*A部門入選作発表*


当季雑詠=全84投句(入選61句)

【特選】

一席
●雪吊を支ふる空の重さかな=十志夫


◎智、メ、し、水、裕○清、香、遊、喋△虹、ラ=27点
(智:金沢のどんよりした空が浮かんでくる。 し:イメージわかります。 水:雪吊は空に支えられていたのかと、今更ながら陰鬱な低い空を見ておもう。 裕:北陸の重たい冬空が浮かびます。 清:雪国生まれの私に取って鉛色の空の重さがよく分かる。 香:どんよりとした空でしょうか?景が大きい! 遊:理系の人の俳句だろうか? ラ:類句があるかもしれませんが、手堅い句。)


二席
●アフガンの緑はるかに星冴ゆる=スライトリ・マッド


◎葱、香、ぼ○砂、入、し、水△紅、修=23点
(葱:中村哲さんへの追悼と尊敬の念が沁みます。 ぼ:中村哲さんは永遠です! し:中村哲さんを思いました。 香:素晴らしい緑を創造されたのですね。 水:一年で一番ショックな事件でした。「冴ゆる」が胸に突き刺さるようです。 紅:ニュースを見た時、理不尽さに胸が震えました。あの緑が増え続けますように・・。 修:中村医師の仕事は遥かに感じられます。)


三席
●山茶花や父の表札なき実家=資料官


◎や○智、秋、茶△清、白、ま、入、裕=14点
(や:思い出は時に磨かれ美化されてゆく。 秋:主がなくても山茶花は咲いている。侘び感のある山茶花の取合せが効いています。 ご自分は分家ということでしょうか。物寂しい感じに。 智:しみじみと寂しい。季語が良く合っている。 清:実家が空き家となり表札もなくなる位時が経つ。 白:帰郷してみたらーーー。現実の淋しさ。 ま:だんだんそうなるのですが、やはり寂しいですね。 裕:はらはらと山茶花が散る光景が浮かびます。)  


【入選】

●終ひ弘法英語を話す骨董屋=清一
◎秋○久、資△子、十、智、雪、茶=12点
(秋:今日的で面白い景です。 資:外人さんが増えた京都の風景。そういえば岩城も筥崎蚤の市で金髪の女性相手に話していた。 十:売らんがために必死で勉強したのでしょうね。 智:どこもかしこも外国人だらけ。 雪:意外な光景を目の当たりにして。 茶:これも近現代社会の風情ですね。)

●白鳥も白鳥守も白き息=ラスカル
○や、水、裕、遊△入、葱、し、ス=12点
(や:寒さの中の幻想的風景。 水:白の繰り返しが小気味よい。 遊:美しすぎ怖すぎて丸に^^ 裕:白白白が面白い。 葱:季語の三段重ね!確信犯のチャレンジに一票! し:白鳥の息も白くなるのは知らなかった。)

●回転ドア革手袋の似合ふひと=秋波
◎虹○久、五△や、清、修=10点
(虹:美魔女の出て来るTVCMのワンシーンのような。 や:スタイル抜群横顔も好み。 清:ホテルの回転ドアでふと気づくこと。 修:映像が見えるよう。)

●来し方や冬夕焼の海の色=まさこ
◎白、ラ○ぼ、修=10点
(白:中7と下5が上5に良く反映されています。 ラ:行く末も、あたたかい色でありますように! ぼ:よき老後を思わせる。 修:海の色が色いろ想像させる。)

●食パンの耳まで白し初氷=まさこ
◎遊、茶○葱、雪=10点
(遊:研ぎ澄まされた感覚だと思いました。 茶:空前のパンブーム。氷のように危なげです。 葱:感覚の句、美しい。 雪:白い食パンに「初氷」の取り合わせが絶妙。)

●とんかつのころも分厚き師走かな=裕
◎十○虹、ス△葱、五、茶=10点
(十:取り合わせがぴったり決まっています。 虹:歳末の活気をユニークに表現。 葱:滑稽味がありますね。 茶:年末商売の穿ちとみました。)

●板塀のふしに妙あり日向ぼこ=茶輪子
◎五○ま△や、葱、遊、秋=9点
(ま:日向ぼっこでもよく観察されていたのですね、鋭い観察眼が好きです。 や: 節が為す芸術(節穴なら覗くのだが)。  秋:普通なら見過ごしてしまうところに注目。作者の観察眼がいい。 葱:「妙あり」でおさまりました。 遊:わかる気がしました。)

