*A部門入選作発表*

当季雑詠*全44投句(入選38句)


【特選】

一席
●柿の朱に夕日積み増す軒の下=久郎兎


◎ス、夏、メ、秋、前○砂、阿=19点
(夏:中七がとても素敵です。 葱:☆中七の措辞。)


二席
●河童ごと駅舎なりけり時雨くる=雪絵


◎砂、水、二○ス、五△資、夏=15点
(水:河童ごと駅舎であるというとことに惹かれました。 五:河童が駅舎に?筑後川の久大本線辺りの駅舎かな?河童は夏の季感がしますが、時雨と合わせたのは斬新でした。 資:河童は夏ではないかと思うが,田主丸駅に敬意を表し。 夏:田主丸の駅でしょうか?楽しい駅舎を思い出します。 葱:☆webで検索したらそれが「田主丸駅」であることが分りました、面白い!)


三席
●あつけなく組上がるもの小春空=夏海


◎五○水、雪、白、二△喋=12点

(五:組上がるものが何なのか?それがミステリーなのがいい。 水:何が組上がったんだろう?空が穏やかに広がっている。 雪:私の頭の中では棟上げの光景。ほんとに早くなりました。 白:驚いた! これは詩? 私の感じる詩の心など欠片もなく、しかし見事に組上がっている。写実から抽象へのアートですね。)


【入選】

●朝粥をふつふつと煮て初しぐれ=スライトリ・マッド
◎阿○砂、君、前△雪、喋=11点


●小春日や瀬戸の港のねこだまり=葱男
○阿、喋、メ△夏、君、二=9点

●初時雨隅に青空抱へつつ=君不去
○資、夏△砂、阿、雪、メ=8点
(資:青空抱えがいかにも初時雨らしく好感。 夏:降ったり、また晴れたり、時雨の様子が良く捉えられていると思います。)

02●足早の師の足軽し薮柑子=白髪鴨
◎資○葱△君、秋=7点
(資:吟行の風景を見ているようでその描写が良い。 葱:「藪柑子」の季語がはまった! 先生とはきっと「俳句の先生」に違いない。)

●九州の形をしたる落ち葉地図=五六二三斎
◎雪○久△葱、ス=7点
(雪:「落ち葉地図」が何ともいいですね。 久:地図の文字が入っているのでいただきました。確かに九州島は落ち葉に似ています。 葱:観察が愉快、九州はやっぱり大好き。)

●東映にをりし強面(こわもて)朴落葉=水音
◎葱○雪△百、五=7点
(葱:「ピラニア軍団」てのがありましたね。昔、勤めていた工房のすぐ裏に「川谷拓三」の家があって、よく見かけました。とても愛想のよい、可愛らしい人でした。若くして亡くなったとき、近くのお寺で御葬式があったので、近隣の住民として葬儀に出向いたのですが、勝新太郎が神妙な顔で座っていたのを思い出します。 雪:朴落葉が強面を想像させた・・、確かに! 百: 朴歯下駄つながり? 五:強面は菅原文太のこと?未来の党を応援してるようで、タイミングぴったしか?)

●鍾馗像座る屋根々々初しぐれ=夏海
◎百△阿、水、資=6点
(百:鍾馗様と言えば こどもの日しか思いつかなかった。 資:京都の風景でしょうか,寒々しい。 葱:☆うちの西陣界隈の古い家でも時々見かけます。)

●冬もみぢ音符の満つる大ホール=スライトリ・マッド
○白△砂、雪、二=5点
(白:最初は平凡な句だと感じました。でも上五と中七の連携が素直であると同時に伸び拡がる差延を感じさせます。)

●返信を待つ縁側や冬日落つ=香久夜
○秋△久、百、メ、前=6点
(百:待ちくたびれ 。)

●神在月白磁の皿に絹豆腐=水音
◎久△砂、喋=5点
(久:何回選句してもこれが◎になりました。白と白の境目に神がいるようで。)

●吽と阿のずれもをかしき鴛鴦や=香久夜
◎喋△葱、秋=5点
(葱:夫婦の「阿吽の呼吸」を面白く演出して、粋な諧謔の句。)

●雉子車作る老いの手暮早し=雪絵
○君、前=4点

●菊花展その真ん中に寝てみたし=砂太
○葱、百=4点
(葱:気持ちの良い句です。 百:無邪気。)

●継続は力を抜いて初氷=喋九厘
○水、資=4点
(水:力と入れるのかと思いきや意表をつかれました。 資:力を抜いてが良い。)

●小春日の空の密度の見ゆるほど=夏海
◎白○メ=4点
(白:「空」の文字に、いろいろな意味合いが見える。目で見える「そら」、からっぽのの「空」、物理的空間の「空」…。それらの密度はみな違うけど、小春日の密度というほどのやはらかさを見ている視線が素敵です。「小春日や」と切らなかったところが俳句としてよかったのか悪かったのか、それは分かりませんが…。)

●水鳥に餌を投ぐ王の心地して=砂太
○ス、二=4点
(葱:☆初見ではないので、少し感動が薄らいだようです。)

●綿虫や津軽の家もわが棲家=資料官
△久、水、ス、君=4点

●Xから冬界隈のZかな=喋九厘
○五△葱、白=4点
(五:百号にふさわしい斬新な句として選びました。Xはクリスマスを感じますし、Zは年末をイメージします。字余りを推敲してさらに進化してほしい。 葱:季節の変わり目を新鮮な表現で言い表しています。 白:新鮮です。でもこれ限りの表現でしょう。)

●黒犬と凛々しき少女冬立ちぬ=葱男
△夏、白、メ=3点
(白:スマさんの句に類想句あり。感性としては素敵です。その点で一票。)

●城跡の石段高し落葉籠=君不去
○百△阿=3点
(百:平和台の城跡で、いつも思います。 葱:☆城跡の石段は大きくて、一段一段も高いところが多いですね。)

●百号の祝いめでたや冬の陣=喋九厘
◎君=3点
(君:皆の気持ちですね、おめでとうございます。)

●アンテナに烏初冬の光りゆく=葱男
○久=2点
(久:冷たさが滲み出ているようでいいです。)

●犬が好き人も好きです懐手=砂太
△白、二=2点
(白:すでに吟行句の評として書いたので省略。)

●歯科医師の諫言苦し小春かな=白髪鴨
○秋=2点

●石蕗咲けば母を残して同窓会=資料官
△百、二=2点
(百:母に悪いと思うんだろうか。)

●冬紅葉百科事典を処分せむ=君不去
△資、五=2点
(資:うむ,もう百科事典はいらないな。 五:百科事典は無用の長物になりつつありますね。)

●放射角セントレアから冬空へ=香久夜
○夏=2点
(夏:飛び立つ飛行機、動きがあって魅力的な句。)

●ほくほくと直燗焼酎神のるす=白髪鴨
○喋=2点

●書きし手の皺幾年や長き夜=久郎兎
△前=1点

●風に乗る募金の声や冬日影=秋波
△五=1点
(五:季語はこれでぴったりか?上五中七は面白い。)

●小春日や自在に揺らぐ穂草波=秋波
△前=1点

●茶の花や和やかに父教え子と=五六二三斎
△秋=1点
(葱:☆「茶の花」の季語の本意に景がよく合っている。)

●仁王像の足に賽銭冬紅葉=雪絵
△水=1点
(葱:☆景がありありと浮かんでくる、佳句だと思います。)

●値札など無しよと村の柿しだれ=久郎兎
△ス=1点

●初時雨ファーの声も震えをり=メゴチ
△久=1点


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