこで出会ったのか? 後者が「手術台の上」なら前者は「ウィーンの市内電車」あたりか。 資:S音の響きが良い。)

●刀豆(なたまめ)の反りや夕日と少年と=砂太
○君△二、メ=4点

●新妻や新米艶ごと握りをり=君不去
○ス△葱、二=4点
(葱:透明感と艶で新米が立つ!)

●僅かなる風の気配や実紫=秋波
○砂△五、メ=4点
(五:実紫句の典型。晩秋の静かな風情。)

●還暦や湯割りに映る暮れの秋=前鰤
◎秋=3点
(秋:静かな還暦。でも人生の秋にはしたくないですね。)

●天高し見えない遊星がひとつ=スライトリ・マッド
○夏△水=3点

●果ててなお落葉枯葉の次の夢=久郎兎
○香△資=3点

●秋惜しむ虚数の情緒かぎながら=白髪鴨
○メ=2点

●秋の暮懐古調(レトロ)の電話鈴(リン)と鳴り=メゴチ
○葱=2点
(葱:わたしの携帯の呼鈴は「黒電話」。気持ち、伝わります。)

●朝焼けの宝満道の寒露かな=喋九厘
○五=2点
(五:喋九厘さんの早朝の宝満撮影の俳句?実景はいいですね。)

●行列にその法則や新豆腐=夏海
△砂、水=2点

●さらば折尾汽笛鳴り止み秋終う=喋九厘
△葱、君=2点
(葱:「終う」は「終ふ」にしてほしかった、何故なら「さらば」という呼び掛け自体が「文語的」だから。 資:気持ちは良くわかるが,さらば・止み・終うがくどいのでなかろうか)

●正六時烏賊墨色(セピア)に滲む暮の秋=メゴチ
○葱=2点
(葱:「正六時」が効いています。)

●日較差低きに縮み秋尽きぬ=久郎兎
○前=2点

●ギャラリーの犇く地図やけらつつき=雪絵
△二=1点

●秋海棠石垣を編み鳶の声=秋波
△二=1点

●鐘楼の傾くすがた天高し=資料官
△五=1点
(五:鐘楼が傾いて見えるくらい天高く晴天なのでしょう。)


【無選】

●高き空尽きせぬ夢に終止符。
(葱:☆「終止符」に「。」が付いているのがいい。)

●誕生日大きな月の暈の下
(五:部長誕生日に。)

●はやかに海わたる風原始かな
(葱:海の上で「夜明け」を迎えてみたい。)
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