*A部門入選作発表*

当季雑詠*全49投句(入選34句)


【特選】

一席
●流灯や簪一つの束ね髪=夏海


◎喋、白○五、資、ス△二、雪、百、君、前=17点
(五:字余りを防ぐ意味で、「の」は要らないのでは?昭和の送り火風景か? 資:さだまさしの精霊流しの世界を見るような。)


二席
●足し算で生きて喜寿なる花糸瓜=砂太


◎久、資、秋○百、白△喋、雪、香=16点
(秋:いつも前向き。そんな風に言えるところが素晴らしくもあり、ちょっと眩しい。 葱:子規以後、「糸瓜」という語には生死が暗喩されますね。)


三席
●いわしぐも考妣のことば地層なす=水音


◎メ○葱、香、君、前△二、資=13点
(葱:「考妣」という言葉を初めて知りました。)


【入選】

●サルスベリ天才の髪爆発す=葱男
◎香、君○二、喋△五、資=12点
(香:おもしろい!すごい発想、そういえばアインシュタインもそんな頭してたねえ。 君:勢いが凄い! 五:百日紅は7月の季語。但し、出来がいいので残した。サルスベリの花は確かにアインシュタインの髪みたい。「百日紅アインシュタイン爆発す」なんて句もいいかも。岡本太郎も候補か?)

●一列にスロージョギング秋に入る=雪絵
◎水、夏○ス△二、香、秋=11点
(水:スロージョギングしてる人たちの爽やかな笑顔が見える。 夏:まだまだ暑い中、ゆっくりとジョギングする列。季節もゆっくりと動きだしてい る。二つが上手く重なっている。 葱:全国各地でマラソン大会が開かれるようになり、われわれから団塊の世代は健康管理に留意する年令にさしかかりましたね。)

●髪染むるときはコオロギの美容室=夏海
◎二、ス○久、水△葱=11点
(水:染めている長い時間、虫の音を聞きながらというわけですね。「コオロギの美容室」が良いです。 葱:「コオロギの美容室」というのがちょっと面白い。「コオロギ美容室」なんて名前の店があってもいい感じ。最近、うちの前に若い人が経営する「西陣ロマンチカ」っていう名の骨董屋さんができました。)

●蜩と平戸の甍坂のぼる=白髪鴨
○百、秋△二、砂、久、喋、メ、水、五=11点
(秋:鄙びた景色が浮かびます。 水:日本の西端の平戸は晩夏が似合うと思う。登りきったら秋めく海が見える。 五:平戸に寺か教会か分からない建物がある。隠れキリシタンの島。おそらくその坂の風景か?)

●どつしりと座る宝満新豆腐=五六二三斎
◎砂○喋、水△葱、二、秋=10点
(水:新豆腐の香りと甘さ、宝満山の豊かな秋を思う。 葱:比喩としては王道の感あり。)

●鬱金咲くビスクドールの硝子の眼=スライトリ・マッド
○砂、雪△二、メ、夏、白=8点
(雪:うこんの漢字は難しいけど、ガラスのような透明感のある花ですね。 葱:ガラスの眼の中に花が咲いているのかな???)

●つくつくし寝ねつつ笑まふ赤ん坊=夏海
◎雪、百△二、香=8点
(雪:私もふっと笑んでしまいました。 葱:リズムと風景が気持ちいい。が、類句もありそう。)

●行き合ひの空つかの間の君の声=雪絵
○五、秋、前△資=7点
(五:青春俳句という感じ。「行き合ひの空」とは何?)

●阿蘇谷のレールつながれ蝉の声=喋九厘
○葱、君△ス=5点
(葱:続く線路と蝉木立のイメージがうまく繋がっているように感じます。)

●酢橘摘むこの切なさを鋏とし=葱男
○二、メ△雪=5点

●白桃の口に溶けゆく顔と顔=砂太
○久、資△二=5点
(資:みずみずしい白桃をほおばる満足した顔。 葱:老若男女、桃が嫌いってひといるんかな?)

●終焉と隣り合わせて蝉しぐれ=ひら百合
○砂△久、前=4点

●貴女てふ作品に付す月の眉=葱男
○白△喋=3点

●緊張と弛緩の間(あい)に秋の風=水音
○メ△白=3点

●球磨川の蝉ざわめきてラフティング=喋九厘
○香△百=3点

●氷の字の赤きにありて涼し風=久郎兎
◎前=3点

●さわさわと粋な挨拶窓の秋=メゴチ
◎五=3点
(五:秋のさわやかさをうまく詠んだ。団地生活を思い出す。粋というから、東京が舞台?)

●宿題の苦き思いや法師蝉=香久夜
△水、五、ス=3点
(五:「苦き思い出」の方が良くないだろうか?)

●新幹線ホームいつぱい夏休=資料官
○雪△砂=3点
(雪:夏休み中は、ホームにも地下街にも、どこにでもいる子どもたちでした!)

●糸瓜咲いて同窓会の死者生者=砂太
◎葱=3点
(葱:ずしんと心に深く響きました。)

●揺るる揺るうす紅密かに萩用意=君不去 
△メ、秋、白=3点
(秋:揺るる揺るが絵的にも雰囲気!)

●稲の波無人のヘリの飛んでをり=スライトリ・マッド
△水、百=2点

●炎天やしあわせ色のシンカンセン=資料官
△葱、二=2点
(葱:ちょっと不思議な感覚だけど、「シンカンセン」のカタカナ表記がいい。)

●かなかなやザビエル堂の聖母像=白髪鴨
○夏=2点
(夏:耳に響く蝉の声に感じる 新鮮な秋。 葱:きれいだけど、類句もありそう。)

●還暦の竜の落とし子秋に入る=五六二三斎
△夏、ス=2点

●桐一葉何れ別るる縁を知る=君不去
△砂、前=2点

●東経0度西経0度八月尽=水音
○夏=2点
(夏:ロンドンをこんな風に表現するとは、素晴らしい! とても感動したオリンピック・パラリンピックでした。 資:ロンドン五輪で終わった八月,グリニッジ天文台ですね。 葱:ん? グリニッジ天文台だっけ? それとも「ロンドン五輪」のことかな。)

●昨日より影伸びし今朝仮の秋=前鰤
△久=1点

●熊蝉の去り絶えし路朝の涼=前鰤
△君=1点

●星月夜夢を肴に語ったね=メゴチ
△君=1点

●帆を変へよ送り南風の吹くからに
△夏=1点
(夏:季節の変わり目は風から見えてくるのですね。)


【無選】

●秋気配家路を忙ぐ蟻の群れ
(葱:「忙ぐ」という表現に少しひっかかりました。)

●落ち蝉やよろり自転車撥ねる空
(葱:「仮の秋」で暑さが伝わります。)

●何事もなく筑後弁赤のまま
(葱:「博多弁」とはまたちゃうんかな?)


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