●山頭火また来てをりぬ冬日向=やんま
◎雪○喋、ラ△清、入=9点
(雪:山頭火も寒さには弱い!?それとも山頭火のような人が、、。 ラ:時雨の降る場所から抜け出して来たのかも。 清:河原などを散歩していると時々山頭火らしき人がいる。)

●百畳の天井揺らす煤払=清一
◎ス○ま、裕△紅、水=9点
(ま:天井揺らす、というところが新鮮でいただきました。 裕:すごい煤払いなんですね。 紅:お寺の煤払いでしょう、天井画などあるのでしょうか。 水:立派な格天井を思い浮かべます。)

●寒月や啜り泣くよな三の糸=智雪
○虹、し△遊、喋、始=7点
(虹:私は赤穂浪士の悲しみをイメージした。 し:三の糸のイメージが寒月と合っていると思います。遊:わかっている人の管と思いました。)

●小晦日わたしも消えて虹になる=遊歩
◎子、喋△十=7点
(十:この世から消えてしまうものがあるとすれば、「今」という時間とそこに存在したもの。「私」もその一つ。自然の摂理をうまく言い留めている。)

●捨て猫を毛布に誘ひ夢がたり=虹魚
◎久○子△秋、始=7点
(秋:作者の優しさが伝わります。)

●湯あみして溶ける女房こつごもり=遊歩
◎資○白、茶=7点
(資:一年間お疲れ様でした。 白:中7が良いですね。 茶:艶っぽくていいですね。)

●網棚に忘れ置かるる初昔=十志夫
○メ、紅、五=6点
(紅:不思議な感覚で、とても気になるお句でした。)

●熱燗の眼閉づれば父の酌=入鈴
○資△メ、喋、茶=5点
(資:眼閉づればの後の展開が何とも言えず良い。 茶:岸壁ならぬ瞼の父ですね。しみじみ。)

●生きてゐる人集ひたる四日かな=十志夫
○始△葱、久、五=5点
(葱:三が日はご先祖様とともに、四日目からは社会復帰ですね。)

●うなづき合ふ連弾の父子冬の虹=雪絵
◎ま△し、水=5点
(ま:父と子の繋がり方が昭和とは違いますね。微笑ましい。 し:私も同じ光景をみて感動しました!)

●子どもには子どもの目ぢから寒稽古=秋波
○十、ぼ△砂=5点
(十:おそらく空手あたりでしょうか。景が浮かんできます。 ぼ:破調が効果的で句に力あり。)

●最澄の山に抱かれ浮寝鳥=清一
◎紅△智、裕=5点
(紅:比叡山と琵琶湖、絶景ですね!この上なく幸せそうな浮寝鳥です。 智:比叡と琵琶湖の大きな景色。 裕:何もかも包み込むような比叡山。)

●末つ子のひとり勝ちなるかるたかな=紅椿
○智、雪△ラ=5点
(智:懐かしい風景。末っ子にはみんな甘い。 雪:勝気な末っ子ですね! ラ:事前に猛練習していたのかも。)

●煤逃げや芝居の熱にもらひ泣き=しゃが
◎清△ま、ぼ=5点
(清:煤逃げをして芝居を見に来た亭主、芝居に感動している所が面白い。 ま:ちょっと逃げたつもりが本気で感動していて、可笑しみがあります。ぼ:逃げられた家族は怒ってるだろうに、面白い。 )

●ピカピカの郵便箱や小晦日=五六二三斎
△メ、紅、ぼ、裕、ラ=5点
(紅:郵便箱を替えるのは、やはり小晦日でしょう。 ぼ:おお、主婦の鏡だ。 裕:年賀状に準備万端。 ラ:そして、元日には年賀状がどっさりと!)

●指折りし雪の記憶や退官す=葱男
◎砂○入=5点

●神獣の戦ひしてふ枯野かな=しゃが
○や、葱=4点
(や:人を寄せ付けない。 小松美羽には日本の心をもって世界と戦ってほしい!)

