*A部門入選作発表*

当季雑詠*全47投句(入選33句)


【特選】

一席
●夜学士や地球を回す好奇心=葱男


◎水、白○香、夏、百、雪、君△砂、喋、五、二=20点
(水:若者のひたむきな様子が見える。地球儀を「地球を回す」としたのが面白い。 夏:人の「好奇心」が「地球を回している」みたいで面白い。 百:夜学士って誰のことなんだろう。まさかコペルニクス? 雪:科学は果てしない!いつかそんな時がくるかも。 五:夜学士の専門は地球物理学?もしかしたら、国際政治学が専門か?)


二席
●ことのはを折りとりながら曼珠沙華=白髪鴨


◎香、資、五○喋、久=13点
(五:曼殊沙華の花弁が言葉を放ち、話しかけてくるように感じる。)


三席
●豆彫りを覗く眼鏡や秋灯し=夏海


○資、ス、二△水、喋、百、雪、秋=11点
(百:もう小さなものは見えなくなりました。 葱:佳句だけど季語が動きそう。)


【入選】

●掛幅の柿色づいて涼新た=秋波
○砂、喋、葱、ス、メ=10点
(葱:季節ごとに変えられる床の間の涼。)

●ライオンのやうな流木秋の浜=スライトリ・マッド
◎夏○百、雪△葱、五、二=10点
(夏:流木をライオンに見立てたところが素晴らしい着想。秋の寒々しい浜と響き合っている。 百:想像できる。素直なようで,奇抜な発想。葱:どんな流木か写真が見てみたい、流木はそれだけでアート。 雪:根っこがライオンのたてがみのような感じでしょうか? 五:そんな経験があったような気がする。)

●蝶の国へ蝶群れ帰る黍嵐=夏海
◎二○水、葱、白=9点
(水:不思議な光景。強い風の蝶がはかなく思えるが、「群れ」にたくましさも感じる。 葱:海峡を渡っているところでしょうか?)

●ちさきてにははへのみやげねこじゃらし=香久夜
○百、五、秋△君、メ=8点
(百:幼さが感じられる。 五:久しぶりのひらがな句。幼いころを思い出す。)

●秋茄子の少しねぢけて落ちにけり=君不去
◎ス○白、秋=7点
(葱:☆「ねぢけて」がいい。)

●蟋蟀のお伽噺話に長湯する=五六二三斎
◎喋△砂、香、葱、雪=7点
(葱:ちと甘い気がするが、それは葱句も同じ。)

●露草や誰にも愛を打ち明けず=五六二三斎
◎久、メ△砂=7点

●秋時雨萩が辞儀する石畳=秋波
◎君○二△百=6点
(君:時雨と石畳のひんやり感に魅かれて。 百:辞儀する〈じぎする〉っていうんだ。 葱:☆中七に工夫あり。)

●朝冷のしづかに待機する迎車=葱男
○砂、水△夏、ス=6点
(水:タクシーをこんな風に俳句に読めるんですね。 夏: 秋の朝の気温まで感じるような句。この「待機」には特別な意味がありそう。)

●一羽二羽渡りやがては鷹の空=砂太
○久、資△白、雪=6点

●金山の栄華まぼろし月の暈=夏海
◎砂○五△資=6点
(五:金山は何処のことだろうか?鯛生金山?)

●爽やかやおもちや病院の先生=スライトリ・マッド
◎雪△夏、葱=5点
(雪:昔はいろんなもの、修理して使ってましたよね。 夏:視点がとても魅力的! 語調を整えることができれば一層素晴らしくなりそう。 葱:楽しげな病院もあるんだ。)

●つづら田の復興を待ちて彼岸花=喋九厘
◎秋△久、君=5点

●背景は碧空のみ曼珠沙華=白髪鴨
◎葱△メ=4点
(葱:自由律の、しかも字足らずが珍しく成功している句だとおもいます。「二節一句」とでも呼ぼうかな、チャレンジに一票。)

●硝子越しのスターバックス秋夕焼=雪絵
○夏△資=3点
(夏:人恋しい秋の夕暮れ時。)

●里山の畦にやうやく曼珠沙華=資料官
○香△百=3点
(百:待ちかねた。)

●連山の麓のパン屋小鳥くる=雪絵
△水、夏、ス=3点
(水:思い切り息を吸い込みたくなる爽やかさ+良いかをリ 空腹を感じさせる句。)

●秋の陽よ停まれや山に帰り道=久郎兎
○君=2点

●桜島ステンドグラス水澄めり=五六二三斎
△喋、資=2点

●高き天吸い込む蒼と真綿雲=ひら百合
○メ=2点

●月白やグラス倒れて光の海=水音
△白、秋=2点
(葱:☆壊れる瞬間を詠みとってストップモーションがきれい。)

●待宵やチョコの光沢いや増せり=水音
△五、秋=2点
(五:現代的な句に仕上がった。いや増すという言い方が気に入った。)

●君の云ふ月は丸いさ何時だって=ひら百合
△君=1点

●小鳥来る一羽と吾のかくれんぼ=葱男
△久=1点

●秋天と海のあわひに秋津島=水音
△メ=1点

●真円へ育ち行く月あと幾日=君不去
△久=1点

●仲秋の回る回るよフラフープ=喋九厘
△水=1点

●都井岬アゴ(飛び魚)を肴に月見かな=喋九厘
△香=1点

●ぽつぽつと街の明かりや秋刀魚の香=秋波
△白=1点

●山ガールの揃ひのタイツ初紅葉=雪絵
△ス=1点
(葱:戦後。第3次?ブーム??)


【無選】

●鷹来たる能古の島海渡りつつ
(葱:モノクロ写真の構図がうかんだ、例えば「川瀬巴水」のよう。)


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