●冬夕焼ビルの谷間に小さき富士=資料官
△ま、砂、秋、修=4点
(ま:よくある都会の風景ですが何度見てもとても美しいですね。 秋:うまく表現された整った句と思います。ただ類句はあるかも。 修:人の営みが一瞬消える。)

●雪便り遠山の襞薄れゆく=水音
○十、香=4点
(十:雪によって山襞の輪郭が薄れていくという見事な写生句だが、「雪便り」が句の実感を薄めてしまったのが惜しい。 香:遠山のひだ、、の表現がいいですね。)

●湯の底に種のつまめぬ柚子湯かな=入鈴
◎修△葱=4点
(修:温かい日常の幸せありがたさ! 葱:ユーモアのある句。)

●孤独なり踏みしめ歩く枯葉経=始祖鳥
◎入=3点

●珈琲や雪のゲレンデ見ゆる窓=水音
○紅△メ=3点
(紅:一読、景が見えます。)

●混浴ゾーンタオル巻かぬ男ら冬=スライトリ・マッド
◎始=3点

●常温の酒で始まる忘年会=裕
○ラ△資=3点
(ラ:熱燗になるまで待っていられないのですね(笑) 資:常温で始まる飲み会に趣がある。)

●年の瀬や友より届く越の酒=ぼくる
△や、虹、ス=3点
(や:一番嬉しい。)

●「いだてん」の総集編や煤払=紅椿
○砂=2点

●氏子らの流れ作業の破魔矢かな=紅椿
○ス=2点

●着ぶくれて老ひし体を今に知る=メゴチ
○清=2点
(清:着ぶくれて見ると動きの鈍くなった自分に気づく。)

●薬談義の爺の寄りたる冬日向=雪絵
△砂、し=2点
(し:薬談義がいいですね。)

●極月のハッピィバースデイ犬に肉=スライトリ・マッド
○秋=2点
(秋:犬が相手の誕生日。ちょっと切ない情景のはずだけど、どこか温かみも感じる句です。)

●山茶花と椿の差異や街歩き=久郎兎
○始=2点

●Scotchで息子とクリスマス停戦=葱男
△十、雪=2点
(十:妻との停戦は日常事だが、息子との停戦が面白い。 雪:ほんとは仲のいい親子なんでしょうね。)

●年の暮れ座椅子の老父眠り込む=久郎兎
○メ、修=2点
(修:「込む」がいいです!そっと見守るしかない。)

●爆発への神気満ち満つオリオン座=しゃが
○子=2点

●百人の友悠々と冬銀河=虹魚
△久、遊=2点
(遊:仲間に入れてもらいたいですw)

●冬うらら黒板メニューの手書き文字=茶輪子
△智、水=2点
(智:店長のお薦め。 水:ほっこりした感じ。文字の丸さが見えるよう。)

●巻き直すマフラー花に触れぬやう=秋波
△十、雪=2点
(十:景が見える句。その分やや既視感もある。)

●急坂にペダルきりりと冬の朝=茶輪子
△始=1点

●クリスマス童話作って夜も更ける=子白
△喋=1点

●極月やスターウォーズは完結す=智雪
△葱=1点
(葱:取り合わせの妙。)

●除夜の鐘ゴオーンゴオーンと子を泣かす=喋九厘
△子=1点

●白壁にみかんの照りと志士の影=香久夜
△五=1点

●新聞もテレビも見ずに年暮れる=子白
△久=1点

●その昔おしくらまんぢゆう今ラガー=ぼくる
△ス=1点

●年暮れる今年したこと何やろか=白馬
△ぼ=1点
(ぼ:ご同様にて、反省しきりです。)

●沼涸るや中村哲の井戸涸れず=入鈴
△香=1点
(香:すばらしい方です。)

●冬茜曳いて短きひこうき雲=裕
△香=1点
(香:上空は風がつよいのだろうか。短き、が冬らしい。)

●冬の虹父母が笑ってゐたやうな=智雪
△資=1点
(資:久し振りの墓参りの帰り道でしょうか。)

●冬日影うつむく人の般若面=遊歩
△清=1点
(清:憎い人を思い出し怒りの表情になる。)

●扮装のひよこの園児クリスマス=雪絵
△子=1点

●災いは彼方あちらに除夜の鐘=喋九厘
△秋=1点
(秋:本当に災いの多い1年でした。天災も人災も除夜の鐘とともに祓い去ってしまいたい。)


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